🎸僕の勝手なBest25【レッド・チェッペリン編】-第18位『Thank You』をご紹介!

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🎸僕の勝手なBest25【レッド・チェッペリン編】-第18位は・・・

第18位は『Thank You』です。

この順位を見て、意外に感じる人がいても不思議ではありません。
『Thank You』は、レッド・チェッペリンの中でも早い時期に書かれた曲であり、同時に、後年の彼らとは異なる静かな表情をはっきりと持っているからです。
ただ、Best25という枠組みで「流れ」や「役割」を考えると、この位置はとても自然だと、僕は感じています。

超約

この曲では、語り手が特定の出来事を語ることはありません。
誰かと一緒に歩き、手を取り合い、同じ時間を過ごしているという、ごく日常的な状況が繰り返し示されます。
不安や問題が解決されたとは言われず、将来が約束されたとも語られない。
ただ、関係が今も続いているという事実だけが、静かに確認されていきます。

🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。

🎬 公式動画クレジット(公式音源)
アーティスト:レッド・ツェッペリン
公式オーディオトラック「Thank You」
アルバム:『Led Zeppelin II』
YouTube公式チャンネル公開 2020年7月31日
🎼2行解説
1969年リリースのラブソングで、レッド・ツェッペリンの柔らかい側面を示す代表曲の一つです。
ゆったりした演奏とストレートな感謝の言葉が、リスナーに寄り添うように響きます。

対象曲を事実として押さえる

基本データ

  • アーティスト:Led Zeppelin
  • 曲名:Thank You
  • 収録アルバム:Led Zeppelin II
  • リリース年:1969年

アルバムの中での空気

このアルバム『Led Zeppelin II』は、全体として前のめりです。
曲順を追っていくと、音が常に前へ進もうとする感触があります。
リズムも音圧も、立ち止まることを許さない。

