■【カーペンターズ】について、詳しくはこちら・・・・
➡🌈 優しさで世界を変えた兄妹 ― カーペンターズという奇跡💛
※ 音声を聞き終えてから記事を読み進めると、より深く楽しめます。
🎸【カーペンターズ編】第2位『Superstar』です。
僕の勝手なBest20【カーペンターズ編】もいよいよ第2位です。
第2位は『Superstar』です。
僕にとっては、単にカーペンターズの一曲というより、この曲だけが独立して別にある・・という特別感が強い曲です。なんか別格で、存在感が突出しているし、重厚感が半端でない。このBest20という分け方にもそぐわないかもしれない、そんな感じの曲なんですね。
これまた、思わずうなってしまう楽曲に違いないハイクオリティな曲です。
超約
この曲の主人公は、ツアーミュージシャンに強く惹かれた女性です。
一瞬だけ確かに触れ合ったはずの関係は、日常に戻ると色を失い、彼女はその距離の大きさに気づきます。
それでも、あの時に交わした言葉や、目の前で奏でられた音の記憶だけが、自分を支える拠り所になっている。
再会を願いながらも“実際には難しい”と理解しており、その矛盾を抱えたまま時が過ぎていく物語です。
🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。
🎬 公式動画クレジット(公式音源) 【Official Music Video / Official Audio】 Carpenters – “Superstar” © A&M Records / UMe Uploaded by:Carpenters(公式チャンネル / 認証バッジあり) Release on YouTube:2010/09/29 視聴回数:44,525,219回(スクショ時点) 🎼2行解説 カレンの低く落ち着いたボーカルが、揺れ続ける主人公の想いを静かに描き出す名演です。 リチャードの緻密なアレンジが、カーペンターズ版『Superstar』を完全に“スタンダード化”したことが伝わります。
特別感の正体
柔らかいアコースティックの響きと、胸の奥で沈むような旋律。
この曲は、カーペンターズの代表的バラードの中でも、とくに“感情の温度差”に敏感な一曲です。華やかなタイトルとは裏腹に、ステージの裏側で取り残された想いを、静かに、しかし逃げ場のない深さで描きます。
カレンの深い声質は、主人公の揺れを過度に dramatize することなく、そのままの形で浮かび上がらせており、この曲の核心を象徴しています。

曲の基本情報
リリース/収録アルバム
『Superstar』は 1971年8月 にシングルとしてリリースされ、同年のアルバム 『Carpenters』 に収録されました。
この曲には複数のルーツがあります。原曲はデラニー&ボニーの作品で、ロックとソウルが交差するスタイルでした。その後、リタ・クーリッジがツアー中に披露したバージョンが大きな影響力を持ち、 “ツアーミュージシャンとの短い恋” という物語の核がより明確になったと言われます。
カーペンターズ版では、リチャードがストリングスを大胆に整理し、旋律と声だけが際立つ構造へと再編成しました。
この“削ぎ落とし”の感覚が、主人公の孤独をさらに際立たせ、結果としてオリジナルとはまったく違う方向性の名曲に仕上がっています。

チャートと時代背景
Billboard Hot 100 では 最高2位 を記録し、1971年を象徴するバラードのひとつとして位置づけられました。
当時のアメリカの音楽シーンは、フォーク、ソフトロック、シンガーソングライターの台頭が重なり、“個人的な感情の掘り下げ”が強く求められていた時代です。
そんな中で、『Superstar』は珍しいテーマを提示しました。
恋の始まりの高揚や、別れの激しい痛みではなく、“宙ぶらりんの関係のまま取り残された側” の視点を描いた点です。
この“決着のつかない感情”を扱ったバラードは当時はまだ多くなく、カーペンターズの表現力を一段引き上げた作品として高く評価されました。
さらに、同アルバム『Carpenters』には『Rainy Days And Mondays』『For All We Know』など、静かな憂いを伴う曲が多く収録されており、その中でも『Superstar』は群を抜いてストレートな痛みを抱えています。
こうした時代背景とアルバム構成の中で、より一層存在感を放つ曲となりました。
曲のテーマと世界観
主人公の背景
主人公は、ツアーミュージシャンと出会い、短い時間とはいえ互いに深く惹かれ合った経験を持ちます。
しかし、その関係はあくまで“移動を前提とした世界で起きたこと”であり、日常の生活に持ち帰るにはあまりに不安定です。
彼が次々と別の街へ移動してしまう生活リズムと、自分がその場に取り残される現実。その両方を理解しているからこそ、主人公は過度な期待を抱けません。
それでも、その短い出会いが主人公にとっては大きな意味を持ち、彼女はその時に感じた温度を手がかりに日々をつないでいます。
この“分かっているのに忘れられない”という構図が、物語全体を支える柱になっています。
物語の導入
曲の冒頭では、主人公がふと過去の記憶に触れます。
彼が奏でたギターの音色、ライブ会場での距離、交わした言葉の断片。それらはラジオから流れてくる彼の声によって再び鮮明になります。
しかし、その音は“彼がここにいない”ことを同時に突きつける存在でもあり、主人公は音楽に救われる一方で、距離を実感せざるを得ません。

