今日は、アンディ・サマーズの誕生日です。
今日(2024年12月31日)はアンディ・サマーズの誕生日です。
彼は1942年12月31日、イングランド・ランカシャー州ブラックプールに生まれました。
ジャズやクラシックにも通じた高度な音楽理論をバックボーンに、The Policeでは独自のエフェクトやアルペジオを駆使したプレイでバンドの音世界を支えました。ソロ活動や写真家としても活躍する、芸術肌のミュージシャンです。
今日の紹介曲:「見つめていたい(Every Breath You Take)」-ポリス(The Police)―まずは公式動画をご覧ください。
【クレジット】
曲名:Every Breath You Take
アーティスト:The Police
リリース年:1983年
収録アルバム:『Synchronicity』
【2行解説】
ポリス最大のヒット曲であり、スティングのソングライターとしての才能が光る哀愁の名バラード。“愛”と“執着”が交錯する歌詞が話題を呼び、1983年の全米チャートで8週連続1位を獲得しました。
【クレジット】
曲名:Every Breath You Take(Live)
アーティスト:The Police
公開日:2018年6月29日
オリジナル楽曲リリース年:1983年(アルバム『Synchronicity』収録)
【2行解説】
スティングの切ないボーカルとアンディ・サマーズのギターが織りなす、ライブならではの緊張感と深み。世界的ヒット曲をバンドの生演奏で味わえる、ファン必見のパフォーマンス映像です。
僕がこの曲を初めて聴いたのは・・・♫
My Age | 小学校 | 中学校 | 高校 | 大学 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60才~ |
曲のリリース年 | 1983 | ||||||||
僕が聴いた時期 | ● |
この曲を初めて聴いたのは、社会人2年目の頃です。
ポリスは学生時代から単発曲で聴いていたバンドですが、当時は深入りしていませんでした。
この曲が入ったアルバムが結局ポリスとして最後のアルバムとなったわけですが、僕は解散後ソロ活動を始めたスティングから改めて彼らの曲を聴き直すことになりました。

確か、ポリスとしてはこの曲が一番売れたはずです。
今でも1日に約2000ドル入って来るとの記事も読みました。スティングの歌唱力もさることながら、メロディーが美しいく、リズムがGood! 曲全体としてとてもクールな仕上がりの一曲です。
静けさの中に潜む執着の歌
1983年にリリースされたポリスの「Every Breath You Take(見つめていたい)」は、ただのラブソングとして聴き流すにはあまりに奥深い作品です。表面上は愛の言葉が繰り返されますが、実際には別れた恋人を監視し続ける視線の重さと、消えぬ執着心を描いた楽曲。全米チャートでは8週連続1位、グラミー賞の年間最優秀楽曲賞を受賞するなど、世界的な評価を受けたこの楽曲の背景には、複雑な時代とアーティスト自身の内面が密接に関わっていました。

バンドの輪郭:ポリスという存在
パンクから進化した三人組
1977年、イギリスで結成されたポリス(The Police)は、スティング(ボーカル・ベース)、アンディ・サマーズ(ギター)、スチュワート・コープランド(ドラム)の3人からなるバンドです。当初はパンクムーブメントの流れに乗って登場した彼らですが、レゲエやジャズ、ニューウェーブなどを柔軟に取り入れ、独自のサウンドを構築していきました。
スティングの存在感
とりわけスティングのソングライティングと高い音楽性は、ポリスの個性を決定づけました。彼の作詞・作曲の手腕は文学的な比喩や心理描写に優れ、ポップミュージックに知的な深みを与えています。

リリース当時の社会と音楽
世界の動きと音楽の変化
1983年、世界は冷戦の緊張が依然続いており、テクノロジーの進化が日常生活に入り込み始めた時代でした。アメリカではマイケル・ジャクソンの『スリラー』が社会現象となり、MTVが音楽プロモーションを根本から変革。イギリスではニュー・ロマンティックやシンセポップが主流になりつつある一方で、ポリスのような”本物の楽器”を奏でるバンドが広く受け入れられていました。
日本の1983年:洋楽が照らした風景
日本では、1983年に東京ディズニーランドが開園し、ファミコン(ファミリーコンピュータ)が発売。中森明菜、松田聖子、小泉今日子といった女性アイドルが群雄割拠する中、オフコースや安全地帯、佐野元春といったアーティストが大人のポップスを展開していました。そんな中で、ポリスの「見つめていたい」はFMラジオや輸入盤ショップを通じて、洋楽ファンに強烈な印象を与えました。

音の設計:静けさが生む緊張感
メロディとサウンドの構造
楽曲はギターのアルペジオによって幕を開け、ドラムとベースがシンプルに支える中、スティングの冷静な歌声が響きます。テンポはミディアムスロー。コード進行は単純で繰り返しが多いにも関わらず、聴くたびに微妙な緊張感が漂います。この楽曲の特徴は、サビで盛り上がらないこと。通常のラブソングならば感情が爆発する箇所でも、この曲では一貫して淡々とした語り口が貫かれます。
アンサンブルの妙
アンディ・サマーズのギターは、空間を意識したディレイが印象的で、スチュワート・コープランドのドラムは抑制された中にも芯のあるリズムを刻みます。全体として抑えた演奏が逆に不穏さを際立たせ、メロディの美しさと内面の狂気が奇妙に共存しています。

