LOVE PSYCHEDELICO(ラブ・サイケデリコ)の25年の歴史!
第1位『Last Smile』
僕の勝手なBest10 【LOVE PSYCHEDELICO(ラブ・サイケデリコ)】編-第1位『Last Smile』です。
最後の2曲は、最初から決めていました。デリコの入り口の2曲であり、デリコの代名詞でもある楽曲だからです。順位は、昨日の第2位が決まるまで悩みましたね。どちらでもおかしくないからです。
なので、微差というか、同率1位でも良かったと言えます。
あえて言えば、滑り続ける心地よいメロディーの流れの先にたどり着く「I wish if I could see the light of heaven I don’t know the color of sea, but there’s no reason」の所が大・大・大好きです。
サビ直前にこれを置けるセンスには脱帽です。
本日で、デリコのBest10は終了しますが、後日作成するYoutubeのプレイリストを是非ご覧ください。現在まで作成した勝手なBest10の中でも、恐らく最もBest10としてはバランスと「聴き心地がよい」ものになると思います。
🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。
🎬 公式動画クレジット(公式音源)
アーティスト:LOVE PSYCHEDELICO
曲名:Last Smile
リリース:2000年11月1日(シングル)
配信元:Victor Entertainment / LOVE PSYCHEDELICO Official YouTube Channel
公開日:2020年6月3日(YouTube公式動画)
📖 2行解説
デビュー間もない彼らが放った代表曲のひとつ。柔らかなメロディと余韻ある歌声が、2000年代初頭の空気感を鮮やかに映し出しています。
超約
『Last Smile』は、別れの痛みを真正面から受け止めながらも、「それでも前を向こう」と訴える楽曲です。繰り返される “君は目の前で Last Smile” という一節は、希望と絶望が同居する象徴的なフレーズであり、ラブサイケデリコの音楽が持つ「強さと脆さ」の二面性を端的に示しています。
リリースと位置づけ
『Last Smile』は2000年11月1日に発売された3rdシングルで、ビクターエンタテインメントからリリースされました。前作『Your Song』の余韻を受けつつも、より深い感情を描き出したこの作品は、デリコが単なる新人枠を超えて「確固たる表現者」として認知されるきっかけとなりました。翌2001年のデビュー・アルバム『The Greatest Hits』にも収録され、序盤からリスナーを強烈に惹き込む存在感を放っています。

シングルとしての成功
オリコンチャートでも上位にランクインし、ラジオや音楽番組で広く取り上げられました。前2作のシングルと比較しても、歌詞の情感とサウンドの力強さが多くのリスナーの記憶に残り、デリコの名を一気に広げる推進力となりました。
制作背景とエピソード
インタビューでKUMIは「失ったものをただ悲しむのではなく、その後にどう歩むかを描きたかった」と語っています。制作時、メロディと歌詞は同時に形を成していったとされ、バンドにとって自然体の表現であったことがうかがえます。
また、シングル発売当時は全国ツアーを控えており、リハーサルでも頻繁に演奏されていた曲でした。ライブを意識した構成が最初から練り込まれていた点も特徴的です。
歌詞の核心
歌詞全体には「失われた時間」と「消えない想い」が織り込まれています。
「運命線から other way」「君は目の前で Last Smile」といった表現は、別れが避けられない現実であることを冷徹に示す一方で、「会いたい気持ちが go away」と繰り返すことで、感情の波が押し寄せる瞬間を生々しく描きます。

英語と日本語のバランス
KUMIの筆致は、英語で普遍的な命題を示し、日本語でその具体的な情景を補う構造を持っています。たとえば “I wish if I could see the light of heaven” という抽象的な祈りに続いて、「胸の中 腕の中 悲しみは君と melt away」と具体的な場面が描かれる。この往復によって、聴き手は自分自身の経験に重ね合わせやすくなるのです。

サウンドデザインの特徴
『Last Smile』のアレンジは、シンプルに聴こえながらも多層的な仕掛けが施されています。イントロのギターリフは乾いた質感を持ち、歌詞の「失うこと」「去っていくもの」と響き合います。リズムセクションは一定のテンポを崩さず、曲全体に強い推進力を与えています。

ギターとリズムの役割
とくにベースラインは重く沈み込みながらもメロディを支える役割を果たし、別れの歌でありながらエネルギーを失わせない要素となっています。リスナーは悲しみだけでなく、「進んでいくしかない」という力を自然に受け取ることができます。
英語ロックとの親和性
当時の日本のロックバンドに比べ、デリコのサウンドはより洋楽的な構造を持っていました。コードの選び方やリズムの刻み方は、90年代のブリティッシュロックやアメリカンロックの流れを感じさせます。ただし単なる模倣ではなく、日本語詞との組み合わせにより独自の質感を形成しており、ここにバンドのオリジナリティが宿ります。
ボーカル表現と感情の幅
KUMIのボーカルは、この曲において特にドラマ性を帯びています。サビの部分では力強く、しかし無理に叫ばずに感情を押し出す。その一方で、AメロやBメロでは抑制されたトーンを保ち、聴き手に「言葉の余韻」を残します。
感情のコントラスト
この抑揚のコントラストが、歌詞に描かれた「希望と絶望の同居」を一層際立たせています。彼女の声質は決して派手ではありませんが、感情の核心を直球で届ける強さがあり、ライブではさらにその力を増していきます。