ラジオは、主人公を過去へ誘いながらも、現実の隔たりを認識させる装置でもある。
その二重性が、この曲の情感を静かに支えています。
さらに、この導入部分には、のちに訪れる“再会への期待”と“叶わないことへの予感”が混在しています。
主人公は本気で再会を願わないわけではない。しかし、ツアーを続ける彼の生活リズムを知っているからこそ、心のどこかで“戻っては来ないかもしれない”という予感も抱いています。
この構造が、聴き手に強い引力を生み出します。
歌詞の核心部分と解釈
象徴的なフレーズ
『Superstar』の物語を象徴するのは、主人公がどうしても手放せない “あの日の言葉” です。
歌詞の中で一度だけ引用するなら、次のようなフレーズでしょう。
“you told me you loved me”(あなたは私を愛していると言った)
この言葉は、主人公にとって記憶を支える最後の糸のような存在です。
ただし、ここで描かれる「愛している」は永続的な約束ではなく、ライブという非日常の熱と、ツアー先での一時的な興奮の中で生まれた“その瞬間だけの真実”とも読み取れます。

主人公はこの言葉の余熱だけで日々をつないでおり、実際には彼が戻る見込みは薄いことを理解しています。
その“理解しているのに諦めきれない感情”が、この曲を単なる失恋ソングではなく、より複雑で静かな痛みを持つ作品に押し上げています。
主人公の心理変化
物語が進むにつれ、主人公の心理には変化が生まれます。
序盤では彼の声をラジオで聴くだけで胸が熱くなっていた彼女は、次第に、
◆過去の温度を繰り返し確かめる段階
◆待つことが生活の中心になっていく段階
◆そして、期待が薄くなると同時に、記憶が支えにも負荷にもなる段階
へと移っていきます。
この変化は、激しい感情の爆発ではありません。
むしろ静かで、誰にも気付かれないほどのわずかな揺れが連続した結果として描かれています。
それがカーペンターズ特有の “淡い痛み” につながり、曲の温度を決定づけています。
“再会の願い”が示すもの
中盤では、主人公がもう一度会いたいと願う描写が登場します。
その願いは、現実的というより「そう願わずにはいられない」という内側からの衝動に近いものです。
主人公は自分の願いが叶いにくいことを知っています。
それでも、彼のギターの音色や、ライブ会場で交わした視線を支えに、望みをかろうじて保っています。
この“叶わない願いを抱え続ける行為”こそ、『Superstar』の感情的中心です。

サウンド/歌唱の魅力
アレンジの特徴
カーペンターズ版『Superstar』は、原曲のソウル寄りのアプローチとは大きく異なり、音の密度を徹底的に整理しています。
低音が厚すぎず、高音が尖らず、中央のメロディラインがまっすぐ聴き手に届くように構成されています。
リチャード特有の “整えられたストリングス” は、泣きの強調ではなく、主人公の静かな心情の輪郭をなぞる方向に機能しています。
また、ピアノがリズムを控えめに刻むことで、言葉の重みが前に出る構造が成立しました。

特筆すべきは、サビに向かうまでの緩やかな上昇感です。
ボリュームを急に上げるのではなく、メロディが少しずつ視線を上げていくような設計になっており、主人公の“期待と現実の揺れ”をそのまま音で体現しています。
カレンの歌唱が持つ決定力
カレンの歌声は、この曲の世界観に圧倒的な説得力を与えています。
彼女の声には“芯の強さ”と“沈むような静けさ”が同居しており、『Superstar』に固有の緊張感をつくり出します。
特に印象的なのは、母音をやや長めに保ちながらも、音を上下させ過ぎない発声です。
これにより、主人公が抱える感情の幅が広がりすぎず、一定の温度に保たれます。
その“揺れ幅のコントロール”が、物語の切なさを深める要素になっています。

また、フレーズの終わりに装飾をほとんど加えないため、言葉の重力がそのまま落ちていきます。
これが“淡々としているのに痛みが残る”という、カーペンターズらしい独特の質感を生みました。
Best20の第2位に入る理由
他曲との差別化ポイント
カーペンターズには名バラードが数多くありますが、『Superstar』が第2位に入った理由は、次のような“唯一性”にあります。
- 主人公の感情が解消されないまま終わる構造
一般的なラブソングのように結末が提示されず、宙ぶらりんの感情が最後まで残ります。
この未整理の痛みは、他のヒット曲とはまったく違う深さを持っています。 - 歌とアレンジのバランスが極めて繊細
声の存在感が強いのに、音が邪魔をせず、全体がひとつの物語のように流れていきます。
“サウンドと歌の等価性”という観点では、代表作の中でも特に高い完成度です。 - カレンの歌唱表現がもっとも自然に機能している楽曲のひとつ
声の重心が低い彼女の特質が、曲のテーマと完全に一致しており、無理のない深みが出ています。
この3点が重なる曲は、カーペンターズ作品でもそう多くはありません。
読者が聴き直したくなる一言
『Superstar』は、聴き返すたびに“感情の層”が変化する曲です。
若い頃に聴いたときは恋の切なさとして、年齢を重ねると“記憶の残り方”として響く。
時間の流れとともに曲の表情が変わる稀有なバラードです。
もし久しぶりに聴くのであれば、サビではなく歌い出しの低いトーンに耳を傾けてみてください。
そこで響くカレンの声は、主人公が過去に触れる瞬間を、そのまま目の前に置いていきます。


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