ハーモニーと沈黙の間
この曲では、バックボーカルやコーラスは極めて控えめです。これにより、主旋律の孤独感が強調され、あたかも“ひとり語り”のような印象を与えます。また、音の余白、つまり「鳴っていない部分」の使い方が非常に巧みで、沈黙そのものが音楽の一部として機能しています。
歌詞を読み解く:見つめるという呪縛
執着と監視の視線
“Every breath you take, every move you make, I’ll be watching you.”(君のすべての呼吸、動き、すべてを僕は見ている)というサビの歌詞は、一見すると恋人への深い想いのようですが、実際には別れた相手への過剰な執着を歌ったもの。スティング自身も「この曲はストーカーの視点で書かれた」と語っています。

スティングの私生活とリンクする内面
また当時、スティングは離婚を経験しており、その個人的な状況がこの冷たい監視者の視線にリアルな陰を落としています。曲中に怒りや悲しみの爆発はありませんが、だからこそ逆に怖い。冷静な執着、隠された暴力性、愛情の歪み。そうした感情が詩の行間ににじみ出ています。
視覚表現と映像の力
MTVとMVの影響力
この楽曲のヒットには、ミュージックビデオの影響も無視できません。白黒で撮影されたスタイリッシュなMVは、モノクロ写真のような美しさと重苦しさを併せ持ち、当時のMTVで頻繁にオンエアされました。(最初の動画ですね!) バンドのスタイリッシュな立ち姿と、スティングの陰のある表情が、楽曲の持つ“見張り続ける者”というテーマを視覚化しています。

映像演出と不安感の演出
MVではライティングも控えめで、影を強調する演出が印象的です。スティングが窓の外を見つめるシーンや、暗いスタジオの中で無言で佇むシルエットは、楽曲の不安定な心理を視覚的に増幅させます。この時期のMTVは、楽曲とビジュアルの融合を強く意識したメディアであり、「Every Breath You Take」はその成功例といえるでしょう。
アルバムとの関係とバンドの終焉
『シンクロニシティ』における位置づけ
「Every Breath You Take」は、ポリスの5作目『シンクロニシティ(Synchronicity)』に収録された楽曲であり、このアルバムは彼らの最大のヒット作となりました。哲学者ユングの「共時性」の概念を取り入れたアルバム全体の中で、この曲はよりパーソナルかつ普遍的なテーマを描いています。

解散へと至る軋轢
しかしその絶頂期と並行して、バンド内には深い軋轢が生まれていました。特にスティングとコープランドの確執は有名で、レコーディング中に物理的な喧嘩も起きたほどです。この楽曲の成功を最後に、ポリスは事実上活動を停止。以後、スティングはソロアーティストとしてのキャリアを歩み始めます。
現代への影響と再評価
後世への影響
この曲は、その後も数多くのカバーや引用がなされました。1997年にはパフ・ダディ(現Diddy)がこの曲のメロディを使用した「I’ll Be Missing You」でビッグ・スモールズへの追悼曲を制作し、こちらも世界的ヒットとなりました。
現代における再評価
さらに、Spotifyでは現在でもポリス楽曲中で最も再生回数が多い楽曲となっており、リスナー層の世代を越えて愛され続けています。音楽教育や心理学の教材としても取り上げられることがあり、その多義性が注目されています。
終わりに:執着と美のはざまで
「見つめていたい」は、愛の歌のようでいて実は警鐘のような作品です。美しいメロディに乗せて語られる感情は、純粋な愛ではなく、別れを受け入れられない男の執着です。しかしそれをここまで完成度高く、音楽的に表現し切ったことこそ、この曲が“名曲”と呼ばれる理由です。
耳に馴染むその旋律の裏に、1980年代の空気、アーティストの内面、メディアと映像の影響力、バンドの終焉、そして私たち自身の感情のゆらぎまでも映し出す──そんな楽曲が他にどれほどあるでしょうか。
「Every Breath You Take」(見つめていたい)―ポリス:意訳
君がどこへ行こうと
なにをしていようと
僕は ただ 見つめている
息をするたびに 思い出すんだ
君が残していったものをひとつひとつの仕草
交わした約束や 嘘の笑顔さえ
心から 消せないまま
今日もまた 僕は立ち止まっている言葉のすべてが 本物じゃなかったとしても
それでもいい
僕は 君の歩みを
見守るしかできないから一日が終わり また始まる
君が誰と笑い
何を言葉にするのか
そのすべてが
僕の胸をかすかに震わせるこれは 束縛じゃない
ただの後悔かもしれない
でもきっと これが僕の愛のかたちなんだ
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