【10月6日】は、-ケヴィン・クローニン(Kevin Cronin)の誕生日:『Keep on Loving You』(REOスピードワゴン)をご紹介!

今日は、ケヴィン・クローニン(Kevin Cronin)の誕生日です。

1951年10月6日、アメリカ・イリノイ州エバンストンに生まれたケヴィン・クローニンは、REOスピードワゴンのメインボーカル兼ソングライターとして長年バンドを支えてきました。
70年代初期に一度脱退しながらも、1976年に復帰。その後の黄金期を牽引し、彼の繊細かつ確信に満ちた歌声は、バンドの象徴として世界中のリスナーに愛され続けています。

超約

過去に裏切られた痛みを知りながらも、彼はなお相手を愛し続ける決意を歌っている。
嘘や傷を越えても、愛した気持ちは本物だったという強い確信。
「眠りたくない、ただ愛し続けたい」という一途な想いが、執念ではなく誓いとして響く。
赦しではなく“選び取る愛”を描いた、誠実な告白の歌。

今日の紹介曲:「Keep on Loving You」-REO Speedwagon 

✅ 公式動画クレジット:
🎵 REO Speedwagon - Keep On Loving You (Video Version)
© Epic Records / Sony Music Entertainment

2行解説:
1980年のアルバム『Hi Infidelity』収録、REOスピードワゴン最大のヒット曲。
ロックバラードとして80年代AORの象徴的存在となり、全米1位を獲得しました。

僕がこの曲を初めて聴いたのは・・・♫

僕がこの曲を初めて聴いたのは・・・♫
 小学校中学校高校大学20代30代40代50代60代
曲のリリース   1980     
聴いた時期        

東京都世田谷区松原の四畳半、風呂なし、トイレ共同のアパートにいた時です(T_T)/~~~。

毎日が音楽三昧の日々で、大学へは気が向いたときと、必修科目のある時だけ行くという、当時としてはごく普通の大学生活だったと思います。(^_-)  

勉強への意欲はどこへやら!(入学時には大きな目標がありました( ;∀;))

音楽と、彼女と、学生という立場だけあれば十分で、それで幸せ、それで毎日が自然に流れていくような期間でしたね。今からでもあの時の自分を小突いてやりたいです。


『Keep on Loving You』という永遠のラブソング

発売と快進撃のはじまり

『Keep on Loving You』は、REOスピードワゴンが1980年にリリースしたアルバム『Hi Infidelity』の先行シングルとして登場しました。翌1981年にビルボード・Hot 100で1位を獲得し、バンド初の全米ナンバーワンソングとなります。
この成功は偶然ではなく、アメリカン・ロックがポップスとクロスオーバーしていく時代の象徴でした。70年代のハードロックが持っていた力強さを保ちながら、メロディとハーモニーを重視するAOR(Adult Oriented Rock)の波が拡大し、ラジオで流れても違和感のない“洗練されたロック”が求められていたのです。

『Hi Infidelity』はその要請に完璧に応え、最終的にアメリカ国内だけで1000万枚を超えるモンスターセールスを記録しました。まさに、REOスピードワゴンがアリーナロック時代の頂点に立った瞬間でした。


ピアノで始まるロック

『Keep on Loving You』が他のロックバラードと異なるのは、その始まり方にあります。
ギターリフでもドラムロールでもなく、静かなピアノのアルペジオから物語が始まる。
この選択は当時としては大胆でした。
多くのロックバンドが「力強さ」を前面に押し出していた1980年、REOはあえて“繊細さ”で聴き手の注意を引いたのです。

ドラムが加わるまでの数小節で、リスナーは自然と耳を近づけ、ケヴィンの声に引き込まれていく。
そこからギターが一気に加速し、サビで爆発する構成は、のちに“パワー・バラード”と呼ばれるスタイルの原型となりました。


その流れは、ジャーニー『Open Arms』、フォリナー『Waiting for a Girl Like You』など、1980年代前半のアメリカンロックを席巻した一連の名曲へと受け継がれます。


歌詞に刻まれた痛みと決意

赦しではなく、選択の愛

この曲の歌詞は、単なる恋愛の告白ではありません。
「all about those men(あの男たちのことは全部知っている)」という一節が示すように、裏切りと失望の記憶を前提に書かれています。
それでも「I’m gonna keep on lovin’ you」と歌い続ける——そこには、理想ではなく“覚悟としての愛”があるのです。

クローニン自身も後に「この曲は、自分の妻への正直な気持ちをそのまま書いた」と語っています。
怒りや悲しみを感情的にぶつけるのではなく、理性と感情がせめぎ合う中で導き出された“宣言”こそが、この曲の核心。
甘さのないラブソングだからこそ、何十年経っても聴く人の胸に刺さるのです。


メロディ構成の妙

Aメロでは声を抑え、感情を静かに滲ませる。
それがプリコーラスで上昇し、サビで爆発する構造は、非常に計算された美学の上に成り立っています。
特にサビの〈And I’m gonna keep on lovin’ you〉の跳ね上がるメロディは、感情の頂点を的確に捉えています。
英語のアクセント位置と旋律の抑揚が完全に一致しており、言葉のリズムそのものが感情表現に転化している点が秀逸です。

