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➡エリック・クラプトン物語 ― 栄光と試練のギターレジェンド!
第12位『Sunshine of Your Love』をご紹介! 』です。
第12位は、クリーム時代の代表曲の一つ、『Sunshine of Your Love』です。
クラプトンの長い歩みを俯瞰すると、この曲は“技巧の誇示”より“リフの民衆化”を成し遂げたターニングポイントだと感じます。彼はここで速弾きも長大なソロも掲げません。かわりに、誰もが一発で口ずさめる低音フレーズと、短いフレーズの応酬で勝負しました。
一方で、彼個人の物語性(のちのソロ期に色濃く出る内省や語り)が前面に出る楽曲ではないため、僕のランキングではベスト10の少し手前に置きました。ロック史の記念碑でありつつ、クラプトン個人の“心情の歌”ではない——そのバランスがでの選択です。
超約
夜明けを迎える前、長い夜の果てに恋人へ向かう決意を描いた詩。
光が差しはじめる朝に、再び会える喜びと静かな情熱を重ねる。
繰り返されるフレーズは「待つ」ことの切なさと確信を象徴し、
“愛の陽光”がすべてを包み込む——そんな時間の移ろいを歌っている。
🎥まずはいつものように、Youtubeの公式動画をご覧ください。
🎬 公式動画クレジット(公式音源) クレジット Sunshine Of Your Love – Cream 収録アルバム:Disraeli Gears(1967) © 1967 UMG Recordings, Inc. / Released on 2004-09-28 2行解説 エリック・クラプトン、ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカーによるスーパーグループの代表曲。 重厚なリフとブルースロックの融合が、60年代ロックの金字塔として今も輝き続けています。
🎵 クレジット(公式情報)
Sunshine Of Your Love (Live) · Cream
Album: Live Cream Volume 2
℗ Provided to YouTube by Universal Music Group
💬 2行解説
エリック・クラプトンのギターがうねる、Cream屈指の代表曲「Sunshine of Your Love」のライブ版。
スタジオ版よりも荒々しく、即興的な演奏がブルース・ロックの真髄を伝える名演です。
🎵 クレジット(公式情報)
Sunshine of Your Love (Live) · Eric Clapton · Jack Bruce · Pete Brown
Album: One More Car, One More Rider
℗ 2002 EPC Enterprises, LLP. / Licensed to Surfdog Records
💬 2行解説
クラプトンがかつての名曲「Sunshine of Your Love」を、自身のライブツアーで再構築した演奏版。
Cream時代の激しさを抑えつつも、熟練のブルースギターが円熟の音色を響かせています。
この曲の基本情報
『Sunshine of Your Love』は、1967年にリリースされたクリームのセカンドアルバム『Disraeli Gears(ディスレイリ・ギアーズ)』に収録された楽曲です。
翌1968年にはシングルとしても発表され、アメリカのビルボード・チャートで最高5位を記録する大ヒットとなりました。
作詞・作曲はジャック・ブルースとピート・ブラウン、そしてエリック・クラプトンの3人による共作で、プロデュースはフェリックス・パパラルディが担当しています。サイケデリック期の象徴的なサウンドとブルースの骨格を兼ね備えたこの曲は、クリームを代表するだけでなく、エリック・クラプトンのキャリアにおいても決して外すことのできない“不朽の柱”と呼べる一曲です。
リフの魔力:三人が作った“一枚岩”のグルーヴ
きっかけは「ライブ後の余韻」
有名な話として、ジャック・ブルースはジミ・ヘンドリックスの公演を観た夜、あの低音リフを思いついたと言われます。詩人ピート・ブラウンはそこに「夜明け前」をテーマにした言葉を乗せ、クラプトンはサビの音型とコーラスの折り返しを磨き上げました。
ここで大切なのは、始点が“歌”ではなく“手触りの強いリフ”だったこと。音の最初の一粒が、歌詞より前に意味を持つタイプの楽曲です。

役割分担の妙
- ベース:リフの“骨”。耳に残るのは低音ですが、単調に聴こえないように細かくニュアンスが揺れます。
- ドラム:ハイハットで突き進むのではなく、タムの重心で**“前のめりにしない推進力”**を作る。これが反復を飽きさせない秘訣。
- ギター(クラプトン):歌に絡みすぎず、**呼応(コール&レスポンス)**で間を取る。ソロも“語りすぎない”長さに抑え、耳に残る音価で刻みます。
「音作り」を一言でいうなら
機材の銘柄列挙は控えますが、ここでのクラプトンは、角の立ちすぎない太い歪みを選び、“線より面”のギターを鳴らします。結果として、歌と同じ平面上に立つのではなく、歌の背後から大きく押す役目に徹しています。

