【7月28日】は、スガシカオの誕生日-『Progress』をご紹介!

今日は、スガシカオの誕生日・・・彼はどんな人物か?

スガシカオは1966年7月28日、東京都渋谷区に生まれました。
大学卒業後は広告代理店に勤務していましたが、30歳を過ぎてから音楽の道へと転身し、1997年にシングル『ヒットチャートをかけぬけろ』でメジャーデビューを果たしました。

社会人としての視点を持ち、働くこと・迷うこと・折り合いをつけることに関してリアリティを伴った表現ができる稀有なシンガーソングライターです。
ソウルやファンクを下地としながらも、鋭く切り込むような日本語詞を乗せ、都市生活者の孤独や感情の綻びを丁寧に描き続けています。

まずはYoutube動画の(公式動画)からどうぞ!!

🎬 公式動画クレジット(MUSIC VIDEO)
曲名: Progress
アーティスト: スガ シカオ(kōkua)
提供元: スガ シカオ公式YouTubeチャンネル
動画公開日: 2021年12月7日

📖 2行解説:
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」のテーマとしても知られる名曲。
スガシカオの力強くも繊細な歌声が、“前へ進む勇気”を静かに鼓舞します。

僕がこの曲を初めて聴いたのは・・・♫

My Age 小学校中学校高校大学20代30代40代50代60才~
曲のリリース年2006
僕が聴いた時期

僕がこの曲を初めて聴いたのは、リリース時の2006年頃ですね。

当時僕は48歳で長年の本部仕事にも多少飽きてきて、営業店に出たいと思っていた頃です。(実際出たのは50才でしたけど・・・)

今ではテレビを見る習慣はなくなりましたが、当時はよくテレビを見ていました。
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」も好きで見ていましたので、このテーマ曲も番組に非常によくマッチしいると感じていました。

解説にも書きましたが、スガシカオの一つの楽曲というより、まさに『番組のために作られた名曲』という表現がぴったりの曲です。この曲がとてもカッコよく聞こえていました。

『Progress』という楽曲の特別な立ち位置

2006年、NHKのドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』がスタートする際に、テーマ曲として制作されたのが『Progress』です。

この曲は、スガシカオのソロ名義ではなく、特別ユニット「kōkua(コクア)」による演奏で発表されました。

kōkuaというプロジェクト

「kōkua」は、ハワイ語で「協力・助け合い」を意味します。
その名にふさわしく、音楽業界を代表するプレイヤーたちが結集しました。

スガシカオ(ボーカル)、武部聡志(音楽監督・キーボード)、小倉博和(ギター)、根岸孝旨(ベース)屋敷豪太(ドラム)

このユニットは、一人ひとりが高い演奏技術と経験を持ちながらも、主張しすぎることなく、ひとつのテーマを支えるバンドとして機能しています。
楽曲全体が自然な抑制と緊張感に包まれており、まさに「プロフェッショナル」という番組の理念と呼応しています。

社会が揺れた2006年という時代

『Progress』が発表された2006年、日本は価値観の大きな転換期にありました。

■ライブドア事件や村上ファンド事件により、拝金主義の行き詰まりが表面化
■「格差社会」が現実味を帯びて語られ、流行語トップテンに選出
■SNSやブログの普及により、個人の声がメディアを通さず拡散され始める

「すべての人に平等なチャンスがある」という前提が崩れつつある中で、人々は改めて「働く意味」や「自分自身のあり方」を見つめ直し始めていました。
そんな背景のなか、ドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』が誕生し、その核となるテーマ曲として『Progress』が選ばれたのは、まさに必然といえるタイミングでした。

競争社会における葛藤と本音

『Progress』の冒頭には、多くの人が日常の中で感じているけれど言葉にはしない“本音”が描かれています。

ぼくらは位置について 横一列でスタートをきった
つまずいている あいつのことを見て
本当はシメシメと思っていた

これは、競争の中で他人のつまずきを内心で歓迎してしまう自分を認める言葉です。
誰しもが心のどこかに持っていながら、あえて言語化しない感情。それを冒頭から真正面に据えることで、リスナーは一気に現実へと引き戻されます。

