🎸僕の勝手なBest25【レッド・チェッペリン編】-第23位『Going to California』をご紹介!

【レッド・チェッペリン】について、詳しくはこちら・・・・➡ 🎈(Zeppelin)

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再生ボタンを押すと、第23位『Going to California』について、 この曲がアルバムの中でどんな位置にあり、 なぜ派手ではないのに静かに残り続けるのかを辿る、 約3分のナレーション(日本語/英語)を聴くことができます。

※ 先に音声を聴いてから本文を読むと、 この曲が「評価」ではなく「役割」として語られている理由が、 より立体的に伝わってきます。

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🎸【レッド・チェッペリン編】第23位は・・・・

第23位は『Going to California』です。

レッド・チェッペリンという名前から思い浮かぶ音像と、この曲が鳴らしている音のあいだには、どうしても距離があります。重さや勢い、象徴性といった言葉では、この曲の居場所をうまく説明できません。それなのに、アルバムを何度も聴き返すうちに、この曲は静かに残り続ける。その感覚が、僕にとってはずっと不思議でした。

派手ではない。決定的でもない。それでも、いなくなると困る。
『Going to California』は、そんな立ち方をしている曲です。

超約

うまくいかなかった日々を置いて、何かを変えたくて遠くへ向かう。
確かな目的はないけれど、どこかに「違う生き方」がある気がしている。
自然の大きさや不安に飲み込まれながら、それでも前に進もうとする。
理想の存在を夢見つつ、まだ何者にもなれていない自分と向き合っている。

🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。

🎬 公式動画クレジット(公式音源)
曲名:Going to California
アーティスト:Led Zeppelin
収録アルバム:Led Zeppelin IV
リリース年:1971年
形態:公式オーディオ(Official Audio)
配信元:Led Zeppelin 公式YouTubeチャンネル

🎼2行解説
アコースティック・ギターとマンドリンが織りなす、内省的で静かな旅のような一曲。
激しさを排した演奏が、理想郷を求める心の揺れを、穏やかな距離感で描き出している。

曲の背景を、必要な分だけ眺める

神話になり切らない制作の空気

この曲は、1971年にリリースされたアルバム Led Zeppelin IV に収録されています。
バンドが商業的にも評価的にも頂点へ向かっていく時期でありながら、制作の現場では「次に何を提示するか」を慎重に探っていた時期でもありました。前作までで築いた強度やイメージを、ただ拡大再生するだけでは済まされない、そんな空気が漂っていた頃です。

この曲には、制作初期には別の呼び名で語られていた時期があった、という話が残っています。また、ロサンゼルス滞在中の体験が、歌詞のイメージを具体化する要素のひとつになったとも語られています。ただ、それらは後年よくある「逸話の神話化」とは少し距離があります。

完成した音は、時代を代表する壮大さを前面に出すのではなく、むしろ個人的な視線に寄っています。偶然や環境の影響が、整理されすぎないまま残されている。そのため、この曲からは「狙って作られた名曲」というより、「その時点でしか鳴らなかった状態」が伝わってきます。作為よりも体温が感じられるのは、そのためだと思います。


別ミックスが見せる「設計」

後年公開された別ミックスを聴くと、この曲の設計がよりはっきりします。歌の存在感が薄れることで、メロディや伴奏が「場」を作るために配置されていることが分かります。

ここでは、言葉が主役というより、言葉が置かれる環境そのものが主役です。完成版で感じる落ち着かなさは、歌詞の内容だけが原因ではなく、音の段階ですでに用意されていたものだったのだと思います。


物語として見たときの深さ

探しているのは「答え」ではない

この曲の主人公は、はっきりした目標を掲げません。誰かを求めているようにも見えますが、その輪郭は最後まで定まりません。
僕には、特定の人物や理想よりも、「この状態から抜け出せる場所」を探しているように感じられます。

移動すれば解決する、という確信はない。
それでも動かずにはいられない。
その矛盾が、曲の中で整理されることはありません。


神話的な言葉が現実を支える

歌の中には、日常的な描写と、神話を思わせる言葉が同時に現れます。ただ、それは世界を大きく見せるためではなく、現実をそのまま受け止めきれない瞬間の支えとして使われているように思えます。

