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🎸僕の勝手なBest10【フリートウッド・マック(Fleetwood Macleetwood Mac編】―第9位は『Silver Springs』です。
曲の歌詞と、その背景を知り驚愕した一曲です。
背景は実話です。ある意味、僕の解説だけでも面白いと思いますので、是非最後まで読んでください。大好きな楽曲ですけど、僕はまだまだこの人たちの神経・感覚には遠く及ばない凡人です。
解説は以下で行っていきますが、是非皆さんにも、歌詞と邦訳を確認して頂きたいところです。
🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。
🎵 クレジット情報
YouTube 提供元:Rhino/ワーナー・レコード
楽曲名: Silver Springs(2004年リマスター)
アーティスト: フリートウッド・マック(Fleetwood Mac)
収録アルバム: Rumours(邦題:噂)
著作権表記: ℗ 1977年・2004年 ワーナー・レコード・インク
作詞・作曲: スティーヴィー・ニックス(Stevie Nicks)
📝 2行解説
Fleetwood Macの「Silver Springs」は、アルバム『Rumours』の制作時に録音されたものの、当時は収録されなかった名バラード。スティーヴィー・ニックスが作詞・作曲を手がけた痛切な愛の歌で、2004年リマスター版として再評価されました。
📺 動画クレジット
動画タイトル: Silver Springs(ライブ)(公式ビデオ)HD
アーティスト: フリートウッド・マック(Fleetwood Mac)
録音場所・時期: 1997年5月、アメリカ・カリフォルニア州バーバンクのワーナー・ブラザーズ・スタジオにてライブ収録
配信元: Warner Bros. Studios(ワーナー・ブラザーズ・スタジオ)
公開日: 2018年9月27日
作詞・作曲: スティーヴィー・ニックス(Stevie Nicks)
📝 2行解説
スティーヴィー・ニックスが作った「Silver Springs」は、フリートウッド・マックの名作『Rumours』の未収録曲として知られるバラード。このライブ映像は1997年の再結成公演「The Dance」時に収録され、彼女の感情を爆発させる名演として高く評価されている。
イントロ:秘めたる情熱が紡ぎ出す“Silver Springs”の魅力
「Silver Springs」は、1977年にアルバム『Rumours』のセッション中に誕生したにもかかわらず、当初は正規リリースを逃れた“知られざる名作”です。スティーヴィー・ニックスが、かつての恋人であるリンジー・バッキンガムとの別離をテーマに描いたこの曲は、静謐なピアノとともに情念を織り上げ、リスナーの胸に深く響きます。本稿では、その成り立ちから再評価に至るまで、さまざまな観点からこの楽曲の奥行きを掘り下げていきます。

楽曲制作の舞台裏と1977年の時代背景
録音とリリースの経緯
「Silver Springs」は、1977年2月リリースのアルバム『Rumours』のために録音されましたが、当時のアナログLPにおける収録時間の制約のため、最終的にアルバムからは除外されました。代わりに、同アルバムからの代表的シングル「Go Your Own Way」のB面としてリリースされることになります。作者のニックスは、この決定に深く失望し、「自身の最高の作品が正規収録されなかった」と後に語っています。
日本と世界の空気感
日本国内の動きと文化的背景
1977年、日本は高度経済成長の余韻を感じさせつつ、オイルショックからの回復に取り組んでいました。自動車産業が世界進出を本格化し、一方で成田空港反対運動など社会問題も表面化していました。テレビでは『大草原の小さな家』が家庭の温かさを象徴し、映画『スター・ウォーズ』が公開されてSF文化が根付く転換点となります。そんな中で「Silver Springs」が制作された背景には、個人の情感に焦点を当てる新しい音楽の胎動が感じられます。

世界の音楽シーンの潮流
1977年の世界では、ディスコミュージックが圧倒的な存在感を放っていました。ビージーズ「Stayin’ Alive」やドナ・サマー「I Feel Love」などがヒットチャートを賑わせ、一方でイーグルス『Hotel California』やフリートウッド・マックの『Rumours』といったロックアルバムも健闘していました。さらに、セックス・ピストルズの登場によりパンクが一気に台頭。そうした騒がしい音楽的混沌の中で、「Silver Springs」は静かな内面世界を描いた希有な存在として際立っています。
再評価の瞬間とライブの衝撃
『The Dance』による復活劇
20年の時を経て、「Silver Springs」は1997年の再結成ライヴアルバム『The Dance』でついに正規収録されます。このライヴバージョンは米ビルボードのAdult Top 40チャートで41位を記録。映像では、ニックスが感情を込めてバッキンガムを見据えながら歌う姿が印象的に映され、多くの視聴者にとってこの楽曲が持つ“決着の物語”が強く印象づけられました。
舞台裏の緊張感:YouTube公式動画の分析
YouTubeに公開された公式動画(2本目のライブ動画です!!)で「Silver Springs」を熱唱する様子が克明に収められています。その中で彼女は、終盤(3:40秒あたりからです!!)に向けてリンジー・バッキンガムを鋭く見据えながら「You’ll never get away from the sound of the woman that loves you」と歌い放ちます。その目線にはただの演出を超えた、実感のこもった“感情の突きつけ”が宿っており、観る者の背筋を凍らせるような迫力すら感じられます。この場面はファンの間でも“あの睨み”として語り継がれ、単なる音楽を超えた人間ドラマとして本作を印象づけています。(ここです、冒頭僕が話してたこと!!凍てつく空気を生む目つき。ある意味ホラー、笑えないジョークです。(T_T)/~~~)
言っておきますが、僕は大のスティーヴィー・ニックスファンです。武道館にライブを観にって以来、あのとろけるような声質と妖艶さに参ってしまいました。

