僕の勝手なBest10:【浜田省吾】編-第2位『もうひとつの土曜日』をご紹介!


第2位は、【もうひとつの土曜日】です。

第2位はこれ、『もうひとつの土曜日』。まさしく彼の代表曲中の曲ですが、今聞いてもなんと切なくもの悲しく、そして愛おしく聞こえるのでしょうか?
僕好みには違いないですが、今も昔も日本人好みの曲とも言えるのではないでしょうか?

歌詞が痛々しいほど切なすぎます。

超約

彼を忘れられず揺れる君に、語り手は友としてそばに立ち、今夜だけでも外へ出ようと静かに誘います。
痛みを否定せず、まずは小さな行動で視界を開き直すという現実的な提案です。
やがて子どもの頃の願いを思い出し、指輪という象徴に明日へ進む意志を託します。

まずは公式動画をご覧ください。

✅ 公式動画クレジット
浜田省吾 Official YouTube Channel
🎵『もうひとつの土曜日 (single / 1985)』
Provided to YouTube by Sony Music Labels Inc./© 1985 Sony Music Entertainment (Japan) Inc.
X (formerly Twitter)

💬 2行解説
1985年リリースの名バラード。失恋の痛みと微かな希望を等身大の視点で描き、今なおライブ&配信で支持され続ける定番曲です。この動画はレーベル提供の公式オーディオ(自動生成アートトラック系)として公開されています。 sonymusic.co.jp
✅ 公式動画クレジット
浜田省吾 Official YouTube Channel
『もうひとつの土曜日 (WE ARE STILL ON THE ROAD.)』
出典:映像作品『WE ARE STILL ON THE ROAD.』(2002)収録のライブ映像です。

💬 2行解説
“ON THE ROAD 2001”ツアーから厳選されたテイクで、静かな歩幅の言葉が沁みる定番バラードを記録した公式ライブ動画です。
スタジオ初出は1985年シングルのカップリングで、ここでは成熟したステージ表現として再提示されています。

リリース情報と現在地

『もうひとつの土曜日』は、1985年5月22日発売シングル「LONELY―愛という約束事」のカップリング曲として初出し、翌1986年のアルバム『J.BOY』に収録されました。のちに複数のベスト盤やライブ音源にも収められ、長く歌い継がれてきました。派手なタイアップに頼らず、口コミとライブで広がったタイプの代表曲で、今も“浜田省吾の一曲”と問われれば真っ先に挙がる曲だと思います。恋愛の傷とささやかな回復を、都会の週末という具体的な時間軸にのせて描いた点が印象的です。

超約(3〜5行)

彼を忘れられず揺れる君に、語り手は友としてそばに立ち、今夜だけでも外へ出ようと静かに誘います。
痛みを否定せず、まずは小さな行動で視界を開き直すという現実的な提案です。
やがて子どもの頃の願いを思い出し、指輪という象徴に明日へ進む意志を託します。

週末という物差しで測る心の温度

土曜日が持つ物語性

“土曜日”は気分を切り替えるための小さな節目です。仕事や学業をいったん脇に置き、街が少しだけ開放に傾く。その時間帯にあえて焦点を合わせることで、歌は「明日からの生き方」をそっと更新します。ここで描かれるのは大逆転でも奇跡でもなく、日常の体温をほんの少し上げる行為です。

語り手の位置取り

「テーブルの向こうで君は笑うけど/瞳ふちどる悲しみの影」

と短く切り取ることで、表情と心のズレが一瞬で伝わります。語り手は慰めに徹するのではなく、状況を直視しつつ、君の判断を尊重する立場に立ちます。過去を即座に忘れさせようとはせず、まずは“今夜”をどう生きるかに集中させる。現実的で大人びた距離感が、歌全体の品を保っています。

フレーズの要(必要最小限の引用と考察)

「歩幅」を合わせる励まし

「まだ君は若く その頬の涙」

年齢ではなく“これからの時間を持っている”という意味合いでの「若く」。ここに、未来を前提にした励ましが宿ります。若さを慰めの材料にせず、選択可能性として示しているのがポイントです。

行動への変換

「今夜町に出よう」

助言を行動へ移す最短の言葉です。気分転換の提案にとどまらず、閉じた部屋から街へ視界を開く作法を提示します。しかも“友達に借りたオンボロ車”と続けることで、豪華さではない実用のリアリティが加わり、週末の路上へ私たちを連れ出します。

