僕の勝手なBest10:『ロッドスチュワート』編-第8位=『セイリング(Sailing)』をご紹介!

第8位:『セイリング(Sailing)』

ロッド・スチュワートシリーズの第8位は『セイリング(Sailing)』です。個人的には、一番多くの人が知っている曲なのでは??と感じています。ベスト10に入れるかどうかで一番迷った曲ですが、やはり名曲中の名曲ということで、敬意を表して8位にいたしました。

超約-Sailing

荒れた海や夜空を越えてでも、遠く離れた存在に会いに行こうとする旅の歌。
たとえ嵐の中でも舵を取り続け、再び巡り会う希望だけを胸に進んでいく。

まずは公式動画をご覧ください。

公式クレジット
曲名:Sailing(セイリング)
アーティスト:ロッド・スチュワート(Rod Stewart)
収録アルバム:Atlantic Crossing(アトランティック・クロッシング)[1975年発表]
レーベル:Warner Records Inc.(ワーナー・レコード)
公式映像:Warner Records により YouTube 上で提供(Official HD Remastered Video)
© 1975 Warner Records Inc.

💬2行解説
ロッド・スチュワートが1975年に発表した世界的ヒット曲で、全英1位を記録したバラード。
荒れた海を越えて愛する人のもとへ帰ろうとする決意を、壮大に歌い上げている。
🎵公式クレジット
曲名:Sailing(セイリング)
アーティスト:ロッド・スチュワート(Rod Stewart)
公演名:One Night Only! Rod Stewart Live at Royal Albert Hall(ロイヤル・アルバート・ホール公演)
収録映像:2004年ロンドン公演(2016年8月5日公式公開)
提供:Warner Records Inc.(ワーナー・レコード)/Rod Stewart公式YouTubeチャンネル

🎬2行解説
ロッド・スチュワートが名曲「Sailing」をロンドンの名門ロイヤル・アルバート・ホールで披露したライブ映像。円熟した歌声と壮麗なステージ演出が、楽曲のスケール感と深い情感を一層際たせている。

ロッド・スチュワートの「Sailing」――時を越えて響く人生の航海歌

ロッド・スチュワートの「Sailing」は、1975年のリリース以来、時代を越えて多くの人々に愛されてきたロック・バラードの名曲です。この曲はスコットランド出身の兄弟デュオ、サザーランド・ブラザーズが生み出したメロディーを、ロッドのかすれ声が特徴的な歌声によって新たな命を吹き込まれ、一気に世界中へ広まりました。「Sailing」はそのタイトルが示すように、船出や航海を題材にしています。しかし、それは単なるヨットでの優雅なクルーズの話ではありません。この曲が描いているのは、人生という広大な海を渡り、遠く離れた愛する人や自分自身の居場所へと向かう、心の旅路なのです。

人生を変えた一曲

「Sailing」はロッド・スチュワートのキャリアを大きく飛躍させた曲でもあります。リリース直後のチャート成功だけでなく、その後もテレビ番組やCM、さらにはサッカー(彼は大のサーッカーファンですね!)の試合前に流れる応援歌としても長年愛され続け、英国をはじめ多くの地域で文化的な定番曲となりました。英国では、この曲は特に特別な存在です。「ほら、われらは海洋民族だ!」といったナショナルな誇りすら感じさせるもので、ロイヤル・ネイビー(イギリス海軍)のドキュメンタリーや海をテーマにした番組で流れると、ティーカップ片手に「これぞ我らの伝統だ!」と胸を張るイギリス人の姿が目に浮かびます。

ロッド自身の生活スタイルとこの曲のギャップも面白いところです。彼は豪華な暮らしを謳歌するセレブのイメージが強い一方、「Sailing」を歌うときだけは、まるで塩風にまみれた船長のように見えてしまいます。もちろんロッドが実際に嵐の中で舵を取ったことがあるわけではありません。しかし、彼のハスキーボイスには、聴く人を船乗り気分にさせる不思議な力があります。「I am sailing」と繰り返されるそのフレーズには、まるで波しぶきを浴びながら遠くを目指す冒険者のリアリティが宿っているのです。

メロディーに込められたロマンとメッセージ

この曲は同時に、非常にロマンティックな解釈も可能です。「I am sailing, home again across the sea」という歌詞には、故郷を遠く離れた者が愛する人のもとへ戻ろうとする強い思いが込められています。さらに、「海」を人生そのものと捉えれば、私たちは日々、仕事や恋愛、人間関係という名の荒波を越えて、それぞれの「港」を目指していることに気づきます。

「Sailing」がステージで流れるとき、観客それぞれが自分自身の「海」を思い描きます。満員電車という荒波に揺られる通勤者、恋愛という高波に翻弄される青年、あるいは老後の安定という静かな入り江を目指す中年。誰もが自分の船を漕ぎ出しているのです。この曲は、そんな人々に「君も船乗りなんだ。光が見えるだろう、そこに向かおう」と優しく語りかけているのです。

グローバルな航海者としてのロッド

ロッド・スチュワート自身は、この曲が英国の国歌のような存在になるとは思ってもみなかったでしょう。彼は英国出身ながら、アメリカ市場に進出し、世界を股にかけて活躍したモダンなロックスターです。「Atlantic Crossing(大西洋横断)」というアルバムタイトルが示すように、彼自身が大陸を自由に行き来する現代の航海者でもありました。「Sailing」は、そんな彼のグローバルな視点を象徴する一曲でもあるのです。

1970年代、英国は経済停滞や社会的混乱という荒波の中にありました。その中で、「Sailing」は、まるで暗い海を進む船乗りが遠くに見出す微かな灯台の光のような存在だったのかもしれません。「まだ先に進める」と語りかけるそのメロディーは、時代に翻弄された多くの人に小さな希望を灯しました。

ライブの想像力をかき立てる曲

「Sailing」がライブで演奏されると、聴衆はその航海に巻き込まれるような感覚を味わいます。もしライブ中に巨大な船首がステージに現れるような派手な演出があれば、観客は「船長ロッド! 次の港はどこです?」と茶化し、ロッドが「今夜はドーバー海峡を越えるぜ!」と返す光景も想像に難くありません。この曲には、それほどまでに聴く者を航海へと誘い、遊び心を刺激する力があるのです。

普遍的なメッセージを持つ一曲

「Sailing」はこれまでに多くのカバーやパロディーを生み出し、その存在感を広げてきました。中には「海男のテーマ」と揶揄されることもありますが、こうした現象すらも、この曲が持つ普遍性の証です。ロッド・スチュワートはジャンルを問わず幅広い楽曲を歌ってきましたが、「Sailing」はその中でも特別な輝きを放っています。何十年もの時を経ても風化することなく、次の世代へと歌い継がれ、新たなリスナーを海へと誘い続けているのです。

結局、「Sailing」は単なるヒットソングではありません。旅立ちや帰還、希望や勇気といった普遍的な人間の感情を、一つのメロディーに凝縮し、時代や文化を超えて届けるメッセンジャーなのです。ロッドの歌声は、「さあ、君も船を出そう。世界は広いぞ」と語りかけるようです。この曲が今日も世界のどこかで流れるたび、人々は心のどこかで小さな帆を上げ、見えない水平線に向かって漕ぎ出しているのかもしれません。


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