■【レッド・チェッペリン】について、詳しくはこちら・・・・➡ 🎈(Zeppelin)
🎧 音声で聴く
この記事は、約3分の音声ナレーションでもお聴きいただけます。
文章の流れに沿って、第17位「All My Love」が持つ、静かな持続感と、前に出すぎない推進をたどります。
読む前に、または読み終えたあとに、音でもぜひお楽しみください。
🇯🇵 日本語ナレーション
🇺🇸 English narration
🎸【レッド・チェッペリン編】第17位は・・・・
第17位は『All My Love』です。
この曲は、1979年にリリースされたアルバム『In Through the Out Door』に収録されています。
僕が大学3年生の時です。この曲もこのアルバムもよく聞いていました。
そもそも、僕の洋楽の入り口は、耳障りの良いポップスからなので、この曲はとても心地よく聴けたことを覚えています。
シングルとしても発表され、派手な話題作りをせずに、静かに長く聴かれ続けた一曲でした。
当時の反響も、「代表曲」というより、アルバムの中で確実に印象を残す存在だった、という言い方が近いと思います。

重たいリフや大きな物語を連想しがちなバンド名からすると、この曲は少し輪郭が違って聴こえます。
でも僕には、その「違い方」こそが自然で、Best25の真ん中あたりに置きたくなりました。
超約
この曲は、失ったものを抱えたまま日々を進めていく人の姿を描いています。
過去を消したり、悲しみを勝利に置き換えたりはしません。
それでも、誰かに向けて言葉を送り続けることで、生活の形を保とうとします。
結末をきれいに閉じないまま、“続けていく選択”だけが残ります。
🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。
🎬 公式動画クレジット(公式音源) アーティスト:Led Zeppelin 楽曲名:All My Love 収録アルバム:In Through the Out Door リリース年:1979年 形態:Official Audio(Remastered) 配信元:Rhino Atlantic/Led Zeppelin 公式YouTubeチャンネル 2行解説 喪失を直接語らず、それでも誰かに向けて言葉を送り続ける姿勢が、静かな推進力として曲全体を支えています。感情を劇的に処理しないことで、出来事の「その後」を生きる時間そのものが、音として残る一曲です。
基本情報を、軽く整えてから入ります
対象曲・アーティスト
- アーティスト名:Led Zeppelin
- 曲名:All My Love
- 収録アルバム:In Through the Out Door
- リリース年:1979年
“後期の一曲”とだけ言いたくない理由
僕はこの曲を、単に「後期のバラード枠」として把握すると、いちばん大事なところを取り落とす気がしています。たしかに派手な驚きは少ないのに、耳から離れにくい。しかも、感動を押し売りしてこない。
その控えめな強さが、この曲の入口だと思っています。

アルバムの空気から見える、曲の立ち位置
『In Through the Out Door』の中での“温度差”
このアルバムは、バンドの像を一枚にまとめようとしない感じがあります。
力でねじ伏せる曲もあれば、少し離れた距離で進む曲もある。
その中で『All My Love』は、ど真ん中に座って仕切るというより、場の重力を変える係に見えます。

「大げさにしない」ことが、逆に目立つ
悲しい題材を扱う曲って、どうしても演出過多になりがちです。
でもこの曲は、悲しみを拡大するより、日常の呼吸に近い速度で進みます。
僕はそこに、出来事の大きさよりも“その後”の時間を鳴らす意志を感じます。
物語として見たときに残るもの
主人公は、整理ではなく継続を選ぶ
この曲の語りは、「理解した」「乗り越えた」と言い切る方向へ行きません。
喪失を抱えたまま、誰かへ向けて言葉を差し出し続ける。
その態度が、物語を進めるというより、生活を止めないための動作に見えてきます。
送り先が一つに決まらない感じ
ここが僕には面白いところで、宛先がはっきりしているようで、実は少し揺れています。
特定の誰かに向けた言葉でありながら、同時に「いまの自分を支えるための言葉」にもなっている。
だから聴いていると、恋の勝敗よりも、心の持ち方の話として残ります。

音の手触りが作る“前のめりすぎない推進”
速さではなく、運び方が整っている
この曲は、胸を突き上げるような大仰さで引っ張りません。
それでも止まらずに進む。歩幅が大きいというより、足元が乱れにくい感じです。
聴き手が感情に追い立てられるのではなく、曲の速度に自然に並走できるのが魅力だと思います。
声が“叫び”にならないことの意味
声が強く出る場面でも、怒鳴る方向へ行かない。
ここで鳴っているのは、感情の爆発というより、言葉を置き続ける粘りです。
その粘りがあるから、聴き終わったあとに「いい話だった」で終わらず、もう一度戻ってきたくなります。

歌詞を「意味」ではなく動きとして見る
感情がどこへ向かうか、あえて決めない構造
この曲を聴いていて強く残るのは、感情の行き先が最後まで指定されないことです。
悲しみは提示されますが、処理されません。
理解や納得に着地することもなく、かといって怒りや断絶に変換されるわけでもない。
僕にはこの構造が、「気持ちを整理する物語」というより、気持ちを抱えたまま生活を続ける動作の記録に見えます。
何かが起きたあと、人は必ずしも答えを出せるわけではない。
それでも日々は進み、誰かに向けて言葉を投げる瞬間が訪れる。
この曲が描いているのは、その“途中の状態”です。

結論を出さないことが、否定にならない
多くの曲では、感情がどこかに着地しない状態そのものが、不安や緊張として扱われます。
けれど『All My Love』では、結論が出ないこと自体が、特別な問題として示されません。
整理されていない。
でも壊れてもいない。
その状態を無理に動かさず、そのまま保つ。
僕にはこの姿勢が、感情を扱うというより、生活を続けるための態度として響いてきます。
この曲がBest25に残った理由
聴いている最中に、何も要求してこない音
この曲を流していると、「どう聴くか」「どう受け取るか」を、こちらに委ねてきません。
感情を動かそうともしないし、意味を読み取らせようともしない。

それなのに、途中で止めようとは思わない。
BGMとしても、主役としても使われず、ただ、時間の中に残り続ける。
Best25を並べ替えているとき、僕はこの性質だけは手放せませんでした。
強い曲でも、便利な曲でもないのに、消す理由が見つからなかったからです。
この曲をここで紹介する理由
「分かりやすさ」が増える前に、置いておきたかった
この先に出てくる曲たちは、意志や決断が、音としてはっきり前に出てきます。
その前に、何も決めきらないまま続いている音が一つあると、流れが少しだけ現実に寄る。
『All My Love』は、バンドの幅を説明するための曲ではありません。
ただ、強さが前に出すぎる前に、一度、呼吸を平らにしてくれる。
その役割だけを考えて、この位置に置きました。
最後に
『All My Love』は、聴き終わっても、考えがまとまる曲ではありません。それでも、何かを決められない時間があったことだけは、静かに肯定する。
若い頃には通り過ぎ、あとから気づくと、そばにあった。この曲がBest25に残っている理由は、それだけです。

※「All My Love」は、1979年発表のアルバム
『In Through the Out Door』に収録されています。

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