🎸僕の勝手なminiBest7【氷室京介編】第4位『B・BLUE』――傷ついた翼で駆け抜ける

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第4位は、BOØWYの「B・BLUE」です。

1986年9月29日にBOØWYの4枚目のシングルとして発売され、同年11月8日発売の5枚目のアルバム『BEAT EMOTION』に収録されました。作詞は氷室京介、作曲・編曲は布袋寅泰です。

シングルはオリコン最高7位を記録。さらに『BEAT EMOTION』はオリコンのアルバムチャートで初登場1位となり、3週連続で首位を獲得しました。『JUST A HERO』で勢いを増したBOØWYが、さらに大きな存在へ変わっていく1986年。その流れの中核にあった一曲です。

しかし「B・BLUE」の魅力は、ヒットの勢いだけではありません。演奏は迷いなく前へ進むのに、氷室京介が描く主人公の心には、愛し合った相手との傷や寂しさが残っています。

音は前へ走るのに、心は過ぎた時間から完全には離れていない。この食い違いが、僕を「B・BLUE」へ強く引きつけます。

超訳

壊れた翼を抱えたまま、僕らはそれでも空を見ていた。
寄り添っていたはずなのに、いつしか明日は別々の色になっていた。
夜の向こうへ消えていく君の笑顔を、あの頃の僕はまだ知らなかった。
傷ついた心ごと風に預けて、もう一度だけ、遠くへ飛んでいこう。

💡 あわせて読みたい: 公式の原曲歌詞はこちら(外部サイトへ移動します)

まずはYouTubeの公式配信音源をお聴きください。

🎵 共通クレジット
アーティスト:BOØWY
楽曲:B・BLUE
作詞:氷室京介
作曲・編曲:布袋寅泰
提供:Universal Music Group
YouTube:BOØWY - トピック
🎵 ①「B・BLUE」オリジナル音源
個別クレジット
収録アルバム:『BEAT EMOTION』
オリジナル・シングル発売:1986年9月29日
2行解説
BOØWYがさらに大きく飛躍していく1986年を象徴する、鋭いギターとスピード感を備えた代表曲。
氷室京介の緊張感あるボーカルと4人の演奏が一体となり、冒頭から最後まで高い熱量を保ち続けます。
🎤 ②「B・BLUE(Live At Tokyo Dome / 1988)」
個別クレジット
収録:『LAST GIGS COMPLETE』
録音:1988年 東京ドーム「LAST GIGS」
℗ 1988 USM JAPAN, a division of UNIVERSAL MUSIC LLC.
2行解説
BOØWY最後の公演となった東京ドーム「LAST GIGS」で演奏された「B・BLUE」のライブ音源。
スタジオ版とは異なる緊張と観客の熱気が加わり、最後の舞台に立つ4人の演奏を生々しく伝えます。

走り続ける音と、立ち止まりそうな心

「B・BLUE」を聴いて最初に身体へ飛び込んでくるのは、曲全体を貫くスピードです。高橋まことのドラムが強い拍を刻み、松井恒松のベースが低い位置から支え、布袋寅泰のギターが鋭い輪郭を刻む。イントロから躊躇する時間を与えません。

ところが氷室京介の言葉が描くのは、それとは少し違う景色です。

かつて抱き合った二人は、傷つけ合いながら、やがて同じ明日を見られなくなっていく。演奏の爽快さとは対照的に、主人公の内側には寂しさが漂っています。

なぜ、悲しい歌がこれほど速いのか

もし同じ物語を静かなバラードにすれば、失われていく恋の痛みが前面に出たでしょう。「B・BLUE」はそうしません。感傷にとどまるのではなく、傷を抱えた人間をそのまま走らせます。

僕には、この組み合わせこそが曲の肝に聞こえます。気持ちが整理されるのを待つのではなく、まだ痛みが残る状態で次へ向かう。だから速いテンポが単なる格好よさではなく、主人公の切迫した感情と結びついてくるのです。

傷が消えたから飛ぶのではない。傷を抱えながら、それでも空を目指す。その危うさに「B・BLUE」の格好よさがあります。

「翼」が映し出す、自由と痛み

この曲を特徴づけているイメージの一つが「翼」です。空へ飛ぶための翼がありながら、心には傷がある。僕には、その対比が主人公の置かれた状態を端的に表しているように感じられます。

ここで描かれているのは、何もかも忘れて自由になる姿ではありません。過去を引きずりながら、それでも同じ場所にはとどまらない。恋愛の終わりを、人が再び動き始める瞬間へつなげているところに、この曲の広がりがあります。

愛していても、同じ未来を見られるとは限らない

二人の関係も、単純な憎しみでは片づけられません。傷つけ合ってはいても、かつて互いを求めた時間まで否定しているわけではない。それでも、それぞれが思い描く明日は違うものになっている。

