今日(5月21日)はレオ・セイヤーの誕生日!
レオ・セイヤー(Leo Sayer)は、1948年5月21日、イギリス・ウェストサセックス州ショアハム・バイ・シー生まれのシンガーソングライターです。1970年代から80年代にかけて「You Make Me Feel Like Dancing」や「When I Need You」などのヒットで世界的な人気を博し、1980年には「More Than I Can Say」が全英・全米で大ヒット。温かく伸びやかな歌声と誠実な人柄(動画の表情でもわかります!)で、現在も活動を続けています。
まずはYoutubeの公式動画をご覧ください。
【クレジット】
曲名: More Than I Can Say
アーティスト: Leo Sayer
アルバム: Living in a Fantasy(1980年)
作詞・作曲: Sonny Curtis / Jerry Allison(もともとはThe Cricketsによる楽曲)
配信元: Leo Sayer公式チャンネル(YouTube認証済)
【2行解説】
もともとThe Cricketsによって書かれた名曲を、Leo Sayerが80年代初頭に優しくリメイク。
彼の繊細な歌声と柔らかなアレンジが、普遍的な愛の想いを丁寧に歌い上げています。
僕がこの曲を初めて聴いたのは
My Age | 小学校 | 中学校 | 高校 | 大学 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60才~ |
曲のリリース年 | 1980 | ||||||||
僕が聴いた時期 | ● |
僕がこの曲を初めて聴いたのは、大学3年生の時。お馴染みの世田谷区の安アパートの自室です。
1976年にレオ・セイヤーは「When I Need You」という曲をリリースしており、この曲が大好きだったんですね。作詞作曲は、前出の「アルバート・ハモンド」です。アルバートもセルフカバーを出していますが、レオセイヤ―の歌唱もとても魅力的でした。
そんな経緯もありレオ・セイヤ―の新曲ということで、リリース当時に聴いたはずです。
アルバート・ハモンドとの聴き比べも面白いと、最初はWhen I Need Youも考えましたが、やはり総合的にこの曲が一枚上手!ということでご紹介します。
綺麗な歌声の持ち主ですが、声の表情がつややかなんですね。ぜひお聴きください。
永遠のラブバラードを解き明かす:レオ・セイヤー「More Than I Can Say」の秘密
イントロダクション:愛の言葉を超えて響くシンプルさ
レオ・セイヤーの「More Than I Can Say」は、1980年にシングルとして発表されて以来、世界中のリスナーを魅了し続けてきた名曲です。軽やかなアコースティックのイントロに始まり、「言葉では伝えきれないほど君を愛している」という一節が、聴く者の心に深く染み渡ります。このバラードは、ラブソングの枠を超え、誕生の背景、当時の社会情勢、レオ自身のキャリアと密接に絡み合うことで、より豊かな物語性を帯びています。この記事では、楽曲の歴史や影響、隠れた逸話までを交えて、その魅力を多角的に探っていきます。
レオ・セイヤーとは何者か?:異色の経歴と音楽性
レオ・セイヤー(本名ジェラード・ヒュー・セイヤー)は1948年5月21日、イギリス・ウェストサセックス州ショアハム・バイ・シーに生まれました。北アイルランド系の母とイングランド人の父を持ち、自然豊かな環境で育った経験が、後の彼の音楽にナチュラルな温もりをもたらしました。
若き日にはグラフィックデザインを学び、ロンドンで広告デザイナーとして働いていましたが、夜はフォーククラブでハーモニカを奏でるパフォーマーとして音楽に没頭していました。1973年にマネージャーのアダム・フェイスに見出されて音楽業界入りし、2作目のシングル「The Show Must Go On」が全英2位を記録。(この曲は、Three Dog NightやQueenなどにカバーされています!!)ピエロのメイクでのテレビ出演は、観る者に強いインパクトを残しました。

1977年には「You Make Me Feel Like Dancing」でグラミー賞を受賞し、「When I Need You」では全米・全英1位を獲得。ソングライターとしても評価が高く、クリフ・リチャードやロジャー・ダルトリーにも楽曲を提供しています。2009年にはオーストラリア市民権を取得し、現在も世界各国でライブ活動を続けています。
加えて、彼のキャリアはジャンルを横断する柔軟性に満ちており、フォーク、ポップス、バラードを自在に行き来するアーティストとして、その存在感を保ち続けています。
1980年の社会と音楽:変化の時代の中で
世界の音楽シーン:ディスコからAORへ
1980年は、音楽史において過渡期とも言える年でした。ディスコブームが終焉を迎え、代わってソフトロックやAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)が台頭。クリストファー・クロス、エア・サプライ、ケニー・ロジャースといったアーティストが台頭し、繊細でメロディアスな楽曲が求められるようになっていきました。

そんな中で「More Than I Can Say」は、シンプルで心地よいアレンジと、普遍的な愛のメッセージによって広く支持を集め、時代の潮流に乗ったヒット曲となったのです。チャート全体が変化を迎える中で、派手なプロダクションに頼らないこの作品は、むしろ新鮮に響いたとも言えるでしょう。
日本の音楽文化:洋楽とのクロスオーバー
日本では1980年、山口百恵の引退、松田聖子のデビュー、ピンク・レディーのアメリカ挑戦など、邦楽も大きく動いた年でした。洋楽に関してもFMラジオの普及と共に、イギリスやアメリカのチャートが日常的に紹介されるようになり、「More Than I Can Say」は洋楽ファンの間で静かに人気を獲得していきました。

