■【フリートウッド・マック】の歴史について詳しくは➡こちらから!
🎸僕の勝手なBest10【フリートウッド・マック編】第3位『Everywhere』をご紹介!
『僕の勝手なBest10:フリートウッド・マック編』もいよいよBest3の発表です。第3位に選んだのは「Everywhere(エヴリホエア)」です。1987年に発表された名盤『Tango in the Night』に収録され、クリスティン・マクヴィーの清らかな歌声とシンセサウンドが絶妙に調和するこの曲は、まるで愛が空気中に広がるような幸福感を醸し出します。この記事では、その背景や魅力を多角的に掘り下げていきます。
🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。
🎬 公式動画クレジット(日本語)
Fleetwood Mac –「Everywhere(2018リマスター)」
2018年にリマスターされた音源で、Rhino/Warner RecordsによってYouTubeに提供。
オリジナルは1987年発表、アルバム『Tango In The Night』に収録。
📅 公開日:2018年11月15日
© 1987 Warner Records Inc. / 2018 Rhino Entertainment
📝 2行解説(日本語)
80年代のFleetwood Macを象徴する爽快なラブソング「Everywhere」の2018年にリマスターされた音源。
クリスティン・マクヴィーのキーボードと透明感ある歌声が、今も色褪せない魅力を放ちます。
🎬 公式動画クレジット
Fleetwood Mac – "Everywhere" (Official Music Video)
From the album “Tango In The Night” (1987)
© Warner Records / Fleetwood Mac Official YouTube Channel
📅 公開日:2018年9月27日
📝 2行解説
1987年の名盤『Tango In The Night』からの大ヒット曲「Everywhere」。リリース当時のプロモーション用ミュージックビデオ(公式映像作品)です。クリスティン・マクヴィーの透明感あるボーカルが印象的な、ポップで美しいラブソングです。
ロマンティックで幻想的な映像美が特徴で、馬に乗る人物や自然風景などが曲の世界観を視覚的に演出しています。音源はオリジナルのアルバムバージョンで、ビジュアルストーリーと楽曲が一体となった作品です。
🎬 公式動画クレジット(日本語)
Fleetwood Mac –「Everywhere(ライブ)」公式ミュージックビデオ(HD)
1997年5月、アメリカ・カリフォルニア州バーバンクのワーナー・ブラザース・スタジオで収録されたライブ映像。HDリマスター版として2022年9月10日にYouTube公式チャンネルより公開。
📝 2行解説(日本語)
1997年の再結成ライブ『The Dance』の前哨となる貴重なスタジオ・パフォーマンス。
クリスティン・マクヴィーの美しい歌声が再び響く、「Everywhere」の決定版ライブです。
なぜ3本も動画を挙げたのか?
動画の1本目と2本目は、リマスター版という違いはあれど、音源は同じです。最初は2本目と、3本目を紹介するつもりでしたが、2本目を観てしまうと、曲をじっくり味わうよりも、動画の内容に見入ってしまい、純粋に楽曲に没入できないのです。あくまで、これは僕の場合のことですが。せっかくの名曲なのに、動画に気を取られてします。そこでこの曲を知らない読者にも、先入観を持つことなく聴いてもらいという趣旨から3本立てにしたという訳です。要らぬお世話というなかれ!イメージってとても大きな意味を持つんですよ!(T_T)/~~~
世界を優しく包むポップの輝き―基本情報とチャート成績
「Everywhere」は1987年のアルバム『Tango in the Night』からのシングル。作詞・作曲はクリスティン・マクヴィー、プロデュースはリンジー・バッキンガムとリチャード・ダシュートのコンビによるものです。全英シングルチャートでは最高4位、アメリカのBillboard Hot 100では14位を記録。アルバム自体も全英3位、全米7位を獲得し、バンドにとって1980年代後半の再浮上を象徴する作品となりました。

時代背景にみる音楽の交差点
日本:バブル文化と洋楽の存在感
1987年の日本はバブル経済の真っ只中。地価や株価が高騰し、都市部では高級ブランド店やディスコがにぎわいを見せていました。音楽シーンでは、BOØWY「Marionette」や中島みゆき「悪女」などが人気を博し、洋楽ファンの層も拡大。FMラジオを通じて「Everywhere」もじわじわとリスナーの耳に届いていました。
欧米:MTV黄金期とサウンドの多様化
世界ではMTVの影響が絶大だった時代。マイケル・ジャクソン「Bad」やマドンナ「La Isla Bonita」など、ビジュアルを重視した作品が人気を集めていました。シンセポップも成熟期を迎え、デペッシュ・モード「Never Let Me Down Again」、U2「With or Without You」などが同時代にヒットする中、フリートウッド・マックはより温もりを感じさせるサウンドで異彩を放ちました。

