「僕の勝手なBest10」、今回は『T-Rex』編です。
そこで今回は、まずはT-Rexについて、各記事の冒頭に紹介文を掲載しますので、今後のランキングを続けて読まれる方は、この部分は毎回同じですので、読み飛ばしていただいて結構です。( ;∀;)
T. Rexとは・・・・!
T. Rexは、マーク・ボランを中心に結成されたイギリスのロックバンドで、1970年代にグラムロックを代表する存在として大きな成功を収めました。
元々はサイケデリック・フォーク的な「Tyrannosaurus Rex」として活動していましたが、1970年にバンド名を短縮し、よりシンプルでダンサブルなロックサウンドへとシフトしました。
「Ride a White Swan」がヒットすると、一気にグラムロック・ムーブメントの中心へと躍り出ます。
彼らの音楽は、シンプルなリフとグルーヴ感が特徴で、「Bang a Gong (Get It On)」「20th Century Boy」「Metal Guru」などの楽曲は、今もなお多くのアーティストに影響を与えています。
ボランのカリスマ性と煌びやかなスタイルは、デヴィッド・ボウイやスージー・スーらにも大きな影響を与えました。
しかし、彼は1977年に29歳の若さで交通事故により急逝しました。
それでも、T. Rexの音楽は今も色褪せることなく、多くのファンに愛され続けています。
僕の勝手なBest10:T-Rex編-第4位は-『Get It On 』 です。
✅ 公式動画クレジット
T. Rex - “Bang a Gong (Get It On)” (Official Audio)
© 1971 A&M Records / Rhino Entertainment Company. Provided to YouTube by RHINO.
💬 2行解説
グラム・ロックの象徴的名曲として知られる「Bang a Gong (Get It On)」は、T. Rex が1971年に発表した代表作。マーク・ボランの艶やかなギターと官能的なリズムが融合し、世界的なロック・アイコンとしての地位を決定づけた。
✅ 公式動画クレジット
T. Rex - “Bang a Gong (Get It On)” (Official Vinyl Video)
© 1971 A&M Records / Rhino Entertainment Company. Provided to YouTube by RHINO.
💬 2行解説
アルバム『Electric Warrior』収録の代表曲で、T. Rex のグラム・ロック時代を象徴する名演。
ヴィニール音源の質感を生かした公式映像が、当時のアナログの温かみと艶やかなサウンドを蘇らせている。
音楽シーンは大きな転換期
T-Rexの『Get It On(Bang a Gong)』は、1971年という転換期に生まれた楽曲として、ロック史に確固たる地位を築いています。楽曲自体のエネルギーやリズムのグルーヴ、そして何よりもマーク・ボラン率いるバンドのビジュアルとパフォーマンスが、当時の音楽シーンに革新をもたらしました。以下、考察してみたいと思います。
1971年当時、音楽シーンは大きな転換期を迎えていました。1960年代後半に隆盛を誇ったサイケデリックロックは次第に勢いを失い、ビートルズの解散による喪失感が音楽業界全体に影を落としていました。そんな中、T-Rexはグラムロックという新たなムーブメントを牽引するバンドとして登場します。彼らの音楽は、幻想的な要素を残しつつもエレクトリックなロックサウンドに進化し、若者たちの心を掴んでいきました。
『Get It On』は、その流れの中で生まれた象徴的な楽曲です。アルバム『Electric Warrior』に収録され、発売と同時にイギリスのチャートで1位を獲得。アメリカではタイトルが『Bang a Gong (Get It On)』に変更され、Billboard Hot 100でも10位にランクインするなど、国際的な成功を収めました。マーク・ボランのエキセントリックなカリスマ性が前面に押し出されたこの曲は、グラムロックの代名詞としての地位を確立します。
楽曲構造の魅力
『Get It On』の最大の魅力は、その耳に残るキャッチーなギターリフにあります。オープニングのリフが流れ出した瞬間、聴く者の心は一気に引き込まれるのです。このギターリフは、ボランが敬愛するブルースギタリスト、チャック・ベリーから影響を受けたとも言われています。ループするリズムパターンに乗せられたドラムとベースのコンビネーションが、グルーヴィーな雰囲気を演出し、リスナーに思わず身体を揺らさせるのです。
しかし、このシンプルな構造に対して、音楽評論家からは「単調すぎる」という声が挙がったことも事実です。プログレッシブ・ロックが複雑な構成を競っていた当時、T-Rexのストレートなアプローチは斬新であると同時に「表面的で浅い」との批判も受けました。しかし、このシンプルさこそがパーティーアンセムとしての楽曲の強さを生み出し、後世にまで残る名曲となる要因となったのです。
