第7位:『ただのジョークさ(I Was Only Joking)』
ロッド・スチュワートシリーズの第7位は『ただのジョークさ(I Was Only Joking)』です。
アルバム「明日へのキックオフ」(Foot Loose & Fancy Free)に挿入されている1曲で、目立たないおとなしいバラードになっていますが、胸の奥までじわーっと、そしてジーンと沁み込んでくるような曲と歌声。大好きでしたねぇ~! このアルバムを聴いたのは大学1年生の時。僕もあの頃はバカだったなぁ俺!って反省しています。
もう1曲ご紹介します。どうやらインドネシアのバンドのコピーのようですが、完成度が結構高いです。
やっぱりロッドスチュアートの曲は、かすれ声が良く似合います。それと、いつもの口癖ですが、音楽に国境は無いですね(=^・^=)
ロッド・スチュワートの「I Was Only Joking」──笑いと後悔が織りなす大人の人生観
ロッド・スチュワートの「I Was Only Joking」は、1977年にリリースされたアルバム『Foot Loose & Fancy Free』に収録されている名曲です。多くの人がロッドといえば「Sailing」や「Maggie May」といった大ヒット曲を思い浮かべるかもしれませんが、この「I Was Only Joking」もファンの間で根強い人気を誇る楽曲です。そのタイトルからして、「冗談だったんだよ!」といかにもロッドらしい、ちょっとしたユーモアを感じさせます。しかし、この曲は単なる軽口ソングではありません。人生や恋愛における若気の至り、そしてその先にある後悔や成長を描いた味わい深いロックバラードです。
冗談で逃げた若き日の「俺様」

この曲は、若い頃の軽率な行動や甘い言葉で女性を翻弄し、「いや、冗談だから」と言い訳してきた男の回想録とも言えます。ロッドの独特のかすれ声で語られるのは、「ああ、あの頃は若かった。調子に乗って色々な女の子に軽々しい約束をしては、その場を取り繕う芝居を打っていたよ」という、どこか憎めない後悔の物語です。
1970年代末、まだスマホもSNSもなかった時代。想像してみてください。ロッドは胸毛をほんの少しだけ見せたカラフルなシャツを着て、ゴールドチェーンを揺らしながらディスコフロアやバーに出没。「やあ、君と僕で世界一周しない?」なんて甘いセリフをウインクとともにささやく姿は、女性たちを翻弄したことでしょう。とはいえ、そんな大げさな「冗談」を真に受けた女性たちも多かったはず。ロッドはその後どうしたか?もちろん、「いや、ほんの冗談だよ」と逃げるわけです。
この曲は、そんな「俺様」だった若い頃を振り返り、今になって「ごめんよ、あの頃は本当にバカだったんだ」と頭をかきむしる、ロッドの大人としての心情が見事に表現されています。しかし、これは単なる自己弁護の曲ではありません。時間が経ったからこそ見えてくる後悔や反省が、しっかりとにじみ出ているのです。「あの子は本気で傷ついていたんじゃないか」と胸が痛むようなシーンも含めて、ロッドの心の中にはさまざまな感情が渦巻いています。
穏やかで沁みるサウンド
「I Was Only Joking」のサウンドは、ロッドが得意とするバラード調。ギターのアルペジオが美しく響き渡り、聴き手の心に深く沁み込みます。歌詞の内容は後悔をテーマとしながらも、曲調はどこか穏やかでメロディアスです。これはまるで、古いアルバムをめくりながら「あの頃はバカだったなぁ」と微笑ましく振り返る中年紳士のような雰囲気を漂わせています。
この曲を聴きながらグラスを傾けていると、まるでロッド本人が隣に座って、「お前もこんな経験あるだろ?」としみじみと語りかけてくるように感じます。彼の声には、人生経験を重ねた人だけが持つ深みがあり、聴く者の心に優しく語りかける力があるのです。
自虐とユーモアの絶妙なバランス
この曲がユニークなのは、暗い懺悔録に終始しない点です。「冗談だったんだよ!」というタイトルは、過去の自分を笑い飛ばすジョークでもあります。ロッドは失敗や過ちを重荷として背負い込むのではなく、ネタに昇華する軽やかさを持っています。「いやあ、あの頃の俺は本当にアホだったね!」と笑い飛ばせるその姿勢こそ、ロック的な生き方と言えるでしょう。
人生において誰もが若い頃の失敗を抱えていますが、ロッドはその失敗を隠すことなく、自分自身の物語として聴き手に共有します。だからこそ、この曲は多くの人に共感を呼び、「あの頃の自分を思い出して笑おう」と前向きな気持ちを引き出してくれるのです。
時代背景が描くロックの精神

今の時代なら、「冗談だよ」と軽々しく言い逃れる行為はSNSで炎上するかもしれません。しかし、この曲が生まれた1970年代は自由と個性が謳歌された時代。ロックミュージシャンはカリスマ性が求められ、時には軽妙な嘘や冗談で女性たちを魅了するのも「ロック的振る舞い」の一部でした。ロッドはその象徴ともいえる存在だったのです。
ただし、この曲が単なる恋愛ソングや後悔のバラードにとどまらないのは、人生の中での失敗や反省を超えて、前に進もうとするロッドの強さが描かれているからです。彼は自分を美化することもせず、むしろさらけ出すことで、その失敗さえもエンターテインメントに変えています。これこそが、ロックミュージシャンとしての彼の真骨頂ではないでしょうか。
ライブでの魅力
「I Was Only Joking」はライブでもその味わいが際立ちます。ロッドがこの曲をステージで披露すると、観客は「こんなに素直に反省するロッドなんて新鮮だ!」と驚くと同時に、彼の茶目っ気のある表現にほっとさせられます。「まあ、若い頃はみんなお互い様だよな?」という余裕を漂わせながら歌うロッド。その姿を見た観客は、彼の言葉を借りて自分自身の過去を笑い飛ばしたくなることでしょう。
笑い飛ばせるロック的哲学
結局、「I Was Only Joking」は、過去の軽率な行動や後悔を抱えながらも、最終的には笑いに変えてしまうロック的な人生哲学を提示する曲です。ロッドはその声で、「過去の俺は冗談ばかり言ってたけど、今はそれを笑い種にできる大人になったんだぜ」とウインクしているようです。そして、聴き手もまた、自分の中にある「冗談だったエピソード」をこっそり引っ張り出し、ちょっと照れくさくなりながらも笑い飛ばしてしまうのです。
