🎸僕の勝手なBest20【エリック・クラプトン編】- 第18位『Running on Faith』をご紹介!

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 ➡エリック・クラプトン物語 ― 栄光と試練のギターレジェンド!

🎸【エリック・クラプトン編】第18位!

第18位は『Running on Faith』です。
イントロが大好きな曲です。「Running on Faith」のイントロは、まさにスライド奏法(スライドギター(エレクトリックギターをボトルネックで弾いた音)による透明感のある響きで有名です。

クラプトンの代表曲では、アップテンポな曲も多いですが、僕は”泣かせるギター”のクラプトンの楽曲もとても好きです。この曲もそのうちの一曲です。

クラプトンの再復活期の楽曲です。

超約

信じる力を頼りに走り続ける
愛が訪れれば世界は再び正しい場所に戻る
苦しい夜もあるが、二人で進めば夢は叶う
この数行に凝縮されるのは、誇張のない希望です。大きなスローガンではなく、生活に持ち運べるサイズの確信——その簡潔さが曲全体の魅力となっています。

🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。

🎬 公式動画クレジット(公式音源)
楽曲名:Running on Faith
アーティスト:Eric Clapton
作曲者:Jerry Lynn Williams
収録アルバム:『Journeyman』(1989年)
提供元:The Orchard Enterprises

2行解説
クラプトンが80年代後期に発表した名バラードで、アルバム『Journeyman』を象徴する一曲です。
信念と愛を頼りに進む心情を描き、ライブではアコースティック版も高く評価されています。
🎬 公式動画クレジット(ライブ音源)
楽曲名:Running on Faith (Acoustic; Live at MTV Unplugged, Bray Film Studios, Windsor, England, 1992)
アーティスト:Eric Clapton
収録アルバム:『Clapton Chronicles: The Best of Eric Clapton』(1999年リリース盤に収録)
作曲者:Jerry Lynn Williams
提供元:The Orchard Enterprises

2行解説
1992年のMTVアンプラグドで披露されたアコースティック版で、オリジナルのバラードを温かく再構築。
スライドギターと深い歌声が響き、クラプトンの代表的ライブパフォーマンスの一つとして高く評価されています。
🎬 公式動画クレジット(アコースティックライブ音源)
楽曲名:Running on Faith (Acoustic Live)
アーティスト:Eric Clapton
収録アルバム:『Unplugged』(1992年)
作曲者:Jerry Lynn Williams
提供元:The Orchard Enterprises
リリース日:1992年8月25日

2行解説
グラミー賞を席巻した名盤『Unplugged』からのアコースティック版「Running on Faith」。
温かみのあるスライドギターとクラプトンの歌声が重なり、オリジナル以上に多くのファンを魅了しました。

リリースと基本情報

『Running on Faith』は、1989年のアルバム『Journeyman』に収録された楽曲で、作者はソングライターのジェリー・リン・ウィリアムズです。シングルとしての表舞台はありませんでしたが、翌1990年に「No Alibis」のB面に収められ、さらに1992年のMTV『Unplugged』で演奏されたことで人気を獲得しました。翌93年にはアメリカのラジオチャートに入り、のちのベスト盤にも収録されるなど、クラプトンの静かな代表曲となっています。

位置づけ

『Journeyman』はクラプトンが80年代の不調を乗り越え、再び評価を得た作品。その中で本曲は、派手さを抑えつつアルバム全体の呼吸を整える“静かな核”を担いました。ハードな曲が並ぶ中で、落ち着いたメロディと歌詞が聴き手の耳を休ませる役割を果たしています。

タイトルが示す世界観

“Running on Faith”という言葉は「信じる力で走る」という直訳以上の含意を持っています。ここでのFaithは宗教的な意味合いではなく、人生をもう一度前に進めるための最後の燃料のような存在です。

“poor boy”の含み

冒頭の「What else can a poor boy do?」(貧しい少年に他に何ができるでしょうか?)に登場する“poor boy”は、単なる貧しさではなく「手立てが限られた存在」という比喩。誇張ではなく、自分の弱さを受け入れつつ「信じるしかない」と語る。その等身大さが歌全体のトーンを決定しています。

歌詞前半の描くシークエンス

歌詞は段階的に進行していきます。

① 不安の夜を描く

Lately I’ve been talking in my sleep”
(最近、寝言を言ってしまう)

心の不安定さを示すフレーズですが、直後に「Except my world will be right(きっと世界は正しい場所に戻る)」と続くことで、絶望に傾きすぎないバランスを保っています。弱さと希望が交互に置かれているのが特徴です。

② 日々を生きる姿勢

“I’ve always been one to take each and every day”
(一日一日を受け止めて生きてきた)