また、曲全体を通してコード進行はシンプルですが、ボーカルとコーラスの重ね方で劇的な奥行きを生み出しています。
後半にかけてコーラスの層が一段ずつ厚くなり、最後のリフレインではドラムとギターが完全に解放される。
その“解き放たれる感覚”が、この曲を聴く喜びの本質と言えるでしょう。


クローニンの声と表現

ケヴィン・クローニンのボーカルは、単なる高音の魅力だけではありません。
彼の声には「押し殺した感情を解放する瞬間」のリアリティがあります。
かすかに震えるビブラート、息を混ぜた発音、そして語尾で一瞬だけトーンを上げる癖。
これらが一体となって、聴き手に“心の動きを可視化するようなリアルさ”をもたらします。

ライブでは、彼の声が楽器に負けない力でホールを満たし、観客が自然にサビを口ずさむ光景が繰り返されてきました。この「共に歌う」構造こそ、REOスピードワゴンがアリーナロックを代表する理由です。

アルバム『Hi Infidelity』が示したもの

REOスピードワゴンの“再定義”

1980年の『Hi Infidelity』は、REOスピードワゴンにとって単なるヒットアルバムではなく、“自己更新”の証でした。
70年代の彼らはツアーバンドとして評価されていたものの、アルバムの売上や音楽的方向性で苦戦する時期が続いていました。
そこにクローニンが再加入し、メロディ重視の作曲方針を打ち立てたことでバンドは再生。
『Hi Infidelity』では、ポップな要素を大胆に導入しつつ、アリーナ規模のスケールを維持したバランスが際立っています。

『Keep on Loving You』はアルバム全体の感情的な核を担い、周囲のロックチューン――「Don’t Let Him Go」「Tough Guys」「Follow My Heart」など――がその勢いを支える構成。
1曲のバラードが作品全体の重心を安定させるという設計は、のちのBon JoviやDef Leppardにも受け継がれる手法です。


時代背景とアメリカの音楽シーン

ロックとポップの“共存”

1980年という時代は、ロックの純粋さよりも“聴きやすさ”が評価され始めた転換期でした。
MTVが開局する前年、音楽はすでに映像的・劇的な表現へと進化を始めており、リスナーはギターの爆音よりも“サウンドの完成度”に惹かれるようになっていました。
『Keep on Loving You』はその中で、ロックバンドの誇りを保ちながら、ポップリスナーの心にも届く奇跡的な接点を作ったのです。

また、当時のアメリカでは経済も文化も“新しい80年代”への期待に満ちていました。
混沌とした70年代の終わりを経て、「再生」「立ち上がり」「前進」といったキーワードが社会全体に漂っていた。
この曲が持つ「過去の痛みを抱えながらも前へ進む」というメッセージは、まさに時代のムードと共鳴していたと言えるでしょう。


歌詞の奥行きと人間ドラマ

比喩の精度

“You played dead but you never bled”(死んだふりをしたけれど、血は流さなかった)
“all coiled up and hissin’”(とぐろを巻いてシューッと息を吐くように)

この2行は、日常的な言葉の中に生々しい比喩を滑り込ませた秀逸な表現です。
“蛇のように身を丸めた裏切り”というイメージは衝撃的でありながら、どこか現実的でもある。

その一方で “And I meant every word I said”(俺の言葉はすべて本気だった)という繰り返しが、苦しみの中でも誠実さを貫く姿勢を際立たせます。

まるで手紙のような直接性があり、聴き手は自分自身の経験に照らしてこの歌を“自分ごと”として受け止めるのです。


「Keep on Loving You」が残した遺産

80年代ロックの雛型となった曲

この楽曲は、後のアメリカンロックにおける“バラードの設計図”になりました。
ピアノで始まり、ギターで解放し、サビで全員の声が重なるという展開は、その後数えきれないほど模倣されます。
Bon Jovi、Night Ranger、さらにはAerosmithの「Angel」などにも、その構造が見て取れます。

世代を越えた再評価

1990年代に入りグランジやオルタナティブの波が来ても、この曲は失われませんでした。
2000年代には映画『The Goonies’ R Good Enough』やコマーシャル、さらにはNetflixドラマなどでも引用され、若い世代にも再発見されています。
ケヴィン・クローニンは近年のインタビューで「人が人生で傷ついても、音楽は前へ進む力をくれる」と語っています。
その言葉通り、この曲は40年以上経っても再生され続けています。


バンドとしての現在地

REOスピードワゴンは今も現役です。
ツアーではこの曲が必ずセットリストの後半に置かれ、イントロのピアノが鳴った瞬間に観客が立ち上がるのが恒例。
観客が一斉に合唱し、ケヴィンが最後のフレーズで笑顔を見せる光景は、時代を超えた信頼関係そのものです。
ステージ上での「Keep on Loving You」は、もはや“再会の儀式”といっても過言ではありません。


まとめ:愛し続けるという意思

『Keep on Loving You』は、愛を語る歌ではなく、愛を“選ぶ”歌です。
完璧ではない関係を受け入れ、それでも進むと決める——そのリアリズムが、この曲の永続的な強さを支えています。
ケヴィン・クローニンがこの曲で示したのは、「ロックは大音量だけではない」「正直さこそが最大のエネルギーだ」という事実でした。

10月6日、彼の誕生日にこの曲を聴くことは、単なる記念ではなく、
“信念を音に変える力”をもう一度確かめる行為かもしれません。
そしてその力こそが、REOスピードワゴンをいまもステージに立たせている理由なのです。

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