今日7月3日は、ウィル・チャンピオンの誕生日!
今日の主役は、ColdplayのドラマーWill Champion
イギリス南部、サウサンプトン出身のウィル・チャンピオンは、1978年7月13日生まれ。人気ロックバンドColdplayのメンバーとして、ドラムを中心にギター、ピアノ、さらにはバック・ボーカルまで務めるマルチな才能の持ち主です。
彼はバンドの中でも特に音楽的な素養に恵まれており、クラシック音楽や民俗音楽にも造詣が深く、それがColdplayのサウンドに独自の奥行きとテクスチャーを加えています。
今回の記事では、彼の誕生日を記念して、Coldplayの代表曲のひとつ『The Scientist』を取り上げます。このバラードは、彼のドラムが持つ繊細な間合いと表現の“抑制美”がよく現れた作品でもあります。
今日の紹介曲:『The Scientist』(Coldplay)の世界!
まずはYoutube動画の(公式動画)からどうぞ!!
🎧 公式動画クレジット
Coldplay - The Scientist (Official 4K Video)
配信元:Coldplay公式チャンネル
公開日:2011年5月28日
視聴回数:約12億回超
収録アルバム:『A Rush of Blood to the Head』(2002年)
✅ 2行解説(紹介文)
Coldplayの代表的バラード『The Scientist』の公式ミュージックビデオ。時間を“巻き戻す”逆再生の映像が、後悔と謝罪のテーマを強く印象づけています。
✅ クレジット(公式情報)
Coldplay - The Scientist (Live in Madrid 2011)
配信元:Coldplay公式チャンネル(登録者 約2790万人)
公開日:2011年10月28日
視聴回数:約2.5億回
収録イベント:Coldplay Live: Unstaged(2011年10月26日、マドリード)
監督:アントン・コービン(Anton Corbijn)
提供:アメリカン・エキスプレス
✅ 2行解説(紹介文)
Coldplayがスペイン・マドリードで開催したプレミアライブの模様を収録。『The Scientist』を含む過去作と当時の新作『Mylo Xyloto』を織り交ぜた感動的なステージです。
僕がこの曲を初めて聴いたのは・・・♫
僕がこの曲を初めて聴いたのは・・・♫ | |||||||||
小学校 | 中学校 | 高校 | 大学 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | |
曲のリリース | 2002 | ||||||||
聴いた時期 | ● |
僕がこの曲を始めてきたのは、リリース当時44才の頃だったと思います。
当時、音楽情報は以前より集めやすくはなっていたものの、まだ今ほどでもなかったですね。パソコンを触り始めて7~8年目あたりですかね?!
もしかしたら、インターネットを通じて知ったかもしれませんし、テレビ番組だったかもしれませんが、そこの記憶はありません。
以前紹介した、『Viva La Vida』に比較すると、テンポや雰囲気はこちらの方がより穏やかですが、メロディーラインや、声質、音作りは、やはりコールドプレイといったとこでしょうか!この楽曲も傑作だと思います。
アルバム収録とシングル化の背景
『The Scientist』は、2002年に発表された2枚目のアルバム『A Rush of Blood to the Head』に収録されています。このアルバムはColdplayにとって初期の方向性を決定づけた重要作とされ、世界的な評価を得ました。

この楽曲は同年11月11日にイギリスでシングルとしてリリースされ、UKシングルチャートで最高10位を記録。一方アメリカでは、当初シングルリリースの予定はなかったものの、翌2003年4月にようやくシングルカットされ、BillboardのModern Rock Tracksで最高18位まで上昇しました。
“逆再生”という演出が刻んだインパクト
『The Scientist』が広く認知されたもう一つの理由が、独創的なミュージックビデオ(MV)です。(※一番最初にご紹介したYoutube動画がこのMV)です。
このMVは、全編が“逆再生”で構成されており、物語がラストに向かうにつれて「なぜ彼はこんな場所にいるのか」が解き明かされていく構造です。

主演のクリス・マーティンは、逆再生映像に合わせるため、歌詞を文字通り“逆から口パクできるよう”訓練したとされます。このエピソードは、当時のMTV世代にも広く話題となり、楽曲自体の認知度を高める一因となりました。
このような映像演出は単なる話題性ではなく、「時間を巻き戻したい」という歌詞の主題を視覚的に補完し、楽曲全体の世界観と調和している点でも高く評価されています。
歌詞が描くのは「謝罪」と「後悔」の感情
この楽曲は、クリス・マーティンがある日、ジョージ・ハリスンのソロ楽曲を聴きながらピアノを弾いていたとき、偶然生まれたコード進行がきっかけだったといわれています。

自然に指が動き、そこに「I’m sorry」というフレーズが乗り、曲の冒頭が生まれました。Coldplayの楽曲の中でも、このように即興に近いかたちで感情があふれ出た例は少なく、それだけに“本音の吐露(The truth is revealed)”ともいえる雰囲気を漂わせています。
代表的な一節の解釈
Nobody said it was easy(誰も簡単だとは言わなかった)
No one ever said it would be this hard(こんなにつらいとも、誰も教えてくれなかった)
Oh take me back to the start(ああ、最初に戻れたなら…)
このように、歌詞全体は「別れたあとに初めて気づく後悔」や「過去をやり直したい衝動」といった、誰もが一度は抱いたことのある心情に添う内容となっています。
タイトルに込められた「科学者」という隠喩
曲名の「The Scientist(科学者)」は、一見すると内容と直接結びつかないように感じられます。しかしこの比喩には、感情と理性の葛藤が込められています。

