🎸僕の勝手なBest25【レッド・チェッペリン編】-第20位『When the Levee Breaks』をご紹介!

【レッド・チェッペリン】について、詳しくはこちら・・・・➡ 🎈(Zeppelin)

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この記事は、約2分半の音声ナレーションでもお聴きいただけます。
第20位『When the Levee Breaks』が持つ、重さと動かざる配置、その役割を、文章の流れに沿ってたどります。
読む前に、または読み終えたあとに、音でもぜひお楽しみください。

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🎸【レッド・チェッペリン編】第20位は・・・

第20位は『When the Levee Breaks』です。

この曲がこの順位にあることは、派手さの観点では少し意外に見えるかもしれません。一方で、アルバム全体の流れや、Best25という並びを「一つの文章」として考えたとき、このあたり以外に置きにくい曲でもあります。
強度は極めて高いのに、感情の中心には居座らない。主張は大きいのに、解釈を急がせない。その扱いづらさこそが、この曲の性格であり、20位という位置の理由でもあります。

超約

この曲は、自然災害によって生活の基盤を失い、留まる場所を奪われた人物の状況を描いています。
嘆きや祈りといった行為は示されますが、それらが現実を変えることはありません。
残されるのは移動という行為だけで、行き先には救済や回復が用意されていません。
物語は解決に向かわず、「追い立てられ続ける状態」そのものを固定して終わります。

🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。

🎬 公式動画クレジット(公式音源)
曲名:When the Levee Breaks(Remaster)
アーティスト:Led Zeppelin
収録アルバム:Led Zeppelin IV
リリース年:1971年
形態:公式オーディオ(リマスター音源)
配信元:Led Zeppelin 公式YouTubeチャンネル
Provided to YouTube by:Rhino Atlantic

🎼2行解説
重く反復されるドラムと、低音域を這うように進むギターが、
感情ではなく「環境そのもの」を音として固定していく終曲。
解決や高揚を拒み、崩れたあとの状況だけを残す構造が、アルバム全体を沈ませる。

対象曲の基本情報と、アルバム内での座り方

今回扱う曲について

  • アーティスト名:Led Zeppelin
  • 曲名:When the Levee Breaks
  • 収録アルバム:Led Zeppelin IV
  • リリース年:1971年

『Led Zeppelin IV』の最後に置かれているという事実

『Led Zeppelin IV』は、単に代表曲を並べたアルバムではありません。
曲順そのものが、聴き手の感覚を少しずつ変化させていく構造を持っています。

緊張感を前に出す曲があり、スケールを広げる曲があり、内側へ沈み込む曲が続く。
その流れのいちばん最後に、この曲が置かれています。

ここでアルバムは、きれいに「締まる」わけではありません。
高揚も回復も用意されないまま、音量と密度だけを残して終わる。
その終わり方によって、アルバム全体が完結というより、途中で手を離されたような形になります。

僕はこの配置に、強い意図を感じています。
『When the Levee Breaks』が最後にあることで、アルバム全体が回想ではなく、出来事として閉じられる。
聴き終えたあとに残るのは感想よりも、処理しきれない状態です。


事実ブロック:一点に絞って見る制作の現実

録音された空間が音の性格を決めている

この曲について語られる事実や逸話は多くありますが、ここでは一点だけに絞ります。

それは、録音された空間そのものが、音の性格を決定づけているという点です。

広い建物の中で録音されたドラムは、スタジオで整えられた音とは明らかに違います。
反射音や残響が、処理されないまま残り、リズムが前へ進むというより、場に広がる形で鳴っている。

