🎸僕の勝手なBest20【エリック・クラプトン編】- 第20位『Badge』をご紹介!

【エリック・クラプトン】について、詳しくはこちらをご覧ください。
 ➡エリック・クラプトン物語 ― 栄光と試練のギターレジェンド!

🎸【エリック・クラプトン編】第20位『Badge』です。

さて、本日より新たな「僕の勝手なシリーズ・・・」の開始です。

とうとう出ましたか!! 別にもったいぶって、ためていたわけではないのですが、このタイミングになっただけのこと。
エリック・クラプトン・・・本当に大好きなミュージシャンです。そして偉大なスターでもあります。
彼との出会いは、別記事でも紹介していますが、大学の時によく僕のアパートまで遊びに来ていた高校の同級生、金子君からLaylaを教えてもらったのがきっかけです。

これから20曲の紹介をしながらゆっくりと、クラプトンの世界を堪能してください。

まずは、第20位は、クリーム時代の楽曲「Badge」です。

超約

別れの気配を前に、過去の思い出を断片的に振り返る歌です。
「幕が下りる前に」と自分を奮い立たせ、最後には「愛こそ自分のしるし」と言い切る。
後悔から再起へと向かう小さな物語が、短い時間に凝縮されています。

🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。

🎬 公式動画クレジット(公式音源)
楽曲名:Badge
アーティスト:Cream
アルバム:The Very Best Of Cream
提供元:Universal Music Group
リリース:1969年(アルバム収録は1995年再発盤)
プロデューサー:Felix Pappalardi

2行解説
クリーム後期を代表する楽曲で、エリック・クラプトンとジョージ・ハリスン(匿名参加)の共作として知られています。
印象的なリフとドラマティックな展開が特徴で、解散直前のバンドの成熟を示す名曲です。
🎬 公式動画クレジット(公式音源)
タイトル:Eric Clapton - Badge (The Prince's Trust Masters Of Music 1996)
チャンネル:King's Trust Music(公式)
イベント:The Prince's Trust Masters Of Music(ロンドン・ハイドパーク, 1996年6月29日)

2行解説
エリック・クラプトンが「Badge」を披露した1996年のチャリティイベント映像。
15万人以上の観客を前に演奏された名演で、クラプトンのギターが冴え渡る貴重なライブ記録です。

楽曲データとリリース背景

リリースと収録

『Badge』は1969年、クリームが解散前に発表した最後のスタジオ録音曲のひとつです。アルバム『Goodbye』に収録され、同年シングルとしてもリリースされました。作曲はエリック・クラプトンとジョージ・ハリスン(仮名“L’Angelo Misterioso”で参加)。プロデュースはフェリックス・パパラルディ。短くも強い印象を残す楽曲で、のちのクラプトンにとっても大切なレパートリーになりました。

ヒットと評価

アメリカではシングル・チャートでトップ20入り、英国でもヒットを記録。長尺のジャムや即興が代名詞だったクリームの中で、3分余りに凝縮された“歌”として異彩を放ちました。解散直前のバンドにあって、この曲は未来のクラプトン像を先取りしていたといえます。

歌詞の世界を読み解く

断片的な記憶の連なり

以下に、歌詞の一部を最小限引用しつつ邦訳を添えます。

Thinkin’ bout the times you drove in my car
(君が僕の車を運転した日のことを思い出している)
Thinkin’ that I might have drove you too far
(僕が君を無理に遠くへ連れて行きすぎたのかもしれないと思っている)

ささいな情景が、関係の破綻につながる後悔として描かれています。続くフレーズも同様に、過去を思い出す断片が点在します。

I told you not to wander round in the dark(暗闇をさまようなと君に言ったね)
I told you bout the swans that they live in the park(公園に白鳥がいることも話したね)

身近な風景の描写が、失われた関係の比喩として浮かび上がります。


終幕のメタファー

歌詞には強い象徴的フレーズがあります。

Before they bring the curtain down幕が下りる前に)

舞台の比喩を用い、時間切れや終焉を示唆します。残り少ない時間で“何をするか”を問いかける緊張感が漂います。クリーム自身の解散と重ねると、現実の背景がより鮮やかに見えてきます。


最後の宣言

そして、曲の終盤で繰り返される決定的なフレーズ。

Love is my badge(愛こそが僕のバッジ=しるしだ)

ここで語り手は後悔の迷路を抜け、愛を自分の存在証明として掲げます。短い曲でありながら、この一行によって物語が完結し、聴き手に強い印象を残します。


音楽的特徴を控えめに

派手なギターソロや長い即興はなく、アルペジオと穏やかなリズムが中心です。歌詞の断片的なイメージを支えるように、音もコンパクトで整理されています。終盤のリフレインは、宣言を淡々と刻むリズムとして機能し、シンプルながら余韻を残します。

