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この記事は、約3分の音声ナレーションでもお聴きいただけます。
文章の流れに沿って、第21位「Trampled Under Foot」が持つ、落ち着かなさと途切れない推進力をたどります。
読む前に、または読み終えたあとに、音でもぜひお楽しみください。
🇯🇵 日本語ナレーション
🇺🇸 英語ナレーション
🎸【レッド・チェッペリン編】第21位は・・・・
🎸【Led Zeppelin編】第21位は『Trampled Under Foot』です。
『Physical Graffiti』を通して聴いていると、この曲だけは息をつく場所がありません。
何かが切り替わる感じもなく、気づくとそのまま次の曲に入っていく。
この落ち着かなさが残る感じを、順位にそのまま反映させました。
超約
この曲で描かれているのは、相手の身体や存在そのものを手放したくないという、直接的で肉体的な欲求です。語り手は、相手に触れ、支配し、つなぎ止めようとする動作を繰り返しますが、その関係がどうなるのかは語られません。始まりも終わりも示されないまま、求める側の衝動だけが同じ温度で回り続けます。
🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。
🎬 公式動画クレジット(公式音源)
アーティスト:Led Zeppelin
楽曲名:Trampled Under Foot
収録アルバム:Physical Graffiti
リリース年:1975年
形態:Official Audio(Remastered)
2行解説
ファンキーなリズムと反復する演奏で、欲望が同じ速度のまま持続していく状況を描いた一曲です。
『Physical Graffiti』の中では、流れを止めずに押し出す役割を担う、推進力の強いトラックとして機能しています。
日本語クレジット(公式ライブ映像) アーティスト:Led Zeppelin 楽曲名:Trampled Under Foot 収録アルバム(原曲):Physical Graffiti 演奏年/会場:1975年/ロンドン・アールズ・コート 形態:Official Live Video(HD) 🎼2行解説 スタジオ版よりもテンポ感と推進力が強調され、演奏そのものが前へ前へと押し出されるライブ・テイクです。欲望を描いた曲の性格が、観客の反応と一体化することで、より直接的な運動として可視化されています。
アルバムの中で見える輪郭
『Physical Graffiti』前半の温度
『Trampled Under Foot』が置かれているのは、『Physical Graffiti』前半の比較的早い位置です。このアルバムは曲調も録音時期もばらけていて、聴いていると自然に呼吸の深さが変わっていきます。その中でこの曲は、呼吸を深くするのではなく、テンポを保ったまま次へ進ませる役を担っています。

大学の頃にこの曲を聴いたとき、正直なところ、深く考えてはいませんでした。
ただ、アルバムの中でこの曲がかかると、妙に勢いが途切れず、そのまま次の曲へ進んでいく感じがありました。
当時は理由も言葉も持っていませんでしたが、今振り返ると、この曲は流れを区切るというより、前後をまとめて前へ押している存在だったのだと思います。
主役にならないという選択
この曲は、演奏も歌も前に出ていますが、アルバム全体を背負う位置には居座りません。長い曲や物語性の強い楽曲が控えている中で、ここでは状況だけを提示して、深追いをしない。
僕はその距離感を、「控えめ」とも「軽い」とも思いませんでした。役割がはっきりしている分、配置として迷いがない。だからこそ、このあたりの順位に置くことで、曲の輪郭がはっきりすると感じました。
歌詞が描く具体的な状況
比喩が混線する理由
この曲の歌詞で語られている欲望の対象は、人です。
ただ、その人に向けられる言葉には、車や機械を思わせる表現が次々と重ねられます。
そのため、相手を一人の人間として見ているのか、手に入れる対象として扱っているのか、その境界が揺らいでいきます。語り手の態度は一貫して「求める側」にありますが、相手との関係そのものは、次第に見えにくくなっていきます。
ここで重要なのは、比喩の巧みさを見せることよりも、語り手自身が対象を整理できていないことだと思います。欲しいという感覚だけが先行し、意味づけが追いつかない。その状態が、歌詞全体を通して維持されています。

