【7月17日】は、チェット・マクラッケンの誕生日『Listen To The Music』-(ドゥービー・ブラザーズ)をご紹介!

ドゥービー・ブラザーズがコンサートで歌っている感じの画像
  1. 今日7月17日はチェット・マクラッケンの誕生日
      1. グラミー候補にもなったドラマー、チェット・マクラッケンの軌跡
      2. まずはYoutube動画(公式動画)からどうぞ!!
    1. 僕がこの曲を初めて聴いたのは・・・♫
  2. 1972年、アメリカに鳴り響いた“癒し”と“希望”の音楽
      1. 社会不安と音楽への期待が交錯した時代
  3. 歌詞が語る「音楽を鳴らそう」という素直なメッセージ
  4. なぜ理由を尋ねないでほしいのか?
  5. 一方、その頃の日本は──1972年の国内風景
      1. 札幌オリンピックと列島改造論の熱狂
  6. フォークソングと洋楽の二層構造
      1. 自己表現と消費文化のはざまで
  7. 『Listen To The Music』に宿るウエストコースト・ロックの魔法
      1. ツインギターとツインドラムが生む立体的サウンド
  8. ドゥービー・ブラザーズの音楽的個性とは何か?
      1. エネルギッシュでダイナミックなリズム構造
  9. 音楽ジャンルを越境する懐の深さ
      1. R&B、カントリー、ロックの融合
  10. ライブでこそ真価を発揮するアンセム
  11. 絶え間ない進化がドゥービー・ブラザーズを支えてきた
      1. 初期トム・ジョンストン期のワイルドなロック
  12. マイケル・マクドナルド期によるAOR路線への進化
      1. 洗練とソウル感の融合
  13. チェット・マクラッケンが担った役割
      1. 実力派ドラマーとして“過渡期”を支えた
  14. 解散、再結成、殿堂入り──その後のドゥービー・ブラザーズ
      1. バンドの命は“更新”と“共鳴”
  15. おわりに:音楽はいつも、言葉よりも早く届く
      1. 音楽が持つ力の“証明”としての1曲

今日7月17日はチェット・マクラッケンの誕生日

グラミー候補にもなったドラマー、チェット・マクラッケンの軌跡

ドゥービー・ブラザーズのドラマーとして後期を支えたチェット・マクラッケン(Chet McCracken)は、1946年7月17日生まれで、アメリカの名セッション・ドラマーです。彼がバンドに加入したのは1979年。1980年に発表されたアルバム『One Step Closer』では、自身が作曲したインストゥルメンタル曲「South Bay Strut」がグラミー賞にノミネートされるなど、その存在感は確かなものでした。

在籍期間は1982年のバンド解散までと決して長くはなかったものの、その間に築かれた演奏とアンサンブルのクオリティは、ドゥービー・ブラザーズの音楽的深化に大きく貢献したといえるでしょう。

今回は、彼の誕生日にあわせて、彼の加入前にリリースされた不朽の代表曲『Listen To The Music』をあらためて紹介したいと思います。

まずはYoutube動画(公式動画)からどうぞ!!

✅ 公式クレジット
チャンネル名:The Doobie Brothers(認証バッジ付き・登録者数29.1万人)
動画タイトル:The Doobie Brothers - Listen To The Music (Official Audio)
リリース情報:1972年のアルバム『Toulouse Street』収録曲
公開日:2025年4月5日

🎵 2行解説
1972年発表、The Doobie Brothersの代表作。
軽快なギターとコーラスが生む、“音楽を楽しむ”喜びの結晶。
🎬 公式動画クレジット
アーティスト名:The Doobie Brothers
曲名:Listen To The Music (Reprise)
収録公演:Live From The Beacon Theater(2018年11月、ニューヨーク)
公開日:2020年11月14日(YouTube公式公開)

📝 2行解説(例)
2018年に開催された「ビーコン・シアター」での熱演を公式映像として公開。代表曲「Listen To The Music」の再演が、円熟のサウンドで響き渡ります。