加えて、当時の若者文化は洋楽と邦楽を分け隔てなく楽しむ空気に満ちており(僕たちですね!!)、深夜ラジオや音楽雑誌での紹介を通じて、レオの楽曲は日本国内でも広く認知されていきました。
カバーから生まれたヒット:名曲への再発見
この曲の原曲は、1959年にソニー・カーティスとジェリー・アリソンがザ・クリケッツとして発表した作品です。1961年にはボビー・ヴィーによるバージョンも登場し、これをきっかけに名曲として静かに認知されていました。
レオ・セイヤーがこの楽曲に出会ったのは、テレビCMで流れたボビー・ヴィー版がきっかけだったと言われています。懐かしさに駆られてレコードを買い、その日のうちにカバーを決意、深夜にレコーディングまで完了させたというエピソードも語られています。

彼のアレンジはテンポをやや上げ、アコースティックギターの心地よさを生かした現代的なアプローチで、原曲に新しい命を吹き込みました。1980年10月にシングルリリースされ、全英・全米チャートで2位を記録。アダルト・コンテンポラリーチャートでは3週連続1位を達成し、オーストラリアでは見事1位となりました。
このような再発見型のヒットは、1980年代の音楽界においても稀有な事例であり、カバーの力を再認識させる出来事となったのです。
音楽的魅力と歌詞の力:耳と心を包む温もり
メロディー:素朴で洗練されたコード進行
Cから始まるおなじみのコードの流れで作られたこの曲は、誰でも自然に口ずさめるような親しみやすさがあります。リズムも速すぎず遅すぎずちょうどよく、アコースティックギターのやさしい音色が全体を包みこみます。その音の雰囲気は、昔のカセットテープやレコードで聴いたような、懐かしくてあたたかい感じを思い出させてくれます。

特に印象的なのは「Oh-oh, yay-yay」のフレーズ。実は原曲制作時の仮歌詞だったとも言われますが、結果的にこの曖昧な言葉がリスナーの耳に残るフックとなりました。(確かにそうですね!)
歌詞:言葉では足りない想い
「I love you more than I can say(言葉では言い表せないほど君を愛している)」というフレーズを中心に、別れや不安、再会への願いが織り込まれた歌詞は、シンプルながらも深い余韻を残します。愛の形を誇張せず、静かに語りかける姿勢が、時代や世代を超えて共感を呼ぶ所以です。
また、現代のデジタル時代において、このような飾らない直球のラブソングは、逆に新鮮に響き、ストリーミング世代にも広く受け入れられています。

映像戦略と意外なプロモーション手法
MTV前夜のミュージックビデオと飛行機内での先行試聴:ユニークな拡散
1981年にMTVが開局する直前、レオ・セイヤーの楽曲はすでにミュージックビデオという手法でプロモーションが行われていました。派手な演出ではなく、自然な雰囲気のまま歌い上げる姿は、視聴者に強い親近感を与えました。
当時レオは欧州とオーストラリアを往復するツアーの途中で、飛行機の客室乗務員の提案で「More Than I Can Say」を機内放送で流すことになりました。この草の根的なプロモーションが、乗客のリクエストを呼び、後のチャートアクションにも貢献したとされます。

こうした人間味あるエピソードこそが、レオ・セイヤーという人物の魅力を物語っているのかもしれません。
ソフトロックの中の立ち位置と現代の再評価
時代を超える表現力
エア・サプライやバリー・マニロウ、ケニー・ロジャースらが活躍した80年代初期のソフトロック(この辺りもよく聴いていました!)において、レオ・セイヤーの歌唱はよりナチュラルで誠実さが際立っていました。派手さを抑え、聴き手に静かに語りかけるスタイルは、現代のシティポップやローファイポップにも通じる部分があります。
また、レオの発声にはフォーク出身ならではの自然な抑揚があり、どの楽曲にも「語り」のような温かさを与えてくれます。
結びに:素朴さと普遍性が宿る永遠のバラード
レオ・セイヤーの「More Than I Can Say」は、60年以上前に生まれた原曲をもとにしながら、1980年代の音楽的潮流を見事に反映したバラードとして、今なお多くの人の心に生き続けています。
音楽は派手である必要はない——言葉にならない想いを、静かに、誠実に届けることの大切さを、この曲は私たちに教えてくれます。ぜひ、今夜もう一度、このバラードに耳を傾けてみてください。
『More Than I Can Say(星影のバラード)』― Leo Sayer
言葉ではとても言い表せないけれど、
君のことを、本当に――どうしようもないほど愛している。
明日になれば、今日よりもっと、
きっともっと深く、君を想っている自分がいるはずだ。会えない日には、君のことばかり考えてしまう。
心のすき間にふいに君が入りこんで、
どうしてだろう、ただそれだけで胸がしめつけられる。ねえ、教えてほしい。
君は僕のこと、少しでも想ってくれてる?
それとも、僕だけがこんなふうに泣いたりしているのかな。
答えなんてなくても、声が聞きたくてたまらない夜がある。それでもやっぱり――僕は君が好きだ。
どれだけ時が過ぎても、何度だって言いたくなる。
明日も、その次の日も、
君のことを想わない日はないと思う。「愛してる」なんて、そんな簡単な言葉じゃ伝えきれない。
でも、それでも――僕は、君を愛してる。
by ken
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