僕の勝手なBest10 【LOVE PSYCHEDELICO(ラブ・サイケデリコ)】編-第6位『Swingin’』をご紹介!

LOVE PSYCHEDELICO(ラブ・サイケデリコ)の25年の歴史!

デリコ・・・第6位は『Swingin’』です!

ラブサイケデリコの『Swingin’』は、2004年2月25日発売の3rdアルバム『Love Psychedelico III』に収録された楽曲です。シングルとしてはリリースされていませんが、アルバム全体の流れを支える重要なトラックとして位置づけられています。派手に目立つ曲ではないものの、ライブやベスト盤に取り上げられることがあり、ファンの間で長く愛されてきました。

またまたですが、ご機嫌な一曲です!(;´∀`)

🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。

🎬 公式動画クレジット(公式音源)
LOVE PSYCHEDELICO – Beautiful World (Official Video)
YouTube公式チャンネル:LOVE PSYCHEDELICO

📖 2行解説
20周年記念盤にも収録された、デリコらしいアコースティックとエレクトリックが溶け合う代表曲。
温かく包み込むサウンドと前向きなメッセージが、タイトル通りの“美しい世界”を描き出している。

記憶を呼び起こす問いかけの歌

『Swingin’』では、朝焼けや星空といった断片的な景色が繰り返し登場します。ただし、それは懐かしむための回想ではありません。サビに置かれた “Do you remember?”(覚えてる?)“Hope you remember”(思い出してくれるといいな)というフレーズを通じて、過去を確かめることが現在を新たに築くきっかけへとつながっています。つまり、思い出を「点検の材料」として扱いながら、二人の関係を改めて確かめ直す構造になっているのです。(余談:MVを見てもらうとわかりまが、KUMIは決して美人とは言えませんが、この曲では特に仕草も表情もとてもキュートで可愛いと思います!”)

サビに仕込まれた「確認作業」

問いかけのフレーズは、単なるリフレインではなく立ち止まる標識のように機能しています。直前や直後に現れるのは〈朝焼けの orange sky〉や〈黄昏の sunset cloud〉といった短い描写。これらは記憶の引き金であると同時に、聴き手に「どの瞬間を共有したか」を確認させる役割を持っています。過去の場面を思い出すことで、むしろ「今この瞬間に一緒にいること」が鮮明になります。

時間帯の移ろいを描く仕掛け

歌詞を順にたどると、朝から夜までの時間帯が並んでいることに気づきます。

  • 朝:〈朝焼けの orange sky〉
  • 夕方:〈黄昏の sunset cloud〉
  • 夜:〈starry night〉〈moon light〉〈shooting star〉

一日の流れを借りながら、二人が同じ空を見ているかどうかを点検する。大げさなドラマを持ち込むのではなく、日常の風景を通じて関係の確かさを積み上げる点が、この曲のユニークさです。空の変化が「二人の歩調を合わせるリスト」として機能しているのです。


スキャット〈latu-ya〉が生む軽さ

無意味語の効用

『Swingin’』を印象づけているのが〈latu-ya〉というスキャットです。意味を持たない音を挟むことで、言葉に重さをかけすぎず、リズムそのものを前に押し出しています。これにより、問いかけの真剣さと軽快な響きが交互に顔を出し、曲全体が硬直することなく進んでいきます。聴き手は説明に縛られず、自然にビートへ乗れる。まさに「音でつながる瞬間」を体感させてくれる要素です。


アルバムの中での立ち位置

小休止としての機能

『Swingin’』が収録されている『Love Psychedelico III』は、ギターリフやグルーヴ感の強い楽曲が並ぶアルバムです。その中でこの曲は、全体を整える「小休止」としての役割を果たしています。強いテンションを和らげ、次の楽曲へと自然に橋渡しする。目立たなくても、構成を支えるピースとして重要な位置づけといえます。

同時期の楽曲との対比

同じ時期に制作された他の曲は、アメリカン・ロックやブルース色を強く押し出していました。それに比べると『Swingin’』は簡潔な作りで、声と伴奏を中心に据えています。派手さを抑えたからこそ、サビの “Do you remember?” がより印象的に響く。対比によって、この曲が担うテーマが鮮明になります。


聴き手にとっての「使える曲」

『Swingin’』を聴く場面は、特別なイベントよりも日常の一コマに適しています。朝の通勤前に気持ちを切り替えたいとき、一日の終わりにささやかな会話を取り戻したいとき。この曲は大げさな感情を求めるのではなく、小さな再出発のきっかけを与えてくれます。問いかけのリズムに合わせて「覚えていること」を確認するだけで、普段の景色が少し違って見える。そうした日常性が、この曲を第6位に選んだ大きな理由のひとつです。

