【5月1日】はリタ・クーリッジの誕生日:『あなたしか見えない(We’re All Alone)』をご紹介!

🎉【5月1日】はリタ・クーリッジの誕生日!

1945年5月1日、アメリカ・テネシー州ラファイエット生まれのリタ・クーリッジは、70〜80年代に活躍した実力派シンガー。包み込むようなやわらかい歌声と、ソウル・ポップ・ジャズをまたぐスタイルで多くのファンを魅了しました。

代表曲には、映画『007 オクトパシー』主題歌「All Time High」、原曲がボズ・スキャッグスの「We’re All Alone」、そして「Higher and Higher」などがあり、グラミー賞も受賞。その実力は折り紙付きです。ソングライターとしても活動し、レナード・コーエンらとの共演も話題となりました。

まずはYoutubeの公式動画をご覧ください。

✅ クレジット
曲名:Don't Cry Out Loud
アーティスト:リタ・クーリッジ
作詞・作曲:ピーター・アレン、キャロル・ベイヤー・セイガー
プロデューサー:デヴィッド・アンダーレ、ブッカー・T・ジョーンズ
リリース年:1979年
提供元:Universal Music Group(YouTube公式音源・自動生成)

風と孤独が紡ぐバラード──『あなたしか見えない』が刻む心の軌跡

1977年にリリースされたリタ・クーリッジの『あなたしか見えない』(原題:We’re All Alone)は、静謐なピアノと繊細なギターが織りなすバラードとして、世界中のリスナーの胸に静かに染み込みました。原曲はボズ・スキャッグスが1976年のアルバム『Silk Degrees』で発表したもので、彼の歌唱もまた名演として評価されています。リタはその楽曲に自身の温かな声と情感を注ぎ込み、カバーながらも代表作として昇華させました。

この記事では、当時の世界情勢や音楽潮流、日本の社会背景、リタ・クーリッジの歩みを交えながら、時代を超えて響くこの名曲の魅力を多角的に掘り下げていきます。どうぞ1977年の音楽世界へご一緒ください。

僕がこの曲を初めて聴いたのは・・・・

My Age 小学校中学校高校大学20代30代40代50代60才~
曲のリリース年1977
僕が聴いた時期

僕がこの曲を初めて聴いたのは、リリース当時です。

前述のとおり、原曲はボズ・スキャッグスが1976年に発表したもので、アルバム『Silk Degrees』に収録されており、まず僕はこのアルバムでWe’re ”All Alone”を知ることになります。

翌年リタ・クーリッジがカバーをしたため、改めてこの曲を聴いたと記憶しています。
リタ・クーリッジボズ・スキャッグスで、聴き比べても雰囲気はほとんど同じです。いずれも秀逸なスローバラードに仕上がっています。ボズのアルバム『Silk Degrees』は聴きごたえがあっりました。

世界を揺るがす熱気と不安──1977年のアメリカと音楽

1977年、アメリカではカーター政権が発足し、ベトナム戦争後の社会再建が進められる一方、スタグフレーションや大停電で人々の不安が高まりました。

しかし文化面では映画『サタデー・ナイト・フィーバー』が公開され、ディスコブームが到来。ビージーズやドナ・サマーの楽曲がクラブシーンを席巻しました。一方で、セックス・ピストルズやラモーンズが体制に反発するパンクロックの象徴となり、フリートウッド・マックの『Rumours』はビルボードで31週連続1位を記録し人間ドラマを描いたポップロックとして大ヒットを記録しました。。


社会のうねりと暮らしの変化──1977年の日本列島

将棋と家電が牽引した文化と産業

日本においても1977年は象徴的な年でした。2月には中原誠が加藤一二三を破って王将位を奪還し、将棋人気に火がつきました。テレビ番組や雑誌特集が組まれ、知的スポーツへの関心が広がっていきます。

経済面では、VHSとベータマックスによるビデオ規格争い(僕はGlobal StandardになりかけていたVHS派でした)が激化。ソニーと松下電器の競争は「第一次家電戦争」として注目を集め、家電量販店は熱気を帯びていました。

音楽の多様性と成熟

音楽では、ピンク・レディー(僕の一つ年上の二人です!)が「カルメン’77」や「渚のシンドバッド」で社会現象を巻き起こし、子どもから大人までの心をつかみました。一方で、井上陽水の『招待状のないショー』や、山下達郎のソロデビュー作『Spacy』が発表され、音楽の多様化と成熟が進んでいきました。


ネイティブの血とソウルが融合する声──リタ・クーリッジの原点

幼少期と音楽的素養

リタ・クーリッジは1945年5月1日、テネシー州ラファイエットに生まれました。チェロキー族の祖先を持ち、父は牧師、母は教師という家庭環境のもとで育ちました。教会の聖歌隊で歌った経験が、音楽的素養を育む土台となります。

