■【フリートウッド・マック】の歴史について詳しくは➡こちらから!
僕の勝手なBest10:フリートウッド・マック(Fleetwood Macleetwood Mac)編―第8位は『Rhiannon(リアノン)』です。
フリートウッド・マック編―第7位は『Rhiannon(リアノン)』です。不思議な雰囲気を持った曲で、耳に残ります。
スティーヴィー・ニックスのしゃがれ気味な高音が印象的な「Rhiannon」は、1975年発表のセルフタイトル・アルバム『Fleetwood Mac』に収録された代表曲です。曲名はウェールズ神話の女神リャノン(Rhiannon)から取られており、ケルト伝承に息づく魔女のイメージをまとったサウンドが、まるで夜空に鳴り響く鈴の音のように聴く者を包み込みます。

🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。
🎵 クレジット(公式情報)✅
タイトル:Rhiannon (2017 Remaster)
アーティスト:Fleetwood Mac
YouTubeチャンネル:Fleetwood Mac(認証済みの公式チャンネル)
提供元:Provided to YouTube by Rhino/Warner Records
著作権表記:© 1975, 2017 Warner Records Inc.
🎧 2行解説
スティーヴィー・ニックスの歌声が冴え渡る、1975年の代表曲「Rhiannon」の2017年リマスター版。幻想的なメロディと神秘的な詞世界が魅力の、Fleetwood Mac黄金期を象徴する名曲です。
📺 ✅ クレジット(公式情報)
タイトル:Fleetwood Mac – Rhiannon (Official Music Video) [HD]
公開日:2018年9月27日
チャンネル:Fleetwood Mac(認証バッジ付きの公式チャンネル)
映像内容:1976年、Studio Instrument Rentalsで収録された「Rhiannon」のライヴ・パフォーマンス(HDリマスター)
オリジナル楽曲:『Fleetwood Mac』アルバム収録(1975年リリース)
🎧 2行解説
1976年に収録されたスティーヴィー・ニックスの圧巻のステージがHDで甦る公式ライブ映像。神秘的な楽曲「Rhiannon」は、彼女の代名詞とも言えるパフォーマンスとして語り継がれています。
1975年:変化と覚醒の年
バンドの新章と『Fleetwood Mac』の誕生
1967年にロンドンで結成されたFleetwood Macは、ブルースロックを基盤として活動していましたが、1974年にスティーヴィー・ニックスとリンジー・バッキンガムが加入すると、バンドは大きな転機を迎えます。1975年リリースのアルバム『Fleetwood Mac』は、ポップロック路線への本格的な転換を示す記念碑的作品であり、「Rhiannon」はその核をなす楽曲でした。シングルは1976年に全米Billboard Hot 100で11位を記録し、新体制の成功を強く印象づけました。
社会とスピリチュアルの潮流
1975年は、音楽だけでなく社会的にも大きな転換期にありました。アメリカやイギリスを中心に、ウーマンリブ運動が新たな局面を迎え、ジェンダー平等を求める声が文化や表現に色濃く反映されるようになります。スティーヴィー・ニックスが象徴するような「強くしなやかな女性像」は、この潮流とも共鳴しており、「Rhiannon」の持つ“神秘的で独立した女性”というイメージはフェミニズムの文脈とも重なって受け止められました。

また、サブカルチャーの広がりもこの時代の特徴です。アメリカではベトナム戦争の終結を背景に、カウンターカルチャーが再定義され、神秘主義や占星術、タロットなど「スピリチュアル」への関心が高まります。「Rhiannon」の持つ魔術的な雰囲気は、まさにこうした時代精神の反映でもあり、若者たちの心をつかんだ理由の一つといえるでしょう。
映画の世界でも『カッコーの巣の上で』(大昔ですが、佐伯市の映画館で観ました!)や『バリー・リンドン』など、個人の内面や時代の矛盾を描く作品が評価され、商業映画と芸術映画の境界を揺るがす動きが活発になっていました。こうした背景の中で、「Rhiannon」は音楽と物語性が融合した作品として注目を集めたのです。
「Rhiannon」が生まれた瞬間
着想源は神話と偶然の出会い
ニックスはロンドン滞在中に偶然手にした『The Mabinogion(マビノギオン)』という中世ウェールズ神話集に強いインスピレーションを受け、「Rhiannon」という神秘的な女性を軸に歌詞を書き上げました。この楽曲の物語性は、神話的要素と個人的体験の絶妙なブレンドによって成り立っています。

