🎹 4月30日はウィリー・ネルスンの誕生日です
ウィリー・ネルスンは1933年4月30日、アメリカ・テキサス州に生まれたシンガーソングライターです。カントリー音楽界の伝説的存在でありながら、ジャンルを超えた幅広い活動でも知られています。1970年代の「アウトロー・カントリー」ムーブメントを牽引し、代表作『Red Headed Stranger』などで世界的な成功を収めました。独特の鼻にかかった歌声と、感情豊かなギター「トリガー」の響きは、多くの世代に愛され続けています。
What a Wonderful Worldの徹底考察!
この曲は実に多くのミュージシャンがカバーしています。ウィリー・ネルスンもその一人です。
本家本元の「ルイ・アームストロング(Louis Armstrong)」の公式動画もご紹介します。
まずはYoutube公式動画で聴き比べてください!
最初が、ウィリー・ネルスン版ですね。
🎬 動画提供:Columbia Nashville(Sony Music Entertainment)
🎵 曲名:What a Wonderful World
🎤 アーティスト:Willie Nelson
© 1988 Sony Music Entertainment
次がルイ・アームストロング(Louis Armstrong)です。
🎬 動画提供:Louis Armstrong Official YouTube Channel
🎵 曲名:What A Wonderful World
🎤 アーティスト:Louis Armstrong
📀 制作:Verve Records(Universal Music Group)
🛠️ Video Credits:Directed by Cait Davis, Production by dreambear
僕がこの曲を初めて聴いたのは・・・・
My Age | 小学校 | 中学校 | 高校 | 大学 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60才~ |
曲のリリース年 | 1967 | ||||||||
僕が聴いた時期 | ? |
この曲はそもそも、1967年にルイ・アームストロング(Louis Armstrong)が歌ったもので、1988年3月1日、ウィリー・ネルソン版が自身23枚目のソロ・スタジオアルバム『What a Wonderful World』としてリリースしたものです。
日本でも、CMでよく使われた曲ですので、曲自体には聴き馴染みの方も多いはずです。
企業名 | 放送年 | 使用バージョン | 備考 |
大和ハウス | 2005~2006年頃 | ルイ・アームストロング本人 | 家族愛テーマ |
コカ・コーラ | 2003年頃 | カバー(ハリー・コニックJr.説あり) | 働く大人応援 |
トヨタ(クラウン) | 2008~2009年頃 | オリジナルアレンジ | 大人の余裕演出 |
今日はウィリー・ネルソンの誕生日ということで、楽曲の選択をしました。動画2本で紹介していますが、声質など歌唱面ではウィリー・ネルソンとルイ・アームストロングではだいぶ違いますね。
聴き比べても、違いは好みの問題に収束します。僕としては、甲乙つけがたいというのが実感です。同じ曲でも人により表現(テイスト)が違うのは当然ではありますが、実に面白いことです。このタイトルでググると沢山のカバーが出てきます!全く別の曲に聴こえるものもあります。( ;∀;)
煌めく希望と静かな反骨――ウィリー・ネルソン版『What a Wonderful World』の魅力
はじめに:大地に根差した歌声が時代を越える
1988年3月1日、ウィリー・ネルソンは自身23枚目のソロ・スタジオアルバム『What a Wonderful World』をリリースしました。
このアルバムは、ポップスやジャズのスタンダードナンバーを独自の感性で再解釈した意欲作です。
とりわけ表題曲であるルイ・アームストロングのカバーでは、55歳を迎えたネルソンが持つ大地を思わせる深みと力強さが際立ち、ジャンルの枠を超えた温かさを聴かせています。

混迷の時代に咲いた平和の花――原曲『What a Wonderful World』誕生秘話
1967年、公民権運動とベトナム戦争のさなかに
「What a Wonderful World」は1967年、社会不安と国際的混乱が渦巻く中で生まれました。
作詞作曲を担当したのは、Bob Thiele(ジョージ・ダグラス名義)とGeorge David Weiss。
レコード会社の反対にもかかわらず、当時66歳のルイ・アームストロングが自ら録音を強行し、イギリスでチャート1位を記録します。
アメリカ国内で広く支持を得たのは、1987年の映画『グッドモーニング、ベトナム』の挿入歌として再注目された後のことでした。