恋が終わる理由は、必ずしも大きな裏切りや決定的な事件とは限りません。気持ちが残っていても、歩いていく方向が少しずつずれることがある。「B・BLUE」は、その変化を細かく説明するのではなく、断片的な言葉と情景の中から感じさせます。

「BLUE」という言葉が持つ二つの表情

「BLUE」という言葉にも、この曲らしい二面性を感じます。青は空を連想させる一方、英語の「blue」には憂鬱や悲しみを表す用法があります。

空へ向かおうとするイメージと、胸に残る痛み。もちろんタイトルの意図を一つに決めつけることはできませんが、僕には「B・BLUE」という短い言葉の中にも、曲が持つ明暗が重なって見えます。

『BEAT EMOTION』の幕を開ける一曲

「B・BLUE」は『BEAT EMOTION』の1曲目です。そして2曲目には、第7位に選んだ「オンリー・ユー」が続きます。

この並びは、アルバムの入口として実に強力です。「B・BLUE」で一気に加速し、その勢いを保ったまま「オンリー・ユー」へ入る。BOØWYが持つメロディーの強さ、ビートの鋭さ、氷室の声の存在感を、序盤からはっきり提示しています。

1986年、BOØWYが頂点へ向かい始める

1986年はBOØWYにとって、大きな飛躍の年でした。3月に『JUST A HERO』を発売し、7月2日には初の日本武道館単独公演を開催。9月29日に「B・BLUE」、11月8日には『BEAT EMOTION』と、重要な作品と公演が続きます。

『BEAT EMOTION』はアルバムチャート初登場1位となり、その後3週連続で首位を獲得しました。その直前に先行シングルとして世に出た「B・BLUE」は、BOØWYがより広い聴き手へ浸透していく時期を象徴する曲でもあります。

翌1987年には「オンリー・ユー」が初登場4位、「MARIONETTE」が初登場1位を記録します。こうして時系列で見ると、「B・BLUE」は人気が一気に拡大していく入り口に位置していたことがよく分かります。

4人が一つの方向へ走るサウンド

「B・BLUE」は氷室京介のボーカルだけを追っても魅力がありますし、布袋寅泰のギターに耳を向けても聴きどころが多い曲です。しかし、この曲の力を作っているのは誰か一人ではありません。

高橋まことのドラムが速度を生み、松井恒松のベースがその土台を固める。布袋のギターが細かく表情を変えながら曲の輪郭を作り、その上を氷室の声が切り込んでくる。個々の音が際立ちながら、4人が一つの方向へ向かっている。このまとまりが、「B・BLUE」の強さです。

スタジオ版と「LAST GIGS」で変わる表情

今回、オリジナル音源に加えて1988年の東京ドーム「LAST GIGS」の公式音源も置いたのは、同じ曲がライブでどう変化するのかを聴き比べてほしかったからです。

スタジオ版では、それぞれのパートが緻密に組み合わされたシャープさが際立ちます。一方、「LAST GIGS」では観客の反応が音の中へ入り込み、演奏に独特の緊張が加わる。曲そのものの構造は同じでも、聴こえてくる温度は明らかに違います。

しかも「LAST GIGS」は、1988年4月4日と5日に行われたBOØWY最後の東京ドーム公演です。最後の舞台で「B・BLUE」が鳴っていることを意識すると、曲本来の物語とは別に、バンドの歴史そのものまで重なって聞こえてきます。

第5位「MEMORY」と並べて見える違い

第5位の「MEMORY」も、関係の終わりを抱えた男女を描く曲でした。ただし、二曲の主人公が取る行動はかなり違います。

「MEMORY」では、相手を責めるのではなく、自分がその場を去ることで関係に区切りをつけようとします。そこには、立ち去るという明確な選択があります。

去る男と、飛び立とうとする男

それに対して「B・BLUE」の主人公から伝わってくるのは、整理された決断というより、壊れた状態からもう一度動こうとする衝動です。

僕が「B・BLUE」を第5位の「MEMORY」より一つ上に置いた理由も、ここにあります。別れの痛みを静かに見つめるのではなく、その痛みを抱えたままロックの速度へ乗せてしまう。その激しさが、僕の好みにより近いのです。

終わりに――壊れた翼で、それでも空へ

「B・BLUE」は、BOØWYがさらに大きな舞台へ進んでいく1986年に発表され、その後の加速を象徴する一曲となりました。

布袋寅泰が作る前へ突き進むサウンドと、氷室京介が描いた傷を抱える主人公。その対照的な二つの要素が同じ曲の中にあり、互いを弱めるどころか「B・BLUE」独特の緊張を生み出しています。

人は、気持ちを完全に整理してから次へ進めるとは限りません。傷も迷いも残ったまま、それでも今いる場所から動かなければならないことがあります。

壊れた翼なら、壊れた翼のままでいい。

それでも空を目指す――その危うさと強さを、BOØWYの4人が疾走するロックへ変えた。それが、僕にとっての「B・BLUE」です。

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