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第1位は、氷室京介の「KISS ME」です。
1992年12月7日にシングルとして発売され、翌1993年1月7日発売の4枚目のオリジナルアルバム『Memories Of Blue』に収録されました。作詞は松井五郎、作曲は氷室京介、編曲は西平彰です。
シングルはオリコン週間ランキングで1位を獲得し、19週にわたってランクイン。ミリオンセラーとなり、続く『Memories Of Blue』もオリコン1位、150万枚を超えるセールスを記録しました。
1990年代前半の氷室京介を象徴する一曲であり、ソロ活動を語るうえで外すことのできない代表作です。

「KISS ME」には、恋愛について考え込む時間よりも先に、相手へ向かって感情が動き出すような速さがあります。
迷いを抱えながら立ち止まるのでも、終わった恋を振り返るのでもない。
目の前の相手を、今すぐ求める。その直接性と氷室京介の声、旋律、ビートが一体になったところに、この曲ならではの魅力があります。
超訳
もう遠回りする必要はない。
言葉を重ねて気持ちを確かめるより、今は君のそばにいたい。
過去も迷いも消せないけれど、君を求めていることだけは確かだ。
今夜、二人を隔てているものを越えてしまいたい。
💡 あわせて読みたい: 公式の原曲歌詞はこちら(外部サイトへ移動します)
まずはYouTubeの公式動画をお聴きください
🎵 クレジット
楽曲:KISS ME
アーティスト:氷室京介
作詞:松井五郎
作曲:氷室京介
編曲:西平彰
シングル発売:1992年12月7日
収録アルバム:『Memories Of Blue』
アルバム発売:1993年1月7日
YouTube:KYOSUKE HIMURO 公式アーティストチャンネル
🎵 2行解説
ミリオンセラーを記録し、氷室京介のソロ活動を代表する作品となった「KISS ME」。
鋭いビートと艶を帯びた歌声が、相手を求める感情を一直線のロックへ変えています。
「KISS ME」という二語の強さ
タイトルは、わずか二語です。誰が、なぜ、どのような経緯で相手を求めているのかを説明する言葉はなく、「KISS ME」という要求だけが正面に置かれています。
この短さは、楽曲の性格そのものです。気持ちを整理して相手へ伝えるのではなく、整理できないものも含めて一気に相手へ向かう。言葉を増やさないことによって、かえって主人公の切迫した感情が際立っています。

強気な言葉の奥にあるもの
ただし、この主人公を単純な「強い男」として読むと、曲の面白さを見落とすように思います。相手を求める言葉は強くても、その背景には孤独や疑いがあり、自分だけで完結できない感情が見え隠れしています。
つまり「KISS ME」は、一方的に相手を支配しようとする歌ではありません。
強く求めるほど、主人公自身が相手を必要としていることも明らかになっていく。強気な表情と、その奥にある不安定さが同居しているところに、松井五郎の詞の面白さがあります。

イントロから走り出すサウンド
「KISS ME」は、歌詞の内容だけでは語りきれません。イントロが鳴った時点で曲の方向は決まっており、ギター、シンセサイザー、リズムが組み合わさった硬質な音が、ためらうことなく前へ進んでいきます。
速さではなく、前へ押す力
テンポだけを取り出せば、極端に速い曲ではありません。それでも聴いていると、立ち止まる感覚がほとんどない。ドラムとベースが強い土台を作り、その上でギターとキーボードが音の輪郭を際立たせています。
興味深いのは、演奏が主人公の感情を後ろから説明しているのではないことです。音そのものが、相手へ向かう衝動の一部になっている。だから歌詞を細かく追わなくても、この曲がどこへ向かおうとしているのかは身体で分かります。
華やかなのに、焦点がぼやけない
サウンドには1990年代初頭らしい華やかさがあります。ギター、シンセサイザー、リズム、ボーカルがそれぞれ存在感を持ちながら、音が散らばらず、一つの方向へ集まっているのが特徴です。