セッションシンガーからグラミー受賞へ

大学では美術を専攻しつつ音楽活動を並行し、1960年代後半にはロサンゼルスに拠点を移してセッションシンガーとして頭角を現しました。1970年にはレオン・ラッセルの「Delta Lady」でバックボーカルを務め、1973年にはシンガーソングライターのクリス・クリストファーソンと結婚。二人の共演による「From the Bottle to the Bottom」でグラミー賞を獲得しました。


夜のさざ波のように──『あなたしか見えない』の音像と詩情

『あなたしか見えない』(We’re All Alone)は、リタ・クーリッジが1977年3月に発表したアルバム『Anytime…Anywhere』に収録され、シングルカットされました。原曲はボズ・スキャッグスが1976年のアルバム『Silk Degrees』で発表しています。

リタのカバーは、原曲のブルージーな質感を抑え、ピアノとストリングスを主体にした透明感あるアレンジが特徴です。導入部の「Close the window, calm the light(窓を閉めて、光を静めて)」という静謐なフレーズは、愛する人との穏やかな時間を連想させ、リスナーを一気に世界観へと引き込みます。

「We’re all alone」というリフレインは孤独を嘆くのではなく、外界と切り離された二人だけの空間を讃えるように響き、切なさと温もりが共存する情景が浮かび上がります。


喧騒を抜けて──静かに光るもう一つの名曲

1977年の音楽界はディスコ全盛で、ABBA「Dancing Queen」やKC and the Sunshine Band「That’s the Way (I Like It)」が大衆を熱狂させていました。その中で『あなたしか見えない』は、華やかなビートに対する静かな対抗馬として輝きます。

同年リリースされたイーグルスの『Hotel California』、デビッド・ボウイの『Heroes』のように、自己省察や感情の機微を描いた楽曲が注目を集めたのもこの年ならでは。リタのバラードもまた、外向的なエンタメとは異なる価値を提示し、深夜のラジオや自室でひとり聴くための音楽として愛されました。


日本の夜に響く──洋楽とシティポップの交差点

日本のFMラジオ文化は、深夜にしっとりと流れる洋楽バラードを受け入れる土壌を育てました。リタ・クーリッジのこの一曲は、都会の喧騒を離れ、静かに自分と向き合う夜にぴったりの存在でした。

同時代にリリースされた山下達郎の『Spacy』に収録された「Solid Slider」など、メロウな日本のシティポップと響き合う感性があり、洋楽と邦楽の精神的な共鳴点が生まれていました。静かな夜のひとときに、彼女の歌声は時代と国境を越えて寄り添ったのです。


リタの遺産──静かに生き続ける歌の力

『あなたしか見えない』はリタ・クーリッジ最大のヒット曲で、ビルボード7位を記録し、彼女の名を世界に広めました。続く『All Time High』(映画『007 オクトパシー』主題歌)などの成功を経て、ポップとソウルをつなぐ歌手として確固たる地位を築きます。

2016年には自伝『Delta Lady: A Memoir』を発表。2020年代以降も彼女の楽曲はSpotifyなどで親しまれ、2023年には『The Last of Us』劇中曲として再注目され、その魅力が改めて評価されています。


静けさに響く祈り──永遠の余韻を残すバラード

『あなたしか見えない』は、1977年という熱狂と変革の時代にあって、心に静かに寄り添う一曲として生まれました。チェロキーの血を引くリタ・クーリッジの声には、スピリチュアルな深みと優しさがあり、単なるヒットソングではない「魂の歌」として多くの人の記憶に刻まれています。

静かな夜、誰かに寄り添いたい気持ちを抱いたとき、この歌に耳を傾けてみてください。まるで遠くの星がそっと語りかけるように、あなたの心にやさしく寄り添ってくれるはずです。


『あなたしか見えない』(原題:We’re All Alone):意訳

雨が静かに降り始め、終わりの見えない夜が訪れる。
だが、涙を拭いて目を閉じれば、波間の夢が二人を遠くへと連れ出してくれる。
時の洞窟をくぐり、忘れられた記憶の底へ──そこには言葉はいらない。

ただ心を解き放ち、すべてを委ねてはじまりを受け入れるだけでいい。

誰もが物語を抱え、その結末は老いてゆく。愛もまた、季節とともに移ろいゆく。
けれど今、風にすべてを預けて、あなたとこの瞬間を抱きしめたい。
過去も未来もいらない。
今、この静けさの中で、私たちはただひとりきり。そして、それでいい。

by Ken

この曲は、孤独を恐れず、静寂に身をゆだねる強さをそっと教えてくれるバラードです。

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