関係ではなく動作が残る
相手がどう感じているのか、どこへ向かっているのかは、ほとんど描かれません。描かれるのは、追いかける、触れようとする、その動作の連続です。ここでは物語の進展よりも、同じ状況が続くこと自体が中心に置かれています。
僕はこの構造を、恋愛の歌というよりも、衝動の記録として受け取りました。何かを得る話ではなく、止められない動きの話。その割り切りが、この曲を前へ前へと押し出しているように思えます。

音が作る運動量
体が先に反応する理由
この曲は、考える余地をあまり与えません。リズムが明確で、音の役割が分かれているため、聴き手は自然と拍を身体で取ることになります。立ち止まって構造を追う前に、次の動きへ引っ張られていく。その速さが、この曲の特徴です。
なぜ流れが途切れないのか
同じフレーズが繰り返されても、音が重なりすぎないため、流れが滞りません。どこか一箇所が場を支配するのではなく、全体が同じ速度で進み続けます。そのため、勢いはあっても、重さや圧迫感は残りにくい。

歌詞解釈を、状況として整理する
欲求が止まらないのではなく、止めようとしない
この曲で描かれているのは、相手の身体や存在を求める衝動そのものですが、僕にはそれが「制御不能」というより、「制御を放棄した状態」に見えます。語り手は欲しがることをやめませんが、やめられない理由も説明しません。ただ、その行動を続けています。
ここでは、葛藤や迷いはほとんど示されません。欲しいと思った、その感覚を修正する気配もない。そのため、歌詞全体が一直線に進み、立ち止まる余地を持ちません。欲求が強いというより、欲し続けることを前提にしている。その前提が、この曲の硬さを作っているように思えます。

相手が見えなくなる構図
語り手は相手に向かって言葉を投げ続けますが、相手の反応は描かれません。拒否も同意も示されず、相手は次第に輪郭を失っていきます。その代わりに、語り手自身の動作と感覚だけが前に残ります。
僕はここに、この曲の少し不安定な質感を感じます。二人の関係を描いているようで、実際には一人の視点しか存在しない。その偏りが、歌詞の具体性と同時に、閉じた印象を生んでいます。
聴いている「その場」で起きること
高揚が積み上がらない感覚
盛り上がりはありますが、そこからさらに持ち上げられる感じではありません。
同じ速度と高さのまま、曲が進んでいきます。
聴き終えたとき、すっきりするというより、その状態がそのまま残る。
僕には、その感触がこの曲らしく思えました。
身体が先行し、意味が追いつかない

演奏の推進力が強いため、内容を整理する前に身体が先に動いてしまいます。歌詞の比喩や言葉を追いかけようとすると、すでに次の拍が来ている。そのズレが、どこか落ち着かない感覚を残します。
その落ち着かなさが、この曲を単なるノリの良さだけで終わらせません。意味を十分につかめないまま進むことで、欲求の強さだけが前に出てくる。その感触が、音と歌詞の両方に共通して流れています。
なぜ第22位なのか
上位に置かない理由
この曲は、勢いも即効性もありますが、聴き手を別の場所へ連れていくタイプではありません。世界観を広げるわけでも、感情を深く沈めるわけでもない。そのため、上位に並べると、Best25全体の流れが単調になると僕は感じました。
下位に送らない理由
一方で、この曲は単なる機能的なトラックでもありません。身体を動かしながら、どこか閉じた視点に留まり続ける。その独特の感触は、順位を下げて処理してしまうには強すぎます。
だからこそ、この曲は22位に置きました。全体を引っ張る位置ではないが、流れを止めないためには必要な場所。アルバムの中で担っている役割と同じように、Best25の中でも、その役目を果たしていると思います。
この曲は、何かを終わらせたり、整理したりするための音楽ではありません。ただ、欲しがっている状態が続いていることを、そのまま音にしています。その性格を見失わずに扱える場所として、僕にはこの順位がしっくり来ました。

※「Trampled Under Foot」は、1975年発表のアルバム
『Physical Graffiti』に収録されています。
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