T. Rexの歴史とマーク・ボランの歩みは、こちらから!
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本文を読む前に、『イージー・アクション』の勢いあるサウンドや、1972年のT. Rex黄金期の魅力をつかみたい方におすすめです。
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音声を先に聴くことで、『イージー・アクション』の疾走感、シンプルなのに耳に残るサウンド、そして記事全体の流れをよりつかみやすくなります。
僕の勝手なBest10【T. Rex編】第6位『イージー・アクション』
第6位に選んだのは、1972年の『イージー・アクション(Solid Gold Easy Action)』です。
順位は第6位ですが、思い入れだけなら僕の中でBest3に入ってもおかしくありません。イントロから飛び出してくるギター、勢いのあるリズム、そしてマーク・ボランの少し鼻にかかったような歌声。わずか2分あまりの中に、T. Rexの「シンプルなのに忘れられない」という魅力が凝縮されています。
曲が始まって数秒で、「これはT. Rexだ」と分かる。説明を加える前に身体が反応してしまうような即効性が、この曲にはあります。そして僕の場合、その音には1970年代初頭の中学時代の記憶まで重なっています。
超訳
人生なんて、昔からそんなに変わらない。 難しく考えず、今この瞬間を楽しめばいい。 理屈よりも、身体が感じるリズムを信じよう。 さあ、軽やかに飛び込もう――最高にきらめくアクションの中へ。
まずは、YouTube公式音源をお聴きください。
公式音源クレジット T. Rex「Solid Gold Easy Action」(1972) 作詞・作曲:マーク・ボラン プロデュース:トニー・ヴィスコンティ マーク・ボラン:ヴォーカル、ギター スティーヴ・カーリー:ベース ミッキー・フィン:コンガ ビル・レジェンド:ドラム スー&サニー:バッキング・ヴォーカル トニー・ヴィスコンティ:ストリングス・アレンジ、バッキング・ヴォーカル 1972年12月1日にシングルとして発売され、全英シングルチャート最高2位を記録。黄金期のT. Rexを象徴する、アルバム未収録の独立シングルです。 2行解説 鋭いギター、疾走するリズム、「Hey! Hey! Hey!」の掛け声が一体となった、T. Rex絶頂期の勢いを凝縮した一曲。 シンプルなのに一度聴けば耳から離れない、マーク・ボランの「削ぎ落とすことで強くする」ポップセンスが鮮やかに表れています。
1972年――ヒットを連発したT. Rex、その年最後の一撃
『イージー・アクション』は、1972年12月1日に英国でシングルとして発売されました。
この年のT. Rexは、まさに絶頂期です。
年初の『テレグラム・サム』が全英1位、
続く『メタル・グルー』も1位。
9月の『チルドレン・オブ・ザ・レヴォリューション』は2位まで上昇し、その勢いを保ったまま年末に送り出されたのが『イージー・アクション』でした。

チャートには11週間入り、1973年1月には最高2位を記録しています。
1位には届かなかったものの、当時のT. Rexが一曲ヒットしたら次まで間を空けるような存在ではなく、数か月単位で新しい曲を送り込みながら英国のポップシーンを席巻していたことが分かります。
アルバムではなく、シングルそのものが主役だった時代
『イージー・アクション』は、当時のオリジナル・スタジオアルバムには収録されていません。
T. Rexはこの時期、『チルドレン・オブ・ザ・レヴォリューション』や、翌1973年の『20センチュリー・ボーイ』など、重要曲をアルバムとは独立したシングルとして次々と発表していました。
現在はアルバムや配信作品の中からシングルが切られる感覚が強いですが、当時の英国では、シングルそのものが一つの完成した新作として大きな意味を持っていました。
ファンにとっては、新しい7インチ盤が店頭に並ぶたびにT. Rexの最新の姿と出会えたわけです。
B面は『ボーン・トゥ・ブギー』
英国盤シングルのB面には、『ボーン・トゥ・ブギー』が収録されました。同じ1972年には、リンゴ・スターが監督したT. Rexの映画にも『ボーン・トゥ・ブギー』というタイトルが付けられています。
曲、映画、ステージ、そしてマーク・ボランの姿。そのすべてに「ブギー」という言葉がよく似合う時期でした。

短いからこそ強烈――削ぎ落とされたT. Rex流ロックンロール
『イージー・アクション』は、長い展開をじっくり味わうタイプの曲ではありません。イントロが鳴った瞬間からテンションが高く、余計な寄り道をせず、そのまま最後まで一気に走り抜けます。
「じゃがじゃがじゃ、ヘイ!ヘイ!ヘイ!」
僕にとって、この曲の魅力を理屈で説明する前に思い浮かぶのが、あのリズムです。
「じゃがじゃがじゃ、ヘイ!ヘイ!ヘイ!」。文字だけを見ると何とも妙ですが、曲を知っている人なら、僕が何を言いたいのか分かってもらえるのではないでしょうか。
複雑なギターソロがあるわけでも、何度も転調するわけでもありません。短いギターフレーズ、太いビート、掛け声、コーラス。それだけで身体が自然に動き出す。難しいことをしなくても、一瞬でT. Rexだと分かる。そこがマーク・ボランの大きな才能だったと思います。