僕がこの曲を初めて聴いたのは・・・♫

My Age 小学校中学校高校大学20代30代40代50代60才~
曲のリリース年1972 
僕が聴いた時期

僕がこの曲を初めて聴いたのは大学に入ってからです。

食わず嫌いではなく、単にご縁がなかっただけです。大学のクラスメイトでドゥービー好きがいて、彼から聴かせてもらったんですね。

お互い洋楽好きではありましたが、少しだけ傾向が違っていました。僕はポップスからロックという一般ピープルと同傾向の流れで聴いてきまたが、彼は玄人好みというか、僕が良く知らない洋楽を聴いていた気がします。そういえば、ジム・クロウチが好きだと言っていた記憶がありますね。

そんな経緯で知ったドゥービーですが、以前『Long Train Running』という楽曲を紹介しましたが、知名度は断然今回の方が上です。ドゥービーと言えば・・・で真っ先に紹介される曲ではないでしょうか?


1972年、アメリカに鳴り響いた“癒し”と“希望”の音楽

社会不安と音楽への期待が交錯した時代

1972年、ドゥービー・ブラザーズは『Listen To The Music』をリリースしました。ベトナム戦争の泥沼化が続き、徴兵制度への反発、反戦運動、政治不信が社会を覆っていた当時のアメリカ。街頭ではデモが絶えず、テレビには連日、戦場の惨状が映し出されていました。

しかしその一方で、ニクソン大統領が中国を訪問し、冷戦体制に変化の兆しが現れはじめるなど、希望を見出せるような動きもありました。そんな激動の時代背景の中、音楽が人々の心を癒す役割を果たすべきだと信じたトム・ジョンストンは、この曲を作り上げました。


歌詞が語る「音楽を鳴らそう」という素直なメッセージ

『Listen To The Music』の歌詞は、難しい言葉を避け、誰にでも伝わるシンプルな英語で綴られています。その中には、混乱する世界の中でも「音楽を鳴らそう」と呼びかける素朴で力強いメッセージが込められています。

Don't you feel it growing, day by day
(日ごとに大きくなっていく何かを感じないかい?)
People getting ready for the news
(人々は新しいニュースに備えている)
Some are happy, some are sad
(嬉しい人もいれば、悲しむ人もいる)
Oh, we got to let the music play
(でも、僕らは音楽を鳴らさなきゃいけないんだ)

繰り返されるサビの「Whoa, listen to the music」というフレーズも、理由を問わずにただ音楽を受け入れてほしいという、ストレートな願いそのものです。

Oh now mama, don't you ask me why
(ねえ、ママ、理由なんて聞かないで)
Just listen to the music
(ただ音楽を聴いてくれればいいんだ)

トム・ジョンストンは、言葉では説明しきれない思いを、音楽というかたちで伝えようとしました。「感じることこそがすべて」という信念が、この楽曲全体を貫いているのです。


なぜ理由を尋ねないでほしいのか?

Oh now mama, don't you ask me why
(ねえ、ママ、理由なんて聞かないで)

Just listen to the music
(ただ音楽を聴いてくれればいいんだ)

トム・ジョンストンのこの表現には、言葉で説明できない感情を音楽が代弁してくれるという信念が込められています。誰かに「なぜ?」と尋ねられたとき、彼は答えを持っているわけではありません。ただ「感じてくれ」としか言えなかったのです。

そして、その“感じること”こそが、音楽において最も重要なのだと、彼は信じていたのでしょう。


一方、その頃の日本は──1972年の国内風景

札幌オリンピックと列島改造論の熱狂

1972年、日本では札幌冬季オリンピックが開かれ、スキージャンプの選手たちが金・銀・銅の表彰台を独占し、国民は歓喜に沸きました。日本中がひとつになって盛り上がったこの出来事は、「国際社会の中の日本」を強く意識させる転機でもありました。

