今日は、ピーター・フランプトンの誕生日 ”Show Me the Way”をご紹介!
フランプトンという存在の軌跡―少年時代からプロの道へ
ピーター・フランプトンは1950年4月22日、イギリス・ロンドンで生まれました。10代前半からプロ活動を始め、16歳で「ハード」としてレコーディングデビュー。1969年にはスティーヴ・マリオットと共に「ハンブル・パイ」を結成し、英国ロック界で頭角を現します。
1971年にソロへ転向しますが、初期の数作は目立った成功を収められず、アメリカ市場での評価も限定的でした。とはいえ、彼のギタープレイとメロディセンスには定評があり、地道なツアー活動で少しずつファンを増やしていきます。
🎥 ではまず先に、YouTube動画3本をご紹介します。
動画❶:🎥 Peter Framptonによる名演:Show Me the Way(The Midnight Special)
以下は、1970年代のアメリカNBCの人気音楽番組『The Midnight Special』に出演した際の映像です。スタジオ収録ながら臨場感に満ちた演奏で、トークボックスの魅力が存分に味わえます。
✅ 公式動画
クレジット:
Peter Frampton – “Show Me The Way” (Live on The Midnight Special, December 19, 1975)
© The Midnight Special / Reelin’ In The Years Productions
2行解説:
テレビ番組『The Midnight Special』で披露された貴重な1975年のライブ映像。
若きフランプトンの透明なギターサウンドとトークボックスが観客を魅了します。
🎸動画❷ ライブ絶頂期の迫力 ― Peter Frampton「Show Me the Way」1977年7月2日-オークランド公演より
✅ 公式動画
クレジット:
Peter Frampton – Show Me The Way (Live at Oakland Coliseum Stadium, 1977)
© Music Vault / Peter Frampton on MV
2行解説:
1977年のオークランド・コロシアムでの伝説的ライブ映像。
ピーター・フランプトンのトークボックスが炸裂し、70年代ロックの熱狂を体現した名演です。
1977年7月2日にカリフォルニア州オークランド・コロシアム・スタジアムで開催されたライブ映像です。観客数5万人以上を動員したこの公演は、フランプトンが最も勢いに乗っていた時期を象徴しています。中でも「Show Me the Way」の演奏は、トークボックスを駆使した表現力が圧巻で、会場との一体感が映像からも強く伝わってきます。
ギターセンター・セッションでの熟練のパフォーマンス(2013年頃)
✅ 公式動画
クレジット:
Peter Frampton – “Show Me the Way”
© Guitar Center Sessions / DIRECTV
2行解説:
ピーター・フランプトンが名曲「Show Me the Way」を披露したライブ映像。
円熟のギターワークとヴォーカルが光る、貴重なスタジオ・セッション記録です。
こちらはアメリカの音楽番組「Guitar Center Sessions」(DirecTV制作)に出演した際の映像で、比較的最近のパフォーマンスです。年齢を重ねたフランプトンの落ち着きと円熟がにじみ出た演奏で、トークボックスも健在。サウンドも映像も高品質で、彼の現在の魅力が凝縮された内容となっています。
僕がこの曲を初めて聴いたのは・・・
My Age | 小学校 | 中学校 | 高校 | 大学 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60才~ |
曲のリリース年 | 1975 | ||||||||
僕が聴いた時期 | ● |
僕が初めてこの曲を聴いたのは、大学1年か2年の頃です。
それまではピーター・フランプトンのことを多分知りませんでした。1977年リリースの「アイム・イン・ユー」で知り、遡って聴いた形ですね。
当時は、その「アイム・イン・ユー」(I’m In You)の切なさが好きで、これは相当リピしました。でも誕生日の今日紹介するのは、「Show Me The Way」の方です。やはり彼を紹介する一曲としてはこちらの方がふさわしいと感じたからです。(;”∀”)
アップテンポで歯切れとノリがいい曲です。トークボックスが印象的というのもありますね。

ロックの表情を変えた「声を持つギター」
1970年代中盤。アメリカのロックシーンは、ディスコやソウル、シンガーソングライター系の台頭で多様化していました。そんな中、ピーター・フランプトンのライブアルバム『Frampton Comes Alive!』(1976年1月発売)は、思いがけない熱狂を呼び起こします。
中でも注目されたのが、「Show Me the Way」という1曲でした。ギターがまるで“話す”ような演奏。この衝撃的な体験は、当時のリスナーにとって音楽の常識を覆すものでした。