シンプルな歌詞が放つ永遠のメッセージ
自然の美しさと人々の絆を讃える歌詞は、過剰な装飾を排して、静かに深く心に響きます。
木々の緑、赤いバラ、青空、友人の握手――
小さな幸福が集まったこの世界の素晴らしさを、シンプルながら力強く伝えました。

反骨と自由のあいだに――ネルソンの音楽人生
苦難を超えてたどり着いた独自の表現
1933年4月29日、テキサス州アボットに生まれたウィリー・ネルソン。
幼い頃に母親と別れ、祖母に育てられた彼は、6歳でギターを手にし音楽の世界へと踏み出しました。
1961年、リバティ・レコードからソングライターとしてデビューし、ナッシュビルの音楽業界に旋風を巻き起こしますが、商業主義的な流れに違和感を覚え、1970年代初頭に故郷テキサスへと帰郷します。
アウトロー・カントリーの旗手へ
1973年の『Shotgun Willie』、1975年の『Red Headed Stranger』などを通じて、
彼はロック、フォーク、ブルースの要素を取り入れた「アウトロー・カントリー」を確立。
長髪とカウボーイハットというビジュアルだけでなく、愛器「トリガー」の朴訥な音色と、独特な歌唱タイミング(フレージング)が彼の個性を象徴しました。

世界が変わる岐路――1988年当時の社会と音楽
冷戦終結への期待と経済格差の広がり
レーガン大統領末期の1988年、アメリカでは景気拡大の恩恵を受けながらも、貧富の差は急速に拡大していました。同時にソ連との緊張緩和が進み、冷戦終結の兆しも見え始めていました。
音楽シーンの主役交代とネルソンの挑戦
MTVを中心としたポップ&ロック全盛のなかで、伝統的なカントリーはやや後退気味。
しかし、ネルソンはあえてスタンダードナンバーに挑戦し、音楽の普遍性を証明する選択をします。
一方日本では、BOØWYの「LAST GIGS」、坂本龍一のアカデミー賞受賞などが象徴するバブル文化の絶頂期でした。
ミニマルな編曲に宿る静けさと深み――アルバムの構成
『What a Wonderful World』には、「Spanish Eyes」「Moon River」「Some Enchanted Evening」など計9曲が収録されています。
過度なアレンジを排し、ネルソンの素朴なギタープレイとさりげないストリングスだけで構成された演奏が、一音一音の重みを際立たせ、リスナーの想像力を喚起します。
知られざる逸話――プロコフィエフ・カルテットの影
非公式なエピソードとして、1987年末、プロコフィエフ弦楽四重奏団のメンバーがトリビュート・セッションに参加したと言われています。
クラシックの精緻な技術が裏で支えたことで、アルバム全体の音像に柔らかな深みが加わったとも考えられます。

永遠に響くメッセージ――今も必要とされる理由
争いや分断の時代にこそ、「この世界は素晴らしい」と静かに伝える力が必要です。
ネルソンの落ち着いた声とトリガーの響きが織りなす音世界は、
どんな社会情勢にも揺るがない“普遍の希望”を私たちに届けてくれます。
終わりに:境界を越える音楽の力
ウィリー・ネルソン版『What a Wonderful World』は、カントリー、ジャズ、ポップの垣根を越え、世代や国境を越え、静かに私たちに語りかけます。
未来に向かって続くこの小さな祈りを、これからも大切に受け継いでいきたいと感じさせる一曲です。
「What a Wonderful World」の全体意訳
『What a Wonderful World』―意訳
緑に茂る木々、咲き誇る赤いバラ──それらは、私たちのために静かに息づいている。
澄み渡る青空と、ふんわりと広がる白い雲。
晴れ渡った祝福の昼と、しっとりと神聖な夜。
そんな自然の営みにふと心を重ね、「なんて素晴らしい世界だろう」と思わずにはいられない。空にかかる虹の七色は、空だけでなく、すれ違う人々の笑顔にも宿っている。
握手を交わす友人たちは、「元気かい?」と問いかけながら、心の奥では「愛しているよ」と伝えているのだ。小さな赤ん坊の泣き声に耳を澄ませ、その成長を見守るたび、彼らがこれから知る世界の豊かさを思う。
私は静かに、何度でもつぶやく。
──なんて、美しい世界なのだろう、と。
by-Ken
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