夜明け前の決意
“It’s gettin’ near dawn”(夜明けが近づいている)
“In the sunshine of your love”(君の愛の陽ざしの中で)
夜が終わり切る直前に、光に向かって歩き出す——この二つの断片で曲の核は充分伝わります。ラブソングではありますが、甘さよりも動詞の手触り(行く・会う・留まる)が際立っているのが特徴です。
「夜の終わり→朝の兆し→太陽のまぶしさ」という時間のグラデーションに、リフの反復がぴたりとはまる。言葉を積み上げるより、同じ言葉を置き直すことで熱量を上げる構造です。

クリームの中でクラプトンは何をしているか
トリオ編成のクリームは、各自が主役級の存在感を放つユニットですが、この曲に限ってはクラプトンが“まとめ役”に回っています。
- リフの強度を壊さない音価の選び方
- 歌の直後に**“短く応える”**フレーズ配置
- ソロであえて速度ではなく声色を聴かせる
この“引きの美学”が、のちのクラプトンの長いキャリアに通底する「言い切らない表現」へとつながっていきます。派手に叫ばず、必要な線だけを残す。その省筆がここで確立されました。
ちょっとしたエピソード
のちにジミ・ヘンドリックスがテレビ番組の生放送で、予定を変えてこの曲のリフを弾きはじめ、クリームへの敬意を公然と示した逸話は有名です。影響の“往復”があったからこそ、ロックの語彙としてリフが世界に定着した——この出来事が象徴的に物語っています。
引用はここまで
“I’ve been waiting so long”
たったこれだけの断片でも、時間を味方にする歌だと伝わります。長く待ったからこそ、朝はいっそう眩しい。歌詞の核はこの一点に集約されます。

“Sunshine of Your Love”の余韻と、その後の影響
ロック史の分岐点としての位置づけ
1967年という年は、サイケデリック・ロックが開花した季節でした。ザ・フーが破壊的パフォーマンスを見せ、ビートルズが『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』を発表し、若者たちは“自分たちの音”を模索していました。そのなかで『Sunshine of Your Love』は、ブルースとサイケデリックの境界を融合した画期的な曲として存在感を放ちました。
この曲が特別だったのは、奇抜な実験ではなく、クラプトンらしい地に足のついたグルーヴにありました。理屈よりも感覚で語るロックへと舵を切った、その転換点を象徴する1曲だったのです。

ステージで生まれ変わる“儀式のような演奏”
ライブでの呼吸と粘り
クリームのライブでは、この曲はスタジオ版よりもずっと長く、そして熱を帯びて演奏されました。
リフを何度も繰り返し、ドラムが前へ出た瞬間に観客がどっと沸く。クラプトンのギターは決して派手ではないのに、音の止め方が異様に美しい。音を詰め込むのではなく、鳴らさない“間”で空間を支配していました。
即興の極致 ― フィルモアの奇跡
1968年、サンフランシスコ・フィルモアでの演奏は象徴的です。
終盤、リフが崩れていくように見えて、実は三人が一つの呼吸で“再構築”していく。観客はその緊張感に息を呑み、**「ロックがジャズに近づいた瞬間」**とさえ評されました。
つまり『Sunshine of Your Love』は完成された作品ではなく、演奏するたびに姿を変える“儀式”だったのです。
歌詞の情景に映る「夜明け」と「決意」
夜から朝へのグラデーション
“I’ll be with you when the stars start falling.”
この一行の中に、夜の終わりと朝の始まりが同時に描かれています。
恋人へ向かう想いを軸にしながらも、歌の奥底には再生と覚醒のメタファーが流れています。
「星が落ちる」は夜の象徴、「Sunshine」はその後に訪れる希望。ラブソングでありながら、時間の流れそのものを描く詩なのです。

クリームの三角関係が生んだ奇跡
ぶつかり合う才能たち
クリームの三人は、それぞれが主役級のミュージシャンでした。
ジャック・ブルースの歌心、ジンジャー・ベイカーの爆発的なドラム、そしてクラプトンの繊細なギター。
彼らは一枚岩ではなく、常に緊張を孕んだ関係でした。
しかしこの曲だけは、三人のエネルギーが同じ方向を向いた奇跡の瞬間です。
クラプトンにとっての「太陽」
光を見つめる視線の始まり
クリーム解散後、クラプトンは孤独な時期を過ごします。
しかし、どんなに暗い曲を作っても、その奥には“光の兆し”が差していました。
『Sunshine of Your Love』こそ、彼の人生における**最初の“光の象徴”**だったのです。
50年以上経っても消えない熱
半世紀以上が過ぎても、この曲がステージで演奏されると、観客は総立ちになります。
テンポを落としても、キーを変えても、リフが鳴った瞬間に会場が一つになる。
それは懐かしさではなく、「ロックとは何か」への答えが今もここにあるからです。

結び ― 永遠に夜明けを照らすリフ
『Sunshine of Your Love』は、クラプトンの長い旅のなかで最初に昇った太陽です。
夜明けを信じて歩き出す者たちへの賛歌として、今も静かに、しかし確かに輝き続けています。

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