この曲は、人生のすべてを抱きしめ、前を向く力を与えてくれる一曲です。ロッド・スチュワートの人間味溢れる声に乗って、私たちは自分自身の小さな黒歴史を思い出し、そこから希望とユーモアを見出すのです。
歌詞・和訳
『ただのジョークさ(I Was Only Joking)』歌詞
Ever since I was a kid at school
I messed around with all the rules
Apologized then realized
I’m not different after all
学校に通っていたガキの頃から
規則をすっかり破ってきたのさ
そのときは謝ったりするけど
結局反省の色なんてないんだよMe and the boys thought
we had it sussed Valentinos all of us
My dad said, “We looked ridiculous”
But boy we broke some hearts
俺と仲間達はみんな
ヴァレンティノ気取り
“その格好はおかしいだろ!”
そう親父にも言われたよ
でも実を言えば…失恋もしたのさIn and out of jobs, runnin’ free
Waging war with society
Dumb blank faces stare back at me
But nothing ever changed
仕事に就いたり辞めたり 自由気ままで
世間の目との戦いさ
黙ったうつろな表情の奴らに
じっと見られてたけど何も変わりゃしないPromises made in the heat of the night
Creepin’ home before it got too light
I wasted all that precious time
And blamed it on the wine
夜に愛し合う熱気のなかで約束を交わし
明るくなる前にこっそり家に帰る
貴重な時間を無駄にしてたよ
ワインのせいにしたりしながらI was only jokin’ my dear
Lookin’ for a way to hide my fear
What kind of fool was I
I could never win俺はふざけていただけなんだ
怖がり屋の心を隠そうとしてたんだ
なんて馬鹿なヤツなんだろうね
そんなことしたってダメなのに…Never found a compromise
Collected lovers like butterflies
Illusions of that grand first prize
are slowly wearing thin妥協するのも嫌だったから
蝶々の収集のように綺麗な恋人を集めてた
最優秀賞を獲ったかのような幻想は
だんだんとほころび始めたんだSusy baby you were good to me
Giving love unselfishly
But you took it all too seriously
I guess it had to endスージーお前は俺に良くしてくれた
自己犠牲も厭わず愛してくれた
でもあまりにも真面目すぎたから
俺たち終わりにするしかなかったんだI was only jokin’ my dear
Lookin’ for a way to hide my fear
What kind of fool was I
I could never win, yeah baby俺はただおふざけで
若い時を過ごしてきたんだ
怖がり屋の心を隠そうとしてた
どんだけ馬鹿野郎なんだろうね
俺はやっぱり負け犬なんだな
…ベイビーNow you ask me if I’m sincere
That’s the question that I always fear
Verse seven is never clear
But I’ll tell you what you want to hearそして今 お前は俺が誠実かを尋ねてくる
これこそいつも恐れていた質問なんだ
歌詞の7番はまだはっきりとしてないけど
お前が聞きたいなら話すよI try to give you all you want
But givin’ love is not my strongest point
If that’s the case it’s pointless goin’ on
I’d rather be aloneお前が望むものはすべて捧げてきた
でも与える愛は俺は得意じゃないんだ
この意味のないことを続けるんだったら
独りでいるほうがむしろマシだよ‘Cause what I’m doin’ must be wrong
Pourin’ my heart out in a song
Owning up for prosperity
For the whole damn world to seeだって俺のすることときたら
間違いに決まってるさ
心を込めて歌を歌うしかないんだ
白状すればそれも成功するためなんだ
それを見てるクソッタレの世界にねQuietly now while I turn a page
Act one is over without costume change
The principal would like to leave the stage
The crowd don’t understand台本のページが今 静かにめくられる
衣装替えもなく第一幕は終了
主役は舞台を降りたがってるけど
聴衆はそんなことわからないんだよな…引用:洋楽和訳 Neverending Music 日本語訳 by 音時より
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