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第3位は、BOØWYの「マリオネット(MARIONETTE)」です。
1987年7月22日にBOØWYの6枚目のシングルとして発売され、同年9月5日発売の6枚目にして最後のオリジナルアルバム『PSYCHOPATH』に収録されました。作詞は氷室京介、作曲は布袋寅泰です。
『PSYCHOPATH』に先駆けて発表された「マリオネット」は、BOØWYにとって初のシングルチャート1位を獲得。
前年の「B・BLUE」が最高7位、1987年4月の「オンリー・ユー」が4位と順位を上げてきた流れの先で、ついに頂点へ到達しました。

聴くたびに引っかかるのは、周囲に合わせて生きることへの苛立ちと、そこから抜け出そうとする意志です。華やかな1980年代のロックナンバーでありながら、その中心には、自らの生き方を問い直すような感情が流れています。
「誰かの思いどおりに動く存在でいいのか」。僕には、その問いが今も古びずに残っているように聞こえます。
超訳
誰かが決めた役を演じ続ける毎日から、そろそろ抜け出していい。 見えない力に動かされるのではなく、行き先くらい自分で決めたい。 間違えることを恐れて立ち止まるより、自分の感覚を信じて動けばいい。 操り人形ではない、本来の自分として歩き始めよう。
💡 あわせて読みたい: 公式の原曲歌詞はこちら (外部サイトへ移動します)
まずはYouTubeの公式配信音源をお聴きください
🎵 クレジット 楽曲:MARIONETTE アーティスト:BOØWY 作詞:氷室京介 作曲:布袋寅泰 収録アルバム:『PSYCHOPATH』 シングル発売:1987年7月22日 アルバム発売:1987年9月5日 音源提供:Universal Music Group YouTube:BOØWY - Topic 🎵 2行解説 BOØWY初のシングルチャート1位を記録し、1987年の彼らを象徴する代表曲。 布袋寅泰の鋭いギター、高橋まことと松井恒松が作る強固なリズム、その中央を貫く氷室京介の歌唱が一体となっています。
「マリオネット」という言葉が示すもの
マリオネットとは、上から伸びた糸によって手足を動かす操り人形です。人形そのものに意思があるように見えても、実際にその動きを決めているのは糸を持つ側です。

この曲では、その姿が人間の生き方と重ねられているように僕は感じます。誰かから直接命令されるという単純な話ではなく、決められた枠の中で過ごすうちに、本来の感覚まで見失ってしまう。そんな窮屈さを「マリオネット」という言葉が象徴しているように聞こえるのです。
鏡に映るマリオネット
歌の中では「鏡」と「マリオネット」が結びついて登場します。ここが、この曲を単なる反抗の歌とは違うものにしている部分だと思います。鏡に映るのは、敵でも世間でもありません。そこにいるのは本人です。
僕には、問題を周囲だけに求めるのではなく、今の生き方を続けている本人にも視線が向けられているように感じられます。社会の中で他者と歩調を合わせることは必要ですが、それが習慣となり、本当に望んでいるものまで分からなくなれば話は別です。
自分で決めるということ
誰かが用意した答えに従えば、選択に迷わずに済みます。失敗したときにも、「自分が決めたわけではない」と考えることができます。反対に、自ら判断して動けば、その結果も引き受けなければなりません。

「マリオネット」は、単純に自由を叫ぶ曲というより、自ら選ぶことに伴う怖さも引き受けながら、そこから動き出そうとする歌に聞こえます。
イントロだけで「マリオネット」と分かる
この曲の魅力を語るとき、布袋寅泰のギターを外すことはできません。冒頭から刻まれる特徴的なフレーズは、わずかな時間で「マリオネット」だと分かるほど強い個性を持っています。有名曲だから判別できるというだけではなく、音そのものに固有の顔があり、ボーカルが始まる前から曲の印象を決定しています。
そこへ松井恒松のベースと高橋まことのドラムが加わり、強いビートを作る。その上を氷室京介の声が走っていきます。
4人の個性がぶつかりながら、一曲になる
BOØWYの面白さは、誰か一人だけが目立っているわけではないところにもあります。布袋のギターには一聴して分かる存在感があり、リズム隊も決して背景へ退きません。それほど主張の強い演奏の中でも氷室の声は埋もれず、かといって歌だけが演奏を従わせるわけでもありません。
4人それぞれの個性が前へ出ながら、一つの曲として成立している。「マリオネット」は、そのBOØWYらしさが非常に分かりやすく表れた一曲だと思います。

