僕の勝手なBest10:【ジャーニー(Journey)】編-第8位『Feeling That Way』〜夕暮れの風に溶ける、ふたつの声が織りなす奇跡〜


🎧 この記事を音声で楽しむ

🎵 日本語ナレーション

再生ボタンを押すと、この記事の内容を日本語音声で聞くことができます。

🎶 英語ナレーション

この記事の英語ナレーションを聞くことができます。

※ 先に音声を聞いてから本文を読むと、楽曲の背景や評価のポイントをより立体的に理解できます。

🌐 日本語版 🌐 英語版

第8位は『Feeling That Way』です

ジャーニーの輝かしい歴史を紐解く「僕の勝手なBest10」。第8位に選んだのは、1978年にリリースされた彼らにとって4枚目のスタジオ・アルバムにして、バンドの運命を決定づけた名盤『Infinity(インフィニティ)』に収録されている『Feeling That Way(フィーリング・ザット・ウェイ)』です。

ジャーニーというバンドを語る上で、このアルバム『Infinity』は決して避けて通ることのできない、極めて重要なマイルストーンです。なぜなら、この作品から稀代のボーカリストであるスティーヴ・ペリーが加入し、バンドのサウンドが劇的な進化を遂げたからです。それまでのプログレッシブ・ロック色の強いインストゥルメンタル主体のサウンドから、よりメロディアスで洗練されたアリーナ・ロックへと舵を切った記念碑的な作品と言えるでしょう。

その中でも『Feeling That Way』は、初期ジャーニーのブルージーな空気感と、新境地となるポップでキャッチーなメロディが、これ以上ないほど美しいバランスで融合した奇跡の一曲です。ファンにとっては、次のトラックである『Anytime』とメドレーのように連続して演奏されることでもお馴染みで、ライブでも欠かせない重要なレパートリーとなっています。

超訳

君に出会って、世界の見え方が変わった。
あの夏の記憶と想いが、今も心を揺らし続けている。
同じ気持ちでいてくれるのか、それとも自分だけなのかと迷いながら。
それでも愛しい人を想い続け、答えを探している

まずは公式音源でお聞きください

日本語クレジット
Feeling That Way
アーティスト:Journey(ジャーニー)
作詞・作曲:Steve Perry / Neal Schon / Gregg Rolie
収録アルバム:Infinity(1978)
レーベル:Columbia Records
2行解説
1978年のアルバム『Infinity』収録曲で、スティーヴ・ペリー加入後の新生Journeyを象徴するロックナンバー。
ツインボーカルとドラマチックな展開が特徴で、後続曲「Anytime」と続けて聴かれることが多い代表的楽曲。
日本語クレジット
Feeling That Way
アーティスト:Journey(ジャーニー)
作詞・作曲:Steve Perry / Neal Schon / Gregg Rolie
収録アルバム:『Infinity』(1978)
レーベル:Columbia Records

2行解説
スティーヴ・ペリー加入後初期のJourneyを代表する1978年のロック楽曲。
力強いツインボーカルとライブ感のある演奏が特徴で、次曲「Anytime」との連続構成でも知られる名曲。

グレッグとスティーヴ、奇跡のツイン・リードボーカル

えっ!! Bostonの曲???と思える出だしですが・・・・( ;∀;)

この楽曲の最大の魅力は、なんと言ってもグレッグ・ローリーとスティーヴ・ペリーによる「ツイン・リードボーカル」の美しさに尽きます。

曲の冒頭、静かなピアノのイントロに導かれるように歌い出すのは、キーボード奏者であり初代リードボーカリストでもあるグレッグ・ローリーです。彼の少し翳りのある、ブルージーで深みのある声は、過ぎ去った時間への郷愁や、心の奥底にあるわずかな迷いを表現するのにぴったりです。サンタナ時代から培われてきた彼のボーカルには、大人の男が持つ独特の哀愁が漂っています。

そして曲が展開し、サビへと向かうその瞬間。まるで分厚い雲の隙間から眩い太陽の光が差し込むように、スティーヴ・ペリーの透き通るような、そして圧倒的な力強さを持ったハイトーン・ボイスが飛び込んできます。この瞬間の鳥肌が立つような高揚感は、何度聴いても色褪せることがありません。

グレッグの「影」と、スティーヴの「光」。この対照的な二つの声が、ただ交互に歌うだけでなく、複雑に絡み合い、見事なコーラスワークへと昇華されていく様は、まさに魔法のようです。バンドの移行期だからこそ生まれ得た、奇跡的なボーカルのケミストリーがここに刻まれています。

夕暮れと、カセットテープの記憶

グレッグ・ローリーの歌う、少し戸惑いを含んだようなメロディは、当時の僕の不安定な心情に優しく寄り添ってくれました。そして、それに続くスティーヴ・ペリーの突き抜けるような歌声は、「大丈夫だ、新しい道が開けている」と、迷いを吹き飛ばしてくれるかのような力強い励ましに聞こえたのです。 京王井の頭線の踏切の音が遠くに聞こえる中、この曲の雄大なハーモニーに包まれながら、僕は明日への活力を少しずつ蓄えていたような気がします。(かなり盛っています!)