この結果、ドラムは主張しません。
強調も、煽りもない。
ただ、一定の間隔で音が置かれ続ける。

それだけで、曲全体の動き方が決まってしまう。
ここでは、演奏以上に環境が音楽を支配しています。


ブルースの形式を「語らない」という選択

この曲はブルースの流れを引いていますが、形式を再現することには重きを置いていません。

起承転結もなく、感情の整理もなく、結論も示されない。
あるのは、同じ状況が繰り返される構造だけです。

同じ行為が続き、同じ判断が繰り返され、その結果として、何も変わらないことが確認される。

語らないことで、説明を放棄する。その分、状況だけが残る。
この距離の取り方が、この曲を物語から切り離しています。


サウンドが作っているのは「感情」ではなく配置

ドラムが前に出ないことの意味

この曲のドラムは、身体を前へ押し出す役割を担っていません。
テンポは一定ですが、推進力は意図的に抑えられています。

叩かれているのに、加速しない。
鳴っているのに、盛り上がらない。
その状態が、曲の最初から最後まで維持されます。

この抑制によって、他の音が不用意に前へ出る余地がなくなる。
リズムが主導権を握らないことで、曲全体の姿勢が固定されます。


ボーカルとハーモニカの立ち位置

ロバートプラントのボーカルは、感情を整理して提示しません。
嘆いているようで、結論には向かわない。

ハーモニカも、旋律で場を支配することを避け、音の隙間を濁すように配置されています。

どのパートも、主役になろうとしない。
その結果、音が前後に揺れず、同じ密度を保ったまま進み続けます。


音が大きくても散らからない理由

音像は非常に分厚いにもかかわらず、各パートが競り合う場面はほとんどありません。

ギターは前に出すぎず、歌はまとめに入らず、ドラムは流れを作らない。

それぞれが自分の範囲を越えないことで、曲は膨らまず、姿勢を保ったまま続いていきます。


歌詞解釈を深める──行き先を持たない構造

嘆きや祈りが、状況を変えない

歌詞の中では、嘆きや祈りといった行為が何度も示されます。
ただし、それらは希望として扱われません。

最初から、状況を変える力を持たないものとして置かれています。

重要なのは、絶望が誇張されていない点です。
怒りも、抗議も、劇的な感情の爆発もない。
ただ、何をしても変わらないという事実だけが繰り返される。


「移動」が救済にならない理由

歌詞の中で語られる移動は、目的を持った旅ではありません。
行けば何かが得られる、という前提がない。

あるのは、ここに居続けることができない、という状況だけです。

短い英語表現で “got to move” という言い回しがありますが、それは決意というより、押し出しに近い。
選ぶ余地が残っていないことを示しています。

そのため、物語は進行しても軽くならない。
動いているのに、何も解決しない。
この構造が、最後まで崩れません。


失われるのは感情よりも手順

歌詞には、家や恋人を思う言葉が出てきます。
しかし、中心にあるのは情緒的な喪失ではありません。

どこで寝るのか。
どこへ向かえばいいのか。
次に何をすればいいのか。

生活の手順が一気に無効化された状態が描かれています。
この曲は、その状態を解消しないまま終わる。
だから、聴き終えても何も片づかない。


聴き手の時間軸──この曲を僕はどう聴いてきたか

最初に引っかかっていたのは、あのギターの動き

この曲について思い返すと、最初から印象を決めていたのは、上で紹介しているYouTube音源の1分8秒あたりから始まる、ダダダダダン、ダダダダダンというギターの音。

このダダダダダンという音(動き)は、ジミー・ペイジのギターです。
強く主張するリフではなく、低い位置を保ったまま、音を少しずつずらしていくような弾き方。
前に出すためではなく、曲全体の進み方を決めるために置かれているギターだと感じます。

跳ねるでもなく、勢いを誇示するでもない。
重さを抱えたまま、段を一つずつずらしていくような動き。

この感触だけが、はっきりと残っていました。


語ろうとしなかった理由

当時の僕は、この曲を積極的に語ろうとはしませんでした。

どこから言葉を当てても、あのギターの動き以上の説明にならなかったからです。

盛り上がるわけでもなく、展開が切り替わるわけでもない。
それなのに、曲の流れだけは、そこで定まってしまう。

その一点で成立しているものを、無理に言葉にする必要はない。
そう判断して、長く保留してきました。


並べ直したときに見えたこと

今回、Best25を組み直す中で、この曲を避けて通ることができなくなりました。

勢いで前に出る曲を並べていくと、途中で一度、速度だけを揃える音が必要になる。その位置に、この曲がそのまま収まった。

理由を説明しなくても、あのギターが鳴り始めた瞬間、場の進み方が自然に揃ってしまう。


外せなくなった、という事実

この曲が、ある時期から急に違って聴こえた、ということはありません。

ただ、外そうとすると並びが落ち着かない。
置かないと、流れに無理が出る。

それだけです。

ダダダダダン、ダダダダダンという、あの動きが一度入ることで、全体の進み方が決まる。

その一点で、この曲はここに置かれました。


なぜ第20位なのか

この曲をもっと上位に置くことは、簡単でした。
音の強度や象徴性を考えれば、そうしても不自然ではありません。

ただ、中心に据えると、この曲は働きすぎてしまう。
引っ張るより、整えるほうが合っている。

早すぎれば全体が沈み、遅すぎれば重さだけが残る。
その間に置ける場所が、第20位でした。

『When the Levee Breaks』は、何かを乗り越える物語ではありません。
回復も、解決も、救済も用意されない。

その代わりに残るのは、崩れたあとに続いていく現実です。
動くしかない状態。
感情が追いつかないまま、時間だけが進む状況。

僕はこの曲を、その現実を誇張せず、整理もせず、ただ音の密度として置いている作品だと思っています。

だから第20位にしました。
ここにあることで、Best25全体の進み方が整う。それが、この曲の位置づけです。



※「When the Levee Breaks」は、1971年発表のアルバム
『Led Zeppelin IV』に収録されています。

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