ライブ盤で蘇る『Show Me the Way』
アルバム『Frampton』からの再録音
「Show Me the Way」はもともと、1975年6月に発表された4枚目のスタジオアルバム『Frampton』に収録された楽曲でした。スタジオ版ではさほど注目されませんでしたが、翌年にライブ録音されたことで新たな生命を得ます。
『Frampton Comes Alive!』が切り開いた新章
1976年1月、A&Mレコードから発売された2枚組ライブアルバム『Frampton Comes Alive!』に収録されたこの楽曲は、聴く者に圧倒的な臨場感を与えました。アルバムはアメリカで10週連続1位を獲得し、全米で800万枚、世界では1800万枚近くを売り上げるという空前のヒットとなりました。
トークボックスが音楽の未来を告げた
トークボックスとは何か
「Show Me the Way」で最も印象的なのが、ギターが「話している」ような音。これは「トークボックス」というエフェクト機器を用いた演奏によるものです。ギターアンプから出た音をホースを通じて口腔内へ送り、口の形によって音色を変化させる仕組みです。
この音をマイクで拾い、ギターが“話す”ような効果を生み出します。実際には1973年にボブ・ハイルが開発し、ジョー・ウォルシュらも先に使用していましたが、フランプトンがメインストリームにこの装置を紹介したと言っても過言ではありません。
ギミックに終わらない芸術的表現
フランプトンはトークボックスを単なる奇抜な道具としてではなく、楽曲と感情表現に組み込む手段として活用しました。「Show Me the Way」のイントロで聴ける“ワウ・ワウ”というフレーズは、この曲のシグネチャーサウンドとなり、聴く者の記憶に強く残ります。

歌詞に込められた普遍的メッセージ
「Show Me the Way」の歌詞は、恋愛の迷いや戸惑いを描いたように思えますが、それだけにとどまりません。「道を示してほしい」というフレーズには、若者の不安や模索、自分自身を問い直す姿勢がにじみ出ています。
この“普遍性”こそが、曲の魅力の根幹です。どの時代にも響く問いかけが、聴く者の心に深く浸透したのでしょう。
日本の1976年と『Show Me the Way』
邦楽と洋楽が交錯した時代
1976年の日本では、「およげ!たいやきくん」がミリオンヒットを記録し、都はるみの「北の宿から」や太田裕美の「木綿のハンカチーフ」(大好きでした!)が人々の記憶に残りました。一方で、松任谷由実(当時は荒井由実)やチューリップなど、ニューミュージックの波も押し寄せていました。
洋楽の影響とフランプトンの浸透
この年、イーグルスやクイーンの来日が注目を集める中(僕は運よく両方のライブに行きました)、『Frampton Comes Alive!』も日本の洋楽ファンにじわじわと広まり、FM放送や深夜ラジオを通じて若者の支持を得ていきました。爆発的なヒットではなかったものの、確実に洋楽ファンの心を掴んだ1枚でした。
栄光と試練、そして再評価
「成功の呪縛」と向き合う日々
『Frampton Comes Alive!』の成功は、フランプトンに大きなプレッシャーをもたらしました。続く『I’m in You』(1977年リリースのこの曲も大好きでしたねぇ”)はヒットするも、「前作を超えられない男」という不本意なレッテルを貼られてしまいます。加えて、雑誌の表紙やテレビ出演などで外見ばかりが注目され、音楽家としての評価が一時的に曇った時期もありました。

グラミー賞受賞と晩年の輝き
2006年、フランプトンはインストゥルメンタル作品『Fingerprints』でグラミー賞を受賞。改めて演奏家としての評価を確立しました。2019年には、難病・封入体筋炎の診断を受け、「フェアウェル・ツアー」を開始。ギターが弾けなくなるかもしれないという不安の中、最後まで音楽への情熱を貫き通す姿が世界中のファンに感動を与えました。

トークボックスの遺産と後世への影響
「Show Me the Way」でのトークボックスの活用は、後の音楽表現に大きな影響を残しました。ボン・ジョヴィの「Livin’ on a Prayer」やロジャー・トラウトマンの作品に代表されるように、テクノロジーを“歌う装置”として昇華させるという発想は、オートチューンやボコーダーの先駆けとも言えるでしょう。

まとめ:ギターに声を与えた男の遺産
ピーター・フランプトンの「Show Me the Way」は、単なるヒットソングではなく、テクノロジーと感性を融合させた革新の象徴です。ライブアルバムという形態の可能性を再定義した『Frampton Comes Alive!』と共に、音楽表現の幅を広げる扉を開いたこの曲は、今もなお世界中の音楽ファンの心を掴み続けています。
の曲を初めて聴いたのは・・・♫
コメント