2分あまりで終わるから、もう一度聴きたくなる
この曲には、盛大なイントロから長い間奏へ進み、最後に大きなクライマックスを作るような構成はありません。むしろ「もっと聴いていたい」と思うあたりで終わってしまいます。
しかし、それが弱点にはなっていません。短いからこそ一つ一つの音が強く残り、曲が終わった直後にイントロをもう一度聴きたくなる。
T. Rexのヒット曲には、こうした反復して聴きたくなる設計が非常に多いと感じます。
ストリングスとコーラスが作る、意外な厚み
プロデューサーのトニー・ヴィスコンティは、この曲にもストリングスを加えています。しかし、オーケストラを前面へ押し出して豪華さを競うような使い方ではありません。ギターとリズムの勢いを邪魔せず、その背後へ音の厚みを足しています。
さらにスー&サニーのバッキング・ヴォーカルとヴィスコンティ自身の声が重なり、短い曲の中にも立体感が生まれています。表面は単純なのに、よく聴けば細かな音が支えている。そのバランスが、『イージー・アクション』を単なる勢いだけの曲にしていません。
歌詞は「意味」より、ボランの言葉の響きを楽しむ

『イージー・アクション』の歌詞も、マーク・ボランらしく、一つの物語を順番に説明するタイプではありません。現実にはありそうもないイメージや、意味を一つに絞りにくい言葉が次々と現れます。
ここで「Solid Goldは永遠の価値」「Easy Actionは自由な人生」といった意味を無理に当てはめるより、言葉が作る感覚そのものを楽しむ方が、この曲には合っています。
ボランの声も、リズム楽器の一つ
短い言葉を畳みかける歌い方、コーラスとの掛け合い、リズムへ滑り込むようなヴォーカル。歌詞を文章として読むと不思議に感じる部分でも、音楽の中に置かれると妙にしっくりきます。
つまり、意味のある文章をメロディへ乗せるというより、ボランの声そのものがギターやドラムと同じように楽曲を動かしている。その感覚こそ、T. Rexの歌を聴く面白さの一つです。
中学2年生の僕に刻まれた『イージー・アクション』
この曲が発売された1972年、僕は中学2年生でした。そして『イージー・アクション』を聴くと、今でも真っ先に思い出す友人がいます。ロック仲間だった佐藤君です。
佐藤君と交わした、あのフレーズ
顔を合わせるたびに、二人で「じゃがじゃがじゃ、ヘイ!ヘイ!ヘイ!」と言い合っていました。

他人が聞けば、何をやっているのか分からなかったでしょう。でも僕たちには、それだけで『イージー・アクション』だったのです。
当時はYouTubeも配信サービスもありません。好きな曲をいつでも検索して、すぐに聴き直せる時代ではありませんでした。
ラジオから流れてくる曲を待ち、ランキング番組を気にし、レコード店でジャケットを見る。それだけに、一曲一曲が今よりも強く生活の中へ入り込んでいたように思います。
半世紀後も、イントロだけで戻れる場所
発売年や英国でのチャート順位は、資料を見れば確認できます。しかし、その曲を聴いて誰と笑ったのか、どこでその曲の話をしたのか、そのとき自分が何歳だったのか。そうした記憶は、自分の中にしか残っていません。
半世紀以上が過ぎた今でも、この曲のイントロが鳴れば、中学2年生だった自分と佐藤君とのやり取りが一緒に戻ってきます。
音楽には、時間を巻き戻す力がある。そのことを僕が強く感じる曲の一つが、『イージー・アクション』です。
僕が第6位に選んだ理由
最初にも書いたように、この曲への思い入れだけなら、僕の中ではBest3に入っても不思議ではありません。それでも今回、第6位に置きました。この先には、T. Rexを聴き始めた頃から、さらに強烈に記憶へ刻み込まれている曲があるからです。
しかし、『イージー・アクション』には、ほかの曲とは違う特別なものがあります。曲を聴くだけで、1972年から1973年頃の空気と、中学生だった僕自身が一緒に戻ってくる。それは、売上や音楽史上の評価では測れません。

音楽として聴けば、短く、シンプルで、勢いのあるT. Rex流ロックンロール。そして個人的には、友人と笑い合った中学時代そのもの。この二つが完全に重なっているからこそ、僕にとって『イージー・アクション』は特別なのです。
第6位は、『イージー・アクション』。一瞬で身体を動かすT. Rexのロックンロールと、僕自身の中学時代の記憶が、半世紀を超えても切り離せないまま残っている一曲です。


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