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➡🌈 優しさで世界を変えた兄妹 ― カーペンターズという奇跡💛
🎸【カーペンターズ編】第12位『Goodbye To Love(さようならをもう一度)』です。
第12位は『Goodbye To Love』です。
1972年のカーペンターズは、順調な活動の裏で「より深いテーマへ向かう」転換点を迎えていました。その中で登場した本作は、恋愛を爽やかに描く従来のスタイルとはまったく違う方向に踏み込み、人が抱える孤独・諦め・静かな決意を真正面から描き出しています。
カレンの声は穏やかさを保ちながらも、どこか引き返せない道の入口に立つような緊張感を帯び、聴く側に強い印象を残す作品です。
超約
この曲の主人公は、長い時間をかけて恋を探してきたものの、求めていた形にたどり着けず、自分の人生を一人で歩む決意を固めています。
期待するほど傷ついてきた経験があり、これ以上心を消耗したくないという思いが背景にあります。
それでも未来を完全に否定するのではなく、どこかで“いつかは違う景色が見えるかもしれない”という淡い可能性は残しています。
諦めと希望が複雑に入り混じり、静かに自分の道を選ぼうとする姿が描かれています。

🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。
🎬 公式動画クレジット(公式音源) 提供: Universal Music Group 曲名:「Goodbye To Love」(邦題:さようならをもう一度) アーティスト:カーペンターズ(Carpenters) 収録アルバム:『Gold – Greatest Hits』 レーベル:A&Mレコード © 1972 A&M Records 🎼2行解説 恋の終わりを受け止めながら、その先に進むための静かな決意を描いた深いバラードです。 中盤のギターパートとカレンの包み込むような低音が、曲の核心となる“別れの受容”を鮮明に浮かび上がらせています。
曲の基本情報
リリース/収録アルバム
『Goodbye To Love』は 1972年7月 にシングルとしてリリースされ、同年のアルバム 『A Song for You』 に収録されています。
このアルバムはカーペンターズのキャリアの中でも特に評価が高く、ポップな曲調からバラード、内面に迫る作品まで幅広い楽曲が揃っていました。その中でも本作は“深い孤独をテーマにした曲”として異彩を放ち、当時のリスナーにも強烈な印象を残しました。
作詞・作曲は定番コンビのリチャード・カーペンターとジョン・ベティス。
恋愛の喜びを描く作品が多かったカーペンターズにおいて、この曲は 「意図的に暗いテーマへ踏み込んだ最初期の楽曲」 と言われています。

チャートと時代背景
シングルとしては Billboard Hot 100 でトップ10入りを逃しましたが、1970年代前半のアメリカ音楽シーンを考えると、この曲が異質だったことが大きく関係しています。
当時のラジオは明るいポップスやソフトロックが主流で、ここまで沈んだテーマの曲は決して“王道”ではありませんでした。それでも一定の支持を集めた理由は、カレンの歌声と内容の深さに強い説得力があったためです。
また、当時話題になったのは ロックギターの大胆な導入 です。
カーペンターズの楽曲としては珍しく、曲の後半で長いギターソロが展開されます。
これにより、リスナーは「従来のイメージとは違う世界を見せられた」と驚き、賛否が大きく分かれたことでも知られています。

曲のテーマと世界観
主人公の背景
主人公は恋に対して積極的だったわけではありませんが、人生のどこかで「いつかは自分にも相性の良い誰かが現れる」と信じてきました。
しかし、その期待は報われず、積み重なる失望によって“恋を求めること自体を手放す”という選択に向かいます。
この姿は失恋そのものよりも、長い年月をかけてじわじわと心が摩耗していくプロセスを描いているのが特徴です。
「誰も自分の存在を気にかけてくれなかった」という感覚は、ただ寂しいというだけではなく、自分が求めてきた人生像とのギャップによって生まれた痛みです。

物語の導入
歌の前半では、主人公が「自分の生き方を一人に決めた」と静かに語り始めます。
これは劇的な決断ではなく、長い年月の中で少しずつ固まってきた結論であり、感情に任せた瞬間的な判断ではありません。
極短い引用ですが、
“I must live my life alone”(私は一人で生きると決めた)
という一行は、主人公の感情を象徴する重要な部分です。
この短い言葉には、「孤独を恐れながらも、これ以上期待して傷つきたくない」という心の声が含まれています。
主人公は恋を拒絶するのではなく、恋に人生を振り回されることに終止符を打とうとしている。
その冷静で静かな決断が、この曲を単なる悲しい歌ではなく“自己選択の物語”にしています。

