🎸僕の勝手なBest25【レッド・チェッペリン編】-第13位『Tea for One』をご紹介!

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🎸【レッド・チェッペリン編】第13位は・・・・

第13位は『Tea for One』です。

この曲は、これまで何度も聴いてきたはずなのに、きちんと向き合った記憶があまりありません。嫌いだったわけではなく、強く惹かれていたわけでもない。評価を先送りにしたまま、いつの間にか時間だけが経っていた、という感覚に近いです。

第13位という順位は、その距離感の結果です。特別視するほどではないけれど、軽く扱うこともできない。その曖昧な立ち位置が、この曲には似合っていると思いました。

超約

この曲は、過去の出来事によって時間の流れが停滞してしまった人物の状態を描いています。何かを待ちながら同じ場所に留まり、思考だけを繰り返す。感情は発散されず、物語的な解決も与えられないまま、時間が引き延ばされていきます。

🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。

🎬 公式動画クレジット(公式音源)
Tea for One (Remaster)
演奏:Led Zeppelin
作詞・作曲:Jimmy Page / Robert Plant
レーベル:Atlantic Records
2行解説
レッド・ツェッペリン後期を代表する、深い孤独と内省を湛えたスロー・ブルース。
「Since I’ve Been Loving You」の系譜にある、重く引きずるギターと沈鬱な歌詞が胸に残る一曲。

後回しにされがちな理由

動かない曲としての違和感

『Tea for One』は、レッド・チェッペリンの中でも珍しいほど「動かない」曲です。展開で引っ張ることも、勢いで押し切ることもない。聴き手をどこかへ連れていくのではなく、同じ場所に留め続けます。

若い頃にこの曲を聴いたとき、長く感じた理由はそこにありました。退屈だったというより、何を受け取ればいいのか分からなかった。そのため、この曲は自然と後回しになっていきました。

評価しづらさが残る曲

この曲は、好きか嫌いかで判断しにくいタイプです。強いフックがあるわけでもなく、分かりやすいカタルシスもない。聴き終えたあとに感想をまとめようとしても、言葉が出てこない。その評価のしづらさが、距離を生み続けてきました。


Presenceという異質な場所

他のアルバムと決定的に違う点

『Presence』を聴くたびに感じるのは、他のレッド・チェッペリン作品と比べて「逃げ場がない」という感覚です。神秘性や祝祭感、遊びの余地がほとんどなく、音も構成も一直線に張り詰めている。

多くのアルバムには、重さの中にもどこか緩衝材のような曲が置かれています。しかし『Presence』には、それがほとんどありません。緊張が解かれないまま、最後まで押し切られる。その点で、このアルバムは明らかに異質です。

最後に置かれた意味

『Tea for One』がこのアルバムの最後にあることは象徴的です。締めくくりとして盛り上げるのではなく、行き止まりに突き当たる感覚を残す。アルバムが終わったというより、「止まった」という印象が残ります。

この配置によって、『Tea for One』は単なる長尺のブルースではなく、『Presence』という作品の性格を集約する役割を担っています。救いのない緊張感、そのままの状態で放り出される感じ。それが、このアルバムを特別な存在にしています。


停滞を形にするサウンド

引き延ばされる時間感覚

サウンドは非常に抑制されています。ブルースを基盤にしながら、展開を最小限に抑え、同じ時間帯を引き延ばすように進む。テンポは重く、音の間隔も広い。その結果、聴き手の時間感覚が曖昧になります。

ギターもリズムも、前に出ようとしません。全体として「進まない」ことを前提に組み立てられている。その徹底ぶりが、この曲の停滞感を支えています。

感情を処理しない声

ロバート・プラントの歌い方も、この曲では感情を整理しません。嘆きはあっても、解決に向かう兆しはない。状況だけが置かれ続ける。その冷静さが、曲をより厳しいものにしています。


