T. Rexの歴史とマーク・ボランの歩みは、こちらから!
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本文を読む前に、『20センチュリー・ボーイ』の強烈なギターリフ、東京での録音、そして日本との深い縁をつかみたい方におすすめです。
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音声を先に聴くことで、『20センチュリー・ボーイ』のサウンド、東京録音の背景、『20世紀少年』へつながる日本との関係をよりつかみやすくなります。
僕の勝手なBest10【T. Rex編】第3位『20センチュリー・ボーイ』
第3位に選んだのは、1973年の『20センチュリー・ボーイ(20th Century Boy)』です。
イントロで炸裂する巨大なギターリフ。重く跳ねるリズム。そして、マーク・ボランの妖しくも挑発的なヴォーカル。
わずか数秒聴いただけでT. Rexだと分かるほど強烈で、グラムロックという言葉を知らなくても、その格好良さが身体へ直接飛び込んできます。
しかも、この英国ロック史に残る名曲の重要な部分が、日本で録音されたという事実も見逃せません。
超訳
誰が何と言おうと、僕は僕のやり方で進んでいく。 猫のようにしなやかに、雄羊のように突き進み、蜂のように鋭く。 君の前では、理屈なんて必要ない。 僕は君のための、20世紀の少年なんだ。
まずは、YouTube動画をご覧ください。
公式映像クレジット
T. Rex「20th Century Boy」
映像:BBC『Top of the Pops』パフォーマンス
収録:1973年2月28日
公開:T. Rex Official Artist Channel
2行解説
BBCに完全な映像が残されていなかった『Top of the Pops』出演時のパフォーマンスを、ドイツに残された映像とSuper 8フィルムから復元。
2023年、約50年の時を経てフル・パフォーマンスとして公開された、グラムロック絶頂期のT. Rexを伝える貴重な公式映像です。
クレジット
T. Rex「20th Century Boy」
作詞・作曲:マーク・ボラン
1973年3月リリース
全英シングルチャート最高3位
2行解説
巨大なギターリフと粘りのあるグルーヴが一体となった、T. Rexを代表するグラムロック・ナンバー。
1991年にはリーバイスのCMで再び注目され、のちに浦沢直樹『20世紀少年』のタイトルの由来にもなりました。
1973年、T. Rex絶頂期に放たれた強烈なシングル
『20センチュリー・ボーイ』は、1973年3月に英国でシングルとして発売され、全英シングルチャート最高3位を記録しました。しかも3週連続で3位を維持し、合計9週間チャートに入っています。
当時のT. Rexは、すでに『ゲット・イット・オン』『テレグラム・サム』『メタル・グルー』などを次々とヒットさせ、英国を代表するスターになっていました。
ところが、『20センチュリー・ボーイ』には興味深い特徴があります。同時期に発表されたアルバム『タンックス』の英国オリジナル盤には収録されず、独立したシングルとして世に送り出されたのです。

現在では『タンックス』の再発盤などにボーナストラックとして収録されているため、アルバム曲だと思われることもあります。しかし、1973年当時の位置づけは明確にシングルでした。
そして、この名曲は東京で録音された
日本のファンにとって特に興味深いのが、この曲の録音場所です。
『20センチュリー・ボーイ』の基礎部分は、T. Rexが日本を訪れていた1972年12月3日、東京の東芝レコーディング・スタジオで録音されました。
マーク・ボランのヴォーカルとギターを中心に曲の骨格が作られ、その後英国へ戻ってから、バッキング・ヴォーカル、ハンドクラップ、アコースティックギター、サックスなどが加えられています。
つまり、世界中で知られるあの強烈なギターリフを含む基礎トラックは、T. Rexと日本との接点の中で録音されたことになります。

イントロだけで勝負が決まる――巨大なギターリフ
『20センチュリー・ボーイ』を語るうえで、まず外せないのがイントロのギターです。
複雑なフレーズではありません。しかし、アンプから巨大な塊が飛び出してくるような音圧があり、最初の一撃だけで曲の世界へ引きずり込まれます。
シンプルなフレーズを、音色、タイミング、反復によって忘れられないリフへ変える。これはマーク・ボランが得意とした方法であり、『20センチュリー・ボーイ』では、その才能が極めて分かりやすい形で表れています。
ギターだけではない、重く跳ねるグルーヴ
ギターばかりに耳を奪われますが、この曲を支えているリズムセクションも重要です。
ビル・レジェンドのドラムとスティーヴ・カーリーのベースが、派手に動き回るのではなく、太いビートを作り続けます。その上をボランのギターとヴォーカルが自由に動くことで、T. Rex独特の粘りのあるグルーヴが生まれています。
さらにコーラスやハンドクラップ、サックスが加わっているにもかかわらず、曲の中心は最後までロックンロールの単純な衝動です。
音を複雑にするのではなく、単純なアイデアを最大限に格好良く聴かせる。そこにT. Rexの強さがあります。
歌詞は「20世紀の若者論」なのか?