また、同年には田中角栄内閣が誕生し、「日本列島改造論」が提唱されます。新幹線や高速道路の全国整備を柱とする大規模な成長戦略が進行し、「経済が生活を変えていく」という実感を多くの人が抱いた時代です。


フォークソングと洋楽の二層構造

自己表現と消費文化のはざまで

音楽シーンでは、吉田拓郎『結婚しようよ』井上陽水『傘がない』といったフォークの名曲が生まれ、若者たちの間で“自分の言葉で歌う”ことへの関心が高まっていました。一方、洋楽の世界ではレッド・ツェッペリンやピンク・フロイドといったロックバンドが来日公演を行い、その影響は計り知れません。

そんな中で、ドゥービー・ブラザーズの『Listen To The Music』は、開放的で風通しのよいサウンドと、直感的な歌詞で、多くの日本人リスナーの心をつかんでいきました。


『Listen To The Music』に宿るウエストコースト・ロックの魔法

ツインギターとツインドラムが生む立体的サウンド

『Listen To The Music』を聴くとまず耳に残るのが、イントロから鳴り響く特徴的なギターのカッティングです。(とても爽快な気分にさせてくれます)。これは作曲者トム・ジョンストンが考案したリフで、ディレイ(エコー)をかけて浮遊感のある響きを作り出しています。この響きこそが、ウエストコースト・ロックの軽やかで爽快な空気感を体現しているといえるでしょう。

ギターは2人、トム・ジョンストンとパトリック・シモンズのツイン体制。左右から異なるフレーズが飛び交うことで、音の厚みと動きが生まれ、立体的なサウンド空間を作り出します。

それを下支えしているのが、ジョン・ハートマンとマイケル・ホサックによるツインドラム。2人のドラマーがリズムを分担することで、単なる8ビートでは終わらない、グルーヴィーでダイナミックなリズムが生まれています。まるで生き物のようにうねるこのドラムアンサンブルこそが、他の西海岸系バンドと一線を画す要素といえるでしょう。


ドゥービー・ブラザーズの音楽的個性とは何か?

エネルギッシュでダイナミックなリズム構造

ウエストコースト・ロックといえば、イーグルスやジャクソン・ブラウンなど、ややメロウな印象のあるバンドが多い中で、ドゥービー・ブラザーズは特に“リズム”を重視したバンドです。

彼らの演奏は、R&Bやブルースの土台を持ちながらも、ファンクやカントリーのエッセンスも柔軟に取り入れており、そのサウンドは実に多彩。楽器同士が「会話」しているような絶妙な絡みが特徴です。

特に『Listen To The Music』では、ギター、ベース、ドラム、コーラスがそれぞれ独立した個性を持ちながらも、全体として統一感を保っており、“混ざり合ってなお心地よい”という絶妙なバランスが保たれています。


音楽ジャンルを越境する懐の深さ

R&B、カントリー、ロックの融合

バンド内で、トム・ジョンストンがロック/R&B色を、パトリック・シモンズがカントリー/フォーク色を、それぞれ担っていたため、自然と「多層的」な音楽が形成されていきました。

『Listen To The Music』はその象徴ともいえる作品で、ジャンルの壁を超えて、“気持ちのいい音楽とは何か”を追求した結果として、この曲が誕生したのだと感じさせられます。


ライブでこそ真価を発揮するアンセム

『Listen To The Music』は、ライブでこそ本領を発揮する楽曲です。特にサビの「Whoa, listen to the music」というフレーズでは、観客が自然と歌い出し、会場全体が一体となる瞬間が生まれます。

Whoa, listen to the music
(ほら、音楽を聴いてごらん)
All the time
(いつだって)

このシンプルで親しみやすいメロディは、演奏者と聴衆との“コール&レスポンス”を引き出し、音楽を通じた共鳴を体験させてくれます。演奏の完成度だけでなく、その場にいる誰もが「参加者」になれる感覚こそが、ドゥービー・ブラザーズのライブの魅力なのです。


