■【アルバート・ハモンド】について詳しくはこちらから!➡Wikipedia
- 僕の勝手なBest10:第5位は『The Air That I Breathe』です。
- 1972年の愛と孤独の調べ──アルバート・ハモンド「安らぎの世界へ」が残した深い余韻
- 変動の中で求められた心の拠り所──1972年の世界と日本
- フォークとロックの共鳴──1972年の音楽ムーブメント
- ジブラルタルから世界へ──アルバート・ハモンドの多彩な軌跡
- シンプルで心に残る旋律──「安らぎの世界へ」の音楽的魅力
- 空気のような愛──歌詞が伝える哲学と時代背景
- フォークポップの普遍性──時代とジャンルを超えた価値
- 日本での静かな共鳴──受容と記憶のかたち
- 時代を越える余韻──アルバート・ハモンドの音楽遺産
- あなたにとっての「呼吸」とは?
僕の勝手なBest10:第5位は『The Air That I Breathe』です。
アルバート・ハモンド編第5位は、『The Air That I Breathe(安らぎの世界へ)』です。この辺から一気に楽曲の内容も上昇していきますので、是非ご期待ください。
旋律が耳に残り、夕暮れの風景に溶け込むようなメロウな楽曲です。
🎥🎼まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。
📺 動画クレジット
動画提供:Albert Hammond Official(YouTube公認チャンネル)
音源提供:Legacy Recordings/Sony Music Entertainment
楽曲:Albert Hammond「The Air That I Breathe」
リリース日:1972年8月16日
作曲:Michael Hazelwood
URL:https://youtu.be/F5lk85F8W3k?si=t0kUg1eElm1SBkus
📺 動画クレジット
動画提供:Albert Hammond Official(YouTube認証済公式チャンネル)
映像:2004年「Coulter & Co.」出演時のデュエットパフォーマンス
楽曲:Albert Hammond & Leo Sayers「The Air That I Breathe」
URL:https://youtu.be/FkwwXa53U_U?si=32MvYccUWgPkO85D
※本動画はAlbert Hammond公式チャンネルにより掲載されたライブ映像であり、著作権上問題のないコンテンツです(2025年5月現在)。
一緒に歌っているのは、レオ・セイヤ―ですね。アルバート・ハモンドは彼にも素晴らしい楽曲を提供しています。
1972年の愛と孤独の調べ──アルバート・ハモンド「安らぎの世界へ」が残した深い余韻
1972年に発表されたアルバート・ハモンドの「The Air That I Breathe(邦題:安らぎの世界へ)」は、愛と孤独をテーマにしたバラードとして、時代を超えて多くのリスナーを惹きつけてきました。ハモンドの温かい歌声と、情感豊かなメロディーが響き合うこの曲は、1974年にホリーズのカバーで全英2位を記録し、後にラジオヘッドの「Creep」にも影響を与えた名曲です。

変動の中で求められた心の拠り所──1972年の世界と日本
世界情勢と音楽の呼応
アメリカではベトナム戦争が続き、反戦運動が最高潮に達していました。ニクソン大統領の中国訪問、ウォーターゲート事件の兆しなど、政治への不信が拡大。一方、音楽界ではデヴィッド・ボウイの「Ziggy Stardust」がグラムロック旋風を巻き起こし、ピンク・フロイドは『Dark Side of the Moon』制作に着手していました。
日本社会と文化の転換点
日本では札幌冬季オリンピックでの快挙、沖縄の本土復帰、あさま山荘事件などが重なり、社会は揺れ動いていました。田中角栄の「日本列島改造論」により都市化が加速し、若者たちは音楽に心の居場所を求めていきました。