科学者という存在は、常に因果関係や合理性を重視するはずの人物です。それにもかかわらず、恋愛や人間関係の中ではその「論理」が通用せず、もがくしかない。ここに描かれている“科学者”とは、知識や思考ではコントロールできない領域に踏み込んでしまった存在なのです。
構造としての音楽的な美しさ
この曲は、コード進行自体はとてもシンプルですが、その繰り返しによって「時間の環(ループ)」を感じさせるように設計されています。

ピアノの旋律がつくる“静けさ”
イントロから続くピアノの旋律は、一定のテンポで淡々と続き、まるで過去の記憶が巻き戻されていくような感覚を呼び起こします。この“静けさ”があるからこそ、後半に向けて重なっていくストリングス(弦楽器)やボーカルの高まりが際立って感じられるのです。
ドラムの“間”が支える緊張感
Will Championのドラムは、決して派手に主張するタイプではありません。リズムの合間にあえて空白を残すことで、歌詞とメロディの切実さが際立ちます。
このようなアンサンブルの構成が、楽曲全体を単なる失恋バラードではなく、“感情の建築物”として成り立たせているのです。
発売当時の反響とリスナーの共鳴
『The Scientist』は、2002年のリリース当時から「切なさ」「後悔」「謝罪」といった感情的なバラードとして、多くのリスナーに受け入れられました。

特に、失恋や人間関係の破綻を経験した人々がこの曲に深く共感し、自分の感情を投影するかのように聴き込むケースが多く見られました。
こうした共鳴の深さは、音楽が「癒し」や「共感の装置」として機能する典型的な例であり、Coldplayが単なるポップロックバンド以上の存在であることを裏付けています。
ライブでの再解釈と演出の妙
Coldplayのライブでは、『The Scientist』はしばしばクライマックスの一曲として演奏されます。
特筆すべきは、2003年のMTV Video Music Awardsをはじめとする複数のライブで、“逆再生”を想起させる照明や映像演出が意識的に用いられてきた点です。演奏が始まる瞬間にステージ全体が暗転し、イントロのピアノが始まると同時に映像がスローで流れ出す——そんな演出は、聴衆の“時間感覚”を揺さぶり、曲のテーマと完全に一致する演出となっています。

クリス・マーティンのパフォーマンスもまた、ステージ上で感情を前面に出すタイプではありませんが、その分「間」や「静けさ」を通じて、聴き手に空間を与えています。これこそが、Coldplayの美学ともいえるでしょう。
なぜこの曲は“色褪せない”のか
20年以上が経過した今もなお、『The Scientist』はSpotifyやApple Musicなどのストリーミングランキングで上位に位置することが珍しくありません。
では、なぜこの曲は長く愛され続けているのでしょうか?
理由1:普遍的なテーマ性
「もう一度やり直せたら…」という願いは、時代や文化を問わず、誰もが一度は抱く感情です。その心の動きを、説教臭くもなく、悲観的すぎることもなく、淡々と綴る歌詞が聴き手に届くのです。
理由2:音の“余白”が聴き手の想像力を刺激する
演奏が過剰でないぶん、聴く側の感情が入り込む“隙間”が生まれます。Will Championのドラムはその“余白”を見事に支え、音楽としての厚みを保ちつつも、聴き手の内面に語りかけてくるような役割を果たしています。
理由3:ビジュアルと音楽の連携
逆再生のMVが象徴するように、視覚と聴覚の連動がこの曲の印象をより強固にしました。映像により“物語”としての重みが加わり、ただの失恋ソングではなく、“時間”そのものを扱う作品へと昇華されたのです。

結びにかえて:静かな情熱を刻む名曲
『The Scientist』は、聴くたびに新しい感情を呼び起こしてくれる楽曲です。
後悔、謝罪、時間の不可逆性——それらを語るとき、しばしば私たちは言葉を失います。けれどこの曲は、その“語れなさ”を逆手に取り、語りすぎず、音と言葉の輪郭だけで感情を伝えてくれます。
Will Championのドラムがその空気を形にし、クリス・マーティンの声がそれに乗ることで、音楽は“形のない感情の記録”として私たちの中に残ります。
この曲が、多くの人にとって「いつでも戻れる場所」になっていることこそが、名曲としての証なのかもしれません。
『The Scientist』(Coldplay):意訳
会いに行ったのは、「ごめん」と伝えるため
失ったものの重さに、ようやく気づいたんだ
わかりあえたはずの距離を、
僕たちは理屈で測ろうとしていた
時間を戻せたら、
あの言葉を飲み込んで、君の声をもっと聴いていた
ただ「愛してる」と伝えたかっただけなのに
疑いと理屈が、その隙間を埋めてしまった
心じゃなく、答えばかりを探していた
けれど、愛に公式なんてなかった
もう一度、最初からやり直したい
ただ、君とふたりで──もう一度』

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