歌詞が示す、動けなくなった時間

状況だけが積み重なっていく構造

『Tea for One』の歌詞で印象的なのは、感情よりも状況が前面に出ている点です。語り手は何かを強く訴えるわけでも、相手を非難するわけでもない。ただ、今いる場所と、そこから動けない状態が淡々と置かれていきます。

ここには、出来事としてのドラマはほとんどありません。別れがあったこと、ひとりで過ごす時間が続いていること、その時間が長く感じられること。そうした断片が並ぶだけです。にもかかわらず、曲全体には重さが残る。その理由は、感情が処理されないまま、状況だけが積み重なっていく構造にあります。

回収されない感情の行き先

多くの失恋歌は、怒りや悲しみをどこかで放出します。しかしこの曲では、それが起きません。感情は内側に留まり続け、外に出る出口が用意されていない。

そのため、聴き終えたあとに残るのは解放感ではなく、少し居心地の悪い静けさです。何かが終わった感じもしないし、始まった感じもしない。ただ、時間だけが過ぎた感覚が残る。この未回収感が、『Tea for One』を特別な位置に置いています。


僕自身の時間軸と重なった瞬間

すぐに分からなかった理由

前半でも触れましたが、若い頃の僕にはこの曲が分かりませんでした。それは音楽的な理解の問題というより、生活の感覚の問題だったと思います。時間が止まる感覚を、まだ実感として知らなかった。

当時の僕にとって、時間は基本的に前へ進むものでした。選択をすれば何かが変わり、動けば状況も変わる。そう信じていたからこそ、この曲が描く停滞は、現実味を持たなかったのだと思います。

分かってしまったあとの違和感

年を重ねるにつれて、動けない時間があることを知りました。選択肢はあるのに選べない、動こうと思っても動けない。そういう時間は、外から見ると何も起きていないように見えますが、内側では思考だけが回り続けている。

その感覚を知ってから聴く『Tea for One』は、以前とはまったく違って聴こえました。共感というより、「ああ、こういう時間は確かにある」と確認する感覚に近いです。好きになった、というより、無視できなくなったと言った方が正確かもしれません。


なぜ第13位なのか

上位に置けない理由

この曲をトップ10に入れなかった理由は明確です。重すぎるし、用途が限定されすぎている。いつでも聴きたい曲ではありませんし、人に勧めるにも状況を選びます。

また、レッド・チェッペリンの魅力を一曲で伝える役割も担いにくい。勢いや多彩さ、スケール感といった要素を期待すると、どうしても別の曲が先に浮かびます。

それでも外せなかった理由

一方で、この曲をBest25から外すこともできませんでした。理由は単純で、ここまで徹底して「停滞」を描いた曲が、他にあまり思い当たらないからです。

人生の中には、前に進む曲も必要ですが、立ち止まってしまった時間をそのまま受け止める曲も必要です。『Tea for One』は、その後者を静かに引き受けています。この役割は、決して小さくありません。


なぜこの紹介順なのか

Best25の後半で扱う意味

この曲を後半に配置したのは、聴き手の耳と気持ちが落ち着いた段階で向き合ってほしかったからです。序盤や中盤で出すと、重さだけが先に立ってしまう。

Best25の後半に入ることで、「好きな曲を並べる段階」から「残しておきたい曲を考える段階」に意識が移る。そのタイミングで、この曲はちょうどいい位置にあります。

流れの中での役割

勢いのある曲や、分かりやすい魅力を持つ曲のあとに、この曲が現れると、流れが一度止まります。その停滞があるからこそ、次の曲がまた違った形で立ち上がってくる。そのための“間”として、この曲は機能しています。


第13位という場所

『Tea for One』は、Best25の中で「動けなくなった時間を否定しない位置」にあります。
前に進ませるわけでも、感情を整理してくれるわけでもない。ただ、そういう時間が確かに存在することを、そのまま示す。

だから特別な高順位ではありませんし、単純に”好きだ”とも言えない。
それでも、第13位という場所には、きちんと収まっています。

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