僕の勝手なBest15:【ユーミン】編-第7位『ANNIVERSARY〜無限にCALLING YOU』をご紹介!


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第7位は『ANNIVERSARY』です

ランキングもいよいよBest7になりました。
第7位は『ANNIVERSARY』です。 この位置に選んだのは、ユーミンの全キャリアを通じても、これほどまでに「圧倒的」なバラードは他にないと感じる一曲。

『ANNIVERSARY〜無限にCALLING YOU』

1989年(平成元年)リリース。アルバム『LOVE WARS』に収録されたこの曲は、まさにバブル景気が最高潮に達し、そして少しずつその終わりが見え隠れし始めた時代のアンセムでした。

「結婚式の定番ソング」としてあまりにも有名になりすぎたため、少し気恥ずかしさを感じる方もいるかもしれません。しかし、改めてこの年齢になって聴き直してみると、その評価は一変します。これは単なる幸せな恋人たちの歌ではなく、「他者と共に生きる」という、人生における重大な決意表明のように響くのです。

若かりし日の淡い恋模様とは違う、大人の「覚悟」をまとったこの名曲を、第7位としてご紹介します。

まずは公式音源でお聞きください

まずは、その壮大なサウンドスケープに身を委ねてみてください。

日本語クレジット
楽曲名:ANNIVERSARY~無限にCALLING YOU~
アーティスト:松任谷由実
作詞・作曲:松任谷由実
編曲:松任谷正隆
リリース:1989年6月28日(23rdシングル)
収録アルバム:『LOVE WARS』(1989年11月25日発売

2行解説
結婚式の定番曲として長年愛され続ける、人生の節目を祝福する名バラード。
壮大なアレンジと包容力ある歌声が、永遠の愛と感謝を高らかに歌い上げる代表曲。

1989年という「時代の転換点」に鳴り響いた音

バブルの熱狂と、その先にある「普遍」

この曲が収録されたアルバム『LOVE WARS』が発売された1989年。
僕は当時30代前半、まさに働き盛りとして社会の荒波に揉まれていた時期でした。 世の中はバブル景気の只中で、街にはきらびやかなネオンと、どこか浮足立った空気が充満していたのを覚えています。

そんな狂騒の時代において、ユーミンは『LOVE WARS』という「恋愛を戦争に見立てた」アグレッシブなアルバムを世に送り出しました。しかし、そのアルバムの最後(厳密にはLP構成やCDの曲順としてのクライマックス)に置かれたこの『ANNIVERSARY』だけは、戦いの喧騒から遠く離れ、まるで聖堂の中にいるかのような静謐さと力強さを放っていました。

松任谷正隆氏による編曲は、まさに豪華絢爛。 イントロから広がるシンセサイザーのレイヤーは、雲海の上を飛んでいるような浮遊感があり、サビに向けてドラマチックに展開するストリングスは、聴く者の感情を強制的に高みへと引き上げます。 当時のバブルという時代が持っていた「万能感」——「今のこの輝きが永遠に続くのではないか」という錯覚にも似た希望を、音として真空パックしたような完成度です。

「守ってあげたい」から「守り抜く覚悟」へ

ユーミンのバラードといえば『守ってあげたい』も名曲ですが、あちらが「あなたのそばにいて支えたい」という寄り添うような優しさだとすれば、『ANNIVERSARY』はもっと能動的で、ある種の強さを秘めています。

この曲のサウンドには、「優しさ」よりも「強靭さ」を感じるのです。 現役時代、仕事に追われ、自分のことで精一杯だったあの頃には気づかなかった響きが、今ならわかります。これは、自分以外の誰かのために人生を使うことへの、厳粛な宣言なのです。

難易度S級のメロディライン

ユーミン自身も認める「歌うのが難しい曲」

この曲をカラオケで歌おうとして、挫折した経験がある方も多いのではないでしょうか。 メロディの起伏が激しいだけでなく、サビでの高音の伸び、そして何より「声量」ではなく「表現力」で空間を埋めなければならない難しさがあります。

特に、サビの「♪ありふれた朝でも〜」からの展開は、単に音程をなぞるだけでは成立しません。 地声と裏声の境界を行き来しながら、言葉の一つひとつに魂を込めるような歌唱。ユーミン自身のボーカルも、この曲では普段の「都会的でクールな歌声」とは一線を画し、非常にエモーショナルで、祈りを捧げるような響きを帯びています。

「未来」という名の絵画を共に描く

この曲の歌詞において特にハッとさせられるのは、「二人で未来の肖像画を描く」という比喩表現です。

単に「愛してる」と囁くのではなく、「あなたの姿を描き続けたい」という表現。 これは、相手の存在をただ眺めるのではなく、時間をかけて自分の人生というキャンバスに刻み込み、共に完成させていく意志を感じさせます。

若い頃は、この歌詞を「ロマンチックなプロポーズの言葉」としてしか捉えていませんでした。しかし、様々な経験を経て改めて聴くと、それはもっと泥臭く、もっと尊い営みだったと気づかされます。 晴れの日もあれば、雨の日もある。それでも逃げずに、隣にいる人の姿を見つめ続けること。それが「絵を描く」という行為の本質なのかもしれません。

聴くたびに深まる『ANNIVERSARY』の真実

「無限に」という言葉の射程

タイトルのサブタイトルにある「無限にCALLING YOU」。 発売当時はバブル期特有の大げさな表現だと思っていたこの「無限」という言葉が、今では違った響きを持って胸に迫ります。

「無限」とは、単なる時間の長さのことだけではない気がします。 それは、「何度生まれ変わっても、またあなたを選ぶ」という、深さと覚悟の現れではないでしょうか。 アルバム『LOVE WARS』という、恋愛を「戦い」に見立てた作品の最後を締めくくるにふさわしい、揺るぎない決意。

喧騒の中で傷ついたり、すれ違ったりしたとしても、最終的に戻る場所はここにある。そんな安心感を、この壮大なバラードは与えてくれます。

人生の「記念日」とは何か

若い頃の「記念日」といえば、誕生日やクリスマスといった特別なイベントを指していました。 しかし、この曲が真に歌っているのは、そうしたカレンダー上の日付だけではないように思います。

何気ない朝の風景、変わらない日常、あるいは困難を乗り越えた後の静けさ。 そうした**「ありふれた日々」こそが、実は奇跡のような記念日の連続**だったのだと、ユーミンはこの曲を通して教えてくれているようです。 「毎日がスペシャル」という竹内まりやさんの歌詞にも通じますが、ユーミンの場合はそこに、どこか宗教的なまでの「祈り」が込められている点が特徴的です。

結び:日常という記念日

第7位に選んだ『ANNIVERSARY〜無限にCALLING YOU』。 これは単なるウエディングソングの枠を超え、人生という長い旅路を共にするパートナーへの、究極の信頼と感謝を歌った作品です。

派手なアレンジやバブルの記憶といった装飾をすべて取り払った後に残るのは、「あなたと生きていきたい」というシンプルで力強い祈り。 だからこそ、この曲は時代を超えて歌い継がれ、私たちの心に深く根を下ろしているのでしょう。

もし久しぶりにこの曲を聴く機会があれば、ぜひ、大切な人の顔を思い浮かべながら聴いてみてください。きっと、あの頃とは違う、温かい感情が込み上げてくるはずです。

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