Eric Stewart(エリック・スチュアート)・・・1945/1/20日 生まれ
今日(2025.1.20)はエリック・スチュワート(Eric Stewart )の80才の誕生日です。
おめでとうございます。彼はイギリス・ドロイルスデン出身のミュージシャン、ソングライターであり、ロックバンド10ccの元メンバーとして知られています。
今日の紹介曲: 『アイム・ノット・イン・ラブ(I’m Not In Love)』-10cc
超約
好きだと誤解してほしくないけれど、つい君に連絡してしまう。
本気じゃないと自分に言い聞かせながらも、君の存在に惹かれている。
写真も捨てられず、気持ちを否定しつつも未練を隠せない。
「愛していない」と繰り返しながら、その裏に愛情がにじむ歌です。
こちらは、発売当時の映像です。ボーカルがエリック・スチュワートです。声質がたまらん好きです!!
🎵 公式クレジット
10cc「I'm Not In Love」(公式ミュージック・ビデオ)
© 1975 マーキュリー・レコード/ユニバーサル・ミュージック・グループ
🎧 2行解説
10ccが1975年に発表した不朽のバラードで、ドリーミーな多重コーラスが特徴。
世界的ヒットとなり、今もラブソングの定番として愛され続けています。
僕がこの曲を初めて聴いたのは・・・♫
My Age | 小学校 | 中学校 | 高校 | 大学 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60才~ |
曲のリリース年 | 1975 | ||||||||
僕が聴いた時期 | ● |
リリースは1975年なので、僕が高校2年生の時だと思います。
しかし、はじめて聴いたのは大学に入ってからですね。
たしか、10CC存在を知るきっかてとして初めて聴いた彼らの曲は『恋人たちこと』という曲で、その後にこの曲(I’m Not In Love)を聴いたと記憶しています。(いつもの世田谷の4畳半のアパートで)
繊細で、哀愁漂うこの曲は70’を代表する名曲ですし、10ccの楽曲の中で僕は最高の作品だと思っています。また僕が耳にした歴代ベスト20にも名を連れなるような曲だと思います。
10CCの「アイム・ノット・イン・ラヴ」:時空を超える音の彫刻

1970年代、イギリスのロックシーンはビートルズ解散を契機に多様化が進み、アーティストたちは新しい音楽的実験に挑戦していました。その中で、10CCはポップ、アートロック、バラード、さらには実験音楽をも取り入れる柔軟な音楽性を持つバンドとして注目を集めました。そして、彼らが1975年に発表した「アイム・ノット・イン・ラヴ」は、今なお色褪せることなく、音楽史にその名を刻む名曲です。
曲の背景:言葉が持つ曖昧さを探る
この曲は、バンドメンバーであるエリック・スチュワートとグレアム・グールドマンの共作によって生まれました。そのアイデアの原点となったのは、「愛している」という言葉の曖昧さに対するスチュワートの疑問でした。彼は、日常的に使われるこの言葉が本当にどれほどの重みを持つのか、そしてその言葉を口にすることでどれだけの真実が伝わるのかを考えました。
「アイム・ノット・イン・ラヴ」と繰り返すこのフレーズは、愛を否定することで逆説的にその存在を浮かび上がらせます。言葉の不確実性と、それが生む心理的揺らぎは多くのリスナーに共感を呼び起こし、普遍的なテーマとして広く受け入れられました。このような内省的テーマを扱うことは、当時の音楽シーンにおけるラブソングの進化ともリンクしています。

歌詞の意味:否定が明かす感情の裏側
この曲の歌詞は、シンプルでありながら深い感情を秘めています。「自分は恋なんかしていない」と繰り返すことで、その裏に潜む否定しきれない感情が徐々に浮かび上がります。強く否定するほど、その感情が逆説的に鮮明になる。これこそが「アイム・ノット・イン・ラヴ」の持つ魅力です。
「だから忘れないで、それはただの気まぐれなんだ」と主人公が語る場面では、一時的な感情と理性の間で葛藤する姿が描かれています。これらのフレーズは、単なるラブソングでは描ききれない恋愛の不確実性や複雑さを映し出しています。自己防衛の言葉が、同時に愛の告白としても機能するという矛盾が、この曲の特徴的な心理描写を支えています。

音楽的特徴:スタジオを楽器化した声の彫刻
「アイム・ノット・イン・ラヴ」の最大の革新性は、その特異なサウンドデザインにあります。10CCは、何百ものボーカルパートをオーバーダビングし、それをテープループやミキシング技術を駆使して、幻想的な音響空間を構築しました。この「声の壁」と呼ばれる手法は、まるで人間の声そのものをシンセサイザーのように扱う大胆な試みであり、当時の録音技術の最前線に立つものでした。
特に印象的なのは、重なり合うコーラスが楽曲全体を包み込むような浮遊感を生み出している点です。この手法は後にクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」や、アンビエント音楽のジャンルにも影響を与えました。さらに、柔らかなエレクトリックピアノや控えめなシンセサイザーの音色が、楽曲全体に夢のような質感を与えています。これらの音楽的要素が、リスナーを現実から切り離し、感情の深奥へと導くのです。
文化的影響:普遍性と再解釈
「アイム・ノット・イン・ラヴ」は、発表当時のチャートを席巻しただけでなく、その後の音楽にも大きな影響を与えました。1990年代以降、オルタナティブロックやポップエレクトロニカ、さらにはアンビエント音楽の分野で、この曲からインスピレーションを受けた作品が数多く生まれました。

さらに、この曲は映画やドラマのサウンドトラックとしても頻繁に使用されています。近年では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の挿入歌として再び注目を集め、そのノスタルジックで感傷的なトーンが、作品の雰囲気を一層引き立てました。また、多くのアーティストによるカバーが生み出されることで、この楽曲は時代やジャンルを超えて進化し続けています。
まとめ:否定の美学が生んだ普遍の名曲
10CCの「アイム・ノット・イン・ラヴ」は、単なるラブソングの枠を超えた、哲学的で革新的な作品です。その歌詞が描く感情の揺らぎ、スタジオ技術を駆使して作り上げた音響空間、そして後世への影響力は、音楽の可能性を大きく広げるものでした。
愛を否定することで逆説的にその存在を浮かび上がらせるこの楽曲は、時代を超えた普遍的なテーマを持ち続けています。「アイム・ノット・イン・ラヴ」は、音楽が持つ深い力を再認識させると同時に、聴く者を感情の深淵へと誘う、時空を超えた音の彫刻なのです。

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