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➡🌈 優しさで世界を変えた兄妹 ― カーペンターズという奇跡💛
🎸【カーペンターズ編】第18位『Solitaire』です。
第18位は『Solitaire』です。
カーペンターズの曲には、人生の静かな場面を切り取るような作品がいくつもありますが、その中で『Solitaire』はとりわけ内面を丁寧に描き出したバラードです。
華やかなサウンドではなく、主人公の心の奥にある“言葉にならない後悔”を積み重ねていく構成で、カレン・カーペンターの低く落ち着いたトーンがその深さを引き出しています。

歌詞の超約
主人公は、愛情がありながらも上手く伝えられず、大切な相手との距離がゆっくりと開いていった男性です。
自分でも気づかぬうちに“無関心”に見えてしまい、その結果として愛は静かに萎えてしまいます。
残されたのは、ひとりで過ごす長い時間と、どうにもならない後悔だけ。
そして彼は、心を閉ざしたまま“ソリティア”というひとり遊びを続けるように、孤独の世界へ沈んでいきます。
🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。
🎬 公式動画クレジット(公式音源) 『Solitaire(Remastered)』/Carpenters(カーペンターズ) Provided to YouTube by Universal Music Group 収録作品:Carpenters Gold レーベル:A&M Records/UMG © Universal Music Group 💬 2行解説 孤独を抱えた主人公の内面を、カレン・カーペンターの深みのある歌声が静かに描き出す一曲。 壮大さではなく“心の陰影”に焦点を当てたバラードで、聴くたびに主人公の後悔と沈黙が輪郭を帯びていきます。
この曲の基本情報と位置づけ
リリース時期・アルバム・チャート成績
『Solitaire』は 1975年のアルバム『Horizon』 に収録され、同年にシングルとしてリリースされました。
チャートは全米17位(Billboard Hot 100)。大ヒット曲群に比べると控えめですが、アルバム全体の落ち着いたサウンドの中で象徴的な存在です。
作詞作曲は Neil Sedaka & Phil Cody。複数のアーティストが取り上げていますが、一般に最も広く知られているのはカーペンターズ版と言われています。
カレンの声質は、原曲の持つ孤独感と非常に相性が良く、歌の地の部分を浮き上がらせるように響きます。

カーペンターズ史の中でのポジション
『Horizon』期のカーペンターズは、初期の明るいポップス路線から一歩踏み込み、より内省的で静かな表現が増えました。
『Solitaire』はその流れの中心にある曲で、カレンの声の“陰影”が最も際立つ作品のひとつです。
派手さはありませんが、聴くほどに深く沈み込むような魅力があり、Best20の中で第18位に置いた理由もそこにあります。
冒頭でつかむ世界観
全体の空気感・ムード
この曲が描くのは、涙を流して嘆くわけではない“静かな失恋”です。
劇的な表現はほぼなく、代わりに、言葉が足りないまま積み重なった寂しさが淡々と広がっていきます。

カレンの歌唱は抑制的で、感情を強く押し出すのではなく、言葉の選び方や声の震えで主人公の内側を描くスタイルです。
そのため、曲全体が“ひとりごとを聴いているような密度”を持っています。
歌詞世界の前半を読み解く
「孤独の始まり」はどこにあったのか
歌詞の冒頭には、
“There was a man”(ひとりの男がいた)
“A lonely man”(孤独な男だった)
と、感情をストレートに示す言葉が並びます。
ここで重要なのは、主人公が“ある出来事で突然孤独になった”のではなく、もともと内面に静かな孤立を抱えていた人物として描かれている点です。
そして続く
“Who lost his love / Through his indifference”(その無関心ゆえに愛を失った)
という一節が、この物語の基調を決定づけます。

“indifference” は「無関心」「無反応」などを指しますが、ここでは
感情がないのではなく、感情を“外に出せなかった”がゆえに、相手に伝わらなかった
というニュアンスが強く感じられます。
愛情は「なかった」のではなく「届かなかった」
サビに進む前のパートでは、彼にも愛情があったことが明確に示されます。
“A heart that cared / That went unshared”(想いはあったが、誰にも共有されなかった)
“Until it died / Within his silence”(沈黙の中でその想いは消えていった)