絶え間ない進化がドゥービー・ブラザーズを支えてきた

初期トム・ジョンストン期のワイルドなロック

ドゥービー・ブラザーズは、メンバーの入れ替わりが非常に多いことで知られています。その歴史は、大きく二つの時代に分けられます。

ひとつは、創設メンバーであるトム・ジョンストンが中心となっていた初期の時代です。この時代のバンドは、まさに“ロックンロールの爆発力”を体現しており、『Listen To The Music』や『Long Train Runnin’といった代表曲がこの時期に生まれました。

ファンキーで泥臭く、ギターリフが印象的な曲が多く、ツインドラムの推進力とギターの絡み合いによって、ウエストコースト・ロックの骨格を形成していきました。


マイケル・マクドナルド期によるAOR路線への進化

洗練とソウル感の融合

1975年、トム・ジョンストンの体調不良により、バンドは一時的に活動の方向転換を余儀なくされます。そこに加入したのが、スティーリー・ダン出身のキーボーディスト兼ヴォーカリスト、マイケル・マクドナルドでした。(これはすごい出来事だったと思います!!)

彼の加入により、バンドのサウンドは一変します。よりソウルフルで、コード進行やハーモニーに洗練を加えた“都会的なAORスタイル”へとシフト。『What a Fool Believes』などのヒット曲を生み、グラミー賞も獲得するなど、バンドは新たな成功を手にしました。


チェット・マクラッケンが担った役割

実力派ドラマーとして“過渡期”を支えた

チェット・マクラッケンが加入したのは、まさにこの“変革の渦中”でした。マイケル・マクドナルド主導のAOR路線と、かつてのファンキーなドゥービー・サウンドがせめぎ合う時期に、彼はドラマーとしてバンドに安定感をもたらします。

彼は、ジョー・ウォルシュスティーヴィー・ニックスといった錚々たるアーティストたちとも共演経験を持ち、ジャズ・ロックやフュージョンもこなすテクニシャンでした。そんなマクラッケンだからこそ、ロック/ファンク/ソウルといった幅広いジャンルをまたぐドゥービー・ブラザーズのリズムセクションを無理なく成立させることができたのです。


解散、再結成、殿堂入り──その後のドゥービー・ブラザーズ

バンドの命は“更新”と“共鳴”

1982年、バンドは一度解散しますが、1987年には再結成。その後もメンバー構成を変えながら活動を継続し、2020年にはロックの殿堂(Rock and Roll Hall of Fame)入りを果たしました。

この半世紀に及ぶ歩みの中で、ドゥービー・ブラザーズは何度も音楽性を“更新”してきました。そのたびにリスナーとの“共鳴”を再構築し、世代を越えて支持されてきたのです。

おわりに:音楽はいつも、言葉よりも早く届く

音楽が持つ力の“証明”としての1曲

『Listen To The Music』は、メッセージソングというよりは、“音楽そのものがメッセージ”であるような作品です。説明より体感、理屈より感覚。音楽がなぜ人の心を打つのかを、言葉ではなく実際に聴いて“理解”させてくれる存在です。

チェット・マクラッケンという才能も、そのメッセージの一端を確かに支えてきました。

本日7月17日、彼の誕生日にあらためてこの曲を聴いてみてください。そこには、世代を超えて受け継がれる“音楽の力”が確かに存在しています。

『Listen To The Music』ドゥービー・ブラザーズ意訳

心をふさいでいても
音楽が流れ出せば
誰の顔にも微笑みが戻る
悲しみにも喜びにも
リズムがそっと寄り添ってくれる

日々のニュースに揺れる中で
僕らは歌に希望を託し
踊ってブルースを吹き飛ばす
自然に囲まれた一日でも
きっと何かが変わるはず

感じてほしい この高鳴りを
ただ音楽を聴いてほしい
ずっと 途切れることなく
世界をつなぐように
音楽に耳を澄ませて――

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