時代を感じさせる音色は確かにあります。それでも、30年以上を経た現在も「当時のヒット曲」という枠だけに収まらないのは、強いメロディーと明確なリズム、そして氷室京介の歌唱が曲の中心をしっかり支えているからでしょう。
氷室京介の歌声が加える色気と緊張
この曲を決定的なものにしているのは、やはり氷室京介の声です。低い音域では言葉をやや含ませ、高くなるにつれて前へ押し出していく。その変化によって、主人公の感情が単調になりません。
力だけで押し切らない
「KISS ME」という言葉だけを見れば、もっと強引に歌うこともできるでしょう。しかし氷室は、最初から最後まで声量で押し切るのではなく、力を込める場所と抑える場所を使い分けています。
そのため、歌唱にはロックボーカリストとしての鋭さだけでなく、大人の色気と危うさが生まれます。格好よさだけで完結せず、人間らしい揺れがわずかに混じる。そのバランスが「KISS ME」を単純な強気のラブソングにしていません。

1992年末、ソロ活動の大きな到達点へ
氷室京介は、1988年7月21日の「ANGEL」でソロ活動を本格的にスタートしました。「KISS ME」が発売された1992年末には、すでに「SUMMER GAME」「JEALOUSYを眠らせて」「LOVER’S DAY」「Urban Dance」などを発表し、ソロアーティストとして独自の歩みを築いていました。
その中で「KISS ME」はオリコン1位を獲得し、ミリオンセラーへ到達します。さらに翌1993年1月の『Memories Of Blue』も1位となり、150万枚を超える大ヒットを記録。「KISS ME」は、ソロとして積み重ねてきたものが大きな結果へ結びついた時期を象徴する曲でもあります。
『Memories Of Blue』の幕を開ける1曲目
アルバム『Memories Of Blue』でも、「KISS ME」は1曲目に置かれています。続いて「ユー・アー・ザ・ライト」「Memories Of Blue」「レイニー・ブルー」「グッド・ラック・マイ・ラブ」と進む構成です。
アルバムの冒頭から代表曲を置き、その強いビートで作品世界へ引き込む。「KISS ME」は単独で成立する大ヒットシングルであると同時に、『Memories Of Blue』全体の始まりを告げる役割も担っています。
miniBest7の第1位として
今回のminiBest7では、BOØWY時代とソロ時代の両方から曲を選びました。「わがままジュリエット」では整理しきれない恋の痛み、「MEMORY」では別れた後にも残る記憶、「B・BLUE」では傷を抱えながら前へ進む姿を取り上げています。
「マリオネット」は自分の意思で生きようとする曲として聴き、第2位の「魂を抱いてくれ」では、愛する相手に自分の内側まで分かってほしいという願いを考えました。7曲を並べると、氷室京介が歌ってきた男の姿が一種類ではないことがよく分かります。

第2位「魂を抱いてくれ」との違い
「魂を抱いてくれ」が求めているのは、自分という人間を深いところまで理解してもらうことでした。それに対して「KISS ME」は、気持ちを説明し尽くす前に相手との距離を縮めようとします。
第2位が心の内側へ深く入っていく曲なら、第1位は感情が一気に行動へ変わる瞬間を捉えた曲。
同じように相手を必要としていても、その表し方はまったく違います。この振幅も、僕が氷室京介に惹かれる理由の一つです。
なぜ「KISS ME」が第1位なのか
ランキングですから、最後は僕自身の好みです。売上枚数や知名度だけで選ぶなら、ここまで7曲を並べて順位を考える必要はありません。
僕が「KISS ME」を第1位にしたのは、メロディー、編曲、ビート、言葉、そして氷室京介の歌声が、最初から最後まで一つの方向を向いているからです。どこか一部分だけを取り出して魅力を説明するより、一曲全体として聴いたときの完成度に惹かれます。
とりわけ氷室の声には、鋭さ、艶、危うさが同時にあります。その声が松井五郎の直接的な言葉と氷室自身のメロディーをつなぎ、「KISS ME」という短い言葉を、大きなロックナンバーへ変えています。
終わりに――二語から始まる氷室京介のロック
「KISS ME」は1992年に発売された大ヒット曲です。イントロが鳴り、氷室京介の声が入れば、発売年や売上枚数といった情報より先に、音そのものが耳へ飛び込んできます。
描かれているのは、孤独や疑いを抱えながら、それでも目の前の相手を強く求める男です。強気な言葉と不安定な感情、華やかなサウンドと切迫した歌声。その組み合わせが、この曲に独特の緊張を与えています。

「KISS ME」という、わずか二語。
そこからこれだけの世界を作り、自分の声で氷室京介のロックとして成立させた。その完成度こそが、僕が「KISS ME」をminiBest7の第1位に選んだ理由です。

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