ここで描かれているのは、激しい別れでも劇的な裏切りでもありません。
ただ、気持ちが言葉にならないまま時間が流れ、気づけば修復できない距離ができていた――そんな種類の喪失です。
また “silence(沈黙)” がキーワードとして繰り返されることで、主人公自身もその結果を受け止めきれないまま、静かに心を閉ざしていく様子が浮かびます。
“Solitaire” の比喩が示すもの
タイトルにある “solitaire” は、ひとりで遊ぶカードゲームのことです。
歌詞前半では、この“独り遊び”が 主人公が逃げ込む静かな部屋 の象徴として扱われています。
“And solitaire’s the only game in town”(街でただ一つの遊びはソリティアだけ)
(=彼には、ひとりで過ごす時間しか残されていない)
“And every road that takes him / Takes him down”(歩き出す道はいつも下へ向かう)
(=選ぶ行動はいつも孤独を深める方向へ進む)
ここに描かれるのは、ドラマティックな絶望ではなく、
ゆっくりと沈んでいく感覚です。
人生の“やり過ごし方”としてのソリティア――それが、歌詞前半で示される主人公の姿です。

歌詞が描く物語と感情の流れ
主人公はどこで“立ち止まってしまった”のか
歌詞後半では、主人公がなぜ孤独な状態から抜け出せないのか、その核心が描かれます。
特に象徴的なのが
“And keeping to himself he plays the game”(彼は胸の内をしまい込んだままゲームを続ける)
(=感情表現を避け続ける生き方から離れられない)
というフレーズです。

彼は単に悲しみに沈んでいるのではなく、
“自分のことを語らないことそのものが、習慣になってしまった”
という状態に陥っています。
この一行は、物語の後半で主人公の“癖になった孤独”を端的に示す非常に重要な描写です。
“Without her love, it always ends the same”
(彼女の愛がなければ、結末はいつも同じ)
このフレーズは、彼の孤独が偶然ではなく“必然”になってしまったことを暗示しています。
相手がどれほど大切であっても、心を閉ざす癖を変えなければ、同じ過ちを繰り返してしまう――。
この部分には、後悔だけで終わらない“人生の癖”への示唆が含まれています。
“Life goes on around him everywhere”
(周囲の人生はどこでも続いていく)
この一行は、彼の静止した時間と対比されるために配置されています。
周囲の人たちは変わり、前へ進み、人生を積み重ねていく。
しかし彼だけが同じ場所に留まり、ソリティアという“動かない時間”を繰り返し続ける。
人生の流れと孤独の停滞が対照的に語られることで、主人公の胸の重さが鮮明になります。
終盤の “A little hope goes up in smoke”(わずかな希望は煙のように消える)
このパートは曲の中で最も短いながら、強烈な余韻を残す部分です。
ここで描かれている“希望”は、主人公が過去に抱いた小さな期待や、もう一度愛が戻るかもしれないという淡い願いのこと。

しかしそれは
“Just how it goes / Goes without saying”(そうなるものだ、わざわざ言うまでもない)
(=もう自分ではどうにもできない)
という諦観へと変わります。
ここで主人公は、自らの弱さを理解しながらも、それを変えることができない現実を受け入れています。
劇的ではなく、静かで重い終わり方――それが『Solitaire』の物語後半の魅力です。
サウンド・アレンジ・歌唱の魅力
メロディは“閉じた円”を描くように進む
メロディラインは大きく跳ねる部分が少なく、同じ範囲をゆっくり上下する“閉じた動き”で構成されています。これは、主人公が同じ場所をぐるぐる回り続ける状態――つまり“ソリティアの円環”を反映したような作りです。

大きな高揚を作らないことで、主人公の気持ちが外に開かず、曲全体が“閉じた世界の記録”として成立する のが特徴です。
この曲を今あらためて聴く理由
他のカーペンターズ作品との違い
カーペンターズには『Close to You』『Top of the World』『I Need to Be in Love』など、前向きさや親しみやすさの中に切なさを織り込む作品が多くあります。
しかし『Solitaire』の魅力は、“救いが提示されないまま終わる”という点にあります。
主人公は最後まで変わらず、前へ進んだ気配すらありません。
曲の中に“希望”は登場しますが、それは“煙のように消える程度の小さな光”でしかありません。

そのためこの曲は、他の曲とは違う角度から“人生の難しさ”を描いており、Best20の中でも特に静かな重みを持つ存在です。
今聴き返すと見えてくるもの
現代のリスナーが聴くと、主人公が抱える悩みは決して特別ではなく、むしろ
“誰もが一度は経験する、人との距離のつかみ方の難しさ”
として胸に触れる部分が多いはずです。
他人とどう向き合うか、気持ちをどう伝えるか――。
その答えを出せないまま時間が過ぎてしまうことは、誰にとっても起こり得ること。
『Solitaire』は、その普遍性を静かなトーンで描いた曲だと言えます。
読者への一言
もし最近ゆっくり音楽を聴けていないなら、夜の落ち着いた時間に『Solitaire』を再生してみてください。
歌声の奥にある物語が、以前とは違う表情で見えてくるはずです。


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