『20センチュリー・ボーイ』というタイトルだけを見ると、「20世紀を生きる若者」を描いた社会的な歌のようにも感じられます。
しかし、実際の歌詞を読むと、そこまで明確な社会的メッセージが語られているわけではありません。
猫、雄羊、蜂、飛行機、自動車といったイメージが次々に現れ、それらが恋愛的な欲望や自己アピールと結びついていきます。
論理的な物語を追うよりも、言葉の響きとイメージ、そしてボランの歌い方そのものを楽しむ方が、この曲には似合っています。
マーク・ボランらしい言葉遊び
ボランは、意味を一つに固定するよりも、言葉を音楽の一部として扱うことに長けたソングライターでした。
『20センチュリー・ボーイ』でも、短いフレーズをリズムへ叩き込み、ギターやドラムと同じようにヴォーカルを機能させています。
だからこそ、この曲は歌詞の意味をすべて理解しなくても成立します。むしろ、ボランの声、ギター、リズム、言葉が一体となった瞬間にこそ、本当の魅力が現れるのではないでしょうか。
約50年を経て蘇った『Top of the Pops』完全映像
冒頭で紹介した映像にも、非常に興味深い物語があります。

T. Rexは1973年2月28日、『20センチュリー・ボーイ』のプロモーションのためBBCの人気音楽番組『Top of the Pops』でパフォーマンスを収録しました。
ところが、BBCにはその完全な映像が保存されていませんでした。
その後、ドイツのテレビ局ZDFに残されていた映像と、当時Super 8フィルムで撮影されていた素材が利用され、失われていた部分を補う形でパフォーマンス全体が復元されます。
そして2023年、約50年ぶりにフル・パフォーマンスとして公式公開されました。
単なる古いテレビ映像ではありません。1973年、グラムロックの中心にいたマーク・ボランが、どのような姿で英国のテレビ画面に登場していたのか。それを現在の僕たちが確認できる貴重な記録です。
1991年、リーバイスCMから始まった二度目のヒット
『20センチュリー・ボーイ』の物語は1973年だけでは終わりません。
1991年、この曲がブラッド・ピット出演のリーバイスのテレビCMに使用されると、英国で再び大きな注目を集めました。
そして再発売されたシングルは、全英シングルチャート13位まで上昇します。
最初の発売から約18年後、しかもマーク・ボランがこの世を去ってから14年後のことでした。
時代も聴き手も変わっているのに、イントロのギターが鳴った瞬間のインパクトは失われなかった。それこそが、この曲の強さを証明しているように思います。
日本では『20世紀少年』へ――ロックから漫画、映画へ
そして日本では、この曲にもう一つの大きな物語が加わりました。
浦沢直樹の漫画『20世紀少年』です。

作品タイトルはT. Rexの『20センチュリー・ボーイ』に由来し、楽曲そのものも作品世界と深く結びついています。
さらに2008年から公開された実写映画三部作でも、この曲がテーマ曲として使用されました。
僕自身、この映画を観に行った大きな理由の一つが、『20センチュリー・ボーイ』でした。正直に言えば、物語そのものへの興味以上に、「この曲が映画の中でどのように使われるのか。そして、あのギターリフを映画館の大音量で聴いてみたい」という気持ちが強かったのを覚えています。
何十年も聴いてきたT. Rexの一曲が、日本の人気漫画を経て映画になり、その曲を今度は映画館のスピーカーから聴く。僕にとっては、それだけでも映画館へ足を運ぶ十分な理由でした。
1972年に東京で基礎部分が録音された英国のロックナンバーが、約四半世紀後に日本の漫画作品のタイトルへつながり、さらに映画を通じて新しい世代へ届いていく。
こうして振り返ると、『20センチュリー・ボーイ』と日本との縁は、単に「日本でも人気があった」という言葉だけでは片づけられません。
僕が第3位に選んだ理由
『20センチュリー・ボーイ』には、T. Rexの魅力を説明するために必要な要素が、ほとんどすべて入っています。
強烈なギターリフ。身体を揺らすグルーヴ。マーク・ボランの独特なヴォーカル。そして、派手でありながら決して複雑になりすぎないロックンロール。
さらに、東京での録音、『Top of the Pops』の失われた映像とその復元、1991年の再ヒット、そして日本の『20世紀少年』へと続く物語まで、この一曲は半世紀以上にわたって新しい意味を獲得してきました。

それでも、最終的に僕が惹かれるのは歴史的なエピソードではありません。
イントロのギターが鳴った瞬間、理屈より先に「格好いい」と感じてしまう。
ロックにとって、それ以上に強いものがあるでしょうか。
僕の勝手なBest10【T. Rex編】第3位は、『20センチュリー・ボーイ』。
半世紀を超えても最初の数秒だけで聴き手をつかんで離さない、T. Rexを代表するロックンロールです。


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