T. Rexの歴史とマーク・ボランの歩みは、こちらから!
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本文を読む前に、『ゲット・イット・オン』の強烈なギターリフ、粘りのあるグルーヴ、そしてT. Rexを代表するサウンドの魅力をつかみたい方におすすめです。
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音声を先に聴くことで、『ゲット・イット・オン』のシンプルで強烈なリフ、リズムの粘り、そしてマーク・ボラン独特のヴォーカルの魅力をよりつかみやすくなります。
第4位は『ゲット・イット・オン』です。
第4位に選んだのは、1971年の『ゲット・イット・オン(Get It On)』です。
『Get It On』は、T. Rexを代表する楽曲の一つです。英国では4週連続で1位を記録し、アメリカでも『Bang a Gong (Get It On)』のタイトルでTop10入りしました。
しかし、僕がこの曲を第4位に選んだ理由は、チャート成績や歴史的重要性だけではありません。

最初のギターリフが鳴っただけで、曲の空気が一瞬にして決まってしまう。
これほどシンプルなのに、これほどT. Rexらしい曲もないと思うのです。
超訳
理屈なんていらない。 輝いている君を、そのまま感じればいい。 言葉よりも、リズムに身体を預けよう。 さあ――今夜は思い切り、楽しもう。
まずは、YouTube公式音源をお聴きください。
✅ 公式動画クレジット
T. Rex - “Bang a Gong (Get It On)” (Official Audio)
© 1971 A&M Records / Rhino Entertainment Company. Provided to YouTube by RHINO.
💬 2行解説
1971年のアルバム『Electric Warrior』を代表する、T. Rex最大級のヒット曲。
マーク・ボランの反復するギターリフと粘りのあるリズムが、グラムロック黄金期の魅力を凝縮しています。
✅ 公式動画クレジット
T. Rex - “Bang a Gong (Get It On)” (Official Vinyl Video)
© 1971 A&M Records / Rhino Entertainment Company. Provided to YouTube by RHINO.
💬 2行解説
『Electric Warrior』収録の代表曲を、アナログ盤の映像とともに楽しめる公式動画。
太いリズムと艶やかなギターが生み出す、T. Rex独特のロックンロールを味わえます。
1971年――『Get It On』が生まれた時代
『ゲット・イット・オン』が英国でシングルとして発売されたのは1971年7月です。
この頃のT. Rexは、まさに上昇気流の真っただ中にいました。前年の『Ride a White Swan』が全英2位まで上昇し、1971年には『Hot Love』が6週連続で1位を獲得。そして、その次に送り出された『Get It On』も4週にわたって首位を守ります。
T. Rexが単なる人気バンドではなく、英国の若者文化を象徴する存在へと駆け上がっていた時期でした。
アルバム『Electric Warrior』の中心曲
同年9月には、アルバム『Electric Warrior』が発表されます。

『Get It On』はその中心曲の一つとして収録されました。アコースティック色の強かったティラノサウルス・レックス時代から離れ、エレクトリックなロックンロールへ移行したT. Rex。その変化が最も鮮明に表れた作品の一つです。
アメリカでは『Bang a Gong (Get It On)』
アメリカでは、タイトルが『Bang a Gong (Get It On)』へ変更されました。
同時期にアメリカのバンド、Chaseが『Get It On』という同名曲を発表していたため、混同を避けるための変更でした。
米国ではBillboard Hot 100で10位まで上昇し、T. Rexにとって最大の全米ヒットとなりました。
『Get It On』を支えるサウンド
この曲を特徴づけているのは、何といってもシンプルな素材から生み出される強烈なグルーヴです。
ギターだけを聴けば驚くほど簡潔です。しかし、その周囲にはベース、ドラム、ピアノ、サックス、バック・ヴォーカルなどが配置され、実際のサウンドは緻密に作られています。

イントロ数秒で分かるギターリフ
『Get It On』を聴いて最初に耳へ飛び込んでくるのが、マーク・ボランのギターリフです。
速弾きでもなければ、複雑なコード進行でもありません。それでも、ほんの数音が鳴っただけで『Get It On』だと分かります。
そして、そのリフを曲の中で何度も繰り返します。普通なら単調になりそうな反復が、この曲では逆に中毒性を生み出しています。
「変化させる」のではなく、「繰り返すことで強くする」。
この潔さが、T. Rexらしさなのでしょう。
チャック・ベリーにつながるロックンロールの感覚
マーク・ボランは1950年代のロックンロールから大きな影響を受けていました。
『Get It On』のギターやブギーを基調としたリズムにも、そのルーツを感じることができます。特にチャック・ベリーの『Little Queenie』との類似は以前から指摘されており、ボラン自身も曲の終盤で同曲を意識したフレーズを歌っています。

ただし、T. Rexは1950年代の音をそのまま再現したわけではありません。
古典的なロックンロールの骨格に、ボラン独特の妖艶さと1970年代初頭の華やかなサウンドをまとわせることで、まったく新しい音楽へ変えています。
急がないのに強い――リズムの粘り
僕がこの曲でギターと同じくらい好きなのが、リズムの感触です。
前へ前へと疾走するタイプのロックではありません。むしろ少し後ろへ引っ張るようなビートの上で、ギターとベースが絡み合っています。
テンポそのものは速くない。それでも、聴いていると自然に身体が揺れてきます。
この「急がないのに強い」グルーヴが、『Get It On』の大きな魅力です。
シンプルに聞かせる緻密なアレンジ
一聴すると単純なギター・ロックですが、注意して聴くと多くの音が重なっています。
イアン・マクドナルドのサックス
サックスで参加しているのは、キング・クリムゾンの創設メンバーとして知られるイアン・マクドナルドです。

