第6位:『アイム・セクシー(Da Ya Think I’m Sexy?)』
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次はライブバージョンです。
ディスコに飛び込んだロック帝王:『Da Ya Think I’m Sexy?』の魅力と衝撃
1978年、ロック界の名士ロッド・スチュワートが放った一曲。それが**『Da Ya Think I’m Sexy?(アイム・セクシー)』**です。このタイトルだけで、何やら「ドヤ顔」のロッドが浮かんできそうですが、当時のリスナーにとっては衝撃そのものでした。
なにせ、ロッドといえばジェフ・ベック・グループやフェイセズといったバンドで名声を得た、筋金入りのロッカー。しゃがれ声に色気漂うルックス、さらに派手なスーツや奔放なライフスタイルで「ロックンロールの化身」とも称された男です。しかし、70年代後半。世界中のダンスフロアはディスコビートに飲み込まれていました。まばゆいミラーボールが回り、キラキラ衣装で人々は踊り狂う――そんな時代の波に、ロッド・スチュワートが思い切り飛び込んだのです。
ロッド、ディスコへ転身? ファンの衝撃
**『Da Ya Think I’m Sexy?』**は、アルバム『Blondes Have More Fun』(スーパースターはブロンドがお好き)に収録された、まさかのディスコナンバー。冒頭から漂うシンセサイザーの妖しげな響き、グルーヴィーなベースライン、耳に残るキャッチーなメロディ――聴いた瞬間、ロッドはロック親父から一転、ディスコクラブの中心人物へと変身しました。
しかし、これまで彼のロック魂を支持してきたファンは、頭が混乱したことでしょう。
「ロッド、どうしちゃったんだ!?」
「これ、俺たちのロッドなのか?」・・・・正に僕もここに属していました。
アフロヘアの人々が踊り狂うディスコの世界と、あのしゃがれ声のロックンロールは、相容れない――そう考えたファンも少なくなかったのです。
時代は変わる! ディスコ路線で大ヒット
ところが、音楽の流れに「ノー」と言える者はいません。『Da Ya Think I’m Sexy?』は全英・全米チャートで1位を獲得し、見事に大ヒットを記録。ノリの良いビートと「なぁ、俺ってセクシーだろ?」と挑発的に問いかける歌詞は、若者たちの心を掴み、世界中のダンスフロアを席巻しました。
この曲が流れるクラブでは、少し気取った男女が「私ってどう?」「俺ってどう?」と冗談めかしに声を掛け合い、軽快なリズムに乗って踊り狂う――そんなシーンが繰り広げられたに違いありません。ロッド・スチュワートは、「時代の流れを読む」という意味では、まさに先見の明があったのです。
意外な裏話:著作権と社会貢献
この曲には、ちょっとした裏話もあります。ロッド自身が後に語ったところによると、『Da Ya Think I’m Sexy?』の一部のメロディは、ブラジルのシンガージョルジ・ベン・ジョールの「Taj Mahal」に影響を受けていると指摘され、著作権問題に発展しました。
結果、ロッドはこの曲の印税をユニセフ(国連児童基金)に寄付することを決断。ディスコの熱気で「俺ってセクシー?」と歌いながら、その収益が世界中の子どもたちのために使われる――なんとも粋な話ではありませんか。ロック界のお騒がせ男が、まさかの社会貢献。こういうギャップこそ、ロッドの真骨頂なのかもしれません。
挑発と遊び心――ロッドの本質が見える曲
『Da Ya Think I’m Sexy?』は、賛否両論を巻き起こしながらも、ロッド・スチュワートという男の本質を浮き彫りにしました。それは反骨精神、挑発的なスタイル、そして音楽への柔軟なアプローチです。
ロッドは、この曲を通じてファンにこう問いかけたのではないでしょうか。
「お前ら、俺の変化についてこられるか? どんなジャンルでも、俺は俺だ!」
ディスコに身を投じながらも、ロックの精神を捨てなかった彼の姿勢は、時代の変化を恐れない挑戦者そのものでした。
今なお愛される“クセになる”一曲
時代を経てもなお、この曲は私たちを楽しませてくれます。カラオケや懐メロ特集で流れれば、「なんだこの曲は?」と笑いながらも、気づけばリズムに合わせて体が動いてしまう――そんな魔法がこの曲には宿っています。
例えば、コンサートでこの曲が流れれば、往年のファンは「来た!」と腰を振り、若い世代は「え、ロッドってこんな曲も歌ってたの?」と驚くことでしょう。ロックとディスコが混ざり合う時代の象徴として、この曲は今も音楽シーンに鮮烈な足跡を残しています。
まとめ:ロッド・スチュワートという男の真骨頂

『Da Ya Think I’m Sexy?』は、ロックの帝王がディスコへと華麗に飛び込んだ歴史的トラックです。当時は「何でディスコ?」と驚かれながらも、彼はそのジャンルさえ自分の色に染め上げ、時代の流れを見事に乗りこなしました。
もしこの曲を聴く機会があれば、ぜひ当時のディスコフロアを想像してみてください。
煌めくミラーボールの下、微笑みながらステップを踏むロッド・スチュワート。真剣にふざけ、ふざけながら真剣に踊る彼の姿は、今も変わらず私たちを魅了し続けています。
「なぁ、俺ってセクシーだろ?」――その問いに対する答えは、きっとあなた自身の中にあるはずです。
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