歌が描く“回復”の仕方

カタルシスよりも「生活」の回復

この歌の核は、劇的な救済ではなく、生活の再起動にあります。夕暮れの電車、アパート、安い車。特別ではない道具立てで心を前へ押し出す。現実に効く言葉だけが残されており、だからこそ長く歌い継がれてきたのだと感じます。

二人称のやさしさ

“君”を主語にした語りが続くのは、自己憐憫へ逸れないためです。語り手自身の感情を大きく出しすぎず、相手の歩みに合わせる。ここに、浜田省吾が描く人間関係の誠実さがよく表れています。

物語の後半が開く視界

ほんの少し先の未来

「この週末の夜は おれにくれないか」

告白の直球ではなく、あくまで“今週末”の同行を求める控えめな差し出し方です。約束のスパンを短く切ることで、失恋直後の心にも無理なく届く。人の立ち直りに必要なのは、長期計画よりも“今を一緒に過ごす”という具体です。

子どもの頃の願いを呼び戻すラスト

「子供の頃 君が夢見てたもの」

この一行が曲の重心です。なぜなら、恋の再起動を、恋愛そのものではなく“生きる欲望”へつなぎ直すからです。愛の修復を急がず、自己イメージの回復を優先する設計。ここに大人のやさしさがあります。

聴きどころ(音作りに偏りすぎない範囲で)

声の質感

ささやくでも叫ぶでもない中庸の声色が、言葉の芯を運びます。語尾を伸ばしすぎず、文として着地させる発声が、生活のディテールを支えています。

リズムの歩幅

ビートは急がず、歩く速度に近い。だから情景が見えます。車窓、テーブル、アパート——聞き手の記憶にある日常の景色が、テンポと歩幅の一致で自然に立ち上がります。

最小限の歌詞引用で刻む“芯”

振り向いて 探して」

短い動詞の連打は、過去と未来のあいだで視線を往復させる動きそのものです。歌全体が提示するのは“忘れること”ではなく“上書きしていくこと”。思い出を否定せず、別の土曜日を積み重ねる作法です

「受け取って欲しい この指輪」

解釈は分かれる一行ですが、ここで示される“指輪”は、結婚の比喩に限らず、生活をともにする意志の象徴として読むと腑に落ちます。大仕掛けの誓いではなく、週末の延長線上に置かれた現実的な前進のしるしです。

物語の時間設計と視界の広がり

夕暮れから夜へ

歌の冒頭は、夕暮れの電車やテーブルの距離感など屋内・近景の描写が中心です。提案の一行を境に、場面は屋外へ移り、視界は街路や海辺へと開きます。音の厚みを語りすぎないとしても、情景の移動に呼応して心の焦点が近景から中景、遠景へと滑らかに移る設計は感じ取れます。

“一夜”で解決しない誠実さ

この曲は、たった一晩で傷が完全に癒えると約束しません。約束するのは、次の週末へつながる小さな更新です。聞き手が翌週以降も現実と向き合えるように、メッセージを現実的な射程に保っています。

第2位に選んだ理由

普遍性と使用感のよさ

人生のどの段階でも“効く”曲であることが最大の理由です。失恋直後だけでなく、仕事で行き詰まった時、環境を変えたいときにも、行動へつなげる設計が機能します。派手な展開で感情を揺さぶるのではなく、生活の歩幅を整えることで、長い時間に耐える普遍性を手に入れています。

言葉の重さの配分

比喩に頼りすぎず、具体物で支える言葉の置き方は、時間が経っても色あせません。短いフレーズのなかに、表情・場所・手触りが凝縮されており、聴く側の想像力を自然に招き入れます。だからこそ、記事シリーズの中でも上位に据える価値があると判断しました。

まとめ:土曜日は“やり直しの入口”

『もうひとつの土曜日』は、恋の失地回復ではなく、生活の再開方法を示した歌です。夕暮れから夜へ、屋内から街へ、視線の向きが切り替わるにつれて、心は“忘却”ではなく“上書き”へ向かいます。
「今夜だけ一緒に」という控えめな同行の提案から、「子供の頃、君が夢見てたもの」へと視界が広がる構図は、愛を自己肯定へと接続する見事な橋渡しになっています。聴き終えたあと、自分の土曜日にどんな小さな一歩を置くか——その問いを自然に受け取れる一曲です。


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