🎹 4月24日はダグ・クリフォード(Doug Clifford)の誕生日です
ダグ・クリフォード(Doug Clifford)は1945年4月24日生まれ。CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)の創設メンバーであり、バンドの骨格を支えたドラマーです。彼のプレイは派手さよりもリズムの安定感と楽曲への忠実さに定評があり、特に『Have You Ever Seen the Rain?』における“沈黙の裏にある鼓動”は、多くのファンの記憶に残る名演とされています。
【名曲解剖】CCRの『雨を見たかい』-Have You Ever Seen the Rain?
まずはYoutube動画でご紹介!
📺 出典:YouTube公式チャンネル「Creedence Clearwater Revival」
🎵 楽曲:Have You Ever Seen The Rain
🎤 アーティスト:Creedence Clearwater Revival
📝 作詞・作曲:John Fogerty
© Craft Recordings / Concord Music Group
この動画は、ジャケット写真風の静止画に代表曲「Have You Ever Seen The Rain」の音源を重ねたシンプルな構成。余計な演出を排したことで、リスナーは純粋にサウンドそのものと向き合うことができます。温かみのあるアナログ音源と相まって、楽曲の本質である“時代の静かな揺らぎ”がストレートに響いてきます。
🎬 Creedence Clearwater Revival – Have You Ever Seen The Rain (Official Music Video)
📺 出典:YouTube公式チャンネル「Creedence Clearwater Revival」
🎵 楽曲:Have You Ever Seen The Rain
🎤 アーティスト:Creedence Clearwater Revival
📝 作詞・作曲:John Fogerty
© Craft Recordings / Concord Music Group
💬 解説:
このミュージックビデオは、若者たちのロードムービー的映像を軸に構成された、ドラマ仕立ての演出が特徴です。アメリカの田舎町を舞台に、仲間との絆や青春の揺らぎ、そしてやがて訪れる別れの予感が淡く描かれます。楽曲の持つ郷愁と内省的なメロディが、映像と見事に融合し、「過ぎ去る時の重み」や「人生の季節の移ろい」を観る者の心に静かに届けてくれます。
僕がこの曲を初めて聴いたのは・・・・
My age | 小学校 | 中学校 | 高校 | 大学 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60~ |
曲のリリース | 1971 | ||||||||
僕が聴いた時期 | ● |
1969年リリースのCCRの「プラウドメアリー」を中学生になりたての頃聴いていました。
なので、僕がこの曲を初めて聴いたのは、中学生時代には違いないのですが、リリース直後かどうかは不明です。ただ、歌詞の意味は分からないものの、この泥臭い声が印象的でしたしメロディーが好みだったのは間違いありません。
過去記事を読んだ下さった方は気づいたかもしれませんが、この曲を一回取り上げています。その時は「ロッドスチュアート」の「雨を見たかい」でした。是非聞き比べてみてください!!!
どちらも大好きな一曲です。(;”∀”)
深層に降り注ぐ雨――CCR「Have You Ever Seen the Rain?」全貌解体
はじめに:静かなる問いかけの名曲
1971年1月にシングルとして発売された「Have You Ever Seen the Rain?」は、CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)の代表曲として知られています。この楽曲は、ベトナム戦争や国内の分断が色濃く残るアメリカ社会において、“問いを投げかける”スタイルで注目を集め、米ビルボードで8位、全英チャートでは9位を記録。RIAAよりゴールド認定(50万枚)を受け、今なお多くの人々に聴かれ続けています。

チャートとセールスの軌跡
世界各国のランキングと評価
リリース後すぐにアメリカ国内でチャート上位にランクインした本作は、英国、オーストラリア、カナダなどでも広く支持されました。日本国内においても、『洋楽ベストテン』や『FM Tokyo』などでのオンエア回数が高く、洋楽ファンの定番曲としての地位を築きました。1973年にはプラチナ相当の売上を記録したともいわれ、イギリスではBPIによってプラチナ認定を受けました。

