🎸僕の勝手なBest15【ビリー・ジョエル編】- 第9位『She’s Always a Woman』をご紹介!

【ビリー・ジョエル】について、詳しくはこちらをご覧ください。・・・・Wikipedia!

第9位『She’s Always a Woman』

第9位は、『She’s Always a Woman』です。凹凸のない流麗なメロディーが好きです。

『She’s Always a Woman to me!!』という歌詞とメロディーがとても効いています。是非お聴きください。

🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。

🎬 公式動画クレジット(公式音源)
Billy Joel – She’s Always a Woman
from the album “The Stranger” (1977 / Columbia Records)

📖 2行解説
繊細なピアノと穏やかなボーカルで、愛する女性の複雑な一面を描いたバラード。
アルバム『The Stranger』に収録され、今もBilly Joelの代表的名曲として親しまれている。
🎬 公式動画クレジット(ライブ音源)
歌手:ビリー・ジョエル ―
タイトル: シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン(2008年7月・ニューヨーク/シェイ・スタジアム・ライブ)
📖 2行解説
2008年7月、ニューヨークのシェイ・スタジアムで行われたラスト公演で披露された感動的なライブ演奏。
円熟した歌声と壮大なステージ演出で、名曲に新たな魅力を吹き込んでいる。

🌹 超約と全体像

『She’s Always a Woman』は、一見穏やかで可憐に見える女性が、内に強さや計算高さを秘めていることを淡々と描いた曲です。それでもなお彼女を愛するというまなざしが通底し、「理想像」ではなく「等身大の人間」として女性をとらえています。
大仰な愛の告白ではなく、矛盾も含めて肯定するという、成熟した愛情を歌った作品です。

💿 リリースとアルバム背景

『The Stranger』(1977年)に収録

この曲は、1977年発表のアルバム『The Stranger』に収められています。
同作には「Just the Way You Are」「Movin’ Out」「Only the Good Die Young」など、後年まで歌い継がれる名曲が並び、ビリー・ジョエルが“ピアノ・マン”という初期イメージから脱却し、国際的スターへと飛躍するきっかけとなりました。

商業的評価と再浮上

『She’s Always a Woman』はアメリカでは大ヒットには至りませんでしたが、アルバム人気とともにじわじわと評価を高めました。
1986年にイギリスのCMで起用されたことを契機にリバイバルヒットし、全英シングルチャートで4位に上昇。
静かなバラードが派手なポップス全盛の中で再び脚光を浴びた点は特筆に値します。


🎹 楽曲の佇まいと演出

音数を絞った親密な響き

アコースティック・ギターとピアノを軸にした簡素な伴奏で、ドラムやストリングスなどは使われていません。

アルバム内の力強いロック曲群と対照的で、この曲だけが「ささやきのような響き」をまとっています。
装飾をそぎ落としたことで、まるで彼女を見つめる視線がそのまま音になったような近さが生まれています。

抑えた歌唱が生む説得力

ビリー・ジョエルはこの曲で声を張らず、落ち着いたトーンで語るように歌っています。
感情をぶつけるのではなく、事実を淡々と述べる語り口が、かえって深い余韻を残します。
聴き手が自分自身の経験を重ねやすい、この「余白」が長く親しまれてきた理由の一つでしょう。


🖋 歌詞が描く女性像

「やさしさ」と「冷徹さ」が同居する存在

冒頭から強烈な印象を与える一節があります。

She can kill with a smile, she can wound with her eyes
(彼女は笑顔で殺すことも 瞳で傷つけることもできる)

微笑の裏に潜む冷静さを詩的に描きながら、ジョエルはそれを否定していません。
むしろ「それも含めて彼女だ」と受け止めており、女性を偶像として理想化するのではなく、複雑な人間像としてとらえています。

感情をぶつけず、事実を並べる構成

歌詞には怒りや嘆きといった感情表現がほとんど登場しません。
矛盾や欠点を裁くのではなく、ありのままを肯定する視点が一貫しています。
派手な言い回しを避けることで、むしろ深い愛情が静かににじむ構成になっています。


📜 実在のモデルと背景

妻エリザベス・ウェーバーの存在

『She’s Always a Woman』は、当時ビリー・ジョエルの妻だったエリザベス・ウェーバーをモデルにしたといわれています。
彼女はジョエルのマネージャーも務めており、契約交渉や経営判断では非常に有能でした。
時に冷徹な決断も辞さなかったため、周囲からは「強引」「冷たい」と見られることもあったようです。

しかしジョエルは、そうした外側の印象ではなく、内面の聡明さや優しさも知っていました。
この曲は、世間が「冷酷」と評する彼女を、矛盾を含む存在ごと愛するというメッセージとして書かれたのです。
実在の人物を題材にしたことで、単なる理想像ではない生身の温度が宿っています。


🎼 ジョエルの視点のユニークさ

強さを恐れない男性像

1970年代当時のポピュラー音楽では、女性を「守るべき弱い存在」として描くことが多くありました。
その中でジョエルは、強さや計算高さを持つ女性を恐れず、むしろ敬意を込めて描きました。
これは当時として新鮮で、現代に聴いても古さを感じさせません。

変えようとしない愛

終盤では、彼女が気まぐれで、気に入らなければ立ち去ることもあると述べながら、
最後に「She’s always a woman to me(彼女はいつだって僕にとって女性だ)」と締めくくります。
相手を変えようとせず、ただ存在をそのまま肯定するという姿勢が静かに貫かれています。


💌 この曲が持つ普遍性

「成熟した愛」の象徴

『She’s Always a Woman』は、女性を偶像化せず、等身大の人として描いた点で画期的でした。
女性の社会進出が本格化し始めた1970年代後半において、ジョエルは「強い女性を恐れない男性像」を示し、愛のかたちを再定義したともいえます。
愛とは相手を作り替えることではなく、矛盾や欠点も含めて理解すること――
その視点は恋愛にとどまらず、人間関係全般に通じる普遍的なメッセージです。

結婚式や記念日に選ばれる理由

この曲は、現在では結婚式や夫婦の記念日に選ばれることも多くあります。
歌詞は甘い内容ばかりではなく、むしろ冷静さや距離感も描いていますが、
それでも選ばれるのは「理想ではなく現実にある愛」への共感があるからでしょう。
不完全さを抱えたまま大切に思うという視点が、多くの人に響いています。


🎧 キャリアにおける位置づけと影響

多面性を印象づけた一曲

『The Stranger』はロック色の強い曲が多いアルバムですが、この曲は穏やかなバラードとして際立っており、ジョエルの表現の幅を印象づけました。
「力強いピアノマン」だけでなく、「抑えた言葉で語る詩人」としての側面を示したという意味でも重要です。

再評価と継続的な人気

リリースから半世紀近く経った今も、この曲は映画やCMなどでたびたび使用されています。
Spotifyなど配信サービスでも安定した再生数を維持し、若い世代にも発見され続けている点が、
その魅力が時代や流行に左右されないことを証明しています。
親から子へ贈る曲、父娘の結婚式で流す曲としても定着しており、世代を超えて愛されるクラシック・バラードとなっています。


📝 まとめ

『She’s Always a Woman』は、可憐さと冷静さを併せ持つ女性像を、批判ではなくまるごと肯定する視線で描いた作品です。
ピアノとギターを主体とした簡素な伴奏、抑制された歌声、飾らない言葉――
そのすべてが誠実で落ち着いた説得力を帯びています。

「愛とは、理想像に当てはめることではなく、矛盾や欠点ごと理解すること」
そのメッセージはリリースから数十年を経ても色あせず、今も世界中で穏やかに響き続けています。

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