現実だけでは耐えられない。
かといって、完全に空想へ逃げることもできない。
その中間にいる時間が、この曲の呼吸になっています。


サウンドが生む「足場の悪さ」

主張しない音が、状況を残す

演奏はアコースティックを中心に、とても控えめです。マンドリンも、装飾として前に出ることはなく、景色の輪郭をなぞる役割に徹しています。

通常の響きから少し外れたチューニングによって、明るくも暗くも振り切れない感触が生まれています。理屈が分からなくても、地面が少し傾いているような感覚だけは、確実に耳に残ります。


回収されない物語が残すもの

結論を出さないことで、歌が終わらない

『Going to California』を最後まで聴いても、物語はきれいに閉じません。
主人公が探していたものを見つけたのかどうか、そもそも探し当てる気があったのかさえ、はっきりしないまま終わります。

僕はこの「回収されなさ」を、意図的な欠落だと受け取っています。
何かを求めて動いた結果が語られないことで、歌は出来事ではなく「状態」として残ります。移動したという事実だけがあり、その意味づけは保留されたままです。

現実の多くの選択も、あとから振り返って「正しかった」と整理できるものばかりではありません。この曲は、その整理できなさを、そのまま音にしているように感じます。


希望にも絶望にも振り切らない位置

この曲には、分かりやすい希望の宣言がありません。同時に、強い断念や破綻も描かれません。
あるのは、「ここには居続けられなくなった」という感覚と、「それでも動いている」という事実だけです。

だからこの曲は、聴き終えたあとに何かを教えてくれるわけでも、背中を押してくれるわけでもありません。ただ、宙づりのまま続いていく状態を、否定せずに置いていきます。その態度が、僕にはとても現実的に思えます。


僕自身の時間軸で変わった聴こえ方

最初は、印象に残らなかった

正直に言うと、この曲は最初から特別な存在だったわけではありません。
アルバムには、どうしても耳を奪われる曲が並んでいます。その中で『Going to California』は、静かすぎて、輪郭を掴みづらい曲でした。

当時の僕には、「何を言っている曲なのか」がはっきりしなかったのだと思います。主張も盛り上がりも弱く、記憶に引っかかるフックも少ない。だから、何度か聴いては、通り過ぎていました。


決めきれない時期に、現実味を帯びた

何かを選んだつもりで、まだ迷っている。前に進んでいるのか、ただ場所を変えているだけなのか分からない。そんな状態に、自分が長く留まっていた時期にたまたま聞き返したとき、この曲の「途中感」が、やけに身近に感じられました。
解決しないまま動いている感じ。結論が出ないまま時間だけが進んでいく感覚。そうしたものが、誇張も整理もされずに、そのまま鳴っているように思えたのです。


何も言われないことが、残ることもある

この曲は、聴き手に感情を指定しません。
こう感じるべきだ、こう理解すべきだ、という圧がありません。

だからこそ、こちらの状態が変わると、曲の見え方も自然に変わります。
以前は掴めなかったものが、ある時期から、はっきりと形を持って現れる。その変化に気づいたとき、僕の中でこの曲の位置は、少しずつ上書きされていきました。


この曲をこの位置に置いた理由

中心に据えないことで見えてくる輪郭

この曲を、レッド・チェッペリンの中心に据えてしまうと、何かが単純になってしまう気がします。
彼らは「静かな内省のバンド」としてまとめられる存在ではありません。

『Going to California』は、その中心から少し離れた場所で効いてくる曲です。
強度の高い曲が連なる中で、未確定や揺れを持ち込む。その役割を考えたとき、この位置が一番自然でした。


評価ではなく、配置の問題

ここでの順位は、優劣を示すものではありません。
この曲が担っている機能を、どこに置くか、という話です。

早い段階でこの曲が現れることで、以降に登場する曲たちの輪郭が、少し違って見えてくる。強さや完成度だけでは測れない尺度が、あらかじめ提示される。そのための配置として、この場所がしっくりきました。


最後に

『Going to California』は、説明しすぎないために必要な曲です。
結論を出さないことで、聴き手の時間が入り込む余地を残しています。

派手ではなく、決定的でもない。それでも、いなくなると困る。

この曲がここにあることで、レッド・チェッペリンというバンドは、少しだけ立体的になります。
僕にとって、この曲はそういう存在です。


※「Going to California」は、1971年発表のアルバム
『Led Zeppelin IV』に収録されています。

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