曲の構造と歌詞表現の奥深さ
メロディ構造とコード進行の妙
イントロではピアノとアコースティックギターが静かに導入され、徐々にストリングスが厚みを加え、サビで感情が爆発します。まるで静かな湖面に石を投げ入れたときのように、音の波紋が広がっていく構造です。
ボーカルとリリックの心理描写
ニックスのボーカルは、語りかけるような静謐さと、サビでの情念あふれる叫びとの対比が鮮やかです。「Time cast a spell on you, but you won’t forget me」のフレーズは、執念ともいえる記憶への訴えを象徴しており、聴く者に深い余韻を残します。また、「I’ll follow you down till the sound of my voice will haunt you」という一節には、物理的な別れを越えて精神的に相手の心に居座り続けたいという切迫した願望がにじんでいます。

人間模様が音楽に映る:フリートウッド・マックの特異性
バンド内の愛憎劇
フリートウッド・マックの音楽的魅力は、メンバー間の複雑な人間関係がそのまま作品に反映されるところにあります。(平然と書いてますが、すごいことですよね!!) スティーヴィー・ニックスとリンジー・バッキンガムの破局、ジョンとクリスティン・マクヴィーの離婚など、個人的な感情のもつれがアルバム全体の感情の基盤となっており、「Silver Springs」はその象徴です。
僕の感覚では、その4人が同じバンドで演奏が普通にできるのが不思議です。

影響と継承:その後の音楽シーンへ
インスピレーションの連鎖
「Silver Springs」はその後、多くのアーティストに影響を与えました。たとえば、シェリル・クロウやフローレンス・アンド・ザ・マシーンのように、女性ヴォーカルが情念を込めて歌い上げるバラードには、本曲の系譜が見て取れます。2000年代以降のインディーズシーンでも、本作を取り上げるカバーが継続的に生まれており、その存在感は衰えることがありません。
リスナーの反応と現代的共鳴
ライヴでの体験とSNSでの波紋
1997年以降、フリートウッド・マックのライヴでは「Silver Springs」が重要なポジションを占めるようになります。アンコールの定番として親しまれ、観客との合唱が一体感を生む瞬間も度々記録されています。さらに2020年代に入り、SNS上では失恋ソングの代表格としてたびたび引用され、2024年にはリマスター音源の公開をきっかけに再び脚光を浴びました。
デジタル時代での再評価
2025年現在、「Silver Springs」はTikTokやX(旧Twitter)を通じて若年層にも広く知られるようになり、「失恋後に最も聴かれる楽曲」としてプレイリストに多く登場しています。音楽配信サービスではリマスター版が高音質で提供され、特にピアノの響きやコーラスの厚みが再評価されています。愛と記憶に関する普遍的なテーマは、時代を超えて人々の心を打ち続けているのです。

結び:歴史に埋もれず、響き続ける“記憶の声”
「Silver Springs」は、当初の不遇な扱いを乗り越え、時代ごとに再発見されながら輝きを放ち続けています。スティーヴィー・ニックスの言葉が持つ魔力と、フリートウッド・マックというバンドの人間模様が織りなすこの楽曲は、単なる失恋歌にとどまらず、“記憶と声”をテーマにした時代を超える作品です。
『Silver Springs』(Fleetwood Mac)―:意訳
あなたの世界に咲くはずだった、銀の春。
青緑に輝く記憶は、ただ一つの夢として、私の胸に揺れている。
けれどその夢を壊したのは、あなたの口から零れた他の誰かの名。
「彼女は綺麗だ」なんて言わないで──私には知るすべもない愛の言葉が、刃のように心を裂いていく。何度も「愛していた」と言い聞かせながら、あなたの背を追ってきた。
でも、もう愛さないと決めた。
あなたが私を愛したことなんてなかったのだと、嘘をついてでも前を向こうとした。
だけど、時間は魔法をかけてしまった。
あなたの中に私は消えずに残り、私の声は夜ごとあなたの夢に響きつづける。
~”Time cast a spell on you, but you won’t forget me”~ほんの一度でいい、「やり直そう」と言ってほしかった。
あなたの中に残る“私”という音は、きっと一生消えない。
私の愛の残響は、永遠にあなたを追い、あなたの沈黙を破り続ける。
~”I’ll follow you down till the sound of my voice will haunt you”~
──そして私は、あなたの声にならない後悔の中で、静かに咲きつづける。by Ken
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