サックスは派手なソロで主役になるのではなく、曲の後半でギターやリズムの隙間へ入り込み、サウンドに厚みと色気を加えています。
フロ&エディのバック・ヴォーカル
バック・ヴォーカルには、元タートルズのハワード・ケイランとマーク・ヴォルマン――後にFlo & Eddieとして活動する二人が参加しています。
彼らの厚みのあるコーラスが加わることで、ボランの妖しいヴォーカルにポップな広がりが生まれています。
トニー・ヴィスコンティのプロダクション
そして全体をまとめたのが、T. Rexの黄金期を支えたプロデューサー、トニー・ヴィスコンティです。
ギター、リズム隊、サックス、コーラスなど複数の要素を重ねながら、それぞれを必要以上に前へ出さない。
多くの音を使っているのに、聴き手には「シンプルなロックンロール」と感じさせる。
このバランス感覚も、『Get It On』の完成度を支えています。
ボランの言葉と声が作る『Get It On』の世界
サウンドと同じく、歌詞にもマーク・ボランならではの個性があります。ただし、この曲の歌詞を一つの物語として理解しようとすると、少し戸惑うかもしれません。
物語ではなく、次々に現れるイメージ
車、ダイヤモンド、星、翼――。
さまざまなイメージが次々と現れ、そこへ性的なニュアンスやユーモアが混ざり合います。

論理的な意味を順番に伝えるというより、言葉の響きや映像的なイメージそのものを音楽の中へ放り込むような歌詞です。
直接的に説明するのではなく、車や宝石、宇宙的な言葉へ置き換える。その曖昧さが、かえってボラン独特の妖しさを生み出しています。
ボランの声そのものが楽器になっている
そして、歌詞を文字で読むだけでは『Get It On』の魅力は伝わりきりません。
少し鼻にかかった声。語尾を伸ばす独特の歌い方。そして、力いっぱい歌うのではなく、どこか気怠そうに言葉を置いていく感覚。
マーク・ボランの場合、歌詞の意味だけではなく「声そのもの」がT. Rexのサウンドを作っています。
同じメロディーを別の歌手が正確に歌ったとしても、この妖しさまでは簡単に再現できないでしょう。

華やかなグラムロック、その芯にある単純さ
グラムロックという言葉からは、派手な衣装、グリッター、華やかなステージといったビジュアルを連想します。
マーク・ボランは、まさにその象徴でした。ところが、音楽だけを取り出してみると、『Get It On』の骨格は驚くほど簡潔です。
見た目は華やか、音楽の芯はロックンロール
短いギターリフ、ブギーを基調としたリズム、限られたコード。その基本形を大きく崩すことなく、曲は進んでいきます。
見た目は華やかなのに、音楽の芯は極めて原始的なロックンロール。
僕は、この組み合わせこそT. Rexの面白さだと思っています。
複雑なことを加えて新しさを作るのではなく、昔からあるロックンロールを削ぎ落とし、そこへボラン自身の美意識をまとわせる。それによって、T. Rexにしか鳴らせない音へ変えてしまったのです。
後世へ受け継がれた『Get It On』
『Get It On』の強さは、T. Rexの時代だけで終わらなかったことにも表れています。
1985年、パワー・ステーションがカバー
代表的なのが、パワー・ステーションによる1985年のカバーです。
パワー・ステーションは、ロバート・パーマーをヴォーカルに、デュラン・デュランのジョン・テイラーとアンディ・テイラー、そしてシックのトニー・トンプソンによって結成されたスーパーグループでした。
彼らのバージョンは、T. Rexのオリジナルよりもドラムとギターを大幅に重くした、1980年代らしい力強いアレンジです。
それでも、あのリフが鳴れば『Get It On』だとすぐに分かります。
オリジナルを上回った全米チャート順位
パワー・ステーション版はBillboard Hot 100で9位を記録しました。T. Rex版の最高10位を、順位だけで見れば一つ上回ったことになります。
録音技術も時代もまったく違う。それでも曲の中心にあるリフとグルーヴは崩れません。
時代に合わせて音を変えても成立するほど、曲の骨格そのものが強い。
このカバーは、『Get It On』の普遍性を示す好例だと思います。
僕が第4位に選んだ理由

『Get It On』は、T. Rexの代表曲という意味だけなら、第1位に選んでもまったく不思議ではありません。
全英1位、アメリカでもTop10入り。そして『Electric Warrior』を代表する一曲。知名度や歴史的重要性を考えれば、間違いなくT. Rexの最重要曲の一つです。
それでも、僕のランキングでは第4位です。
僕を惹きつけるのは「削ぎ落とした強さ」
このBest10は、僕自身がどれだけその曲に惹かれ、何度聴き、どれだけ自分の中に残っているかを基準にしています。
『Get It On』で僕が最も惹かれるのは、必要以上のものを加えない潔さです。
最初のリフが鳴り、同じグルーヴが続き、ボランが気怠そうに歌う。大きな展開が待っているわけではありません。
それなのに、最後まで飽きない。
そして曲が終わると、もう一度あのイントロを聴きたくなります。
必要なものだけを残し、それを徹底的に格好よく聞かせる。
僕にとって『Get It On』の魅力は、結局ここに行き着きます。
僕の勝手なBest10【T. Rex編】第4位は、『ゲット・イット・オン』。
たった一つのギターリフから、マーク・ボランの妖しさ、ロックンロールの原始的な快楽、そしてT. Rexというバンドの個性までが一気に広がっていく一曲です。


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