英語詞の響き
繰り返される “Don’t go away” や “I wish if I could see the light of heaven” のフレーズは、英語特有の響きの柔らかさを利用しながら、感情を音楽的に解放しています。日本語では表現しにくい余韻を、英語が担っている点はデリコ特有の美学といえます。
ライブでの広がり
『Last Smile』は、デリコのライブで長年にわたって演奏され続けてきました。印象的なのは、観客が自然と静まり、フレーズごとに集中して耳を傾ける時間が生まれることです。
アレンジの幅
アコースティック編成でしっとり演奏されることもあれば、バンド全体でダイナミックに鳴らされることもあります。場面ごとに異なる表情を見せる楽曲であり、リスナーは「その日のLast Smile」を体験することになります。

ファンにとっての特別な瞬間
ライブやSNSでの声を振り返ると、「聴くたびに胸に残る」「最後まで聴き終えると気持ちが落ち着く」といった感想が目立ちます。『Your Song』が出会いを描いた歌だとすれば、『Last Smile』は別れを映す歌。二つを並べて聴くことで、デリコの音楽が人生の流れそのものを映し出していると感じられます。
歌詞の核心にあるテーマ
『Last Smile』は「別れ」を直接的に描くのではなく、時間の流れや人の心の変化を通してその inevitability(避けられなさ)を表現しています。歌詞の中で繰り返されるフレーズは、聴き手に強いメッセージを残すのではなく、むしろ問いかけのように響きます。
繰り返しのフレーズの効果
たとえば “Don’t go away” や “Last Smile” といった言葉が何度も登場します。意味は単純ですが、リフレインされることで、言葉以上の情感が積み重なります。失うことへの恐れと、それでも歩みを止められない心情が、フレーズそのものの反復に託されているのです。

光と影の対比
「heaven」「loser」「lover」といったキーワードの配置は、光と影を交互に提示しながら、人生の二面性を象徴しています。聴き手はそのゆらぎの中に、自分の経験や感情を自然に重ね合わせることができます。
当時の音楽シーンでの位置づけ
2000年はJ-POP全盛の時代で、耳に残るサビやキャッチーなフレーズがヒットの条件とされていました。そうした流れの中で『Last Smile』は、洋楽的なサウンドデザインと日本語・英語を織り交ぜた詞のスタイルで異彩を放っていました。
海外志向と国内リスナー
デリコの音楽は当初から海外の影響を色濃く感じさせましたが、同時に国内のリスナーにもしっかりと届きました。なぜなら「自分の体験に重ねやすい余地」を残していたからです。派手なメッセージソングではなく、日常に潜む感情をロックのスケールに引き上げたことが、幅広い層の共感を呼びました。
音楽誌での評価
当時のレビューでは「日本語ロックの新しい可能性を示した」「英語詞と日本語詞の混在が違和感ではなく武器になっている」と評されました。デリコが単なる洋楽フォロワーではなく、独自の文法を築いていたことが、この曲を特別な位置に押し上げたといえます。

今も歌い継がれる理由
発売から20年以上が経った現在でも『Last Smile』はライブの定番曲であり続けています。それは単に人気曲だからではなく、時代を超えて響く普遍性を持っているからです。
時代を超える普遍性
歌詞には「時代固有の流行語」や「当時の社会背景」に直結する表現がほとんどありません。そのため、聴く人はいつの時代でも自分の感情や経験を投影できます。別れや喪失は普遍的なテーマであり、そこに寄り添う音楽は色あせないのです。
聴き手に委ねられる余白
この曲は「こう感じてほしい」という押し付けを避けています。だからこそ聴き手は自分なりの物語を重ね、再生するたびに違う意味を発見できます。その柔軟さが、長く愛される最大の理由でしょう。
まとめ
『Last Smile』は、ラブサイケデリコの初期を代表する楽曲でありながら、単なるデビュー期の記念碑ではありません。サウンド、歌詞、ライブ、どの側面から見ても「別れと希望」を同時に映し出し、今もなお新鮮に響き続ける存在です。
『Your Song』が出会いを象徴する曲だとすれば、『Last Smile』はその対となる「別れの象徴」。二つを並べることで、デリコの音楽が人生そのものを描いてきたことが鮮やかに浮かび上がります。

コメント