規則正しいビートと、人間臭いボーカル
リズムは力強く、迷いなく進んでいきます。その整った動きに対して、氷室の歌唱には細かな強弱があり、言葉の置き方も一定ではありません。ときに鋭く、ときに力を緩める。その変化が、生身の人間らしい感情を伝えてきます。
歌詞と演奏を無理に結びつける必要はありません。それでも僕には、整然と進む演奏と、そこから飛び出そうとするようなボーカルの対照が、この曲ならではの緊張感を生んでいるように聞こえます。
氷室京介の歌唱――強さだけではない声の表情
「マリオネット」での氷室京介は、最初から最後まで声量で押し切っているわけではありません。言葉を強く当てる部分、少し抑える部分、一気に前へ出る場面が細かく使い分けられています。「格好いい」の一言では片づけられない、歌い方そのものの巧さがあります。
言葉を置く位置が生む緊張感
僕が惹かれるのは、声の大きさ以上に、言葉をリズムへ乗せる感覚です。少し突き放すように発音する箇所があれば、次の瞬間には滑らかに流す。その切り替えによって歌に立体感が生まれます。

布袋のギターがこれほど強く主張している曲でありながら、氷室のボーカルも同じだけ印象に残る。演奏と歌が互いに譲らない関係が、「マリオネット」の緊張を最後まで保っています。
1987年、BOØWYがシングルでも頂点へ
「マリオネット」が発売された1987年は、BOØWYの歴史の中でも特別な年でした。4月6日に「オンリー・ユー」、7月22日に「マリオネット」を発売。その直後の7月31日には神戸ポートピア・ワールド記念ホール、8月7日には横浜文化体育館で「“GIGS” CASE OF BOØWY」が開催されました。
この2公演では、神戸・横浜ともに39曲を演奏。当時のBOØWYの集大成ともいえる大規模なステージとなりました。そして9月5日には、最後のオリジナルアルバム『PSYCHOPATH』が発売されます。
人気絶頂期に告げられた解散
「マリオネット」でBOØWYは初めてシングルチャート1位を獲得しました。人気はさらに高まり、バンドがこの先も走り続けていくように見えた時期です。
ところが、その約5か月後となる12月24日、渋谷公会堂で突然の解散宣言。翌1988年4月4日・5日の東京ドーム「LAST GIGS」が、4人による最後のステージとなりました。1987年は、BOØWYが人気の頂点へ駆け上がる一方で、バンドの終わりが告げられた年でもあったのです。

もちろん、「マリオネット」の内容とBOØWYの解散を直接結びつける根拠はありません。そこは分けて考えるべきでしょう。ただ、後から歴史を振り返ると、操られる状態から抜け出そうとする歌が、BOØWY最後の年に大きな支持を得たことには、不思議な重なりを感じます。
『PSYCHOPATH』の6曲目という位置
『PSYCHOPATH(サイコパス)』は全12曲で、「マリオネット」は前半を締める6曲目に収録されています。前には「ライアー・ガール」「エンジェル・パスト・チルドレン」「ロンガー・ザン・フォーエヴァー」「ジゴロ&ジゴレット」、そしてドイツ・ハンブルクで録音された「ランデヴー(1987年7月ハンブルク・ライブ)」が並びます。
後半は「プラスティック・ボム」「サイコパス」「セルロイド・ドール」「ファンタスティック・ストーリー」、第5位に選んだ「メモリー」、最後に「季節が君だけを変える」と続きます。

シングルでは一曲だけで強烈な存在感を放つ「マリオネット」ですが、アルバムでは前半の最後に置かれています。『サイコパス』全体の流れの中で聴くことで、ヒット曲として単独で聴く場合とはまた違った位置づけが見えてきます。
第4位「B・BLUE」と比べて見えてくるもの
第4位に選んだ「B・BLUE」も、前へ進もうとする力を持った曲です。ただし、僕が感じる二曲の方向は少し違います。「B・BLUE」では、傷ついた心を抱えたまま、それでも進もうとする主人公を描きました。それに対して「マリオネット」で強く感じるのは、現在の状態そのものを変えようとする意思です。
恋愛だけに限定されず、働き方、人間関係、周囲の価値観など、さまざまな場面へ重ねることができる。その射程の広さに加え、ギター、ベース、ドラム、氷室の声が一体となって迫ってくる力強さが、この曲を第3位まで押し上げています。

終わりに――操り人形のままでは終わらない
「マリオネット」は、BOØWY初のシングルチャート1位となった代表曲です。しかし、発売から約40年が過ぎた今も聴き継がれている理由を、当時の人気だけで説明することはできません。
周囲に合わせているうちに、自分が何を望んでいたのか分からなくなる。そんな経験は、時代が変わってもなくならないでしょう。そこで必要なのは、誰かへ派手に反抗することではなく、まず現在の姿に気づくことなのかもしれません。
鏡に映っているのが「操られている自分」だと気づいたなら、その先をどう生きるかは自分で決める。
氷室京介の言葉と歌、布袋寅泰のギター、松井恒松と高橋まことの強靱なリズム。4人が生み出した音が、その感覚を理屈ではなく身体へ伝えてきます。僕にとって「マリオネット」は、ただ格好いいだけの代表曲ではありません。
誰かに与えられた役を演じ続けるのか、それとも自らの感覚を信じて動くのか。その問いを、今も鋭いロックとして鳴らし続けている一曲です。
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