歌詞に込められたメッセージ
『Get It On』の歌詞には、当時の若者文化が持っていた解放感や享楽主義が色濃く反映されています。タイトルにも使われている「Get It On」というフレーズは、単なる行動の喚起にとどまらず、「自分の殻を破り、思い切り人生を楽しめ」というメッセージを含んでいます。
また、ボラン特有の詩的で挑発的な表現が随所に見受けられます。例えば「You’re built like a car, you’ve got a hubcap diamond star halo」という一節は、女性を車に例えつつも、神秘的で幻想的なイメージを重ねています。この言葉遊びとイメージの融合は、ボランの作詞家としての個性が光る部分です。彼の詞はしばしば性的な暗喩やユーモラスな比喩を含み、聴く者に想像力を働かせる余地を与えていました。
フロントマン、マーク・ボランの影響力
T-Rexの成功を語る上で欠かせないのが、マーク・ボランという唯一無二のカリスマ的存在です。彼の小柄な体格、巻き毛の髪、そして煌びやかな衣装は、グラムロックのビジュアルアイコンとして後世に影響を与えました。彼は自身の音楽だけでなく、視覚的な要素にも強いこだわりを持っており、テレビ出演時には必ず印象的なファッションで登場し、視覚と音楽を融合させるスタイルを確立しました。
実際、ボランのファッションは後のデヴィッド・ボウイやロキシー・ミュージックにも大きな影響を与えたとされています。シルバーのジャケット、グリッターを施したメイク、そして煌びやかなステージパフォーマンスは、音楽が単なる聴覚的体験を超えて、視覚的にも楽しめるものであることを示したのです。
制作過程に潜む知られざるエピソード
録音当初、ボランは曲にジャズ的な要素を取り入れるため、サクソフォーンを導入したいと考えていました。そこで彼が声をかけたのが、プロコル・ハルムのクリス・マーサーでした。このサックスパートが楽曲に予想以上の深みを与えたことに、ボラン自身も大いに満足したと言われています。
また、プロデューサーのトニー・ヴィスコンティは、ライブのような臨場感を出すために複数のマイクを駆使し、楽器同士の距離や角度を微調整しました。特にドラムの音像にこだわり、リスナーが前方から音を浴びているかのような迫力を演出しています。これにより、スタジオ録音でありながらも、ライブさながらの空気感が生まれました。
当時の文化的背景と楽曲の位置づけ
1970年代初頭のイギリスは、社会的にも文化的にも激しい変革期にありました。ベトナム戦争や学生運動が世界的に広がる中で、若者たちは現実逃避を求めるように音楽やファッションに没頭していきます。そんな時代に登場した『Get It On』は、彼らにとって日常を忘れ、自己解放を味わえる「音楽的カタルシス」として機能しました。
グラムロックは単なる音楽ジャンルではなく、ジェンダーの固定観念や社会的な制約を取り払う文化的ムーブメントでもありました。ボランはその先駆者として、男性でもメイクを施し、煌びやかな衣装を着るという当時としては衝撃的なスタイルを打ち出しました。この斬新なビジュアル表現が、後にパンクやニューウェーブのアーティストたちにも大きな影響を与えたのです。
現代に受け継がれる影響力

半世紀以上経った現在でも、『Get It On』は映画やCM、テレビ番組などで頻繁に使用され、その魅力を新しい世代に伝え続けています。楽曲のキャッチーなリフとリズムは時代を超越した普遍的な魅力を放ち、カバーするアーティストも後を絶ちません。
例えば、1990年代にはロバート・パーマーとディュラン・デュランのメンバーによるバンド、パワー・ステーションがこの曲をカバーし、再びチャートを賑わせました。オリジナルに比べて重厚なサウンドを取り入れたアレンジは、当時のハードロックファンに新鮮な驚きを与えたのです。
批評の視点:賛否を超えた存在感
『Get It On』に対する評価は、その魅力を称賛する声だけでなく、批判的な意見も存在します。シンプルな構造や反復するリフに対して「単調で深みがない」と指摘されることもありますが、それは楽曲の「わかりやすさ」や「踊りやすさ」と表裏一体の特性でもあります。ボラン自身が「音楽は楽しむためのものだ」と語っていたことを考えれば、このアプローチはまさに狙い通りだったともいえるでしょう。
結論
T-Rexの『Get It On』は、グラムロックを象徴する楽曲として、時代を超えて多くの人々を魅了し続けています。そのエネルギッシュなサウンドと印象的なギターリフ、そしてマーク・ボランのカリスマ性が生み出した世界観は、音楽だけでなくファッションや文化にも深い影響を与えました。
時には「単調」と評されることがあっても、そのシンプルさこそがこの曲の本質であり、聴く人々の心を解放し、身体を自然と動かさせる力を持っています。
コメント