制作の舞台裏:個人的葛藤と芸術性の融合
クリスティン・マクヴィーは当時、ジョン・マクヴィーとの離婚を経験した後、新しい人生を歩み始めていました。「Everywhere」はその再出発の象徴ともいえる作品です。1986年、ロサンゼルスでの録音セッションでは、リンジー・バッキンガムがシンセやギターの編曲に力を注ぎ、オーバーハイムやヤマハDX7のサウンドが曲に現代的なテクスチャーを加えました。彼はこのアルバムの完成を最後にバンドを一時離れる決意を固めていたと言われています。
音楽構造の妙:輝きと奥行きのバランス
シンセとコーラスのレイヤー
イントロに流れるキラキラとしたシンセサイザーの音は、まるで夜明けの空に差し込む一筋の光のよう。ゆったりしすぎず、軽やかに進むテンポで、自然と心がリズムに乗っていきます。拍子は一般的な「1・2・3・4」と数えるスタイル(4/4拍子)で、誰でも聴きなじみのあるリズムです。
使われているコード(音の組み合わせ)は「C→G→Am→F」という、ポップスの中でも特に親しまれている流れ。この組み合わせが、曲全体に明るくやさしい雰囲気を与えています。

なかでも印象的なのが、サビの「I want to be with you everywhere(あなたといつでもどこでも一緒にいたい)」の部分。ここでは複数の声が何層にも重ねられていて、まるで空に音が広がっていくような感覚を生み出しています。ひとりの歌声が、やがてハーモニーとなって響き合い、心にスッと入り込んでくる瞬間です。
ギターとリズムセクションの融合
間奏にはバッキンガムのギターソロが配されており、エフェクトの効いたリードがシンセサウンドと溶け合うように展開します。ドラムスとベースのコンビネーションはリズミカルでありながら柔らかさを保っており、曲全体の浮遊感に寄与しています。
歌詞に込められた情感の深み
歌詞には「どこにいても一緒にいたい」という純粋で普遍的な愛の感情が込められています。恋愛だけに限らず、家族や友人との絆にも置き換えられる普遍性があり、聴く者に温かな余韻を残します。クリスティンの実人生とリンクするような感情の描写が、リスナーにリアリティと親近感を与える要因のひとつとなっています。

特にサビ部分の「I want to be with you everywhere」は、短く繰り返されることで強い印象を残します。このフレーズは、聴く者の記憶に残る“口ずさみたくなる言葉”として機能し、楽曲全体のキャッチーさを際立たせています。
一方で、歌詞のAメロ部分には「Can you hear me calling / Out your name?(あなたの名前を呼ぶ私の声が聞こえる?)」という問いかけや、「You know that I’m falling / And I don’t know what to say(私はあなたに夢中なの、でも何を言えばいいのかわからない)」といった切実な感情が表れ、サビの明るさとは対照的な内面の揺れがにじみます。これにより、楽曲には単なるラブソング以上の深みが生まれています。

また、「You better make it soon / Before you break my heart(早く決めて、でないと私の心が壊れてしまう)」という一節では、相手への想いと焦燥感が混じり合っており、前向きなリズムとは裏腹に、傷つきやすい心情が見え隠れします。こうした詞の構成が、「Everywhere」をただのラブポップではなく、感情の多層性を持った作品として成立させているのです。
現代への波及:文化的再評価
ドラマやCMでのリバイバル
「Everywhere」は2020年にNetflixの人気シリーズ『The Umbrella Academy』シーズン2の挿入曲として起用され、新たなファン層を獲得。2023年には欧州の自動車メーカーCMで再び脚光を浴び、SNSでは「時代を超えて癒やされる」といった声も多く見られました。

ストリーミング時代の再評価
2024年には高音質のリマスター版がリリースされ、Apple MusicやSpotifyでの再生数が急増。特に若年層からは「今の時代にぴったりなポジティブな曲」として注目され、80年代ポップスの代表曲として再評価されつつあります。

まとめ:愛と再生のハーモニー
「Everywhere」は、フリートウッド・マックの豊かな音楽性と個々の人生経験が交差して生まれた、奇跡のようなポップソングです。派手さはなくとも、心の奥に染みわたるような温かさをたたえたこの曲は、どの時代にも受け入れられる普遍的な魅力を持っています。午後の静かなひとときに、ぜひその優しい光を感じてみてください。

『Everywhere』(Fleetwood Mac)―:意訳
あなたの名前を呼んでいるのが聞こえる?
私はもうあなたに夢中で、どう言葉にすればいいのかわからない。
声を大きくして、叫んでも伝えきれないこの気持ち。
誇らしくさえあるこの想いが、胸の奥で溢れて言葉にならない。ただひとつ確かなのは、
私はどこにいてもあなたと一緒にいたいということ。
心の奥底から、あらゆる瞬間をあなたと分かち合いたい。気づけば私は変わっていて、
友人たちは不思議がるけれど、そんなことどうでもいい。
この気持ちは本物だから。
だからお願い、もう始めようよ。
私の心が壊れてしまう前に。あなたと一緒にいたい。
それが私のすべて。
どこにいても、どんな時でも、
あなたと一緒にいたい――ただ、それだけ。
by Ken
コメント