また、2000年代以降のデジタル時代においても、SpotifyやApple Musicなどのストリーミングサービスでの再生数は累計数億回に達しており、リアルタイムに新たなリスナーを獲得し続けています。リバイバル的な波に乗り、Billboard Global 200のランキングにも名前を見せることもあります。
レコーディングの舞台裏
スタジオと機材のディテール
1970年末にサンフランシスコのウォーリー・ハイダー・スタジオにて録音された本曲では、ジョン・フォガティのこだわりが随所に表れています。ミキシングは最小限のリバーブ処理を施し、演奏そのものの緊張感と湿度を大切にした仕上がりに。マイクにはNeumann U67、ギターには50年代のFender Stratocaster、ベースにはAmpegのB-15アンプが使われました。テープはAmpexの24トラックレコーダーに収録され、アナログらしい温もりを保っています。
マスタリングは、当時のカッティング技術を活かし、ダイナミクスと音場感のバランスを保ちつつ、AMラジオでの再生にも耐える音圧を意識して仕上げられました。

音楽的特徴とその陰影
コード進行と歌声の表情
I–V–vi–IVという普遍的なコード進行が用いられている本楽曲ですが、ジョン・フォガティの歌声がそこに独自の叙情を与えています。メロディは決して派手ではありませんが、静かな反復とささやくような語り口が、時代の重さと個人の孤独を同時に映し出します。「Have you ever seen the rain coming down on a sunny day?」というフレーズは、幸福の只中に訪れる予期せぬ喪失や混乱の象徴として、深い余韻を残します。
歌詞はわずか16行に過ぎませんが、すべての節に意味を内包し、リスナーに余白を委ねる構成となっています。構造上のリフレインと、それに伴うわずかな抑揚の変化が、楽曲に繊細な表情を与えています。

批評家の視点と時代のライバルたち
ローリング・ストーン誌ほかによる評価
『Rolling Stone』誌は1971年当時、「反戦歌を声高に叫ぶよりも、このような静かな問いかけのほうがはるかに人々を動かす力を持っている」と高く評価しました。日本でも『FM fan』誌や『ミュージック・ライフ』誌が特集を組み、繊細なアプローチに注目が集まりました。
当時のロックシーンでは、サイモン&ガーファンクル「明日に架ける橋」や、レッド・ツェッペリン「天国への階段」など大作志向の曲が流行していましたが、CCRはその対極とも言える“日常に寄り添うロック”として、異なる魅力を放っていたのです。
また、『Cash Box』『Record World』といった業界紙でも、商業的成功とともに「繰り返し聴きたくなる安心感と、時折感じる不穏さの融合」を評価されています。
影響と継承
CCRが与えた音楽的レガシー
CCRの音楽は南部ロックやアメリカーナと呼ばれる音楽ジャンルにも多大な影響を与えました。レーナード・スキナードやオールマン・ブラザーズ・バンドといった後続のバンドは、彼らの音楽的簡潔さとメッセージ性を参考に、自らのスタイルを構築しています。
また、ジョニー・キャッシュは晩年のライブでこの曲をカバーし、“年月を重ねた声”が与える深みと説得力を付加しました。ジャック・ジョンソン、ジョン・メイヤー、ノラ・ジョーンズといった現代のアーティストたちもライブやセッションで演奏するなど、世代を超えて歌い継がれています。
2010年代にはインディーポップやオルタナティブフォークの文脈でも再評価され、イギリスのグラスゴー出身の新人バンドなどがカバーを発表する動きも見られました。

ラジオと映像メディアの中で
放送と映画・CMにおける使用例
映像作品での使用例
「Have You Ever Seen the Rain?」は、さまざまな映像作品で使用され、そのたびに新たな解釈や感動を生み出しています。
- アメリカのドラマ『Cold Case』の第1話「Look Again」のエンディングで使用され、物語の余韻を深めました。
- ドキュメンタリー『Vietnam in HD』では、ベトナム戦争の映像と共に流れ、当時の雰囲気をリアルに伝えています。
これらの使用例は、曲の持つ普遍的なテーマと感情が、時代や国境を超えて共感を呼ぶことを示しています。

