僕の勝手なBest15:【長渕剛】編-第2位『素顔』をご紹介!

1981年頃の長渕がギターを手にステージで歌う姿。

長渕剛」について詳しくは➡こちらのWikipediaでどうぞ!


さあ、『僕の勝手なBest15:【長渕剛】編』も残り2曲です。
今は4月3日の夜7時半。絞り込んだ残り2曲を改めて聴き直して、こちらを2位としました。長渕剛の「素顔」が堂々の第2位です。今回の欄君ぐを呼んでくれた人は、ランキングに出てこない楽曲が絞り込まれていく中で、この曲が1位だろうと思った人も多いはず。僕もたった今まで悩んでいたんですから( ;∀;)

学生時代、大好きな曲で、涙しながら聞いた記憶もあります。後ほど解説にも出てきますが、中島みゆきの「化粧」とイメージが被ってしまうのは僕だけでしょうか?

青いなんでいう言葉で片づけないでください。こんな思いをみなさんも確かにどこかでしたはずです!

動画で味わう「素顔」の世界

いつものように、まずはYouTube動画でご紹介します。
「素顔」が挿入されたアルバム、「逆流」のジャケットがサムネールになっています。まずはスタジオ録音の音源からどうぞ!

次はオフシャルサイトから・・・

素顔 (「長渕 剛 アコースティック 俺の太陽」より)

長渕 剛 92 JAPAN LIVE IN TOKYO素顔 YouTube

4本も紹介してしまいましたが、歌い方、時代ひとつで同じ曲でも、随分とイメージが違いますね。

みなさんは、どの動画の「素顔」が好きですか?
ハイ、僕は一番最初の曲ですね。「逆流」のアルバムレコードに入っていた正にその音です。

長渕剛にとって初の武道館コンサートとなった、1979年7月2日に僕はその場所にいました当時の剛、歌も体も、あの細さが魅力だった頃です。人は変わっていくものですし、変化しなければ生きている意味もないと思います。だけども、僕が一番好きだったのはあの頃の長渕剛です。(まだこの時には、「素顔」はリリースされていませんでしたが!)



【第3位】魂を映す鏡――長渕剛「素顔」に宿る本当の声

1979年の秋、まだ無名に近い若きシンガーソングライターが、自身の心の奥をさらけ出すような1曲を発表しました。長渕剛の「素顔」。セカンドアルバム『逆流』に収録されたこの作品は、表面上は静かで控えめながら、聴く者の心の奥底を揺さぶる、深い感情を内包した名曲です。

時代の混乱と若者の不安を背景に、まるで鏡に映したような内面描写で共感を呼び続ける「素顔」。今回は、その歌詞、背景、音楽性、そして知られざる魅力に迫っていきましょう。


時代に逆らうように――1979年という交差点

社会と音楽の転換点に生まれた「素顔」

1979年、日本は第二次オイルショックの影響を強く受けていました。物価の上昇、不安定な経済、そして国際情勢の緊張。こうした社会の空気が、若者たちの心に微妙な影を落としていた時代です。

この年、長渕剛はセカンドアルバム『逆流』を発表。「素顔」はその中に静かに佇んでいます。ヒットチャートを賑わしていたのは、ジュディ・オングの「魅せられて」サザンオールスターズの「いとしのエリー」さだまさしの「関白宣言」など、多彩な楽曲群。そんな中で、長渕は「誰かに向けて語りかけるような」個人的で内省的な歌を世に送り出しました。


若き長渕剛――デビューから「素顔」まで

年齢とデビューの再確認

長渕剛は1956年9月7日生まれ。つまり、「素顔」をリリースした1979年当時は23歳でした。

1978年にシングル「巡恋歌」で本格的にデビューし、翌年3月にはファーストアルバム『風は南から』をリリース。その勢いを保ったまま、11月に『逆流』を発表。音楽的にはフォークを基盤としつつ、ロックやブルース、詩的な語りを融合させた独自のスタイルを追求し始めていました。

当時の彼は身長172cm・体重53kgという細身の体型ながら、表現力にはすでに強い個性がありました。


「素顔」の歌詞が映すもの――内面の叫びと自己否定

「素顔」は、女性視点のモノローグのような楽曲です。他者に対して素直になれないもどかしさと、それでもなお愛されることへの戸惑い――そんな複雑な感情を丁寧に描いています。

こんな私のどこが好きなの
なぜに そんなにやさしいの
私が かわいそうに見えるから
それとも なつかしく 思えたから

これらの歌詞には、表面的な強がりと裏腹の弱さという、人間誰しもが抱える二面性が映し出されています。そして、これは女性の視点でありながら、長渕自身の内面をも反映しているように思えてなりません。

中島みゆき「化粧」との対比

同じ1979年に発表された中島みゆきの「化粧」もまた、鏡をモチーフに内面を描いた女性視点の名曲です。「素顔」と「化粧」は、まるで光と影のように対になる存在だとする意見もあります。

男性アーティストである長渕が、あえて女性の内面を描いたことは、当時としては極めて異例であり、それだけ彼の感受性が豊かであったことを示しているのではないでしょうか。


メロディと音像――アナログの温度を感じて

「素顔」のイントロはシンプルなギターのアルペジオで始まり、楽曲全体を通して抑制の効いた構成になっています。ここには派手な演出はなく、むしろ「余白」が際立ちます。その余白が聴き手に「想像させる」力を与えているのです。

編曲は瀬尾一三氏。彼はのちに中島みゆきやさだまさしとも多くの作品を手がける名アレンジャーですが、この頃からすでに楽曲の持つ空気感を巧みに引き出す手腕を発揮していました。

録音は一口坂スタジオ、伊豆ポリドールスタジオ、エピキュラススタジオで行われ、アナログならではの空気を帯びた音質が、歌詞の情感をより一層際立たせています。


ヒットはしなくとも、記憶に残る名曲

「素顔」はリリース当時、チャート上で目立つ存在ではありませんでした。商業的な成功を収めたのは、むしろ「乾杯」「とんぼ」といった後年のヒット曲です。

しかし「素顔」は、じわじわとファンの間で評価を高め、やがて“隠れた名曲”として定着しました。歌詞に描かれた心の襞、構成の静謐さ、そして時代を越えて共鳴する普遍性――そうしたすべてが、リスナーの記憶に深く刻み込まれていったのです。


なぜ「素顔」は今なお響くのか?

現代社会との接点

2020年代に生きる私たちは、SNSや映像メディアによって「自分を見せる」機会に恵まれています。その一方で、「本当の自分」や「素顔」を見失いがちでもあります。

だからこそ、長渕剛の「素顔」が今なお多くの人に刺さるのです。この曲は、誰もが持つ“本音と建前”のはざまで苦しむ心に、寄り添うように響きます。


「素顔」は、長渕剛の出発点であり、永遠の鏡

1979年、「素顔」は時代の喧騒の中で静かに放たれました。それは叫びではなく、ささやきのように聴く者の胸を打つものでした。そして40年以上経った今もなお、その声は変わらず届いています。

この楽曲には、若き長渕剛の未完成な部分が刻まれており、それこそが魅力でもあります。完成されていないからこそ、誰もが自分を重ねることができる――「素顔」は、そんな人間的な温かみと真実を持った、長渕剛の原点のひとつです。


僕の勝手なBest15:【長渕剛】編はこちらからどうぞご覧ください!!

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