歌詞に込められた「過ぎゆく夏」と「新しい道」への予感

『Feeling That Way』の歌詞の世界観は、非常にポエティックでありながら、誰もが経験する感情の揺れ動きを繊細に捉えています。

この曲の中で歌われているのは、ある「夏の終わり」の情景と、それに伴う関係性の変化、あるいは自分自身の内面的な変化です。過ぎ去ってしまった美しい季節への未練と、これから目の前に広がる新しい道への期待と不安。それはまるで、季節の変わり目に吹く風のように、少し冷たくもあり、同時に清々しくもある複雑な感情です。

主人公は、大切な誰かに向かって「君も同じように感じているのかい?」と何度も問いかけます。それは、自分の抱いているこの新しい感覚や、あるいは漠然とした不安が、自分だけの独りよがりなものではないかという確認のようにも聞こえます。相手に対する深い愛情を確かめながらも、同時に「新しい道(A new road)」が待っていることを自覚している。その狭間で揺れ動く心の機微が、見事に表現されています。

直接的な言葉で全てを語るのではなく、「光のそばに佇む彼女」や「夏の夜の柔らかさと温かさ」といった情景描写を通じて、聴く者の記憶の底にある「あの頃」の空気を呼び覚ましてくれるのです。だからこそ、この曲は発表から半世紀近くが経とうとしている現代においても、私たちの心の琴線に深く触れ続けるのだと思います。

『Anytime』へと続く完璧なメドレーとしての美学

『Feeling That Way』を深く味わう上で絶対に外せない要素がもう一つあります。それは、アルバム『Infinity』において(そして彼らの伝説的なライブ・パフォーマンスにおいても)、次曲である『Anytime』へと切れ目なく続く、あの息を呑むようなシームレスな展開です。(ネタバレというほどでもないですが、第7位で紹介予定です)

『Feeling That Way』のアウトロで、壮大なコーラスワークと楽器の余韻が夕闇に溶けるように静かにフェードアウトしていくと、まるで一つの長い物語の次の章が幕を開けるかのように、『Anytime』の印象的なアコースティック・ギターと煌びやかなコーラスがシームレスに流れ込んできます。この2曲は、もはや切り離して考えることができない「組曲」のような特別な関係性を持っています。

ニール・ショーンの情景を描くギターワーク

そして、この素晴らしいツイン・ボーカルを根底で支え、楽曲の風景をより一層鮮やかなものにしているのが、ニール・ショーンのギタープレイです。

初期のハードでテクニカルなプレイスタイルとは少し異なり、この曲でのニールは、ボーカルのメロディラインに寄り添うように、非常に抑制の効いた、それでいて情感たっぷりのプレイを聴かせてくれます。フレーズの一つ一つがまるで言葉を持っているかのように歌い、過ぎ去る夏への未練や、新しい世界への一歩を踏み出す瞬間の胸の高鳴りを、音符の連なりで表現しているかのようです。

特に、グレッグとスティーヴの声が交差する背後で鳴り響くオブリガート(助奏)の美しさは特筆すべきものがあります。決して前に出過ぎず、しかし楽曲のドラマチックな起伏を生み出す重要な推進力となっている彼のギターは、この曲がただのポップソングではなく、深い奥行きを持った名曲であることを見事に証明しています。

長い「現役時代」を経て、再び向き合う「新しい道」

大学時代の若き日の僕にとって、この曲で歌われる「新しい道」への予感は、目前に広がる未来への純粋な期待であり、同時に漠然とした不安を打ち消すためのファンファーレでした。

「夏が終われば彼女はそこにいるのだろうか」「正しいことと間違っていることの区別もつかないまま、ただ感情のままに進んでいいのだろうか」。そんな青臭い迷いを抱えていた学生時代の自分と、この曲の主人公が重なり合っていた気がします。

しかし、さまざまな経験を積み重ね、人生の酸いも甘いも噛み分けてきた今、改めてこの曲のメロディとハーモニーに包まれると、また全く異なる風景が心の中に立ち上がってきます。

今、私の耳に響く「新しい道」という言葉は、決して若者だけの特権ではありません。
これまでの人生の軌跡を静かに肯定し、立ち止まりそうになる背中をもう一度優しく押してくれるような、深みを増したメッセージとして響くのです。グレッグ・ローリーの地に足の着いた歌声が、これまでの人生の重みを労ってくれているかのように感じられ、続くスティーヴ・ペリーの突き抜けるようなハイトーンが、「人生の次のステージも、まだまだ捨てたもんじゃないぞ」と、空の彼方からエールを送ってくれているような錯覚さえ覚えます。

第8位に選んだ理由とまとめ

僕の勝手なBest10【ジャーニー編】の第8位に『Feeling That Way』を選んだ理由。それは、この曲がジャーニーの歴史における「旧時代と新時代の完璧な架け橋」であるという音楽史的な重要性もさることながら、何よりも「声が重なり合うことの魔法」を、これ以上ないほど美しく、そして切なく体現している楽曲だからです。

過ぎ去る季節の寂しさと、未知なる明日への期待。相反する二つの感情を、グレッグとスティーヴという稀代のボーカリストが見事に歌い分けたこの曲は、青春の1ページを彩るサウンドトラックとしてはもちろんのこと、大人の心に深く染み渡る人生の賛歌としても、輝き続けることでしょう。

¥1,692 (2026/03/01 11:44時点 | Amazon調べ)

コメント

● 新着記事を見逃さない/Subscribe

購読は完全無料です!お気軽に登録してください。
Subscription is completely free. Feel free to join!

タイトルとURLをコピーしました