フォークとロックの共鳴──1972年の音楽ムーブメント
海外での新潮流と多様化
アメリカではジェームス・テイラーが人気を博し、イーグルスが登場。イギリスではT・レックスの妖艶なグラムロックが注目され、ディープ・パープルの「Machine Head」もヒット。ロックは進化を遂げつつありました。
日本におけるフォークとロックの融合
吉田拓郎「人生を語らず」、井上陽水「傘がない」など、フォークソングが共感を呼ぶ一方、キャロルがデビューし、矢沢永吉の存在感が注目されました。ハモンドの「安らぎの世界へ」は、洋楽でありながら日本の若者の心にも静かに届く楽曲でした。
ジブラルタルから世界へ──アルバート・ハモンドの多彩な軌跡
多文化に育まれた少年時代
1944年、英領ジブラルタルで生まれたハモンドは、英語とスペイン語、欧州とアフリカが交差する文化に囲まれて育ちました。バンド活動を経てロンドンへ渡り、「The Family Dogg」に参加します。
ソングライターとしての躍進
1970年にアメリカへ移住後、1972年『It Never Rains in Southern California』をリリース。「カリフォルニアの青い空」がヒットし、以後、ホリーズ「安らぎの世界へ」やスターシップ「Nothing’s Gonna Stop Us Now」などのヒット曲を生み出しました。
シンプルで心に残る旋律──「安らぎの世界へ」の音楽的魅力
控えめなアレンジに込めた情感
アコースティックギターのアルペジオが夜の静けさを想起させ、ハモンドの自然体なボーカルがそっと心を包みます。サビではストリングスが加わり、感情の高まりが丁寧に描かれています。

最小構成が最大限の効果を生む
反復するコード進行、抑制されたリズム、最小限の構成が「呼吸」と「愛」という普遍的テーマを支え、聴く者の心に深く残るのです。
空気のような愛──歌詞が伝える哲学と時代背景
願わないという選択
「If I could make a wish, I think I’d pass(願いごとをするなら、やめておく)」という冒頭が印象的。愛と空気のような存在の大切さを静かに語る哲学的な歌詞です。

1970年代とつながるメッセージ
物質よりも心の安定を求めた70年代の若者たちにとって、この歌は静かな共鳴を呼びました。「呼吸」という表現が、人生の根本的な意味を伝えています。
フォークポップの普遍性──時代とジャンルを超えた価値
内省と素朴さがもたらした新たな地平
派手な演出を避け、内なる声に耳を澄ませた作品として「安らぎの世界へ」は、当時のフォークポップの中でも異彩を放ちました。
ラジオヘッド「Creep」への影響
1990年代、ラジオヘッドの「Creep」に酷似したコード進行が話題となり、ハモンドらがクレジットに追加されたことで、70年代音楽の影響力が改めて証明されました。
日本での静かな共鳴──受容と記憶のかたち
記憶に残るメロディ、結びつかない名前
1974年のホリーズ版で日本に紹介されましたが、曲名やアーティスト名と一致して覚えられることは少なく、深夜ラジオなどで静かに浸透していきました。
リバイバルと新世代への継承
1998年のシンプリー・レッド版のヒットにより再評価され、デジタル時代にもリスナーに届き続けています。派手さはないが、確かな余韻を残す楽曲です。

時代を越える余韻──アルバート・ハモンドの音楽遺産
再評価の波と親子二代の活躍
2025年現在、ストリーミングを通じてハモンドの楽曲は若い世代にも届いています。ソングライターとしての功績や、息子アルバート・ハモンド・ジュニアの活躍も注目を集めています。
穏やかでいて深く、派手さはないが確かな印象を残す──そんなハモンドの音楽は、今こそ求められる“静けさの価値”を教えてくれるのです。
あなたにとっての「呼吸」とは?
音楽は、言葉以上の感情や人生観を伝えてくれます。「安らぎの世界へ」が教えてくれるのは、愛する人の存在や日々の安定こそが、何よりも大切だということ。あなたにとっての“呼吸のように大切なもの”とは何でしょうか。この静かなバラードを聴きながら、そっと自分に問いかけてみてください。
『The Air That I Breathe』(安らぎの世界へらぎの世界へ):意訳
もし願いが叶うとしても、もう何も望まない──
眠れなくても、何も食べられなくても、ただ静寂の中にいられればそれでいい。
愛し合ったその瞬間に、すべては満たされてしまったから。
ぬくもりと安らぎのなかで、心は深い眠りに落ちる。この世に求めるものはもうない。
愛するあなたの存在と、ただ呼吸できる空気さえあれば。
煙草も、本も、光も、音も──そんなものはいらない。
ただ、あなたを想いながら静かに息をする、それだけでいい。その愛は、激しさではなく、穏やかでやさしい波のように、
心の奥に届き、すべての不安を洗い流していった。「眠っていいんだよ」
そう語りかけるように、愛は天使のささやきとなり、
夜の静けさのなかで、心を深く癒してくれる。すべてを手に入れる必要はない。
世界のなかで、たったひとつのもの──
それは、愛するあなたと、息づく空気。それだけが、僕を生かしてくれる。
by Ken
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