タイトルの由来と制作秘話

“Bridge”が“Badge”になった偶然

『Badge』というタイトルは一種の偶然から生まれたと伝えられています。譜面の欄外に書かれた「bridge(間奏)」というメモを、クラプトンの友人が読み間違え、それがそのまま曲名になったという逸話です。結果的に、この短い単語は歌詞の終盤で繰り返される“Love is my badge”と呼応し、象徴的な意味を帯びることになりました。偶然の産物が、作品全体をまとめあげる“キーワード”になった例といえるでしょう。

友情から生まれた共作

この曲にはビートルズのジョージ・ハリスンが深く関わっています。彼は契約上の理由から仮名“L’Angelo Misterioso”を用いてクレジットされました。クラプトンとハリスンは60年代後半に親交を深め、互いの作品に参加する関係を築いていました。その友情から生まれた『Badge』は、クリーム解散の緊張感を超えて、あたたかみを帯びた小品となっています。


クリーム解散期との関わり

バンドの状況

1968年末から69年にかけて、クリームはすでに内部の摩擦が大きく、解散が決定的になっていました。長いジャムや大音量の競演が常態化し、メンバーの間には疲労と不満が蓄積していました。そんな時期に『Badge』のようなコンパクトでメロディ志向の曲が登場したことは、単なる偶然ではなく、クラプトン自身が次の段階を模索していた証でもあります。

“引き算”の強さ

この曲はクリームの代表的なブルース・ナンバーのような派手さを持ちません。しかし、シンプルであるがゆえに、歌詞とメロディが際立ちます。ここでの“引き算”の感覚は、後年のクラプトンがソロで追い求めるスタイルの先駆けと見ることができます。まさに解散直前のクリームから、未来のクラプトンへの橋渡しを果たした楽曲なのです。


歌詞の情景をさらに掘る

白鳥のイメージ

歌詞の中に登場する“swans in the park(公園の白鳥)”という一節は象徴的です。白鳥は水面上では優雅に見えますが、水面下では必死に脚を動かしています。外から見える姿と内面の必死さの対比は、語り手が抱える後悔や混乱を重ね合わせて読むことができます。

自己再生の言葉

“pick yourself up from the ground”(地面から立ち上がれ)
この言葉は、相手に対する助言というより、語り手自身への自己命令のように響きます。過去の過ちを認めつつも、もう一度自分を奮い立たせる決意がそこに表れています。

終盤のリフレイン

Love is my badge(愛こそが僕のバッジだ)
繰り返されるこの宣言は、聴き手に強い印象を残します。過去の失敗や別れを経てもなお、愛を自らの証として掲げること。それは後年のクラプトンの人生観——悲しみを抱えながらも音楽に救いを求める姿勢——と通じているように感じられます。


ソロ時代以降の“歌い継ぎ”

継続するレパートリー

クリーム解散後も、クラプトンは『Badge』をライブで演奏し続けました。特に1996年、ロンドンのハイドパークで行われたチャリティイベント「Prince’s Trust Masters of Music」で披露した映像は有名です。(紹介している2番目の動画です)
15万人を超える観客の前で歌われたこの曲は、クリーム時代から続くクラプトンの歩みを示す象徴のような存在でした。

変化する表現

ライブ版の『Badge』は、スタジオ録音よりもゆったりしたテンポやギターの余韻が強調されることが多いです。原曲のシンプルさを尊重しながら、その時々の感情を乗せることで、観客に新鮮な印象を与えてきました。クラプトンにとって『Badge』は、過去を懐かしむためだけでなく、常に“今”を刻む曲でもあるのです。


まとめ

『Badge』は、クリーム解散期の不安と緊張の中で生まれたにもかかわらず、柔らかさと希望を感じさせる特異な楽曲です。

  • 制作背景:クラプトンとハリスンの友情から誕生し、偶然のタイトルが歌詞の核心と結びついた。
  • 歌詞:断片的な記憶から再起への決意へと進む構造で、短編小説のような密度を持つ。
  • 音楽的性格:シンプルさを武器に、解散直前のクリームからソロ時代のクラプトンへと橋を架けた。
  • 現在までの意味:解散後も歌い継がれ、クラプトンの“生涯のしるし”として生き続けている。

3分余りの小品でありながら、ここにはバンドの終焉と新たな旅立ちの両方が刻まれています。だからこそ、私の「勝手なBest20」では第20位に置くのがふさわしいと感じました。静かに始まるランキングに、この曲の“愛というバッジ”ほどふさわしい出発点はないのです。

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