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🎸僕の勝手なBest10【フリートウッド・マック編】第4位『Dreams』をご紹介!― 夕暮れに浮かぶ“夢の調べ”
フリートウッド・マックの勝手にBest10―第4位は、の「Dreams」です。1977年にリリースされたこの曲は、スティーヴィー・ニックスの神秘的な歌声と、余計な装飾を排したミニマルな演奏が、まるで夢の中を漂うような感覚をもたらします。とくに夕暮れ時に聴くと、心がゆっくりと浮かび上がってくるような静かな感動を覚えます。

🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。
🎵 クレジット情報
曲名:Dreams(2004 Remaster)
アーティスト:Fleetwood Mac
収録アルバム:『Rumours』(1977年)
オリジナルリリース年:1977年
リマスター版リリース年:2004年
レーベル:Warner Records Inc. / Rhino Entertainment
提供元:YouTubeへの公式配信(Rhino/Warner Records)
📘 2行解説(記事用)
フリートウッド・マック最大のヒット曲「Dreams」は、スティーヴィー・ニックスが書き下ろした別れの詩。柔らかなグルーヴと感傷的な旋律が光る、アルバム『Rumours』を象徴する名バラード。
🎵 クレジット情報
曲名:Dreams(Live 1980 / 4K Remaster)
アーティスト:Fleetwood Mac
パフォーマンス収録地:Palais du Sport(フランス・パリ)、1980年
収録アルバム(スタジオ版):『Rumours』(1977年)
リリース元:Warner Records / Rhino
配信形態:フル公式ライブ映像、4Kリマスター
公開日:2018年9月27日
YouTubeチャンネル:Fleetwood Mac公式(✅認証バッジあり)
📘 2行解説
スティーヴィー・ニックスが歌う「Dreams」を、1980年パリ公演から公式に収録した貴重なライブ映像。4Kでリマスターされた映像美と成熟した演奏が、伝説的名曲を新たな魅力でよみがえらせている。
全米1位を獲得した奇跡のシングル
「Dreams」はアルバム『Rumours』(1977年)に収録され、バンド唯一の全米No.1シングルとなりました。作詞・作曲はスティーヴィー・ニックス。プロデュースはケン・カイラットとリチャード・ダシュート、そしてバンド自身も名を連ねています。アルバムは世界中で4000万枚以上を売り上げ、1978年にはグラミー賞最優秀アルバム賞を受賞。まさにロック史に残る作品の中心に、この一曲がありました。
1977年の時代感:揺れる世界と日本
日本の社会とカルチャー
1977年の日本は高度経済成長の名残を引きずりつつ、新たな局面へ移行していました。輸出主導の製造業が成長し、家電・自動車が世界市場で存在感を高めます。その一方、成田空港建設に対する反対運動(三里塚闘争)が激化し、社会の分断が浮き彫りになりました。テレビでは『俺たちの朝』、音楽ではピンク・レディーの「UFO」、山口百恵の「プレイバックPart2」などが流行。洋楽人気も高まり、フリートウッド・マックも注目の存在となっていました。

世界の音楽地図と“Dreams”の位置
1977年の洋楽は、ディスコとパンク、そしてクラシックロックが激しく交錯していた時代。ビージーズの「Stayin’ Alive」、ドナ・サマーの「I Feel Love」がダンスフロアをにぎわせ、イーグルスの「Hotel California」、セックス・ピストルズの「Anarchy in the U.K.」が新しい価値観を叩きつけました。そんな騒がしい中にあって、「Dreams」は静けさと哀愁で心を揺さぶるバラードとして異彩を放ちました。
スタジオの片隅で生まれた“夢”
わずか10分のインスピレーション
スティーヴィー・ニックスは1976年、リンジー・バッキンガムとの関係が破綻したさなか、ロサンゼルスのスタジオでふと空いた部屋に入りピアノを弾きました。隣室はスライ&ザ・ファミリー・ストーンのスタジオ。彼女はその空間で、わずか10分で「Dreams」を書き上げたのです。コード進行はF–G–Amというシンプルな構成ながら、彼女の感情がそのままメロディと歌詞に注ぎ込まれています。