日本では、FM東京『ホット100』や大阪FM802『ROCK KIDS 802』などでオンエアされ、特に雨の日のリクエストが多い“気象系名曲”(座布団一枚!)として知られています。 CMでもたびたび使用されており、トヨタの「COROLLA Rain Drive」ではその映像と融合し、楽曲の新たな解釈が生まれました。
解散の影とフォガティの沈黙
バンド崩壊と沈黙のメタファー
CCRの成功の裏には、バンド内の緊張が静かに積み重なっていました。特に「Have You Ever Seen the Rain?」がリリースされた当時、ジョン・フォガティと兄トム・フォガティとの間に亀裂が生じていたことは、後年のインタビューで明らかになっています。実はこの曲は、ジョンがバンド崩壊の兆候を感じた心情を反映したとも言われており、“晴れた日に降る雨”という矛盾したイメージには、成功の只中にあったグループの内なる葛藤が象徴されているのです。

また、CCR解散後のジョン・フォガティは、しばらくの間音楽活動から遠ざかります。この時期、彼は「沈黙こそ最大の語りかけ」と考えていた節があり、かつての楽曲についても長らくライブで演奏を控えていました。しかし2005年のインタビューで彼は「“雨”の問いかけは、今でも自分自身に返ってくる」と語り、ようやくこの名曲との和解を果たしたことを明かしています。
記憶と象徴としての雨
自然が映す心象と文化的用法
「Have You Ever Seen the Rain?」が長年にわたり愛される背景には、雨という自然現象を人間の感情や時代の影と結びつけた象徴性があります。ジョン・フォガティが表現した“晴れた日に降る雨”という逆説的なイメージは、ただの気象描写ではなく、人生の矛盾や不条理を象徴するものとして機能しています。
たとえば、戦争を知らずに育った世代にとっての漠然とした不安や、平和な日常のなかに潜む孤独感といった、“言葉にならない感情”をこの楽曲は呼び覚まします。そのため、葬儀や追悼の場面、震災後の特別番組などで使用されることも多く、単なる懐メロとしてではなく、“癒やし”や“祈り”の役割を担うケースも増えています。
また、心理療法や音楽療法の現場でもこの曲は取り上げられることがあり、“無理に感情を言語化しなくても、寄り添うように流れる旋律が患者の感情を和らげる”という声も寄せられています。これにより、音楽が持つ非言語的な力をあらためて証明する存在としても再評価されているのです。
終わりに
「Have You Ever Seen the Rain?」は、あらゆる時代において、“今”に問いを投げる楽曲です。メッセージを語らず、しかし確実に届かせるその姿勢は、喧噪の中で見失われがちな“音楽の本質”を改めて私たちに示してくれます。
CCR-「雨を見たかい」―意訳
昔、誰かがこんなことを言っていた。
「嵐が来る前には、決まって不気味な静けさがある」って。
たしかに、そういう空気を何度も感じてきたよ。
でもそれが過ぎ去っても、完全な晴れが来るわけじゃない。
どんなに晴れた空の下でも、不意に雨は降り出すんだ。
それはまるで、陽光の中でキラキラと水が舞うような、矛盾のような美しさだ。だから、君にも聞いてみたい。
「そんな雨を見たことがあるかい?」
太陽が輝くその瞬間に、
降り注いでくる哀しみのような雨を。振り返れば昨日も、その前の日も、
太陽の光はどこか冷たくて、雨は容赦なく打ちつけてきた。
それはいつもそうだったし、たぶんこれからも変わらない。
この世は速くなったり遅くなったりしながら、
同じようなことを繰り返していく。
何かを止めたくても、止めることなんてできないんだ。
ただ、その中で僕たちは立ち尽くすしかない。ねぇ、君にもあるだろう?
晴れわたる空の下で、不意に心に降り出す雨の記憶が。
それが何かは分からないけれど、
きっと誰もが一度は、そういう雨を見ている。 全体意訳―by Ken
コメント