スガシカオはこの曲で、「立派な自分」ではなく、「見たくない自分」にまで目を向ける勇気を提示しています。

ありのままの自分を引き受ける

その後も、理想と現実の狭間にいる“中途半端な自分”が続けて描かれます。

誰かを許せたり 大切な人を守れたり
いまだ何一つサマになっていやしない

ここで語られるのは、「まだ何者にもなれていない」状態
大人として、人間として、誰かに誇れるような姿にはほど遠い。それでも、そうやって日々を生きている人のほうが圧倒的に多いのだという事実を、この曲は忘れません。

そして中盤、歌詞は大きな転換を迎えます。

ずっと探していた理想の自分って
もうちょっとカッコよかったけれど
ぼくが歩いてきた 日々と道のりを
ほんとは“ジブン”っていうらしい

この一節では、理想に届かなかったという悔しさが正直に語られつつも、「歩いてきた道のり」そのものを肯定する方向へと転じています。
成功や失敗ではなく、“経験してきたすべて”を自分自身として受け止めるという姿勢が、ここでは鮮やかに描かれています。

2006年の音楽シーンにおける位置づけ

『Progress』が発表された2006年、日本の音楽チャートは多様なジャンルの楽曲で賑わっていました。

  • レミオロメン「粉雪」:感情の余韻を映す冬のバラード
  • 湘南乃風「純恋歌」:まっすぐな想いを歌った青春ラブソング
  • KAT-TUN「Real Face」:デビューシングルながら年間チャート1位を獲得

こうした華やかでキャッチーな作品が並ぶ中で、『Progress』は異質な存在感を放っていました。
日々の葛藤を真正面から描く姿勢、誰かを励ますというより、「ともに歩く」ようなスタンスは、当時の主流からは明らかに距離があったのです。

なぜ今も聴き継がれているのか

『Progress』は、テレビ番組のテーマ曲という役割を超えて、今なお幅広い世代に聴かれ続けています。

メッセージが変化に強い

時代が変わっても、人間の不安や迷いはなくなりません
『Progress』はそうした「定まらない感情」に対して、自分で考え、選ぶことの価値を伝えています。

成功より“選択”に重きを置く

「理想の自分にはなれていないけれど、それでも歩いてきた道が“自分”だ」
というメッセージは、社会の変化にも、景気にも左右されにくい普遍性を持っています。

自分自身の過去を受け入れることから始まり、それを起点に未来を選ぶ。
その姿勢は、どんな時代にも通用する“柔らかい強さ”といえるでしょう。

終わらない進行形の物語

『Progress』というタイトルには、「完成されないままの歩み」という意味も込められているように思えます。

“あと一歩だけ、前に進もう”

このフレーズが繰り返されることで、楽曲は大きな山場を迎えたようにも見えますが、実際には終わりを感じさせない構造です。

未来のゴールが示されるわけでも、何かが解決されるわけでもない。
ただ、今日を生きる自分が、明日も少しだけ進んでいけるように――
そう願うような、静かなエンディングが、聴き手の余韻として長く残ります。

記事を締めくくるにあたって

『Progress』は、リスナーに対して何かを強制する曲ではありません。

  • うまくできなかったこと
  • 思うように進まなかった時間
  • 他人を羨んだ気持ち

そんなすべてを否定せずに受け止めて、「それでも、生きていく」という選択肢を提示してくれる。
この曲の最大の力は、そこにあるのだと思います。

だからこそ、時代を超えて、世代を超えて、『Progress』は聴かれ続けるのです。“前に進もう”という言葉が必要なとき、またきっとこの曲に戻ってきたくなる。それがこの作品の、音楽としての真価なのではないでしょうか。


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