メロディと歌詞の魅力
ミニマルなリズムと浮遊するコード
イントロのドラムは、ミック・フリートウッドが極めて抑制的に刻む4/4ビート。ベースのジョン・マクヴィーがそれを穏やかに支え、ギターのバッキンガムが繊細なアルペジオを重ねていきます。全体として“音の余白”が多く、聴き手に解釈の余地を与える構成になっています。まさに“夢”の中を歩いているような浮遊感を演出しています。

ニックスの声に宿る“感情の揺らぎ”
スティーヴィー・ニックスの声は中音域に強く、わずかな震えがそのまま感情として伝わってきます。Aメロでは静かに語るように、サビでは一歩踏み込んだように力を込めます。「Thunder only happens when it’s rainin’」(雷は雨が降っているときだけ起こる!)というサビの冒頭は、その象徴的な瞬間です。
歌詞に込められた普遍の真理
引用:公式歌詞より(Warner Records 1977)
Thunder only happens when it’s rainin’
Players only love you when they’re playin’
Say women, they will come and they will go
When the rain washes you clean, you’ll know
この4行の中には、「愛とは何か」「自由とは何か」「時間が癒すとはどういうことか」といった人生の問いが、寓話のように折り重ねられています。詩的でありながら、誰もが心のどこかで感じたことのある真実がここにはあります。
バンドの“内部”が音楽に溶け込んでいた
それぞれの葛藤が交差する場所
この楽曲の背景には、メンバー5人それぞれの恋愛・離別がありました。スティーヴィーとリンジー、ジョンとクリスティン・マクヴィー、それぞれのカップルが破局を迎えながらも同じアルバムを制作するという異常事態。そんな現実のなかで「Dreams」は生まれました。それぞれの“孤独”が、この楽曲に内在する感情の多層性を支えています。

音楽史に刻まれた“静かな革命”
ドリームポップの源流として
「Dreams」は、後に“ドリームポップ”と呼ばれるジャンルの原点ともされる曲です。その影響は、ザ・クランベリーズ「Linger」、コクトー・ツインズ、コールドプレイ、さらには現在のインディーポップにも広く浸透しています。“静かな情熱”という美学を確立した名曲なのです。
現代に蘇った“Dreams”
TikTokと映画での再発見
2020年、米国アイダホ州のネイサン・アポダカ氏が、スケートボードに乗りながらクランベリージュースを飲み、フリートウッド・マックの「Dreams」に合わせてリップシンクする動画をTikTokに投稿し、バイラルヒットとなりました。この動画の拡散により、若年層を中心に「Dreams」の人気が再燃し、ストリーミング再生数が急増。Billboard Hot 100チャートにも再登場を果たしました。2024年には、Apple Original Filmsがフリートウッド・マックの公式ドキュメンタリー映画の制作を発表しました。

歌詞構成と反復の魔力
リフレインが心に定着する理由
「Dreams」は、サビが3度繰り返される構造を持っています。同じフレーズを繰り返すことで、“納得”や“癒し”といった心理的効果が発生します。とくに終盤の「You’ll know」の繰り返しは、内面からの確信へと変わっていくような印象を残します。
今も生きる名曲の“夢”
「Dreams」は、ただの失恋ソングではありません。それは、バンドの苦悩、音楽的進化、そして世代を超える普遍性を一曲に封じ込めた、時代の結晶です。あなたの人生の節目に、ぜひ一度この“夢”を聴いてみてください。

『Dreams』(Fleetwood Mac)―:意訳
あなたはまた旅立つ
「自由がほしい」と言いながら
私は引き止めることはしない
感じるままに生きてほしい
でもその静けさの中に
孤独の音が響いているのを忘れないで鼓動のように狂わせる記憶
何を失い、何を持っていたのか
それを思い出すたびに
心が揺れる雷は雨が降るときにしか鳴らない
人は都合よく誰かを愛して
そしていずれ去っていく
けれど雨がすべてを洗い流すとき
あなたは本当のことを知るだろう私はただ夢を見る
その夢を誰にも明かさず
そっと胸にしまっている
あなたの夢を抱きしめたいだけ
もしその夢を手放すなら
その夢がどれほど孤独に満ちていたか
きっと、あなたも気づくだろう
by Ken
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