歌詞の核心部分と解釈
象徴的なフレーズ
『Goodbye To Love』の中心には、“愛への期待を手放した人物が、あくまで理性的に未来を見つめ直す”という視点があります。
主人公は突然の失恋に打ちのめされているわけではなく、長い年月をかけて「求め続けても届かない現実」を受け入れようとしているのが特徴です。
その象徴として、短い一行
“All the years of useless search”(無駄だった長い探求の年月)
という部分があります。
引用としては極めて短いですが、この一言に主人公の歩みが凝縮されています。
恋愛に期待を寄せ続け、同時にその期待によって傷つき続けてきたプロセスを端的に示しており、本作が単なる失恋ソングにとどまらない理由がここにあります。
曲の中盤で描かれる「これからは自分なりの歩みで進む」という姿勢は、恋愛の放棄というよりも“心の再構築”に近いものです。
すべてを諦める冷たさではなく、これまでの経験が主人公を慎重にし、自分の感情を守ろうとする方向へ向かわせています。
主人公の心理変化
歌が進むにつれ、主人公は「孤独そのものを受け入れる覚悟」が固まっていきます。
その過程は段階的で、丁寧に描かれています。

- 恋を求めることをやめる決意をする
- 孤独が唯一の安定した居場所になると考える
- 未来についてはまだ何も決められないが、今は“自分を守りたい”という気持ちが優先される
この流れは、決意に見えて実は非常に“人間的な揺れ”を含んでいます。
主人公は未来を完全に閉ざしているわけではありません。
歌詞後半にかすかに差し込まれる表現からは、“いつか考えが変わる瞬間が来るかもしれない”という柔らかな可能性も読み取れます。
だからこそ、この曲は単なる絶望ではなく、「自分の心を守るための一時的な防波堤」としての“Goodbye”を描いているのです。

サウンド/歌唱の魅力
アレンジの特徴
『Goodbye To Love』は、カーペンターズの楽曲の中でも特に異質なアレンジが施されています。
その象徴が、曲の後半に登場する 長いディストーション・ギターソロ です。
当時、カーペンターズといえばソフトなピアノと落ち着いたオーケストレーションが主流でした。
そこに、レイヴン・ハートマンが弾くロック調のギターが大胆に組み込まれ、リチャードが意図的に「甘さのない音像」を作り上げました。
ギターは単なる装飾ではなく、主人公が抱えてきた感情の蓄積が一気に放出される象徴として機能しています。言葉で表せなかった思いが、ギターの響きとなって曲全体を支配する構造は、カーペンターズ作品の中でも唯一無二です。

アレンジとしては以下のような特徴があります:
- 前半は穏やかで整ったサウンド
- 中盤からストリングスがやや後退し、リズムが強調される
- クライマックスではギターが主役に立ち、歌とは別の“第二の物語”が展開される
この大胆な構成が、リスナーの心に残る大きな要因となっています。
カレン・カーペンターの歌唱
カレンの歌声は、過剰な感情をのせないことで“決意の冷静さ”を強調し、主人公がどれほど思考を重ねてきたかを自然に伝えていきます。
彼女の声質は低域の落ち着きが特徴ですが、『Goodbye To Love』ではその深さが諦めの静けさと非常に相性が良く使われています。

歌い方は一定のテンションを保ったままで、抑揚の幅をあえて広げすぎず、言葉の重さと淡泊さを同時に成立させています。
その節度ある歌唱が、後半のギターソロをドラマチックに引き立てている点も重要です。
Best20に入る理由(まとめ)
他曲との差別化
『Goodbye To Love』はカーペンターズのディスコグラフィの中で、以下の理由で際立った存在となっています。
- 恋愛の“諦め”という重いテーマに踏み込んでいる
- 主人公の感情を丁寧に積み重ね、単なる悲観ではなく“選択”として描いている
- ロックギターの導入によって、当時のイメージを覆す挑戦的な構成に仕上がっている
この曲は、“従来のカーペンターズの枠を超えた作品”として今でも語り継がれています。
読者が聴き直したくなる一言
『Goodbye To Love』は、「恋に期待しすぎた結果、心を守るために一歩退いた」という主人公の選択を静かに描いた曲です。
そしてその選択が正しかったかどうかは、未来になって初めて分かる——そんな奥行きのある世界観を持っています。気持ちが整理できない時期に聴くと、自分自身の歩み方を見つめ直すきっかけをくれる一曲です。


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