このフレーズは、時間を丁寧に刻む意識を描きます。過去の挫折や孤独を引きずりながらも、日常を小さな単位で積み上げる姿勢。大げさな再生ではなく、現実的な“回復”が表現されています。

補足:希望を断言しない慎重さ

「Seems like by now」という表現が示すのは、願望を“断定”ではなく“そろそろ見つかっていてもいいのに”という控えめな形で述べる姿勢です。歌詞全体に漂う慎重さは、この控えめな言葉選びから生まれています。

③ 他者を巻き込む未来形

サビでは、視点が“I”から“me and you”へと移動します。

“And we go running on faith”
(二人で信じる力を燃料に走る)

これによって曲は、個人の回復から関係の回復へと広がっていきます。さらに「All of our dreams will come true」(私たちの夢はすべて叶う)という夢の実現も、二人で走り続けるという前提のうえに置かれているため、現実味を失わずに響きます。

歌詞後半に漂う慎重さ

曲の後半では、愛を待ち望む姿勢がさらに浮き彫りになります。

控えめな願望表現

“Seems like by now I’d find a love who’d care just for me.”
(そろそろ僕だけを想ってくれる愛に出会っていてもいいのに)

ここで語られるのは“断定”ではなく“推測”。過去に失望を経験した人間だからこその慎重さがにじみます。夢や希望を高らかに叫ぶのではなく、「きっと出会えるはず」という控えめな姿勢が、むしろ誠実さとして響くのです。

最後に示される確信

一方でラストには「Yes it would.」(そうだよね)という短いフレーズが置かれます。小さな言葉ながらも力強く、曲全体を前向きに締めくくる役割を果たしています。ここまでの慎重さがあったからこそ、最後の肯定が強く残るのです。

リフレインの効果

サビ部分では「When love comes over you」「愛があなたに訪れたとき」「All of our dreams will come true」「僕たちの夢はすべて叶う」が繰り返されます。

単なる強調ではない反復

リフレインの目的は“思い込みの押しつけ”ではなく、“安心感”を与えること。前半で現実の厳しさを描いた後に、この反復を置くことで、聴き手は「それでも希望を信じていいのだ」と感じ取れます。

愛=魔法ではなくトリガー

ここでいう“love”は奇跡的な救済ではありません。夢が自動的に叶うわけではなく、“二人で走り続けること”の先に実現するものだと歌は示しています。だからこそ、聴き手は地に足のついた希望として受け止められるのです。

『Unplugged』版の意義

1992年のMTV『Unplugged』で披露されたアコースティック版は、本曲を再び脚光に押し上げました。
(3本目に紹介している動画です)

サウンド面の変化

  • 『Journeyman』版:エレクトリックのスライドギターが柔らかく響き、室内的な質感を持つ。
  • 『Unplugged』版:アコースティックギターのアルペジオが中心となり、テンポもわずかに落ち着き、言葉の意味が浮き彫りに。

ヴォーカルの説得力

クラプトンの歌い方も大きな変化を見せています。張り上げるのではなく、語るように淡々と歌うことで、歌詞に込められた「小さな希望」がより強調されました。この演奏がラジオでのエアプレイを呼び込み、チャート入りを果たしたのです。

『Journeyman』での役割

『Journeyman』全体はロック色の強い楽曲が目立ちますが、本曲はその中で静かな呼吸を与える存在でした。

曲順の中の意味

アルバムは「Pretending」「Bad Love」など力強いナンバーに彩られています。その合間に『Running on Faith』を置くことで、聴き手に内省の時間を与え、アルバムの起伏を豊かにしているのです。

ソングライターの筆致

ジェリー・リン・ウィリアムズはクラプトンに複数の名曲を提供しましたが、本曲では特にシンプルな語彙を用いながら、確信をにじませる構成を作り上げています。飾り気のない言葉だからこそ、クラプトンの歌声が持つ体温が生きるのです。

ユニークなエピソード

B面からの逆転

1990年には「No Alibis」のB面に回されたものの、数年後『Unplugged』版が注目され、結果的にA面曲以上に人々の記憶に残る楽曲となりました。これはクラプトン作品の中でも象徴的な“逆転劇”といえるでしょう。

ベスト盤での扱い

2007年のベスト盤『Complete Clapton』ではスタジオ版ではなく『Unplugged』版が収録されました。ファンが“決定版”として記憶しているのは、電気を抜いたこの演奏だったということです。

まとめ

『Running on Faith』は、1989年のスタジオ版と1992年のアコースティック版、二つの顔を持つ楽曲です。

  • 信じる力を燃料に走る姿
  • 愛が訪れたときに訪れる「世界の回復」
  • 派手さを避けた誠実な言葉選び

これらが重なり、時を超えて愛される“静かな名曲”となりました。クラプトンの音楽人生における「節度ある希望」を象徴する作品、それが『Running on Faith』です。


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