僕の勝手なBest10:【ジャーニー/Journey】編-第10位『Wheel in the Sky』〜果てなき旅路の幕開け、運命の輪は回り続ける〜

【徹底解説】ジャーニー(Journey)の終わらない旅(歴史)~はこちらからご覧ください!!


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第10位は『Wheel in the Sky』です

皆様、こんにちは。今回から、私個人の独断と偏見、そして溢れんばかりの愛を詰め込んだ「ジャーニー(Journey)勝手なBest10」という新シリーズをスタートさせていただきます。

毎回そうなのですが、数え切れないほどの名曲群の中から、たった10曲だけを選び抜くという作業は、想像以上に困難を極めました。あの曲も入れたい、いや、この曲のあのメロディは外せない……と、連日連夜レコードやCD、ストリーミング音源と向き合いながら、頭を抱える日々を過ごしておりました。

そんな激戦を勝ち抜き、記念すべき第10位の座に輝いたのは、彼らの黄金期の幕開けを告げた記念碑的ナンバー『Wheel in the Sky』です。

ジャーニーといえば、美しいピアノのイントロから始まる壮大なバラードや、スタジアムを揺るがすような洗練されたポップ・ロックのイメージが強いかもしれません。しかし、今回選んだこの楽曲は、そのイメージとは少し異なる「土臭さ」と「哀愁」、そしてハードロック的な骨太さを併せ持っています。なぜこの曲を10位に選んだのか。それは、この曲がジャーニーというバンドの「運命」を決定づけた、絶対に避けては通れない非常に重要なターニングポイントだからです。

歌詞の超訳

季節は巡り、帰れないまま時だけが過ぎていく。
どこへ向かうのか分からないまま、それでも走り続ける。
空の大きな流れに身を任せ、明日を探している。
帰りたい場所を胸に、揺れながら今日を越えていく。

まずは公式音源でお聞きください

■ 日本語クレジット
「Wheel in the Sky」/Journey
作詞・作曲:Steve Perry, Neal Schon, Diane Valory
© Columbia Records(1978年作品『Infinity』収録)

■ 2行解説
1978年発表、Journeyのブレイク期を象徴するクラシック・ロックの代表曲。
疾走感あるギターとスティーヴ・ペリーの力強いボーカルが、バンドの黄金時代の幕開けを告げた一曲。

黄金時代への架け橋となった「泥臭い」アンセム

この『Wheel in the Sky』がリリースされた1978年という年は、ジャーニーにとってまさに「生まれ変わり」の時期でした。それまでの彼らは、高い演奏技術を誇るプログレッシブ・ロックやジャズ・ロック的なアプローチを信条としていましたが、商業的な大成功には今一歩届かずにいました。

そこでバンドは、よりキャッチーでメロディアスな方向性を模索し始めます。この曲は、ニール・ションの重厚で哀愁漂うアコースティックギターのアルペジオから始まり、そこにハードで泥臭いエレクトリックギターのリフが絡み合っていくという、非常にドラマチックな展開を持っています。そして何より特筆すべきは、新加入したスティーヴ・ペリーの「声」です。

彼の突き抜けるようなハイトーンボイスが、この重たいサウンドの波を切り裂くように響き渡った瞬間、ジャーニーというバンドは新しい次元へと突入しました。後年のキラキラとしたシンセサイザーを中心としたサウンドとは違い、この曲には荒野を吹き抜ける風のような、乾いたロックのダイナミズムが詰まっています。この荒々しさのなかに光る圧倒的なメロディの美しさこそが、僕がこの曲を深く愛してやまない理由の一つです。

凍てつく冬と、帰れない故郷への渇望

この楽曲の奥深さは、そのサウンドだけでなく、描かれている世界観にもあります。歌詞の言葉をそのまま引用することは避けますが、ここで歌われているのは、終わりの見えない旅を続ける人間の、深く切実な孤独感です。

厳しく冷たい冬が再びやってきたことを天に嘆き、もう一年以上も故郷の土を踏んでいないという旅人の哀愁。遠く離れた大切な人へ、夏の日に手紙を送った記憶。しかし現実は、埃まみれの道をただひたすらに進むしかありません。明日自分がどこに行き着くのか、何をしているのかさえ分からないという強烈な不安感。それでも、見上げた空にある「運命の輪」のような何かは、無情にもただ回り続けている……。

そんな、人生という名の終わりのないツアーを続けるミュージシャン自身の姿とも重なるような、焦燥感と孤独が克明に描かれています。単なるラブソングや応援歌ではなく、地に足の着かない根源的な不安を歌い上げているからこそ、この曲は時代を超えて私たちの心の奥底に響く力を持っているのだと思います。