主語を定める「You and I」

『Swingin’』の歌詞において繰り返し現れる “You and I” は、単なる呼びかけ以上の意味を持っています。英語詞が多いデリコ作品の中でも、このフレーズは極めてシンプルで、誰にでも伝わる形で関係を明示します。

署名のような「You and I」

序盤では “You and I” が自然に挿入される程度ですが、終盤では “Baby, you and I” と温度を上げて再登場します。これは感情の高ぶりを誇張するのではなく、二人の関係を再確認する署名のような役割を果たしているのです。音楽的な盛り上がりが大きくなくても、言葉の力で締めくくりが成立する。そのシンプルさが曲の魅力につながっています。

主語を曖昧にしない効果

恋愛ソングでは「君」や「僕」が曖昧なまま描かれることも多いですが、『Swingin’』は最後にしっかりと主語を定めます。揺れやすい関係性をテーマにしながらも、最終的には「二人である」と明言する。この構造が、聴き手に安心感を与えるポイントになっています。


“Every little thing’s gonna be alright” の真意

このフレーズは多くの楽曲でポジティブなスローガンとして使われますが、『Swingin’』ではニュアンスが少し違います。

確約ではなく「小さな確認」

“Everything will be alright”(すべてがうまくいくだろう) ではなく “Every little thing’s gonna be alright”(ひとつひとつの小さなことがきっとうまくいく) と表現されている点に注目すると、ニュアンスは大きく変わります。ここで語られているのは、壮大な未来の保証ではなく、目の前の小さな事柄を一つずつ確認していこうという態度です。

繰り返しの中で変化する意味

曲の前半でこのフレーズを聴くと「励まし」に感じられますが、終盤になると「今日もやり直せる」という落ち着いた気持ちに変化します。繰り返しながらニュアンスを変えて響く点が、『Swingin’』の奥行きを生み出しています。


音作りの要点をさらりと

『Swingin’』のサウンドは、アルバムの中では控えめでシンプルです。ギターとリズムが前に出過ぎず、歌声が中心に据えられている。

抑制された編曲

  • 中速のテンポ
  • 過度に跳ねないリズム
  • 薄く重ねられたコード感

これらが「歩幅を合わせる」感覚を強調します。音数を絞ったことで、歌詞のフレーズがより鮮明に届く。サウンドはあくまで下支えに徹しており、確認と呼びかけを主役にする設計だと言えるでしょう。

前後の曲との対比

『Love Psychedelico III』の中には力強いギターが主役の曲も多いですが、そこで疲れた耳に『Swingin’』が入ると、自然に呼吸が整うように感じられます。アルバムの構成上も「緩急を生む中継点」として欠かせない存在です。


制作当時のラブサイケデリコ

2004年前後のラブサイケデリコは、国内だけでなく海外展開にも力を入れていました。アメリカやアジアでのライブ活動を行い、洋楽リスナー層からも注目を浴びていた時期です。『Love Psychedelico III』は、そうした国際的な活動の中で制作されたアルバムであり、英語詞と日本語詞の混在を自然に聞かせるスタイルが一段と洗練された作品でもあります。

バンドの成熟と模索

デビュー当初は「英語ネイティブのように聴こえる日本人アーティスト」というインパクトで語られることが多かった二人ですが、3作目のこのアルバムでは、そうした驚きよりも「楽曲そのものの強さ」で勝負する段階に入っていました。『Swingin’』のシンプルな構造は、まさにその成熟を示す一例です。派手な装飾を削ぎ落とし、最小限の言葉と音でメッセージを成立させる。この時期ならではのアプローチだといえます。


まとめ

『Swingin’』は、懐かしさを並べる曲ではなく、記憶を通じて現在を確かめ直す曲です。“Do you remember?” という問いは過去を振り返らせるだけでなく、今を一歩進めるための合図として響きます。

  • 「You and I」で主語を明示し、関係を締めくくる
  • “Every little thing’s gonna be alright” を励ましではなく小さな確認として使う
  • サウンドは控えめに整え、歌詞を中心に据える

こうした要素が重なり合い、『Swingin’』はアルバムの中でもプレイリストの中でも、流れを整える重要な楽曲となっています。第6位という位置は、この「整える力」への評価なのです。


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