🎸僕の勝手なBest25【レッド・チェッペリン編】-第12位『Ten Years Gone』をご紹介!

【レッド・チェッペリン】について、詳しくはこちら・・・・➡ 🎈(Zeppelin)

🎧 音声で聴く

この記事は、約3分の音声ナレーションでもお聴きいただけます。
第12位「Ten Years Gone」が持つ、静けさの中に滞在する時間感覚と、語られない感情の余白をたどります。
読む前に、または読み終えたあとに、音でもぜひお楽しみください。

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🎸【レッド・チェッペリン編】第12位は・・・・

第12位は、『Ten Years Gone』です。

『Ten Years Gone』は、テンションを上げて語るタイプの曲じゃありません。
かといって、静かに名盤枠に収めるのもしっくりこない。
レッド・チェッペリンの楽曲あるあるですが、気づいたら聴いていて、終わっても何も起きない。
でも、その感じがずっと残る。だからこのあたりに置きました。

超約

過去に深く結びついた関係が、気づけば長い時間の向こう側に流れてしまった。
取り戻そうとも、忘れようともせず、その距離をそのまま受け入れている。
変わってしまった現実の中でも、心のどこかには確かに残っている感触がある。
十年という時間は、答えではなく、ただ静かに事実としてそこにある。

🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。

🎬 公式動画クレジット(公式音源)
「Ten Years Gone(1990 Remaster)」
Led Zeppelin
(提供:Atlantic Records)
🎵 2行解説
『Physical Graffiti』収録曲。過去の恋を振り返る内省的な歌詞と、幾重にも重なるギターが印象的。
静と動を行き来する構成が、レッド・ツェッペリン後期の成熟した表現力を象徴している。

音が「語らない」ことから始める

この曲について語ろうとすると、どうしても言葉が遅れます。
理由は単純で、『Ten Years Gone』は最初から説明を拒んでいる曲だからです。
出来事も感情も、前に出てこない。あるのは、音が作る“滞在時間”だけ。
僕はこの曲を、評価ではなく「居座られてきた存在」として12位に置きました。


事実としての『Ten Years Gone』

アルバムの中での立ち位置とバンドのフェーズ

『Ten Years Gone』は、1975年発表のアルバム『Physical Graffiti』に収録されています。
二枚組という情報量の多い作品の中で、この曲は明らかに“静止”を担当しています。
派手な展開も象徴的なフレーズもなく、聴き手の集中力を内側に向ける配置です。

この時期のレッド・ツェッペリンは、外へ拡張する段階を一度終えています。
その結果として生まれたのが、この曲の「内向きで、しかし閉じない」感触です。


物語を排した歌のあり方

何も起きないという選択

『Ten Years Gone』では、決定的な場面が描かれません。
別れの瞬間も、再会の兆しも、感情の爆発もない。
それは描かなかったのではなく、必要なかったからだと僕は受け取っています。

記憶の温度管理

この曲の語り口は、感情を冷ましすぎず、温め直しもしません。
触れれば思い出せるが、掴みにいくほどではない。
その距離感が、十年という時間の現実味を支えています。


音像が作る「時間の層」

重ねられるギターの意味

この曲を特徴づけているのは、明らかに多重録音されたギターです。
しかし、その重なりは厚みを誇示するためではありません。
同じ旋律が少しずつズレながら存在することで、「同時に思い出している複数の時間」を作っています。

リズム隊の後退

ドラムもベースも、前に出て曲を牽引しません。
一定の歩幅を保ち、感情の速度を一定に保つ役割に徹しています。
この安定感があるからこそ、上で揺れるギターが不安定さを帯びます。

クライマックス不在の設計

『Ten Years Gone』には、頂点と呼べる瞬間がありません。
音は積み重なり、密度は増しますが、達成感は与えられない。
それは、この曲が「終わった話」ではなく、「続いてしまった時間」を鳴らしているからです。


Best25に触れる前段として

主張しない曲の強さ

この曲は、聴き手に何かを要求しません。
感動も共感も、理解さえも必須ではない。
それでも耳の中に残り続けるのは、音が時間として振る舞っているからです。

歌詞解釈の深化|「十年」という時間の扱われ方

数字が主張しない不思議さ

この曲に出てくる「十年」という言葉は、重みを誇示しません。
長かったとも、短かったとも言わない。
ただ、振り返ったときに「確かにそれだけの時間が過ぎていた」と事実として置かれています。
ここでは、年月がドラマを生むのではなく、ドラマを削ぎ落とす役割を担っています。

感情が整理されたあとの視線

歌詞全体を通して印象的なのは、感情が暴れないことです。
未練や後悔は読み取れるものの、それを叫んだり掴みにいったりしない。
思い出は思い出として、すでに棚に置かれている。
この落ち着いた距離感があるからこそ、「十年」は感傷ではなく現実の単位として成立しています。


僕自身の時間軸と『Ten Years Gone』

何も起きなかった期間の実感

若い頃の僕にとって、時間は出来事とセットでした。
何があったか、誰といたか、それが年月の意味でした。
だから『Ten Years Gone』の静けさは、正直なところ掴みどころがなかった。
この曲が何を言っているのか、分からなかったのではなく、必要性を感じていなかったのだと思います。

時間が「結果」になる瞬間

ところが、年齢を重ねてくと、その中で説明できない年月が増えてきます。
大きな選択も転機もなく、ただ過ぎていった時間。
振り返っても、物語にならない空白。
その感覚と重なったとき、この曲が急に具体的な重さを持ち始めました。
『Ten Years Gone』は、何も起きなかった時間にも、ちゃんと質量があることを示しています。

強さではなく、滞在の仕方

『Ten Years Gone』は、強く引き寄せてくる曲ではありません。
耳を掴む瞬間も、記号になるフレーズもない。
その代わり、聴き終わったあとに、時間だけが少し伸びたような感覚を残します。

何かを理解したという手応えではなく、ただ一緒に過ごしてしまった、という実感。
この曲は、評価よりも先に生活の中に入り込んでくるタイプです。

消えなかったという事実

意識して選び続けたわけではありません。
それでも、長いあいだ手元から離れなかった。
再生回数や思い入れでは測れない形で、この曲はずっと、そばにあり続けました。


流れの中での役割

歩幅を揃え直す場所

Best25を並べていくと、どうしても感情の密度が高くなる瞬間があります。
第16位の『Immigrant Song(移民の歌)』などはその代表格でしょう。

その流れの中で、『Ten Years Gone』は自然と歩幅を整えてくれます。
高揚を受け止め、次へ進む前に、一度呼吸を入れる。
この曲があることで、全体の動きが滑らかになります。

途中に置かれる意味

この曲は、始まりを告げる音でも、終わりをまとめる音でもありません。
流れの途中で、ふと時間を意識させる存在です。
それは、物語を止めるためではなく、「ここまで来た」という事実を確認するための場所です。


着地点

『Ten Years Gone』は、Best25の中で「時間をそのまま置いておく位置」にあります。
肯定も否定もせず、結論を急がない。
ただ、過ぎてしまった年月を、音の形で残している。

派手ではありませんが、欠けると流れが変わってしまう。
だからこの曲は、静かな場所に、きちんと残っています。

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