学生時代の冬空と重なる情景

この「明日どこにいるのか分からない」という歌詞の世界観に触れるとき、僕の脳裏には決まって、大学時代を過ごした東京での風景が蘇ってきます。

地方から上京し、築年数の古い小さなアパートで一人暮らしをしていたあの頃。若さゆえの万能感と、それと同じくらい大きな「将来への正体不明の不安」が常に胸の内に同居していました。特に冬の時期、京王井の頭線の駅のホームで冷たい風に吹かれながら、見慣れない東京の空を見上げていた時の心細さは、今でも鮮明に思い出すことができます。

故郷の家族には「元気にやっている、心配ない」と強がりの手紙(当時はまだメールなどありませんでした)を送りながらも、自分がこの大都会で一体何者になれるのか、明日はどんな道を歩んでいるのか、全く見当もつきませんでした。

そんな凍てつくような冬の夜、部屋で一人カセットテープから流れる『Wheel in the Sky』を聴いていると、スティーヴ・ペリーの哀愁を帯びたハイトーンボイスが、見知らぬ街で心細さを抱える自分の背中を、そっと撫でてくれるような気がしたものです。空の車輪は回り続け、時は止まってくれない。だからこそ、不安を抱えながらもこの埃っぽい道を歩み続けるしかないのだと、一種の諦観にも似た覚悟を、若き日の僕は学んだのかもしれません。

帰郷への渇望と、打ち砕かれる心

中盤の展開で描かれるのは、どうにかして故郷へたどり着こうと必死にもがく旅人の姿です。冷たく打ち付けるみぞれや雨の中に立ち尽くし、「もう二度とあの故郷へは帰れないのではないか」と、心折れそうになる瞬間が切実に表現されています。

約40年にわたる現役時代、終わりの見えない業務の連続や、複雑に絡み合う人間関係の摩擦の中で、僕自身も「この冷たい雨はいつ止むのだろうか」と途方に暮れた夜が何度もありました。明日の行方すら分からないまま、ただ目の前にある現実という名の「空の車輪」が、容赦なく回り続けるのを眺めるしかないような無力感。この曲の重厚で引きずるようなギターリフは、そんな重苦しい日々の足音のようにも聞こえてきます。

リズム隊が刻む、終わらない旅の鼓動

ここで少し、サウンドの土台にも耳を傾けてみたいと思います。ニール・ションのメロディアスなギターや、スティーヴ・ペリーの圧倒的なボーカルにどうしても意識が向かいがちですが、この曲の背骨を支えているのは、重く粘り気のあるリズム隊のグルーヴです。

サビへと向かっていく力強いベースラインとドラムのうねりは、まさに「回り続ける巨大な車輪」の物理的な重さを体現しています。決して立ち止まることを許さない運命の引力を、音響の面から見事に描き出しており、この時代特有のアナログ感あふれる音像が、楽曲にさらなる奥行きを与えています。

闇を切り裂く「声」と、朝の光がもたらすカタルシス

しかし、この曲が単なる絶望の歌で終わらないのが、ジャーニーというバンドの真骨頂です。深い闇と冷たい雨を抜けた先には、必ず新しい朝がやってきます。歌詞の後半では、ついに朝の太陽が昇り、新しい一日を優しく祝福するかのように光を投げかけるという、非常に美しく希望に満ちた情景へと転換します。

この劇的な光と影のコントラストを完璧に表現しているのが、終盤に向けて圧倒的な熱を帯びていくスティーヴ・ペリーのボーカルです。言葉にならない感情を爆発させるかのような、力強いフェイクや魂を揺さぶるシャウト。それは、冷たいみぞれに凍えていた旅人が、昇りゆく朝日に向かって再び生命力を蘇らせる瞬間のようでもあります。彼の声には、どんなに過酷な運命の車輪が回ろうとも、それに立ち向かっていく人間の底知れぬエネルギーが宿っているのです。

ジャーニーの「運命の輪」が回り始めた瞬間

過去との決別と、新たなる表現への旅立ち

複雑なプログレッシブ・ロックの要素を残しつつも、よりダイナミックで感情に直接訴えかけるメロディを手に入れた彼らは、この曲を皮切りに数々のメガヒットを世に送り出していくことになります。もし、この泥臭くも力強い、過渡期ならではのアンセムが存在しなければ、後年の洗練されたスタジアム・ロックの王者としてのジャーニーは誕生しなかったかもしれません。

僕自身も長い現役時代にピリオドを打ち、故郷の大分で、こうしてブログを通じて、日々新たな音楽の旅を続けています。かつて東京の小さなアパートで、漠然とした不安の中で見上げていた「空の車輪」は、今も変わらず僕の頭上で回り続けているのでしょう。しかし今の僕には、その車輪の回転にただ怯えるのではなく、音楽と共にその果てなき道を歩み続けようとする、ささやかな覚悟があります。

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