その流れの中で『Thank You』は、異質です。
ブレーキを踏むというより、進む方向を一度まっすぐに戻す。
そういう役割を持っています。


何も起きない、という構造

物語を拒否する選択

多くの楽曲は、何かが起きます。
出会い、衝突、別れ、決断。
けれど『Thank You』では、それらが意図的に排除されています。

この曲の中で起きているのは、「一緒に歩いてきた」という事実の再確認だけです。

物語として見れば、山も谷もない。ですが、だからこそこの曲は、特定の瞬間に縛られません。

主人公の位置取り

語り手は、相手に何かを要求しません。
未来を誓うこともしなければ、過去を清算することもしない。

自分の感情を相手にぶつけるのではなく、「こう感じている」と置いていく。

この距離感は、熱量が低いのではなく、関係がすでに成立していることを前提にしています。


音が感情を代弁しない理由

演奏の距離感

この曲では、どの楽器も感情を背負いすぎません。
ギターが泣くこともなければ、リズムが主張することもない。

演奏は、歌の後ろに回り続けます。
前に出て語るのではなく、「そこにある状態」を保つための役割に徹しています。

なぜ薄くならないのか

音数が少ない曲は、場合によっては印象が弱くなります。
けれど『Thank You』はそうならない。

それは、音が少ないのではなく、音が余計な情報を足していないからです。

聴き手は、演奏に引っ張られない分、自分の時間をそのまま持ち込める。


この曲がBest25の中にある理由

強度を調整するためではなく

このBest25には、音の強度や個性がはっきりした曲が多く並びます。
ただ、『Thank You』は、その強度を下げるために置かれているわけではありません。

熱を冷ます曲というより、「今、自分がどの距離でこのバンドを聴いているか」を自然に意識させる存在に近いと思います。

前に進ませるでも、立ち止まらせるでもなく、聴く姿勢を一度まっすぐに戻す。
この曲は、その役目を担っています。

なぜ18位なのか

この曲を上位に置くと、流れが落ち着きすぎてしまう。
逆に、下位に置くと、存在理由が見えにくくなる。

ある程度このBest25を聴き進め、バンドの強度や多面性を体感したあと。

そこで『Thank You』が現れると、「この激しさと同じ場所から、こういう時間も生まれている」ということが、無理なく伝わってきます。

その地点として、18位がもっとも自然でした。


歌詞が閉じられないまま残る理由

感情が「完了」しない設計

『Thank You』の言葉は、はっきりしています。
感謝していること、信じていること、同じ時間を歩いていること。

どれも曖昧ではありません。
それでも、聴き終えたあとに「話が終わった」という感覚は残りません。

この曲は、感情を処理しないからです。
吐き出して軽くなる感情ではなく、日常の中に置かれ続ける感情を、そのまま示しています。

言葉が役割を終えない

ここで語られる感謝は、何かの区切りや結論ではありません。

別れ際の言葉でも、節目を宣言するものでもない。

むしろ、「これからも同じ時間が続く」ことを前提に、関係の中に置かれ続ける言葉です。

だからこの曲は、時間の中で完結せず、聴くたびに違う位置から立ち上がります。


聴き手の時間が入り込むとき

僕の中で起きた変化

正直に言うと、若い頃の僕にとって『Thank You』は少し分かりにくい曲でした。

嫌いではないけれど、強く惹かれるわけでもない。
アルバムの中を自然に通り過ぎていく存在だったと思います。

印象が変わったのは、「何も起きなかった時間」を振り返るようになってからです。

事件よりも長かったもの

人生を振り返ると、大きな出来事よりも、淡々と続いた時間のほうが圧倒的に多い。

うまくいっているとも、うまくいっていないとも言えない日々。
ただ、同じ場所を歩き、同じ会話を繰り返していた時間。

『Thank You』は、その時間を否定しません。意味づけもしない。

「それでいい」と言うわけでもなく、「それが幸せだ」と定義するわけでもない。

ただ、そこにあった事実として置いていく。
その態度が、ある時期から僕にはとてもリアルに感じられるようになりました。

初期の軽さがまだ残っているということ

この曲を聴いていると、確かにLed Zeppelinらしさははっきりあります。
ただ、後年の彼らがまとっていく重さとは、少し質が違う。

音の輪郭は柔らかく、演奏もどこか呼吸に近い。
力で押し切る感じがなく、アコースティックな感触が前に出ています。

この軽さは、未完成さというより、まだ重さを背負う前の状態に近いものだと思います。

後年のツェッペリンは、音そのものが意味や重力を持つようになっていきます。
一音一音に、逃げ場のない密度が生まれる。

それに比べると、『Thank You』は、音が「そこに在る」ことを許されています。
鳴っているけれど、縛られていない。

この曲が優しく聴こえるのは、感情が穏やかだからではなく、バンドがまだ自分たちの音を重く扱いすぎていないからかもしれません。

初期ならではの、軽やかさと慎重さが同時に存在している。
それが、この曲を何度も聴きたくさせる理由の一つだと、僕は感じています。


この曲が強くならない理由

感情を操作しない選択

この曲がロックバラードとして語られるとき、「美しい」「優しい」といった言葉が使われがちです。

ただ、実際に聴くと、感情を盛り上げる仕掛けはほとんどありません。

声も、演奏も、聴き手を引っ張ろうとしない。

これは控えめなのではなく、感情を操作しないという選択だと思います。

音が前に出ないことで起きること

音が前に出ないことで、聴き手は「どう感じるべきか」を決められません。

その結果、自分の時間や状況が、そのまま入り込む。

この曲を聴いてどう感じるかは、聴く側の状態に大きく左右されます。

それは欠点ではなく、この曲が選んだ性格です。


まとめに代えて

『Thank You』は、人生の中で、何度も意味が変わる曲だと思います。

若い頃には、穏やかすぎるかもしれない。
忙しい時期には、通り過ぎてしまうかもしれない。

でも、「何も起きなかった時間」を大切に感じるようになったとき、この曲は、はっきりとした輪郭を持ち始めます。

だから僕は、この曲を18位に置きました。
目立たせるためではなく、必要な場所に置くために。

※「Thank You」は、1969年発表のアルバム
『Led Zeppelin II』に収録されています。

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