録音の舞台裏と音響設計
レコーディングはロサンゼルスのサウンド・シティ・スタジオにて行われ、プロデューサーのキース・オルセンが幻想的なリバーブと空間設計で、聴く者を異世界へ誘うような音像を構築しました。
楽曲の構造と詩情
アレンジと演奏の特徴
イントロのアコースティックギターは比較的単純なコード進行で構成されていますが、リンジー・バッキンガムによるアルペジオの運び方とエフェクトの重ね方が非常に繊細で、曲全体に神秘性を与えています。ミック・フリートウッドとジョン・マクヴィーの堅実なリズム隊が基盤を支えています。
ボーカルの演出
スティーヴィー・ニックスの声は、囁くような低音から高らかに響く高音まで、非常にダイナミックなレンジを持ちます。特に「Rhiannon rings like a bell through the night」(リアノンは夜通し鐘のように鳴り響く!) の一節は、彼女の代表的な歌唱スタイルとしてファンに深く刻まれています。

歌詞の象徴性と詩的深度
「She is like a cat in the dark, and then she is the darkness」(彼女は暗闇の中の猫のようで、そして彼女自身が暗闇そのもの)という詩句は、女性の多面性を象徴しており、リャノンという女神の属性と人間の感情が重なり合っています。「Would you stay if she promised you heaven?」(彼女があなたに天国を約束したとしても、あなたはそこに留まりますか?)という問いかけは、幻想と現実の交錯する境界線に立たされる聴き手を、より深い内省へ導きます。
多様な背景と影響
世界の音楽地図と「Rhiannon」の異彩
同年にはビージーズ「Jive Talkin’」、ピンク・フロイド『Wish You Were Here』、レッド・ツェッペリン『Physical Graffiti』などがリリースされ、音楽ジャンルは百花繚乱の時代を迎えていました。そのなかで「Rhiannon」は、フォークロックと神秘主義の稀有な融合を体現した作品として独自の存在感を放っていました。
日本のリスナーにも波及
1975年の日本では吉田拓郎や南こうせつらのフォーク全盛時代であり、その一方で映画『ジョーズ』の大ヒットにより欧米文化への関心が高まっていました。そんな中、「Rhiannon」のような神秘的かつメロディアスな楽曲は、日本の洋楽ファンにとって新鮮かつ刺激的な体験だったのです。

舞台で魔法が実体化する瞬間
ステージで魅せるスティーヴィー
1975年からのライブパフォーマンスでは、スカーフをなびかせながら舞うスティーヴィー・ニックスの姿が印象的で、「魔女のよう」とも称されました。これは彼女のキャリアを決定づける象徴的イメージとなり、後年の再結成ツアーでも演出として継承されました。

ファンの間での受容と継承
2003年や2014年の再結成ツアーでは、ライブのハイライトとして必ずセットリストに組み込まれ、観客が一斉にサビを合唱する光景は、時代を超えた楽曲の力を証明しています。
後世への影響と新たな再発見
フォロワーに与えた文学的影響
「Rhiannon」は、トーリ・エイモス、フィオナ・アップル、フローレンス・アンド・ザ・マシーンなど、詩的で内省的な女性シンガー・ソングライターたちに直接的な影響を与えた作品として位置づけられます。ニックスの“書くように歌う”手法は、多くのアーティストの創作スタイルに影響を及ぼしました。

デジタル時代における再評価
ストリーミングプラットフォームやSNSの普及により、「Rhiannon」は若い世代にとっても“魔法の入口”となっています。2024年のリマスター版ではギターのディテールやリズムのゆらぎがより際立ち、アナログとデジタルの美学が融合した新たな魅力が加わりました。
結語:永遠に風に舞う女神の歌
「Rhiannon」は、神話・文学・音楽・ビジュアル表現のすべてが交錯する、フリートウッド・マックの創作世界の中でも特に高い芸術性を持つ楽曲です。

『 Rhiannon』(Fleetwood Mac)―:意訳
風の中に現れては消える女、リアノン。
夜を貫く鐘のように響くその名は、自由と神秘の象徴。
空を翔ける鳥のように、高く遠くへと舞い上がる彼女を、
誰が本当につかまえ、愛せるというのだろうか。彼女は闇夜にしなやかに歩む猫のようで、
ときに自らを闇に溶け込ませる。
光のない空の下でさえ、自分の人生を
ひとつの法則として支配している。
「天国を約束したら、そばにいてくれる?」
そんな問いに、あなたは答えられるだろうか。
愛の勝者になることはできるのか――
それとも、いつまでも風にさらわれるだけなのか。夢がほどけ、愛は心の状態に過ぎないと悟るとき、
彼女の姿は、ただひとつの問いを残して夜に消える。
「本当に、愛とは何なの?」
by Ken
コメント